聖杯戦争で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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サブタイトル考えなくていい分すごくやりやすくなったと思います。


第26話

『逃げる……?もう帰っちゃうの?』

「「「!?」」」

 

 公園の入り口から鈴のような声。

 遅かったか……?

 

「バーサーカー!?」

「ほう、アレがそうなのか。また随分とデカいことで」

「ウワサは聞いてるわ、ヴィーナス。戦争を止めようなんて無意味なこと。しようとしてるらしいわね」

「無意味かねぇ……オレからすれば最優先なんだがな」

 

 エゲツい巨漢の肩に座る白髪の女……バーサーカーのマスターと無意味な会話を交わす。

 この状況にバーサーカー乱入ってのは相当なバカじゃねぇのか?

 

「ここに出てこれるのは良い度胸だが、勝算はあるのか?下手すりゃ自殺だぞ。悪い事は言わねぇから帰ってぬくぬく過ごしてろ」

「む……」

「やめろシオン!イリヤは……!」

「もういいよ、みんな死んじゃえ。バーサーカー」

「➖➖➖➖➖➖➖➖➖!!!!」

「はぁ……」

 

 何がいいのか、バーサーカーが女を降ろして突撃してくる。

 いくらデカくとも所詮はサーヴァント。筋力パラメータからなるそれはけして想定し得ないものではない。

 

「っ……!なるほど、確かに、これは……っ!」

 

 未来視を持ってしてただの上段に合わせるのがギリギリ、バルディッシュのフルドライブだというのに押されている。

 なんならバルディッシュじゃなくオレの刀だったら素の力で即死だった。

 

「シオン!く……セイバー!援護を……!」

「正義の味方!離れてろ!セイバーも邪魔だ!」

 

 あとバルディッシュも邪魔だ……

 

「バルディッシュ、また会おう。キングクリムゾン!」

 

 時間をふっ跳ばして攻撃を無効化しバルディッシュを解除、すぐさま刀に持ち直す。

 さてこれほどの戦力は想定外だが、対処は可能だ。

 能力を選択、一度攻撃圏外まで移動してから時を刻み始める。

 

「っ!バーサーカー!」

「絶影!」

 

 遠距離から剣を飛ばすアルター。融合装着すればより性能は上がるが何分オレの体では持たん。

 剛なる右拳、バーサーカーの正面に撃ちその迎撃を釣る。その隙に左拳を脇腹に潜り込ませる。

 ……釣ったは良いが防御の姿勢を一切見せないのが気にかかった。

 

「■■■■■■■■■■──―! 」

「アハハハハハ!そんなのがバーサーカーに効くハズないじゃない!」

「……!マジか……!」

 

 防御が間に合わなかった訳ではない。右拳に釣られた訳でもない。左拳を認識していながらあえて何もしなかったんだ。

 それが全くの無意味なものだと分かっていたから。

 

「まさか……」

 

 まさかコイツ……十二の試練か?未知の能力であるはずのアルターにそんなの呼ばわりするんだ、まず間違いない。

 とすれば今のオレに勝機はほぼ無い。遊びとはいえ能力を使い過ぎた。

 今の体でAランクの能力を使うのは……負荷がヤバい。使っても殺せるかすら分からんからな。

 

「凛!正義の味方とワカメ連れて逃げろ!」

「シオン!1人では無茶だ!」

「オレを殺そうって奴が何言ってる!お前らが死ぬ訳にはいかねぇんだ!さっさと行け!殺すぞ!」

 

 コイツらがバーサーカーの射程外まで退避してくれたならオレも存分に逃げることができる。

 

「シロウ!早く!」

「待て遠坂!」

「待たないわよ!さっさとしなさい!セイバーも!」

「……くそっ!すまんシオン!」

「……御武運を」

 

 凛が無理矢理正義の味方を引っ張ったおかげでセイバーもそれについて行き、無事望んだ状況まで食い下がれた。

 

「ちぇっ、逃げられちゃった。このツケは高くつくよ?お姉さん」

「ツケは払ってやるが、オレの時はお兄さんにしろ」

「……?女なのに、お兄さん?」

「はぁ……悪かった、好きに呼べ、女扱いは慣れてる」

「???」

「■■■■■■■■■■──―! 」

「まぁいい……いくぞ!邪王炎殺剣!」

 

 バーサーカーの未来を寸分違わず読み取りながら炎殺剣で受け流す。

 

「あらら、逃げてるだけ?それじゃあいずれ死んじゃうよ?」

「うるせーロリ!テメーもロリコンの餌にしてやろうか!」

 

 コイツもVNAに加えて哀れなオモチャの仲間入りさせてやろーかマジで。

 

「うぉっ……!がはッ!」

 

 誤って上段からの攻撃を防御してしまい、そのまま押されて地面に叩きつけられバウンドする。

 ふぅ……!熱い……何本か折れたか、断裂したか……

 

「う……」

「アハハハハハ!どうするの!?このままだと死んじゃうよ!」

「……いいや」

 

 死にはしない。この戦争では誰も死なせない。

 

「ただし致命にならない限りだ。バーサーカー。1つは貰うぞ」

 

 消滅さえしなければそれでいい。1度殺せば蘇生まで少しだけ時間ができる。

 

「よくもまぁこんな使い方したもんだ……アンサラー」

 

 右手をバーサーカーに向ける。

 そして能力を2つ。

 

「■■■■■■■■■■──―! !!???」

「バーサーカー!?」

「はは……」

 

 バーサーカーの胸に僅かな穴が貫通する。

 しかしオレとバーサーカーの延長上にいるロリマスターには一切の影響は無い。

 まず並行世界にあるこの現状と限りなく近いD4Cのオレがいる世界を探す。その中からバーサーカーの動きを完璧に予知できた世界を探し、さらにその中からフラガラックのアンサラーのカウンターで殺せた世界を探してそれをD4Cでこの世界に同時に存在させ、この状況を現実化する。

 オレがするのは並行世界のバーサーカーを殺すこと。そのタイミングはフラガラックの発動圏内であり、その発現をこの世界で実行する。

 そしてそれら一連の流れでこの世界に起こる事象は『バーサーカーが即死する』ことだけ。誰も攻撃なんてしていない。したのは平行世界のオレ。誰も対処なんてしていない。できる者は誰1人いない。

 並行世界で殺した事実をこの世界に確定させるんだ、そりゃあ予知も直感も効くはずない。周囲に被害が出るわけもない。殺された当人だけが死ぬ。それだけにして最悪の殺し方だ。

 

「バーサーカー!」

「じゃあな、クソロリ。また会おう」

「待ちなさい!」

 

 オーロラカーテンで即座に撤退。

 もう無理だ……これ以上は死ぬ……

 

「おや、随分とくたびれてますね」

「うるせぇ……酒出せ」

 

 家に出るなり卿の淡々としたセリフが聴こえてくる。

 

「……視力まで使ったのですか?それほどバーサーカーは強敵だったと」

「遊び過ぎただけだ。すぐ治る。あとピーチ味な」

「わかりました。しかし負荷によるものなら対処も可能なのでは?」

「無理だ……バーサーカー殺すのとオーロラカーテンでギリギリだ。これ以上何か使うと死ぬ」

「そうですか……ではライダーも少し遅くなりますね。どうぞ」

「ああ……すまん」

 

 受け取った酒を遠慮なく飲む。

 9%の桃の風味が爽やかに喉を潤し、疲労していた神経に多少の回復を促してくれる。

 

「ライダー……お前、そのままであと何日いられそうだ」

「マスターからの魔力供給は続いています。このままならば存命は十分可能です」

「なら悪いがもう少し待ってくれ。バーサーカーの対策も平行したい」

「わかりました……セイバーたちは?」

「あ?無傷で逃したが。なんだ?」

「いえ、私も貴方方に協力したいので、多少の情報は頂きたいと思いまして」

「マジで協力すんのか?独断で?あのワカメはお前が戻ればまた戦い始めるぞ。言っといてなんだがやめとけ」

「そんな!是非させてください!マスターも説得してみせます!」

「お、おう……?」

 

 ライダーの何がオレ達に協力させるのか分からないが嘘は見えない……なんだ?コイツも殺し合いは望まないとかそう言う奴だったか?

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