「ダメでしたね」
「ダメだろうね」
「全く、何故人はそこまで争うのでしょうか」
「戦争の最終兵器のセリフじゃないけどね」
「私の戦いは終わったので、私は争いません。よって彼らは愚かです」
「自分が終わってるから他も終われ思考、嫌いじゃないけどね。そーもいかないのよ」
私の部屋に戻って反省会。折角だしテキトーな和食作ってみた。折角の意味分かんないけど。
もう出歩くこともないだろうと慢心してお酒を煽る。お酒って飲み始めたらお酒以外飲みたくないじゃん。だから一本で足りるわけないんだよね。
「どうしましょう。あのダ女神はそうそう納得しませんよ」
「女神?」
「遠坂凛。彼女は知り合いと言っていましたが、当然のように覚えてないんですね」
「知らないよ。蟻の区別なんて付かないでしょ」
まぁ流石に、男女の区別くらい付くけど……いや私という例外がいて私を外から見た場合だとわからないと思うから付かないかも。
そんな私に分かりやすくため息をつき、呆れました、と言うえっちゃん。
「はぁ……まぁいいです。カルデアに彼女を依代にしたサーヴァントがいます。依代になるにはそれなりに条件があったりしますが、あの女神は性格が大体同じと聞いています。アーチャーのくせに」
「んで、どんな性格?」
「思い込んだら豪速球ドストレートすっぽ抜け」
「もうやだ。やめる。ロクな性格じゃなさそう」
ストレートすっぽ抜けって何よ。乱射式か?
図抜けたバカが仕事張り切るとどうなるか知らないのか?
「ダメです。やらないと次の転生も無いですよ」
「じゃあ死ぬ」
「死んでもこの世界をループします」
「くそう」
「あなたに逃げ道は無いので諦めて前向きに考えましょう。要は誰も殺さなければいいのですから……」
「うん」
「全ての戦闘に介入して全て無傷の引き分けにしましょう」
「酷く忙しくないかなぁソレ!」
「まぁ安心してください。この時間軸ですと以前もアニメの世界に転生していますよね?」
「それを言っちゃっていいのかな?」
「まぁまぁ。それで、物語には主人公が存在します」
「うん」
「あらゆる事象は大抵主人公を中心に発生する。心当たりがありますよね?」
「なのはかぁ……」
「おや、覚えているのですか」
「流石にあれだけ長くいればねぇ」
魔法少女リリカルなのは。私が前いた世界だ。
科学の発展としての魔法を使い様々な世界が同じ時空に存在しているちょっと意味のわからない世界。
確か10年くらいいたはずだけど、多分。その内で経験した大きな出来事は必ず高町なのはが絡んでいた。主人公というなら彼女だろうというのも納得できる。
「まぁそんな感じです。つまり、この世界、第5次聖杯戦争の主人公を監視できれば、ほぼ全ての戦闘が勝手に目の前で起こります」
「ん〜……なるほどね?ということは最後まで関わるわけだし、なるほどなるほど」
「ですがここは甘くなく、場合によってはすぐ死にます。スペ○ンカーです」
即死ゲーの代名詞なんだが。主人公じゃないの……?
「じゃあどうするの」
「まずルートを選択します」
「道……?ああ、世界線の話ね」
「はい。そのためにはやはり主人公とその周囲の観察と分析が必要です」
「で、主人公は誰なの?」
「先程の衛宮さんです」
「えっと……」
「セイバーのマスターです。絶妙にダサい服の男性です」
「んぁ、あの子か。ダサいって……」
「私も服装は分かりません。制服とバトルスーツくらいしか着ませんし。あ、私はスパッツ派ですので」
「うん……そう……」
「まさかウタネさんもブルマ派ですか?ならば早々に契約破棄という形になります。永遠に虚空を眺めてください」
「いや……私はどっちも履かない……足出すの嫌いなの」
ブルマとスパッツ……ってあれだよね。短パンみたいなのだよねたしかね。私年中ジャージとスキニー?ってのだし屋内外問わず足出さないな。というかそこまで異常なこだわりないしね。人の認識なんて顔と声くらいだよ。いちいち気にしない。
「……っと、取り乱しました。結局はループするので無駄ですね。さてさて、今日は多分教会に届け出て終わりでしょう。ウタネさんも飲み過ぎないように」
「んー、飲む?」
「いえ。糖分があればいいので。用意はありますか?」
「あるわけないでしょ。私普段何も食べないのに」
「……その『食べない』が甘味ではなく食物全般というのが恐ろしいですが。ならいいです。ソラ以外に強要するのも迷惑ですし。キッチンお借りしますよ」
「何か作るの?」
「甘めのポタージュでも作ろうかと」
「うんー、私にもくれると嬉しいなー」
「砂糖かなり入れますよ?ポタージュというよりジュースです」
「うーん、やめとこうかな」
私は普通に人間だし、あんまり食べても太りそう。
何とでもできるけどね。面倒だし。
「……それで、この常備菜とトンデモモンブラン以外の食材はどこに?」
「えっとね……そういえば無いかも」
常備菜は基本的に甘味料控えめ。きんぴらとかナムルとかだし、肉類もえっちゃんの好みには入らない。あくまで糖分。
そして私は常備菜に食の全てを託しているので他の食材は基本的に無い。
それを思い出して軽く謝る風に言うと、えっちゃんの目が決意を決める。
「……」
「えっと……ごめんね?」
「セイバーを殺してきます。次は用意しておいてください」
「待って待って!やだ!明日いっぱい買うから!」
セイバーを殺されるとロリコンの頼みを破棄することになる。そうなると当然この世界での物語は崩壊して、私はまたえっちゃんが出てきた時からループする。1日たりとも同じ日を過ごすのは嫌なのでそれだけは防がなければ。
「バーサーカーは要望に忠実なんです。今すぐ」
「コンビニ!高いけど買うから!ね!」
「分かりました。すぐ行きましょう」
すっ……と平常に戻るえっちゃん。コンビニコンビニと急かす態度が全面に出てきてるけど。
こういう時、ソラの能力が羨ましいな……いや、こういう時があるのが間違ってるんだけども。