聖杯戦争で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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第76話

「リン!?シロウ!?」

 

 ああ……あのキラキラしてるの遠坂凛か。絶対元の人間の人格無いけどなアレな。分かってたことだが。

 

「はぁ……カルデア。何のつもり?その人間のフリしてたならえっちゃんに乗ってあげて見逃してあげたのに……何のつもり?人間。ねぇ、人間」

「うるさいわよ!貴女が死ねば全てが元通り、私が居たのはこの瞬間の為!ヴィーナス筆頭ウタネ!貴女を殺して世界を正しい状態へ戻すわ!この世に同じ神は二柱も要らない!」

「ん……まぁ、あんなヘンな神は要らないよね……」

 

 セイバーも驚いてるじゃない……

 えっちゃんが再三言っていたのは、知り合いだったから。

 私達の関係する事で不要な事して欲しくなかったんだろう。何でカルデアから邪魔者が来るんだ?意味不明な要素が増えまくってるな。関係無いが。

 

「やめときなよ……私に勝てる?あなたの神秘は世界を超える?」

「既に答えは見えてるのよ!あなたは地球上の物なら全てに対応する!けれど宇宙はどうかしら!?」

 

 さっきまで長話してたのに急展開だな……

 マジェスティリバイブはそのへんに捨てられ、人間モドキはどっかにワープしてった。とりあえずイリヤスフィールを能力で保護しておく。

 

『打ち砕け、山脈震撼す明星の薪(アンガルタ・キガルシュ)!!』

 

 宇宙に繋がってるであろう謎空間から惑星であろう何かが飛んでくる。

 

「はー……コレあれだ、ギルガメッシュか……」

「何を呑気な!?このままでは貴女も!」

「んー、そうだねぇ……」

 

 確かにこの宝具に対抗するには地球の物質、性質では圧倒的に強度が足りない。

 例えこの世界で最も硬い物の硬度を大気圏ないし空気に与えてもコレは同じ惑星、ブチ抜いて来るか両方爆散するだろう。

 戦闘範囲内とするソラと、私がいる世界をとする私とではこういうパターンの違いで差が出る。

 

『気づいたようね!あなたがどれだけ地球の防御を固めても!地球とほぼ同じ質量の金星を防ぐことは不可能!着弾点の貴女は確実に死ぬわ!』

 

 しつりょーと来たか。シオンは半径までしか教えてくれなかったしな……

 

「確かにね……無理無理。けどカルデア。ソラを知ってるなら分かってるはずだよ。サーヴァントごときが私に勝てやしないって」

 

 なんかさっきも言った気がするなこれな……

 

『ふん!負け惜しみも大概にしなさい!貴女にはもう不可能なのよ!』

 

 勝ち誇った女の声。

 ふん、人間に憑依したって事は人間を必要としたって事。つまりは人間の延長でしかない。なら、滅びは必然。

 永遠であるなら、全て自分でのみ対応しなければならない。単独でそれら全てを凌駕しなければ、永遠に利用され続ける。そうならないためには……

 

「シオンがいる限り私は死なないと言ったけど……私がいる限り、シオンも不滅なんだよ」

『……?シオンはもう完全に死んだハズよ!』

「そーでも無いんだなこれが。予備の身体はちゃんと用意してある。私がスイッチを入れるだけ」

 

 バカだなぁ……一緒にバーサーカー倒しに行ったくせにね。

 

「オーバーザレボリューション!」

「っ!?急に何を……!」

「ゆ?金星ぶっ壊す準備。ま、セイバー、あなたが最後に見る景色だ、よく見てて。えーと、コブラ!ライダーシステム!レボリューション!」

 

 先にセイバーに見せたのと同じようにベルトを作り、ホンモノを再現する。

 

「てってってーてーてっててっててー!」

「!!!???」

「あーゆーれでぃ!?変身!」

 

 セイバーの驚いた顔を無視して演出を続ける。音出ないからね。もしかしたら出せるとは思うけども。

 

「ブラックホール!ブラックホール!ブラックホール!レボリューション!フハハハはっはっはっはっは!」

 

 周囲を暗黒にして姿を隠し、シオンのフェーズ3を模倣した装甲で着色をする。

 フェーズすりー、完了……やははは。

 でもあくまで擬態。こんなもの、これまでの私の能力に変わりはしない。

 

『何かと思えば……死んだシオンをなぞるだけ!貴女は進化どころか退化してるわね!』

「なぞる?そりゃあそうだよ。シオンは私なんだ。であれば当然、スイッチは簡単」

 

《プライム!エボリューション!》

 

『何で!?セイバーにベルト!?』

「スケール0のセイバーとスケール3のフェーズ3でペンデュラム召喚。破壊されたシオンを再び召喚……てね」

 

《マジェスティリバイブ!》《英霊召喚(サーヴァントシステム)

《レボリューション!》

 

 セイバーの腰に例のベルトが浮かび、例のアイテムをセイバーが挿入する。

 そして虚無顔のセイバー自身がそのままハンドルを回す。

 

《are you ready?》

 

 どこからともなく黒いパネルがセイバーの周囲を包み込み、圧縮されて消える。

 

《ブラックホール!》

《ブラックホール!!》

《ブラックホール!!!》

《レボリューション!!!》

 

 そして本物のフェーズ3が姿を現す。

 

《フハハハハハハハハッハッハッハ!!》

 

「やほー。シオン」

「……ん……おう。やれやれだ人間!粗相すると庇いきれんと藤村も言ってただろ人間!もうソラでも止められんぞ!なぁ人間!」

 

『シオン!?何で!?』

 

 セイバーはシオンの魂を喰らい生き延びた……つまりそれは、シオンの情報を得たことになる。

 それが達成された過去であれば、私はそれをシオンと断定する。他にシオン足りうる存在がない場合、それは世界わたしにとってシオンになる。

 

「金星程度でよく姉さんに勝ち誇れたモンだなぁ人間!」

 

《Ready! GO!!!》

 

 ギルガメッシュの太陽を消し飛ばした時同様、ブラックホールを纏いながら前回転蹴りを敢行する。

 

『ふざけないで……!ヴィーナスは私!貴方たちみたいなフザケたのを認められないわ!』

「ヴィーナス吹聴してたのはお前か?だがもはや関係ないな!」

 

 シオンのブラックホールのせいで……この宇宙から金星が消えた。

 

「あーあ……惑星消えちゃった……」

「姉さんが死ぬよりマシだ」

「そーかなー……」

「さて……人間!テメェの拠り所たる金星も消えた!諦めろ、何もかもが無……!な……!ん……!?」

「え……な……っ!?ちょっ……!」

 

 シオンの身体がみるみる内に膨張する。

 ブラックホールの副作用……じゃない。金星による影響でもない。

 

「ど……っ!?えっ……???」

 

 信じられない。

 シオンの能力じゃない。私をして影響してるわけでもない……

 

「まさか、あの金星に何か……」

『なワケないでしょ!?こちとらシオンの復活すら想定してなかったっつーの!』

「んまぁそうかぁ……」

 

 この肉塊どうしよ……

 

「……それ、は……聖杯、だ……」

「……っ、マジェスティ!?」

「セイバーが、死んだ……聖杯は、起動する……!」

「ふざけんな……ふざけんな!ここまで来て聖杯完成なんてさせるか!」

 

 マジェスティの言葉につい叫ぶ。

 シオンが肉塊になるとかどうでもいい!金星が爆散してもどうでもいい!

 私がまたこの戦争を繰り返す面倒だけはごめんだ!

 

「マジェスティ!どうにかならない!?アーチャー枠の貴方も死ねばどう!?」

「無理だ……アーチャーは死んでる……」

「く……そ……!」

 

 瀕死に近いマジェスティも無意味。

 

「仕方ない……私があの人間モドキを殺すしかないか」

 

 完全攻略の目算だったフェーズ3はシオンごと死んだ。もう予備は無い。

 私の能力では次の金星は防げない。私が死なずとも戦争は終結する。

 ループ回避の手段はひとつ。残る一騎となったカルデアの人間モドキを殺して聖杯が吸ってるサーヴァントの数を合わせる。

 何故かは知らないが器たるイリヤスフィールがヒト型のままだから間桐桜もどうせ人型のままなんでしょ。カンがそう言ってる。

 

『シオンを完全に失った貴女に私が倒せるの?1度目は防がれたけど……2発目はどうかしら?』

「自分で想定してて何だが2発目の金星ってなんなんだ」

 

 固有名詞の存在って基本ひとつだよね?

 

『NPチャージ100%よ!』

「……?」

 

 なんだこいつ……

 

『さぁ打ち砕け、山脈震撼す明星の薪(アンガルタ・キガルシュ)!!』

 

 意味不明に放たれた2発目。

 さて……どうするか。私が死なない事は簡単だ。

 だが……戦争を停滞させる事はできない。

 私の言葉では、金星の女神の目論見は防げない。

 

「はぁ……やだなぁ……」

 

 やだやだ……私なんだがね……私じゃない……んー、ヴィーナスってまさかそういうこと……?

 

「マジェスティ?なんか武器だして。刀剣の類ならなんでもいい」

「あ……?」

「死にたくないでしょ?私の鎌、ギルガメッシュに盗られちゃったから」

「ん……」

 

 マジェスティは私に一振りの刀を渡してくれた。

 ゴチャついた装飾いらない……なにこれ。

 

「ありがとう。これで、ヤツを消せる」

『そんなチンケな刀で何ができるのよ!』

「刀?別に何でもいいんだよ。先端が凸であるならね」

 

 先端が凸である時、世界は書き換えられる。証明開始。

 

『……!?』

「やはは……言葉は私が最上じゃない。当然、武力は最上じゃない。さて……名前なんてモノに拘った女神。キミはシオンに殺されるべきだった……それなら、この場でプライドを壊されても、カルデアに帰還できたのに……」

『……何を……』

「もうキミは存在できない。私の意志はヤツの意志。ヤツは貴女を消滅させる。あらゆる並行世界の歴史と事実と可能性とを書き換えて、貴女の存在を無かったモノにする……」

 

 自傷行為って……首切るくらいなら楽なんだ。私ならシオンが治してくれるし、それまで死なない事は簡単だから。

 でも左目は違う。

 私の左目は私が持つ唯一の私だ。

 それ以外……能力を見る右目も、手足も胴も、こんな事を考えてる脳も思考も……全部ヤツのもの。けどいいんだ。私はヤツで、ヤツは私で、私もシオンもヤツなんだ。

 

「サヨナラ世界。さようなら、人間モドキ」

 

 見開いた左目に刀の先端を突き入れる。

 生命としての根源的恐怖。細く、鋭いものが自身の視界を覆う。

 視界が消える。世界から有機物が消え、赤い無機物の世界が認識できる。

 更に突き入れ、脳にまで到達。

 無理だ。これ以上生きられない。命の終わり。生命の終着。

 私が恐れる最大地点。

 生命の積み重ねのジェンガ。その根本、1番下をほんの少し揺らすだけで崩れ去る。

 受け入れられない喪失感。2度と手にできないモノを失ったような絶対的な感覚。もう同じ場所には2度と戻れない……絶望。

 コレばっかりは……無理だ。

 

 ♢♢♢

 

【チャオ、金星の女神ヴィーナス。一般化されてるのはイシュタルか。ギルガメッシュさえ敗走したというのにまだ僕に逆らうなんてね】




これも全て仙水忍ってやつの仕業なんだ……
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