聖杯戦争で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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リハビリ


第52話

「おーいウタネ、シオンどこ行ったんだー……あぁぁぁぁ!?」

「んぅー?」

 

 シオンが謎に出てった後、えーと……えー……?誰だっけ……セイバーのマスターが部屋のドアを開ける。

 私は寝る気マンマンでお酒飲んでたから変に睨む形になってしまったかもしれない。

 

「き……気を使うなと言ったのはそっちだ。このまま続けるぞ?」

「ん……?睨んでごめんね?」

「違う!恥じらえ!プライベートに男が入ってきて下着姿なんだぞ!」

「ん……あ?いや、いいよ別に。何の装飾も無い無地でお目汚し申し訳ありません?」

「うるさい!服を着ろ!」

「やだ暑い……暑い中エアコンガンギマリで布団に封印されたいの。寒い中コタツのぬくぬくでアイスを食べたいの。どぅーゆーあんだすたん?」

「セイバー」

「はい……?これはどういう状況で?」

 

 男の子がセイバーを呼ぶと、セイバーも部屋に入ってきた。

 

「ウタネが10秒以内に服を着なかったら俺を殺せ」

「何を!?」

「はぁぁぁぁ!?」

 

 私に服を着せる為とはいえエゲツない命令だ。もし令呪を使っていたのなら私が既にセイバーを殺していた事だろう。

 

「じゅーう」

「わかった!着る!」

「きゅーう」

 

 服……えっと……あれ、シオンがいた時までは着てたと思うんだけど……あれ、無い。

 とは言え着ないとなぜか勝手に死ぬしなぁ……仕方ない。

 

【装着】

「よーし、文句ないでしょう」

 

 空気を服の様に固めて適当に色付けする。

 もー実際これでいいでしょ。防御力も事実上無限だよ。

 

「ま・・・それでいい。ガタガタだけどな」

「ん……そうかな」

「明らかに自然界や人工物に存在しない印象がある」

「……」

 

 どうやらこの世の物とは思えないらしい。私の頭では普通の服なんだども。

 

「まぁいいや。これで。で?何用?」

「いや、シオンが出てったからな。また間桐に行ったのか?」

「ううん?それなら何か言うでしょ。ソラのシャドウに対抗できないワケだし」

「気晴らしか?それにしては急ぎ足だったような……」

「ま、1人で出てったんだ、1人で解決できる問題だよ。気にしなくていーんじゃない?」

「そうか……ならいいんだ」

「なにー?マトウ行きたかったの?」

「……いや」

「べーつに行きたかったら連れてってあげるよ?」

「何!?」

「心配なんでしょ?同級生の妹」

「ヴィーナスがそんな事言っていいのか」

「ぶいなだってば。良いよ。この並行世界の命運は事実上私が握ってる。それにね、親しい間柄の人を心配するって感情はずっと近くで学んできたからね」

「ん……?」

「ああ、あなたには永遠に関係無い話だ。けどまぁ……うん。ヒトのフリした偽善のカタマリって意味では近いかな」

「な……!?」

「うーん?何か違う?あなたはゲイツマジェスティを得た。けれどそれも幻想。あくまで『あったかもしれない並行世界』の更に隣の可能性だ。あなた自身が得たのではなく、『シオンが持っていたかもしれない能力』と『あなただったかもしれないシオン』のふたつの世界を疑似的に繋いで再現したに過ぎない。アーチャーではないけれど、所詮偽物に過ぎないんだよ」

「……」

「貴方の未来はアーチャーだ。けれど、より近い未来を話してあげる。英霊のアーチャーよりあなたに近い彼女……『高町なのは』の話をね」

 

 ♢♢♢

 

《ジェミニ》

斬人(スパイダー)

「ぬううううぅぅぅぅ!」

 

 触れた刃を自身の身で受ける。

 片や必殺の三次元屈折剣技、片や世界を救う20を超える歴史。

 それを我が身1つだけで……分裂し硬化したとはいえ……受けるんだ。当然死ぬ。

 

《game over》

 

「む……っ!?」

「シオンか!」

 

 威力を殺し切れはしなかったが、妥協点だ。

 分裂したなら当然2機。残機から減る……最も、1でも残れば能力を解除すれば何のデメリットも無いが……

 

「何してんだ、救世主。我が救世主も物分かりが悪いが、君は別格だ。オレ達の指針に尚背くとは」

「ふむ。なら中断しよう」

 

 預言者の口調を少し真似ると、アーチャーは何の未練もない様に変身を解く。

 

「……あん?」

「別に、アサシンを消すことが目的では無かったのでね」

「なら何故戦う?動機が無い」

「単なる腕試しだよ。結果がどうあれ、先の一撃で終わるつもりだった」

「……腕試し?」

「マトウのサーヴァントへの備えだ。聞いた話では相当な英霊だそうではないか。攻め入る気は今のところ無いが、襲撃された際1人くらい足止めできなければな」

「そんな事しなくても逃げりゃいいだろ。オレと姉さんがいるんだぞ」

「出力を間違えられては困るのでな」

「……」

「ふ……そう気を悪くするな。別に今更どちらかが消えようと変わらないだろう?」

「……サーヴァントの総数は今や15。卿を外しても14。消えたサーヴァントは4。ま、半数消えてないなら良し、とする……か」

 

 コイツの本心がどうであれどうでも良い事だ。リバイブをして単純な剣技ではアサシンに届かないことが証明された。

 ……ならば、アーチャーはどうやってアサシンを攻略した?

 バーサーカー以外は攻略可能なはずじゃなかったのか?

 

「ふん……アサシン、君とはまた。これで失礼する」

「ふむ……」

「あ……」

 

 アーチャーが踵を返し消えてしまった。

 

「やれやれ……話のできん奴だ」

「では次は貴様が相手か?」

「あ……?ああ……そのくらいならいいが……いいや、また今度だ。今は他にやる事がある」

「だろうな。こうなった以上無理強いはせん」

「悪いな。戦争が止まればいくらでも相手してやるよ」

「協力は?」

「お前はそこから動けないだろう。死なないようにしてろ」

「……」

「じゃあな……ああ、一応コレ待ってろ」

「……?この奇怪なものは?」

「ただのペンダントだ。ちょっとした隠し刀になってる」

「隠すにしても小さ過ぎではないか?」

 

 投げ渡した十字架のペンダントに隠されたナイフを見ながら呆れる農民。

 

「世界最強の剣豪の所有物だ、適合するならお前に飛ぶ斬撃と覇気が与えられる」

「飛ぶ……?」

「ヒマなんだろ、色々試すと良い。じゃあな」

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