聖杯戦争で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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第8話

「じゃあどうする……?今日は引いてくれる?」

「訳ないでしょ!セイバーを倒す好機、ここを逃すわけには……⁉︎」

 

 アーチャーと遠坂さんの追撃、という時に違和感。

 魔術の結界……ということらしいのがカンやアーチャー陣営の反応で分かる。

 

「っ……と!」

「シロウ⁉︎魔力を体に巡らせなさい!」

「……はぁ……っ!」

 

 ……抵抗力の無い人間を喰う簡単な仕組みの結界だ。

 なるほど、学校なら確かに活きの良い人間がわんさかいる。けどこの時間にってことは、私たちを認識しての発動か。

 

「凛、おそらく上だ」

「えぇ、行きましょう」

「まて遠坂!」

「黙りなさい!とりあえずあんたは諦めるからウタネに送ってもらうことね」

「……っ」

 

 ふぅ、と気を抜いている間にアーチャー陣営はどこかに行ってしまった。

 ……半ば一般人の衛宮のお守りを押し付けられたのか。

 まぁ仕方ない。マスターもサーヴァントも死んでないだけマシだ。えっちゃんと合流して帰ろう。

 

「離せ、俺は遠坂を追う!」

「無理だよ、さっき追われてたんでしょ。それで闘いにすらならないから逃げてたんだ」

 

 肩を貸そうと手を伸ばすと振り払われたので、多少脅す。

 

「っ……それは……」

「大丈夫、彼女もアーチャーも死なせない。今はあなたが1番死にやすいからこうしてる。さっさと帰ってセイバーといた方が良い」

「なら!令呪でセイバーを呼んで……」

「バカを言うな。3度の絶対命令権、もう無駄に1度使ってる。あなたの令呪が無ければ私たちが殺させないとは言え、セイバーの制御が出来なくなるんだよ。そうなると更に私が面倒を背負い込むことになる。だから今日は諦めて帰ること。じゃなきゃ私がセイバーの令呪とあなたの命を貰う」

「……っ、離せ、1人で歩ける」

「無理でしょ。この結界、割と強いよ」

 

 往生際の悪い、というか変に意地を張る……えっと……ん?誰だっけ?あれ、さっきまで名前呼んでた気がするんだけども……とりあえずセイバーのマスターの肩を無理矢理担ぎ外へ向かう。

 

「ウタネさん、何故彼らを?」

 

 校舎を出たところでえっちゃんが実体化して出てきた。

 今まで出てこなかったのはアーチャーとの戦闘にならないため、と言い訳しそうだけど絶対図書室か散歩だね。寝てたとか言うかも。だから聞かない。

 

「あの人たちなら死なないでしょ……あ、相手殺しちゃうかもなんだ」

「まぁそうです。まぁ、屋上はフェイクなので苛立ちながら帰ることになるでしょうが、お互いに無傷でしょう」

「じゃセーフだね。よし、帰ろ」

「待てって!」

「何?もうやることないよ」

「遠坂はどうするんだ⁉︎完全に俺を殺す気だぞ⁉︎」

 

 昨日は仲良く話していただろう学友に命を狙われることになったセイバーのマスターはかなり動揺している様子。

 どうするも何も殺さないのが目的だしほっとくしかないのに。

 ……まぁ、結界の対策を我先にと教えた時点で殺す気が無かったのは明白だけどな。

 

「だから家でセイバーといなさいって。えっちゃんも付けようか?」

「えっ」

「そういう問題じゃないだろ⁉︎学校はどうするんだ!」

「そんなもの休めば?お金いるんならいくらでもあげるし」

「……っ!そういえばお前もお前だ!ヴィーナスとか言ってたな。それは何だ⁉︎」

「おや。ヴィーナスのことも話したのですか」

 

 セイバーのマスターの言葉にえっちゃんが意外そうな顔を見せる。

 はぁ……面倒ごとが次から次へと……

 

「私が言ったんじゃないよ……アーチャーのマスターが……」

「ああ、そうでしょうね。あなたがわざわざ言うとは思えませんし。衛宮さん、とりあえず帰宅を優先していただいてよろしいですか?セイバーが近くにいた方があなたも安心できるでしょうし」

「あ、ああ」

「ありがとうございます。ではウタネさん、衛宮さんは私が担ぎます」

「うん」

「え⁉︎ちょっとまて!わざわざこんなことしなくても!」

「……?そんなに重くないですし、抱えた方が速いかと思いますが。背負った方が良いですか?」

「どっちも同じだ!人に見られたらどうすんだ!」

「さぁ。私は他人の視線など気にしないので。その辺りの一般倫理を私たちに期待しないでください。ウタネさんも分からないと思うので」

「期待じゃねぇ!何考えてんだ!」

「ん……ああ、すみません、そういうことでしたか。それならそうと言っていただければ」

 

 何かを察したのか、セイバーのマスターを地面に寝かせそのままマフラーと上着のボタンを外していくえっちゃん。

 

「ちょっ⁉︎待て待て待て!何してんだ!?」

「では私たちに協力していただけますか?」

 

 ボタンを外す手を止め、確認に入る。

 

「そうじゃない!女の子がそんな簡単にすることじゃないだろ!」

「そうですか。ではイエスかはいかオーケーというまで続けます。ウタネさん、周囲をお願いします」

「うん」

 

 周囲をと言われてももう外だから若干遅い気もするけど。

 ……まぁ、こういう物理的なのがすぐできるのが女の武器だしな。大丈夫だろ。

 

「……それでは衛宮邸へ帰宅します。ではウタネさん、お先に」

「えっ、待ってよー」

 

 ものの数秒。えっちゃんの微妙な表情を見るにシャツの半分くらいまでで止まったみたいだけれども。

 警戒を解くと衛宮さんをお姫様抱っこしたままえっちゃんが泥棒よろしく近くの家の屋根づたいに行ってしまった……私、家までの道覚えてないんだけれども。

 ……仕方ない。探すか。

 暗いし眠たいしえっちゃん消えちゃうし歩くの面倒だし。

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