これはDxDですか?〜いいえ、ゾンビです   作:絆蛙

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第三話 あー、修行らしいです

その日の夜、十日間の間に修行するということで何故か巻き込まれた俺は風呂に入っていた。

結局あの後、マシュマロは食べれなくなった・・・クソッ!お化け出てきたらどうするんだ!

 

「はぁ・・・」

 

思わずため息が出てきた。

なんか先輩の私有地に行くらしいんだが、一つ言わせて欲しい。

俺、ゾンビなんですけど。夜ならいいよ?嫌だけど良いよ?でもね、朝っておかしくない?たぶん、辿り着く前に俺が力尽きると思うんだ。

 

「ぶくぶく・・・」

 

体を沈め、鼻まで湯船に浸かる。

どちらにせよ、まだユーには言っていない。アーシアも修行のために呼ばれるらしいが、俺はユーと会えなくなるのが辛くてマジやばたん。

十日だぞ!十日!三日ですら辛いのに十日だぞ!やべーよ、ユーニウム足りなくなるよ!テレビ通話・・・なら行けるか?ユーの顔が見れるなら良いんだ。通話だけだとユーは声を出さないから話せないし。

でも出来るならずっと傍に居てあげたい。十日も開けてユーに何かあったらどうしてくれるんだ。

いっそのこと深夜に抜け出して帰ってくるか?どうせ朝は何も出来ないのが俺だ。太陽があるからなっ!

 

「ぶへぇ!?」

 

なんて考えていると、息が出来なくて慌てて顔を出す。

溺れかけた・・・。いや家の風呂で溺れるってなんですか!?

 

「まあ、いいや」

 

結局はユーに言わなきゃならないため、俺は立ち上がって湯船から出る。

そしてそのままドアを開け---

 

 

 

 

 

 

 

る前に、誰かが入ってきた。

 

「・・・ふぁい?」

 

「あっ・・・」

 

その瞬間、俺は思考停止した。

俺の目の前には金髪美女天使が全裸で立っていた。

キュッと引き締まった腰。細くもなく太くもない太もも。決して大きいとは言い切れないが、しっかりと出ている胸。

このラッキースケベ的な展開の中、俺は---

 

「きゃ、キャー!アーシアさんのエッチ!」

 

叫んだ。それはもう、大事な箇所を抑えながらお約束を叫んだ。

ってか反対じゃい!俺がラッキースケベするならともかくされる側ってどゆこと!?誰得!?誰得なの!?大丈夫?見られてない?見られてないはずっ!

というかやばいよ!流石にいつもユーで妄想したりしてるとはいえ、俺も男だっ!女の子の裸体を見るのは興奮を覚えてしまうっ!

 

「あー、えーとすぐ、出て行きますわ」

 

おねぇ口調になって言うと、アーシアも気づいたのか顔を真っ赤に染めた。

アァアアアアァアアア!このままじゃ、人を燃やしやがった癖に謝らなかったライダーフォックスマクラウド家焼き鳥野郎のやつと同じだよ!

なんて罪深いんだ・・・というか隠して!お願いだから隠して!見ようとしないように頑張って目を逸らしてるけど!

ええい、とりあえず出るぜ!ユーに幻滅されたら俺は生きれないッ!

 

「ま、待ってくださいっ」

 

そう思ってそそくさと出ようとすると、アーシアに腕を掴まれた。

ゾンビである俺からすれば簡単に解けるが、危ないので止まるしか出来ない。大事な箇所は必死に守ってる。

というか、光さんお仕事して!湯気さんでもいいからー!ほら、行けよファング!

 

「な、ナンデショウカ・・・」

 

カタコトになりつつ、光と湯気に期待してチラッと見て一瞬で逸らす。

バッキャロー!どこ隠してんだ!シャンプーのメーカーなんて隠さなくていいから!何処を全力で隠してんの!?部位を隠してよ!俺のはいいからアーシアのを隠して!無修正版とかBlu-ray特典でしか見れないからね!?こういう展開があるアニメだって隠してるんだからこっちも隠して!

 

「だ、大丈夫です。その・・・わ、私は一緒にお風呂に入っても・・・」

 

すみません。私が無理です。

 

「み、皆さんからお聞きしました。日本でのお風呂は、は、裸のお付き合いがあると・・・お風呂で交流を深めることでお互いを知り合うと・・・」

 

ちがーう!誰だ、我が家の天使を汚そうとしている(やから)は!?アァン!?一誠か!?一誠なのか!?300%でぶっとば・・・って今俺が穢しているのでは?前は隠してるけど後ろは隠せてないもん!いや、後ろぐらいなら別に良いはず・・・いい・・・のか?

 

「わ、私・・・もっとアユムさんと深め合いたいんですっ!た、大切な関係になりたい人と深めるべきだと・・・言われましたから。だから、私と裸のお付き合いをしてくださりませんか・・・?」

 

俺が途中から疑問を浮かべていると、背中に柔らかい感触が!

理性が!理性が死ぬぅ!ドキドキノコさんヘルプー!俺のドキドキノコさんがおっきくなっちゃう!はっ!?健全じゃなくなっちゃうそんな下ネタ言っちゃダメじゃん!

て、手を出さない言ったのにこれは不味い・・・こうなれば秘策---100%ッ!

 

「ぐふぉ!?」

 

俺は欲に打ち勝つために自身の顔面にビンタをし、思い切り吹き飛んで壁に前を隠す感じで倒れた。

痛いです。

 

「あ、アユムさん!?」

 

「だ、大丈夫!」

 

慌てて近づこうとしてくるような気配を感じて声を出す。

 

「あ、アーシア・・・一応言っとくと、間違っちゃいない。でもさ、同性同士の話であって異性は別なんだ・・・。それとそういうのは本当に大切な人とやるべきだよ。うん」

 

ふんぬ!ふんぬー!と言った感じで芋虫みたいな移動をする俺。

流石に自身の大事な箇所を100%で殴れるほどの勇気はなかったので、見せないように頑張ってドアの前まで移動した。

今立ち上がりながら移動出来ないからな・・・。

 

「そ、そうなんですか?ですけど私・・・アユムさんとなら・・・」

 

俺が必死に移動して無事に辿り着いたことに息をついて居ると、アーシアがごにょごにょと何かを言っていたけど最初の部分しか聞き取れなかった。

 

「そうそう。だから一人で入ってね」

 

「わ、分かりました」

 

返事を聞くと、俺はお風呂から出て脱衣所で体を拭いて服を着る。

その時、一瞬とはいえアーシアの下着が---

 

「くたばれっ!」

 

全力で地面に頭を叩きつけた。血が出てきたが、気にせずに出ていく。

くそう、このままだと変態と変わらないじゃないか・・・おのれ湯気さんと光め。無修正版とかどういうことだよ!

履いてもない下着程度ではユーのも洗ってたから興奮しないが!流石に申し訳ない気持ちはあるし我ながらよく頑張ったと思う。アーシアは俺の理性が飛んで襲ったらどうする気だったんだ?

 

ドライヤーでそんなことを思いながら髪の毛をぱぱっと乾かすと、風呂でのことは頭を振って考えないようにする。

そして引き戸を開けると、いつもと変わらないプレートアーマーにガントレット。人形のように美しい銀色の長髪と青い瞳をこちらに向けてくるユーが居た。

そんな彼女は、俺にメモを見せてくる。

 

『エッチ』→『お兄ちゃんラッキースケベられるなんてダメだよ。ユー、ちょっと悲しいな・・・』

 

たった三文字。

俺の中のユーですら悲しんでるため、俺は心にダメージを受けた。

 

「見てた?」

 

『何かあったのかと思ったから』→『お兄ちゃんに何かあったんじゃないかって心配だったんだ』

 

「・・・ごめんなさいッ!」

 

俺は素直にジャンピングDO☆GE☆ZA☆を披露した---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーシアが戻ってきた時には再びDO☆GE☆ZA☆をすることによって謝って一件落着した。

どうやら咄嗟の判断が功を奏したのかアーシアは見てなかったらしい。もしかしたら実は見ちゃった可能性もあるが、その時は是非とも忘れて欲しいものだ。トラウマになったら大変だし。

そして今は、本題に入っている。

 

「ということで、俺とアーシアは十日くらい帰って来れなくなるんだが、大丈夫か?ご飯は用意しておくけど」

 

『問題ない』

 

「そっか・・・じゃあ、はい。これとこれを---」

 

平気そうな彼女を見て少しの安心と心配はあるが、俺は携帯を渡してビデオ通話のやり方を教える。

それから防犯ブザーに何かあった時に心配だからメール打つように念を押しておいて、ドキドキノコさんにユーを守るように言っておく。

 

『アユム 過保護』→『そんな心配しなくとも、大丈夫だよ。ユー、良い子にしてるから』

 

俺の中のユーも大丈夫だと言ってくるが、世の中は危険なのだ。変態がうじゃうじゃいるんだから仕方がないよね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ァァア゛ア゛ア゛し、死ぬ・・・」

 

ユーの十日間くらいの飯を用意し終えた俺は、山登りをしていた。

俺を殺さんと輝き続ける太陽に照らされながら、背中にある尋常に大きなリュックサックで必死に太陽を隠す。

ちなみに小猫ちゃんの巨大なリュックサックを俺が代わりに背負っている。

 

「ほら、イッセー。早くしなさい」

 

先輩が俺の後ろにいる一誠に(げき)を飛ばす。

つーか、なんで俺より遅いの?太陽にやられかけてる俺より遅いってどういうことだよ!

 

「神谷くん、平気かい?」

 

「なんで・・・お前らっ・・・平気、なんだよっ?」

 

荷物はゾンビパワーがあるので軽いのだが、如何せん太陽がキツい。

悪魔も太陽には弱いらしいのだが、平気そうなイケメンにイラついてきた。

 

「慣れたからかな」

 

「一発殴らせろ」

 

こっちとらゾンビ歴かなりあるのに慣れるなんてこと出来ないんだよ!こんちくしょうっ!

 

そんなこんなで、心配そうに見てくるアーシアを他所に俺は太陽から身を守りつつ必死に目的地である別荘に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

木造の別荘は、グレモリー家の所有物であるらしい。

普段は魔力で風景に隠れ、人前には現れない仕組みだそうで今日は使用するらしいので姿を現している。

中に入ると、木造特有の木の香りが鼻に入り込んだ。

リビングに荷物を置き、水を一杯飲んだら俺は倒れ込んでしまった。

女性陣は動きやすい服装に着替えるため、二階へ向かった。

 

「僕も着替えてくるから、覗かないでね」

 

「覗かねぇよ!殴るぞ、この野郎ッ!」

 

木場が青色のジャージを持って一階の浴室へ向かったが、ふざけたことを冗談っぽく言ってきて疲れから余裕のない俺は殺意を込めて睨んだ。

アユムの奴も何か言ってやって欲しいもんだ。・・・ってか、アユムは?

 

「ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛・・・」

 

気になって見てみると、テーブルに頭を隠して尻を突き出す感じで白目になってるし、カサカサになってるしでガチで死にかけていた。

 

「・・・頭隠して尻隠さず」

 

ふと浮かんできた言葉が頭に浮かんで思わず呟いてしまう。

しかしアユムから返ってくる言葉はおじいちゃんみたいな死にかけた声だ。

コイツ、太陽に弱いもんな。いつもはこんな風になる癖にアユムはあの時、ライザーの眷属から俺を守るために庇って、無傷で相手を無力化して。俺はアユムよりも圧倒的に・・・いや、だから修行するんだ!この合宿で必ず強くなってやる!それにここに着くのも俺が一番遅かったしな・・・。

 

一休みした後、体力が少し戻った俺は空いてる部屋で着替え出した。

俺が着替え終わる頃には、移動させられたのかソファーに寝かされているアユムを除いて集まっていた。

アユムはカサカサだった肌が元に戻っており、見てみるとアーシアがゆっくりと水を飲ませているらしい。

・・・流石に羨ましい。でもこれでアーシアの好意に全く気づいてないんだから凄いよな。

い、いや俺だって部長のおっぱいを見たことあるし!別にいいさ!

 

俺が美少女に水を飲まされるという元浜と松田が見たら殺しに行きそうな様子を見て少しの嫉妬を抱いていると、赤いジャージを着た部長が俺を視界に捉えて笑みを浮かべた。

 

「さて、さっそく外で修行開始よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

今はまだ太陽がある頃なので、アーシアのお陰で水分も取れて復活した俺は先輩に許可を貰って荷物とビーチパラソルを手に歩いていた。

一誠たちは修行しているらしいが、俺には関係ないし。・・・まあ、夜に組手して欲しいと言われてるからそれくらいかな。めんどくさい。

俺は俺でたまにやりたいなーと思ってたことがあったので、太陽をビーチパラソルの中から睨みつつある場所に向かっていた。

 

「えーと。あったあった」

 

その場所とは川。

無事に辿り着くと、水を見つめる。

流れている水は汚れなど感じさせないほど綺麗であり、山の中なだけあって自然そのものだ。人工的なものなど全く感じさせず、俺はビーチパラソルを地面に突き刺した。

その次にテントを貼り、シートをビーチパラソルの下に引いてそこへ座り込む。

 

「どうだ!これで夏ではない貴様では私を倒すことは出来まいっ!」

 

ビーチパラソルの下で高笑いする俺氏。

虚しくなってきたので辞めると、早速川をゾンビアイで観察してみれば魚がたくさんいる。

なので、荷物から釣竿を取り出した。

---そう、俺のやりたいことは魚釣りだ。普段はキノコ狩りに出掛けるものだが、こうも自然豊かな場所だと別のことがしたくなるしキノコは夜でも良いからな。

魚は鮮度というものがあるので、釣っても昼飯にちょうどいいだろう。

 

「ヨホホイ!」

 

何だかテンションが上がってきたので、リールを真上に向け、竿の付け根を軽く握る。

そのまま後ろに振りかぶって、テンビンが頭上を通過するあたりで糸を押さえている指を離して飛ばす---基本な投げ方であるオーバースローだ。

 

「んー」

 

早くかからないかなーとワクワクして待っていると、少ししてから釣竿が動き、何かが掛かった気配を感じ取った。

すぐに気づくと、とてつもない暴れっぷりに竿が持っていかれそうになり、必死にビーチパラソルの中で引っ張りつつリールを回す。

 

「ろ、60%・・・ッ!」

 

あと少しだと分かると、俺は力を解放して一気に引き上げた。

釣った魚は何らかのアイテムを落として離れていき、そのアイテムは空の大樽に入ったようだ。

ここでは見れないため、仕方がなくビーチパラソルの中から出ていって大樽を覗いてみる。

ちょちょいと調合するように混ぜると---

 

「あっ!?」

 

その瞬間。足が思わず当たり、大樽は大爆発を起こした。

間近くにいた俺は凄まじい威力と爆風で打ち上げられ、思い切り川に落下する。

そして思い返した。遠目だったが、あの魚は間違いなく---ドスバクヤクデメキンだったなって。

ドスバクヤクデメキン---大バクヤクウロコというものと大樽を調合することによって作れるものが大樽爆弾グレートなのだが、作っちゃったんだろう。

 

「げほっげほっ、あー苦しっ」

 

咳き込みながら何処も肉体のパーツが外れてないことに安心した俺は川から出てきて、再びビーチパラソルの下でリベンジマッチ。

大樽はもうないから作ることは無いだろう。というか、レア中のレアをよく釣れたなって自分でも思ったぜ。

 

「うおっ!?」

 

そんなことを考えて体感で数分が経つと、ヒットした感覚に一度体が持っていかれた。

慌てて足に力を入れるが、太陽に照らされて暑いので一気に引き上げる。

 

「よっ---シーギャアアァアアァァアァア!?」

 

引き上げた魚は見事に頭に突き刺さり、(ふん)が刺さったのだと理解する。

思わぬ痛みにのたうち回る俺だが、すぐに頭に突き刺さってる存在を引き抜いて地面に叩きつけた。

そして仇を見るような瞳で睨みつけてみると---カジキマグロだった。

 

「お、おおう・・・」

 

もしかしたら向いてるのかもしれないな、と思いつつポイッと雑に放り投げて入れておく。

それから何度か釣りをしていると---大食いマグロ、サシミウオ、アブラフグと言った感じで釣れた。ついでに短剣サイズの小さいカジキマグロが頭に突き刺さった---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、来い!」

 

昼飯は魚と先輩が狩ってきたらしい猪を調理して貰い、夜となった今はイケメンと対峙していた。

イケメンは木の剣を両手で持つことで構えており、対する俺は---

 

「・・・なんでそれなのかな?」

 

「ふっ、なに。これが俺の武器なんでね、早くやろう」

 

カジキマグロを構えていた。

そう、カジキマグロを構えていたッ!

コイツは最初に完全に釣り上げた時に俺の頭を突き刺してきやがった奴だ。

最後の最後で突き刺してきやがった小型のカジキマグロは小猫ちゃんに引き抜いてもらった後、俺はアーシアに傷を治療して貰った。

それで小さい方か大きい方のどちらか悩んだ結果、大きい方のカジキマグロを調理する前に隠し、凍らせることによって武器にしたのである。

 

「そうだね。じゃあ行かせてもらうよ!」

 

凄まじい速度で迫ってくるイケメンは、正面から振り下ろしてきた。

俺は一歩だけ下がることで避け、カジキマグロの()()をしっかりと握ってスイングする。

 

「ッ!?」

 

しかし悲しいことに避けられた俺はカジキマグロの重りに耐えれず回転してしまい、グルグルと回る。

 

「こ、これはッ!?」

 

「ウワアァアアアア!」

 

ウンメイノー!と何かが頭の中に流れ、目が回るのを助けて欲しいと思いながらぐるぐると回転し続けていた。

その時に何かが弾かれるような音がし、足を踏ん張ってなんとか止まるとイケメンが距離を離していた。

だが何故か息をついている。

 

「・・・凄いね」

 

あぁ、凄かった・・・重すぎて目が回るほどにッ!ゾンビパワーがなかったら多分俺が吹っ飛ばされてたぞ、これ!100%でこれとかどうなってんだよ!重いわっ!

 

「終わるか?」

 

「いや、もう少し付き合って貰おうかな!」

 

「な、なんのー!」

 

この後、めっちゃ頑張った。

あらゆる箇所から責めてくるイケメンにひたすら受けに回ることばかりしてたぜ。カジキマグロさん、パネーっす。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・よろしくお願いします」

 

「はいよー」

 

二戦目、ちょっと休憩してカジキマグロパイセンを飾った俺は小猫ちゃんと向かい合っていた。

今度は小猫ちゃんで、徒手空拳(としゅくうけん)で戦っているらしい。

俺も同じなのでやりやすいのだが、女の子相手なので力はそんなに出したくない気持ちも---

 

「ガナザクッ!?」

 

そんな気持ちは一瞬で消え去り、小猫ちゃんの拳を力を引き出すことをせず両腕で受けた俺は木に叩きつけられた。

え?力強っ!?

 

「まだまだ行きます・・・!」

 

「ひゃ、100%ッ!」

 

左腕が折れているのか動かないので慌てて力を引き出すと、小猫ちゃんの正拳突きを避けて手首を掴む。

そしてひょいっと小猫ちゃんを転ばせた。

簡単に言えば、相手の手を捕らえることで逆に手首の関節をねじって倒す技---小手返しってやつ。

俺のは未完成だし我流だから力の引き出しを利用したゴリ押しで回転させただけなんだけど。

あっ、左腕の再生終わった。それに小猫ちゃん軽いね。

 

「大丈夫?」

 

左腕が動くか振りながら聞いてみる。

小猫ちゃんは目をぱちぱちと瞬きすると、即座に起き上がっていた。

 

「・・・もう一度、お願いします」

 

「あー・・・はい」

 

何だか火がついたのか小猫ちゃんがやる気を見せたので遠い目を一瞬した俺は相手することに。

---彼女の相手、イケメンよりもしんどいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ということで何度か小猫ちゃんに骨を折られたが、三回戦目に移行した。

三回戦目は一誠なのだが、一誠はぶーすとって鳴るやつを使わないらしい。

 

「よ、よし・・・行くぞ!」

 

「うい」

 

声を出した一誠が走ってくるのだが、どうしよう。

イケメンと小猫ちゃんに比べて遅すぎるんですけど!

 

「150%」

 

「ぬがあああああ!?」

 

とりあえず殴りかかってきたので拳を突き出すと、一誠が物凄い速度で吹っ飛んだ。

 

「よわっ!?」

 

申し訳ないが、思わずそう言った俺は悪くないと思う。

まぁ、他の種族からしたら俺のゾンビの特性こそがセイクリッドなんたらってやつだもんね。

 

「こ、小猫ちゃんと同じこと言うじゃねぇ!」

 

あっ、言われたんだ。

 

「・・・どんまい」

 

「だああああ!絶対ぶっ飛ばしてやるッ!!」

 

憐れみの視線を向けると、一誠が突撃してきたので容赦なく蹴り飛ばした。

え?一誠だけ当たり強いって?小猫ちゃんは女の子だしイケメンの時は俺がカジキマグロ持ちながら戦ってたからな。せめて武器持ってればカジキマグロパイセンで戦ってたのに何も持たない方が悪い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

別荘に戻ると、今日一日の修行を終えた俺たちはアユムや朱乃さん、アーシアが作った夕食を頂いていた。

肉料理は牡丹肉(ぼうたんにく)---つまりイノシシの肉で昼の余り。魚料理はアユムがまた新しく釣ってきたものなんだが、昼に頭に突き刺したまま帰ってきた時は驚いたな。服も何故かボロボロだったし・・・そういえば俺たちが修行してる時に何か爆発音が聞こえたけどなんだったのだろうか?

まぁ、いいか。それよりも美味い。アユムのやつ、魚捌けたのか。

他にも俺のある特訓で作っているじゃがいもやら人参、玉ねぎを利用した料理もあって色とりどりのモノがある。

 

「あらあら。おかわりもありますから、たくさん食べてくださいね」

 

なによりも、ご飯を盛ってくれたのは朱乃さん。手料理だけで最高なのに!

アユムのやつは・・・うん、悔しいが美味い。料理の腕は朱乃さん以上かもしれない。

女性陣が僅かながらショックを受けてるのにも関わらず、アユムのやつはキノコを食ってるけど。

でも今日の練習はみんな疲れたのか箸が止まらずに進んでいた。

小猫ちゃんが静かに豪快にパクパク食べているが、放っておこう。

 

「あ、あのスープ、いかがですか・・・?」

 

「ん?あぁ、アーシアが作ってたね。いただきます」

 

視線を変えてみれば、自分も一緒に作った割には一切料理に手を付けてないアユムにアーシアがそう言っていた。

言われて思い出したのか、アユムはアーシアの作ったオニオンのスープを飲んで頷く。

 

「うん、美味いわ。良いお嫁さんになれるんじゃないかな」

 

「ほ、本当ですか?えへへ」

 

アユムの言葉に照れくさそうに笑うアーシア---可愛いんだけどマジで鈍感かッ!?アユムのやつおかしいだろ!気づいてやれよ!お前の事だよ!

 

「あー席外しますね」

 

「あっ、お手伝いします!」

 

「いやいや、アーシアは食っといて。俺は昼飯ずっと食ってたし」

 

すると突如アユムは立ち上がり、アーシアを気遣ってか申し出を断ると皿を大量に持っていった。

多分多いから先に洗っておこうという魂胆なのかもしれない。

 

「ちょうどいいわね。一誠、今日一日修行してみてどうだったかしら?」

 

アユムが居なくなると、お茶を一度飲んだ部長が聞いてきた。

 

「俺が一番弱かったです」

 

「それは確実ね。朱乃、小猫、祐斗はゲームの経験はなくとも実践経験は豊富だから感じを掴めば戦えるでしょう。イッセーは実践経験が皆無に等しいけど、あなたの赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)は驚異で無視出来ないわ。だから敵と遭遇した時に逃げるか、もしくは味方が到着するまで耐え忍ぶ位の力はこの合宿中に付けて欲しいの」

 

「な、なるほど・・・了解ッス」

 

正面から言われて結構心に来ていたが、確かにライザーの眷属相手にすら俺は負けそうに・・・いや、アユムが居なかったら間違いなく負けていた。

部長の言う通り、耐えるくらいの力は必要だな。

 

「ところで、小猫と裕斗は神谷くんと戦ってみてどうだった?」

 

話すことを話したからか、話題がアユムのことに変わる。

俺は一方的にやられてた記憶しか・・・というか今回の合宿では今のところそれしかないな。アーシアは神器(セイクリッド・ギア)の修行だし。

本当はアユムと居させるためという部長の計らいでもあったけど。

 

「彼、神谷くんは強かったです。僕の剣がまるで歯が立ちそうにありませんでした。まさか魚で対抗してくるとは・・・」

 

「・・・私は気がつくと転ばされていて、攻撃もあっさりと逸らされました」

 

あの二人がそこまで言うほどなのか・・・というか魚ってなんだ!?え?アイツ、木場の剣に大して魚で対抗したのか!?

小猫ちゃんが転ばされていたってのも驚きなんだが、一番の驚きは魚だ!

 

「えっ?魚?」

 

「はい、カジキマグロの上顎を持ちながらバットのように・・・」

 

「あらあら・・・」

 

木場の話を聞いてこめかみを抑える部長と、何処か困ったような呆れたように笑う朱乃さん。

部長、気持ちは物凄く分かります。

 

「え?なんか呼びました?」

 

「い、いえ。なんでもないわ」

 

「そうですか」

 

聞こえてはいなかったのか、アユムは手を拭きながら戻ってきていた。

見れば空になっていた皿は全部なくなっていて、さっきよりもテーブルが広く見える。

 

「さて、食事を終えたらお風呂に入りましょうか。此処は露天風呂だから気持ちがいいのよ」

 

その瞬間、俺の思考は一瞬で塗り替えられた!

露天風呂だと!?露天風呂だと言えば、当然覗き!そ、それに混浴の可能性も・・・。

 

「イッセーくん。僕は覗かないよ」

 

「あっ、俺もな」

 

「ば、バッカ!お前らなっ!」

 

木場がニコニコスマイルで、アユムがカジキマグロを研ぎながら先制パンチしてくる。

ってか、なにやってんだよ!それは剣じゃないだろ!

 

「あら、イッセー。私たちの入浴を覗きたいの?だったら一緒に入る?私は構わないわ」

 

なっ!

部長の言葉に衝撃が走る!部長は毎回なんて感動する日本語を使ってくれるんだ!

 

「朱乃はどう?」

 

「うふふ。一度殿方の背中を流してみたいですわね」

 

朱乃さんが満面の笑みで肯定する。

い、いいんですかッ!?どんだけオープンなんだ。この部活の女子は!

 

「アーシアと小猫はどうかしら?」

 

「嫌です」

 

アーシアが困ったような様子をするが、先に小猫ちゃんが両手でバッテン印を作る。

拒否られたぁ!?いや、これが普通の反応なのか!感覚麻痺してた!

 

「じゃあ、神谷くんなら?」

 

「え?いやいや、俺は入りませんよ!?」

 

「わ、私はアユムさんなら・・・」

 

顔を真っ赤にして俯くアーシア。

アユムの言葉は無視されたのか、部長の視線が小猫ちゃんに移る。

 

「・・・ダメです」

 

「じゃ、神谷くんもイッセーと同じでなしね」

 

空白があったが、アユムも小猫ちゃんに拒否られていた。

そして部長の言葉に対し、アユムは頷きながら---

 

「それが普通ですしね」

 

正論を言っていた!

ぐっ・・・まあ、覗くくらいならせめて・・・。

 

「覗いたら恨みます」

 

「イケメン、君に決めた!」

 

「任されたよ。イッセーくん。僕たちと裸の付き合いをしよう。背中は流すよ?」

 

「うっせぇぇぇッ!マジで殺すぞ、木場ぁぁぁ!」

 

俺の怒りの慟哭(どうこく)が別荘に響き渡った---。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






なんか大食いマグロ食わすつもりが、いつの間にかレイトウマグロを手に戦うやべーやつになっていた・・・!
そして100%引き出している神谷くんですら重くて引っ張られるレベルなのに軽々と持つ狩人(ハンター)はやべーやつ、はっきりわかんだね。
ちなみにさらっと調合A付け足しました(ぼそっ)まぁ、作者は実はモンハン4Gで知識止まってるんですけどね!

ヒロイン数

  • ユーとアーシアのみ
  • うるせぇ!増やすんだよあくしろよ
  • 投稿日数増やせ、ハゲ
  • 戦闘シーンはやく♡
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