聖杯戦争で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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第45話

「聖杯が完成する?」

「はい」

「ちょっとまって。まって?確かに部外者は出てきたけどさ、サーヴァントはまだ誰も……アサシンは知らないけど……」

「はい。確かに、第五次聖杯戦争の正規のサーヴァントは未だ、その全てが存命しています」

「なら問題無いんじゃないの?」

「聖杯戦争とは、英霊7騎が座に戻る際の孔を聖杯で固定し、根源へ至ろうとするものです。正規のサーヴァントはあくまで戦争開始に際して召喚されたというだけの話です」

「……間桐の持つサーヴァントが全て自害するなら、私達が何をしようと聖杯戦争は終了する……?」

「はい。しかしわざわざ宣戦布告したこと、ウタネさんへの不意打ちなどを含めると、マトウもやはりヴィーナスの殺害を目的にしている、と言うことでしょう」

「自害に気付いてないって可能性は?」

「マトウは御三家です。しかも当主は何代にも渡り家系を支配しているそうです。戦争の発端を知らないのは考え辛い」

「……よし、今から間桐桜を殺しに行こう。大丈夫、最悪この世界から聖杯戦争の概念が無くなるだけだから」

「やめてください。それこそ敵の狙いかもしれません。今はシオンの帰りを待ちましょう。彼ならば射程外から罠や敵の構成を知ることができます」

 

 ♢♢♢

 

「ぐ……はぁ……く……」

「あはははははは!これで何回目かしら?アナタが死ねば全て終わるわ。最優と言われるセイバーも、御三家のリンも、私たちを裏切ったシロウもね!」

「裏切ってなんか無い!俺は親父……」

「正義の味方になる……オマエは確かにそう言った……はぁ……そして……アインツベルンを、自分と母を裏切った切嗣に、その家族に復讐を……そう言った……」

 

 シロウの言葉を遮ってシオンが口を開く。

 そしてシロウもイリヤスフィールも同様に肯定を返す。

 

「……ああ」

「ええ。その通りよ」

「その真実を……正す」

「なに……?」

「イリヤスフィールゥ!」

「……!」

「なぜ衛宮切嗣が聖杯戦争の後、お前の前に姿を表さなかったのか!なぜ勝利しておきながら聖杯を破壊して理想を放棄したのか!なぜ衛宮士郎に魔術刻印ではなく正義の味方という叶わぬ夢を残したのかァ!」

「……っ!」

「シオンやめなさい!それ以上は!」

「ハハぁ……!」

「シオン!」

 

 凛の静止も極限状態のシオンには一切の意味も無く、シオンの叫びは続く。

 

「その答えはただ1つ……!イリヤスフィールゥ!お前が……聖杯(お前の母)が!破壊しか生まない、災害でしかなかったからだぁ──────はははははははははは!」

「え……?私が……?」

 

《game over》

 

 バーサーカーの攻撃と共に鳴り響く電子音。実に99回目。

 

「私が……聖杯?災害?」

「シオンが……死んだ……?イリヤが聖杯だって?」

 

 無情に鳴り響く電子音、死神の様に立ち上がるバーサーカー、ヴィーナスがサーヴァントに負ける有り得ない事態に立ち尽くす救世主と他2名。

 

「く……凛!今はシオンの発言は無視だ!私が場を繋ぐ、お前たちはマジェスティの能力で撤退しろ!」

「ふざけるな!お前はどうする!リバイブでアイツに勝つ気か!?」

「これが最善だ!お前たちが生きていなければ意味が無い!」

「だったら俺がやる!俺のプライムなら……!」

「お前がもし負ければ私では逃げ切れん。だがお前なら、私の稼ぐ数秒で可能な筈だ。ディエンドを使え」

「……!お前……っ!そんなことで自分を……!」

「これが俺の選んだ正義の道だ。それを正面から歩いて何が悪い」

 

 荒く息を吐くバーサーカーの前にリバイブ剛烈……アーチャーが立ち塞がる。

 

「あは、あはは……ヴィーナス、頭おかしいのね……バーサーカー。頭おかしい連中は跡形も無く消しちゃって」

「➖➖➖➖➖➖➖!!!」

「「「「……!!!」」」」

 

 バーサーカーの咆哮に4人が怯む。

 当然だ。自分たちの盾となり矛となるはずのヴィーナスはその圧倒的な力に敗北した。今更自分たちでどうこうなるなど考えるほど馬鹿でもない。

 

「やっちゃえ!バーサーカー!」

「➖➖➖➖➖ ➖➖➖➖➖!!!!!」

 

 狂気の斧が4人を襲う。

 

「あーあーあー……まだオレが終わってねぇぞ?」

「「「!?」」」

 

 バーサーカーの背後に現れる声。

 バーサーカーは瞬時に反応してその影を両断する。

 

「……はは、ダメだろうバーサーカー。狙うなら急所を狙わないとなぁ」

 

 両断されたはずの影は尚そこに立っている。

 100を超える死を超えて、フタガミシオンがそこに立つ。

 

 ♢♢♢

 

大嘘憑き(オールフィクション)!『オレがバーサーカーに99回ブッ殺された事実』を無かったことにした!」

 

 我慢比べはオレの負け。

 

「シオン!生きてたんだな!」

「オレ達は元々生きてやいねぇよ……それに、結局バーサーカーも8しか削れなかったしな」

 

 そもそも攻撃に耐性付いてくバーサーカー相手に同じ能力で我慢比べは頭が悪過ぎた。多分もうニキュニキュは一切効かないな。

 

「当たり前よ!人類の歴史の中でバーサーカーに勝てる奴なんていやしないわ!」

「あーはいはい、確かにつえーよ、大したもんだ」

 

 イリヤスフィールが未だオレを見下ろしている。一度オレを殺した程度で見下している。

 

「けどもう飽きたわ」

 

 能力を選択。

 

「➖➖➖➖ ➖➖➖➖!!??」

 

 とある黄色の魔法使いのリボン。

 決してバーサーカーを完全に拘束できる訳ではないが……無限に出現し巻きついていくリボンの質量ならその動作を極めて遅らせることができる。

 

「人類の歴史がどうかしたか。VNA(オレ達)は世界だ。お前ら生命は世界に勝てるか?」

 

 パチン、と指を鳴らせばバーサーカーの周囲を無数のマスケット銃が覆う。

 そして無感動に乱発され、バーサーカーの霊基を削っていく。

 

「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。お前は聖杯の器、鍵となる存在だ。それを知って尚戦うか?今のまま戦わずにいるなら永遠に生きていられるぞ?」

「……嫌よ。バーサーカー!」

「➖➖➖➖ ➖➖➖➖!!!」

 

 バーサーカーがリボンを全て吹き飛ばし咆哮する。

 

「やはり確実性が無いと抑えられんか。だがもう分かった。お前は死ね」

 

 バーサーカーが膝を着き、消失していく。

 

「「「……え?」」」

「え?嘘……バーサーカー……?」

大嘘憑き(オールフィクション)。バーサーカーの蘇生を無かったことにした……ストックが無くなったゴッドハンドは、そのまま消えるしかない」

 

 いくら代替生命での擬似残機であろうとも、蘇生するということはその直前は死んでいるということ。蘇生機能を無かったことにしてしまえば、残機がどれだけあろうと関係無い。使う前にゲームオーバー。コンテニュー不可能だ。

 

「シオン!サーヴァントは殺さないんじゃなかったのか!」

「いや、オレだってここまでするつもりはなかったんだ。消して12機までと決めていた。だが相手がこちらの譲歩を踏みにじるなら……全て消すしか無いじゃないか」

 

 救世主が食いついてくるが関係無い。どうしても戦い続けるんだからしょうがない。オレは悪くない。

 

「➖➖➖ ➖➖……!」

 

 消えかけのバーサーカーはそれでも斧を握りしめ、射程内のオレにそれを振るう。

 当然そんなもの食らってやるとして、当然そんなこと無かったことにする。

 

「バーサーカー。何をしようが全て無駄なんだ。お前は消える。お前ら人じゃ世界には勝てない」

 

 最高峰の英雄が無意味に消えた。

 残ったのはマスターにして聖杯の器、イリヤスフィールのみ。

 

「さて、どーするかね。お前はオレ達の保護を受けるか?ここで死ぬか?それとも永遠に死に続けるか?」

「……」

「返事くらいしろよ。人の形してるんだ、そのくらいの知性はあるだろ」

「……やだ」

「はぁ……そうか」

 

 やっと帰ってきた返答は拒否。

 しかしコイツを殺すことは戦争の崩壊を意味する。戦争は続けられなければならない。

 

「我が救世主、家までのオーロラカーテンを頼む。コイツは連れて行く」

「いいのか?」

「最悪コイツが生きてりゃなんとかなる。姉さんの部屋のオブジェが増えるだけだしな」

「……それなんだが、いい加減慎二は降ろしてやってくれないか?」

「ふざけるな。あんなものを歩かせる訳がないだろう。食事は与えてやってるんだからそれで妥協しろ」

「はぁ……戦争が止まれば、解放してくれるんだろうな?」

「ああ。オレだってあんなモン姉さんの部屋に置いておきたいわけじゃない」

 

 イリヤをとりあえず写輪眼で気絶させて担ぎ上げる。

 そして救世主のオーロラカーテンに足を進める。

 さて……まぁ、バーサーカーが死んだ……一騎でも欠けた戦争は平穏に中断するか……?

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