聖杯戦争で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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第50話

「さぁどうした!日本英雄はそんなものか!」

「なんの!」

「にぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 上杉謙信、宮本武蔵を名乗る女性サーヴァント2騎はその戦闘スキルの高さからか息つく暇も無いほど正確なコンビネーションをしてシオンを攻め続ける。

 だがシオンはその半分程度を気まぐれに防ぎ、残りはその圧倒的防御力に任せて受け続けている。

 燃える刀で相手の攻撃を限定しているのもあるが、三騎士の内近接型のセイバー、ランサーの攻撃をまともに受ける耐久性は驚愕に値する。

 ……それより、空気が座標で固定されてる中で3人とも普通に動いてるのが私には驚愕だ。ムテキゲーマーならそりゃあ動くだろうけど今は違うし……どーしてかなー……

 

「ぐ……」

「上杉謙信……その声帯は派手に散ってもらう。弐の秘剣……紅蓮腕!」

「……!ランサー!」

 

 ランサーの首を掴み上げ、自分の手を刀で引き切ることで爆発を起こすシオン。

 ナニソレ。

 

「くっ、流石にこれでは死なないか」

「や……なんで爆発するのよ……」

「にゃぁぁぁぁあ!」

「でランサーは何なのよ……」

 

 手は切れてないのか、爆破要因は何なのか、不明な現象だが爆破しただけでランサーも致命的なダメージでは無い様子。ランサーの言語も意味不明だ。

 けど局所的とはいえ私の能力を超えたんだ、あんな爆発くらいで伸びてもらっても困るけども。

 

「むーう!痛いじゃないですか!」

「痛いで済むなら良かった方だ。散れっつうと散らねぇのが悲しい現実ってもんなんだよな」

 

 文句を言いながらも攻撃を続行するランサー、諦めたのかシオンを殺すのに集中し始めたセイバー、能力の限界にため息をつくシオン。

 より過激になる攻撃にも依然怯まないシオンの耐久力。いや、怯みはしているもののダメージになっていない。ムテキゲーマーに近い挙動だ。

 

「ふっ!はっ!どうしたセイバー!何故宝具を使わない!?」

「く……!」

 

 シオンが何故かセイバーを圧倒し始めている。

 ランサーは変わらず攻めあぐねている様子だけど……

 

「く……見切れ……」

「視えるか!?オレを越えるお前が!オレはさらにその先を視るぞ!」

「あー、なるほど」

 

 未来視持ちなのか。

 とはいえ未来視ったってシオンの未来視はそう遠く無い。せいぜいが3秒、良くて5秒くらいなはずだ。相手は宮本武蔵。未来視を資質として英霊になったのなら5秒なんて軽く視ることができるはず。基本的にシオンの未来視と私のカンはそれに特化した相手には不利になる。所詮は人間技、よくわからんアニメの世界だってならそんなの持ってて当たり前、より劣る存在でしかない。

 

「くっ!ならばこれが見切れるか!?」

 

 セイバーが決めどころとしたのか今までより強い覇気でシオンに刀を振るう。

 

「オレ達とやろうってんなら、この如何ともし難い能力の差を……」

「ぐぅ……!」

「ちったぁ埋める戦略を練ってから!かかって来い!」

「ぐぁっ……!」

「攻めたの私達なんだどもね」

 

 セイバーの攻撃を何やら意味不明な手段で捌き切ったのちやはり意味不明な攻撃でセイバーを滅多斬り、で何故か素手で殴り飛ばすフィニッシュ。

 

「おおぅ……」

「さぁランサー。次はお前だ」

「なんと……」

 

 壁に沈んだセイバーを横目に、刀をランサーへ向けるシオン。

 使用する武器もシオンのものなのにその技術、剣技は違う。やはり……恐らく、日本の剣士に特化した能力と見ていいだろう。

 シオンは初めと変わらず無造作な上段から仕掛けに行く。

 

「お前が死ぬか!オレが勝つかだ!」

「私の敗北は確定です!?」

「当たり前だぁ!終の秘剣・火産霊神(カグヅチ)!」

「っ……!『毘天八相車懸りの陣』!」

 

 2つの必殺技が激突する。何故か分散したランサーが交互に入れ替わりながらシオンを囲み攻撃し……

 

「しゃあ!」

「くっ……はぁっ!」

 

 私が数瞬を見る間にも数十を超える攻撃を、シオンはかつて無いほど炎上した刀で捌く。

 もはや数秒の未来視を持ってして意味の無い無いほどの速度。それでもシオンはランサーの宝具についていく。私はもう見えてない。

 

「それだ。カグヅチ」

「なんとっ……!」

 

 無数に見えるランサーの、その虚を突いたシオンの刀。

 炎を纏ったまま切り付けられたそれはランサーの右手首を捉え、切断する。

 

「く……まさか、私の宝具を超えるとは……しかし!必殺には程遠い。首か心臓を狙うならまだしも、狙い澄ました秘剣がこのレベルなのであれば、勝機は薄いですよ!」

 

 ランサーは落ちた手に一切惜しみを見せず、サーヴァント特有の回復力で止血する。

 確かに、宝具を見切ったとは言え、致命に届かない攻撃しかできなかったのであればシオンに勝ちは無い。間桐桜の魔力量を無限とするなら、ジリ貧になっていくだけだ。

 

「いいや。必殺だ。奥義には奥義たる特性がある。オリジナルなら巨大な火柱だが……オレのソレは……」

 

 シオンが刀を鞘に収める。

 するとランサーの手首から次第に炎が広がり始める。

 

「こ、これは……!」

「切り口からその対象を焼き払う。神話の通りだ……」

「しかし炎程度!簡単に消せ……っ!?」

 

 ランサーが火を消そうと拭ったり吹きつけたりするが、火はなびくだけで一向に消える気配が無い。

 

「奥義たる特性があると言ったろう……カグヅチの名は万華鏡にもあるんだ。その炎はオレが消すまで燃え広がる。お前が死んだ後もな」

「……!」

「そら、死にたくなけりゃ喋れ。残りのサーヴァントの真名は?能力は?お前らは間桐桜1人に契約してるのか?」

「喋りません」

 

 シオンが刀を仕舞う。戦闘の意思は……意味はもう無い。

 ランサーはそれでも警戒しながら、対話拒否。

 

「はぁ……なら死ね。もう何人死んでも良いんだ。オレはお前ら英霊に何も期待していない。お前らに世界は救えない」

「……」

「ソラが良い例だ。サーヴァントや抑止力なんて存在じゃ世界は救えない。滅びない程度に収めるだけだ」

「救えます!私は、英霊は!サーヴァントは!世界を救う存在です!」

「なら救ってみろ。ここに世界を脅かす存在がふたつ。どちらもこの世界はおろか、並行世界含めた複数の世界を滅ぼす力と意志を持ってる。オレ達を殺すには……世界を救うには十分なレベルだろう」

「言われなくとも……」

「できない。言われてもな。お前ら抑止力はコトが起きた後、若しくはコトが起こる前にしか効力を発揮しない。殺人事件があるなら……殺人を決意し、人が死んだ後にしか動かない。今もそう……聖杯戦争が止まってからでしか、お前らは何の効力も発揮しない。今お前らには何の価値もない。見えたものにしか動かないお前らがデカい顔してるってだけでオレは……!」

 

 シオンがここで暴走する。抑止力が嫌ならアインスはどうなるのって話……

 

「シオン!危ない!」

「……っ!?ソラか……!」

「また出た……」

 

 ソラのシャドウ。若しくは意識の無い本人。まぁどっちでもいい。判別面倒だから。

 

「チッ、一旦退くか。姉さん、掴まれ」

「ん」

「ま……セイバー、お前は消えてろ」

「お」

 

 セイバーへ謎の黒球を飛ばし、その周囲の物質諸共……消滅させた。私の能力ごと。なにそれ。ブラックホール?

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