聖杯戦争で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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本当は不意の事故でXオルタが消えて衛宮士郎が聖杯完成を前に絶望してうずくまる所に人類の味方イシュタルが遠坂凛の人格で告白しながら衛宮士郎に殺されてハッピーエンドのつもりだった。
何故なのか……


デウスエクスマキナ

【チャオ。良い身分だねイシュタル。よくも僕を起こしてくれたものだ。シオンに消されていれば良かったのに】

『自分の目を……何のつもり……?』

【ソラ……はいないか。いれば流石にあんなのに僕が起こされやしないか……目も勿体無い】

 

 突き刺した刀を抜くと傷はまるで元から無かったまでに回復していた。

 

『でも無駄ね!自傷行為で見逃すほど私は甘くないわよ!』

【もう終わりだって言うのに。金星なんてこの世には存在しないんだ】

 

 緩やか過ぎるほどの速度で落下していた2発目の金星は即座に消失した。

 

『……!?な、何……!?今、何が……?ウタネ、貴女の能力でこんなことできるはずが……!』

【まだ僕をウタネだと思っているのか。ウタネとシオンの区別が付くなら僕もまた別だと認識できるだろうに】

『シオンの能力を模倣しただけだと思っていたけれど……シオンが死んだら同じ能力を使えるの!?』

【話が噛み合わないな……いくらうっかり娘と言えど……ああそうか。僕の言葉は聞き取れないのか】

「うん……よし、これだったかな、イシュタル?」

 

 数度咳払いをし、確かこれだった言語を話す。

 

『……!アナタ……誰……!?』

「うん。僕はフタガミウタネに決まっているだろう。僕が引っ張り出されたって事はもう終わりなんだ。ウタネの言う通りシオンに殺されていればまだ救いもあったのにね」

『また別の人格……!今度は何!?』

「何も無い。続きに決まっている。もうこの世界からイシュタルは消える」

 

 驚愕するイシュタルに冷静に未来を告げる。

 

『消える……!?私を倒せるつもり!?』

「倒す?言葉の意味が違ったかな?消すのさ。世界を楽譜に例えるなら、イシュタルという1音を消す。そして曲に違和感のないように他全てを調整する……楽譜を全く別に書き換える。世界は全く同じでありながら……イシュタルの存在も、それがもたらした影響も無い。全く別の世界になる」

 

 日本の中華料理は当然中国の影響を受けている。

 僕がするのは歴史や地図から中国を消す。

 それでも日本には中華料理が変わらずあり続ける。中国なんて存在しなかったのに、中国なんて存在しないのに、中国の名を語る料理がそのまま存在する。

 異常のないまま……全く別の世界に書き換える。

 

「存在が消える恐怖……ウタネの唯一最大の恐怖だ。死ねば終わり……なんて儚く、愚かなんだろうね」

『生命が愚か……!?ふざけてんじゃないわよ!』

「愚かだろう。死ぬと分かって次の生命を産み出す生命は。例えるなら熱した鉄板に氷の塔を積み上げ続ける事と同じ自転車操業。ウタネと同じ理論で否定してあげる。全て徒労だ」

『私を前に産みの行為を馬鹿にして!その氷が鉄板を冷やす時が来るでしょう!』

「それが現代だろう。飽和した氷が鉄板を錆びさせる。増えすぎた生命は鉄板たる地球を荒廃させていっている。君たちサーヴァントも同じだよ。いいや、人間よりは僕の感覚が理解しやすいか。僕は常温で凍る。僕はこの体が死んでも、この世界が滅びても、どこかに世界が存在し、その世界の根源が存在するのなら、僕はまたフタガミウタネとして存在する。サーヴァントだって、その体が消滅してもこの世界の座がある限り再び現界するだろう?それは死と言えるだろうか?それは違う。人間ならばそれは死だが、サーヴァントにとってみれば……退場、というのが適当か。再びリングに上がることも可能だ」

 

 激昂する女神も所詮は人の信仰から生まれたもの。

 信仰する人の思考の延長でしかない。そこに世界の記憶は無い。

 

『……』

「世界が存在する限りその根源は存在する。何かがある限りアカシックレコードは存在する。君はもうどの世界にも存在していなかったと僕が言うなら……君はもう、僕の記憶以外からいなくなる」

『何ですって……有り得ないわよ!』

「そうかな?なら君はさっきどう攻撃しようとしていたのかな?」

『私の宝具で星を撃ったわよ』

「どんな星を?」

『私は金星の女神。五つの属性を高水準で併せ持つ最高の金星を選ぶわ』

「ね。もう僕の記憶と異なっている」

『え……!?』

 

 もう既に僕は金星をこの世に存在しないものと言っている。

 金星という惑星、固有名詞は既に無く、アベレージワンに該当する全ての天体を総称する概念となってしまっている。

 とは言えそれでも、彼女は金星の女神だ。豊穣の女神とかいう曖昧模糊な概念の女神も神性に数えられるなら、彼女もまたそれに準ずる。

 上等な天体を司るとするのなら金星の女神は十分に神代に存在しうる神性だが、僕の記憶にある金星の女神とは大きく異なる。

 その女神の序列は僕の記憶以前以後と変わらないだろう。民衆も同様の信仰を注いだだろう。だが、対象の金星は大きく異なる。だが誰もそれに気付かない。それに至るヒントさえ無い。

 だから僕の存在は極めて薄くなる。僕の見る時間軸では確かな変革地点があるにも関わらず、僕以外の全てはそれを認識しない。認識されないのなら、その存在は無い。まぁいいんだがね。

 

「僕の記憶と時間軸では金星という固有名詞を持つ惑星が存在していた。だがそれをもう、僕と両儀以外は記憶どころか認識してさえいない。彼女が気付けばおおよそ僕の消滅後に僕の言葉を上から書き換えてくれるだろうね」

『ふざけ……っ!ふざけてんじゃないわよ!そんな惑星が存在するわけないでしょう!?神性をバカにしすぎよ!』

「シオンの能力……時間停止や、時間遡行。それらは実行した時点での動作は他人に認識できないが、それらがもたらした結果は認識される。ブラックホールやウタネの言葉も同様だ。破滅的であろうともその前後の結果は自他ともに認識される。僕の言葉はそれさえ無い。人間が二本足で歩くと思う?生命活動に必要な水は本当に無色透明な液体のものなのか?はは、それはもう僕しか知らない。君たちは本当に、正しい世界に存在しているのか?」

 

 君は本当にそんな顔をしていただろうか。本当にその名前だっただろうか。人間はそんな構造の生物だっただろうか。

 

「現実改変とはそういうことだ。君たちが存在する世界なんて、僕たちから見れば小説の1ページでしかない。いつでもどこでも何度でも、その世界を思うままに書き換える。だが誰もそれを認識できない。存在するかもしれないでしか語れない能力。それが僕」

『だから何!?あなたを殺すことに変わりは無いわ!』

【つまりこの世界はここで終わり。イシュタルなんて神性は存在しなくて、全てのサーヴァントは消滅し、聖杯は未完のまま完結する】

 

 いかな要因であれども全てのサーヴァントは消滅し、2つの聖杯の器は互いに8騎のサーヴァントを喰らい、互いに勝者とならず人の形を保ったまま。

 

【じゃあね。次は存分に学園生活が送れるといいね】




これまでご覧いただき、誠にありがとうございました。
結局特異点Fって何なんですかね。ブレイドのバトルファイトになってしまった。
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