二日目、悪魔たちのことを教えられた。
俺は関係ないのに!
えー最高位が『
悪魔が『魔王』。
堕天使の
で、なんだっけ?まあいいや。後はアーシアの授業で、聖水やら聖書のことを教えられた。ついでに
そんなこんなで、アーシアのだけは必死に頑張って起きた後に即座に寝落ちしたりしたが、修行から一週間は経っていた。
その間にもユーとテレビ通話で少し会話したりもして癒されたりしている。
「・・・あー、くそっ!」
「ん?」
俺が暇なのでカジキマグロパイセンの手入れをしていると、一誠の声が聞こえた。因みに俺と一誠、イケメンは同じ部屋だ。
「あ、おい---」
俺がどうかしたのかと聞く前に、一誠はのろのろと起き上がって部屋を出ていった。
まったく、面倒はかけさせないで貰いたいね。
「お留守番おなしゃす」
カジキマグロパイセンをそっと飾り、頷いたように---見えたのはきっと気のせいだとして俺は一誠の後を追った。
匍匐前進でなっ!
◆◆
「あら?起きたの?」
自分がどれだけ矮小な存在か突きつけられていた俺はたまらなくなって起き上がり、台所で一杯水を飲んでいた。
するとリビングから部長の声が聞こえ、見てみるとテーブルのところに部長が座っている。
「あ、はい。少し寝付けなくって・・・」
「そう。なら少しお話しましょうか」
ティーライトキャンドルがテーブルの上で淡い
つまり雰囲気的なものなのだろう。
俺はテーブルを挟み、部長の対面に腰をおろした。
赤いネグリジェ姿の部長は紅の髪を一本に束ねてメガネを掛けている。
「あれ?部長ってメガネをつけてましたっけ?」
「あ、これは気分的なものよ。考え事をしている時にメガネをしていると頭が回るの」
部長がくすくすと笑うが、ネグリジェ姿でメガネを付けている部長も良いなぁ・・・と俺は思っていた。
その時、テーブルの上に地図らしきものとフォーメーションなどが書き込まれている紙が置かれているのが見える。
部長は戦術が書かれているノートを閉じた。
「・・・正直、気休め程度にしかならないのよね」
「どうしてですか?」
ため息まじりに言う部長に対し、俺は純粋な疑問をぶつける。
「相手が他の上級悪魔なら、これを読んでいたら戦いは出来るんだけどね。問題はライザー本人---いいえ、フェニックスが相手なのが一番の問題なの」
俺の疑問に答えてくれた部長は一冊の書物を取り出してテーブルの上へ置いた。
部長が開かれているページを指をさすと、そこには雄々しく炎の翼を広げる火の鳥が描かれていた。
「その昔、フェニックスは命を司りし聖獣として人々に崇められていた。涙はいかなる傷をも癒し、その身を宿る血を飲めば不老不死になれると人間界の国々に伝説を残すほどにね」
そこまで詳しいって訳じゃないが、俺も名前くらいは聞いたことがある。
「『七十二柱』にも数えられた悪魔側のフェニックスのことを人間たちは聖獣フェニックスと区別するために『フェネクス』と呼ぶようだけれど、ライザーの一族は聖獣フェニックスと能力的にほとんど一緒---つまり不死身なの」
「ふ、不死身って無敵じゃないですか!そんなのありですか!?」
「そうね。ほとんど無敵。攻撃してもすぐに再生するしライザーの戦績は八勝二敗。ただしそのうちの二敗は懇意にしている家系への配慮でわざと負けただけ」
それを聞いた俺は絶句していた。
だって、わざと負けた試合以外では無敗ってことじゃねぇか!
「フェニックス家というのはレーティングゲームが流行るようになって急激に台頭してきた成り上がりみたいなもの。当然よね、不死身なら絶対に負けないんだもの。お父さまたちは最初から仕組んでいたんだわ。チェスで言うところのスウィンドルね」
不死身なら、いくらやられても復活できる。フェニックスと違って他の悪魔の力には限度があるだろうから疲れたところを一気に突かれることもあるのか・・・。まさか、部長の言う通り最初から筋書きアリのインチキ八百長試合じゃないよな?
俺が陰鬱な顔をしていたことに気づいたのか、部長は苦笑する。
「もちろん、ライザーを倒せないこともないのよ?」
「マジっすか!?」
俺が部長の言葉に食いつくと、部長は頷く。
「ええ。倒す方法は二つあって圧倒的な力で押し通すか、起き上がられる度に何度も倒して相手の精神を潰すかね。前者は神クラスの一撃が必要だから私たちは無理でしょうけど、後者は体は不死身でも心、精神までは不死身じゃないから倒すたびに疲弊する」
つまり、俺たちに出来るのは相手が精神的にツラいんでカンベンして下さいとなるレベルまで倒し続けなきゃならないのか・・・。
初陣でそこまで出来るのかな。いや、やらないといけないんだけど。
・・・そうだ。そういえば、部長は---
「部長はどうしてライザーのことを嫌っている・・・というか、今回の縁談を拒否しているんですか?」
ずっと疑問に思っていたこと。訊くタイミングがなくて言えなかったけど、今ならちょうどいいだろう。確かにライザーは女たらしで最低そうだけど、お家事情を考えるなら断れるものじゃない。
そんな俺の問いに部長は嘆息する。
「私はグレモリー家の娘。何処に行ってもリアスで悪魔でもリアス。常にグレモリー家の名が付き纏ってしまう」
「嫌なんですか?」
「まさか。誇りに感じているわ。けれど私個人を殺しているものでもある。誰しも私のことはグレモリーのリアスと見るからリアス個人として認識して貰えない。人間界では悪魔だということは知らないから皆私を私として見てくれるし私も充実出来る。でも悪魔の社会ではそれを感じることは出来ないの」
部長が遠い目をしている。その瞳に寂しさを乗せているように感じた。
正直、俺には想像もつかない世界だ。いや、きっとほとんどがそうだろう。俺は兵藤一誠で何処に行っても俺は『兵藤一誠』。
そんな風に個人として認識されている俺とは違って、部長はグレモリー家の看板を背負って生きてきた。
「私は添い遂げる相手くらいはグレモリー家の娘ではなく、リアスとして私を愛してくれる人と一緒になりたいの。ライザーは私のことをグレモリーのリアスとして見て愛してくれている。それが嫌だけどグレモリーとしての誇りは大切なものよ。矛盾した想いだけれど、それでも私はこの小さな夢を持っていたいわ」
部長は『リアス・グレモリー』としてではなく、『リアス』として異性に愛されたかったからこそ、ライザーとの縁談を断っているってわけか・・・。お家事情もあるけど乙女の想いってやつもある。
部長自身、複雑なんだろうし俺には乙女の心情も悪魔社会の構図も分からない。
けど---
「俺は部長のこと、部長として好きですよ」
何気なく俺の口から出たのは思い浮かんだ嘘偽りない言葉だ。
だが、部長はそれを聞いて目を丸くしていた。
「グレモリー家のこととか、悪魔の社会とか小難しいことは分からないですけど、今こうして目の前にいる部長が俺にとって一番ですから!」
俺は頭に浮かんだ言葉を精一杯言った。
我ながらシャレの利いた色気のあることすら口に出来てなかったけどさ。
「ぶ、部長?俺何か変なこと言いました?」
「いえ、なんでもないわ」
頬を赤く染めていた部長に訊いてみると、部長は頭を振っていた。
先程のことは、もしかしたらキャンドルの灯のせいかもしれないな。
「前に木場から部長はルインプリンセス、滅殺姫と呼ばれるほどの天才だと聞きました。その部長の初陣がそんなやつだなんて・・・」
「違うわ。私の力は天から授かったものじゃない。グレモリー家が代々培ってきた力の結晶---グレモリー家と私の力よ。だから私は負けない。戦う以上は勝つわ。勝つしかないのよ」
自分に言い聞かせるように部長は言った。
やっぱり部長は凄いな・・・。それに比べて俺は・・・。
「部長、俺はダメです。ここに来てから痛感しました。俺が一番弱いんだって。約立たずなんだって。才能すらないんだって。木場にも、小猫ちゃんにも、アユムにですら俺は全く敵わない・・・。例え
俺はいつの間にか弱音を吐き、悔しくて悔しくて、信じられないくらい涙を流していた。
部長は立ち上がり、俺の横に移動してくる。
そして部長が優しく抱きしめてくれ、何度も何度も頭を撫でてくれた。
「自信が欲しいのね。いいわ、私があなたに自信をあげる。ただ今は少しでも体と心を休ませなさい。眠れるようになるまで私がそばにいるから」
部長の言葉の真意はよく分からない。
けれど、部長の温もりが俺の心身を癒してくれる。今はそれだけで十分だった---
◆◆
匍匐前進の疲労で座り込んでいると、部長と一誠の会話は全て聞こえていた。
盗み聞きなんてするつもりはなくてすぐ離れようとしたのだが、一誠はそんなことで悩んでいたのか。
それでさっきまであんな表情をしていた・・・と。
まったく、こういうのは俺のキャラじゃないんだけどなぁ・・・人肌、脱ぎますかね。
「
次の日、俺は一誠と向き合っていた。
朝なのでクソウザったらしい太陽に晒されて今からでもくたばりそうなのだが、これも一誠の自信を取り戻すために仕方がなくやる。
・・・イケメンにお願いするべきだったかも。もうつらい!
「イッセー、模擬戦を開始する前に
「は、はい」
『Boost!』
とのことなので、俺は傘を引っ張ってきて傘で太陽を防いでおく。
とりあえず待っていると、ぶーすとって十二回鳴った。
「ストップ。イッセー、分かる?今までのあなたならここまでの強化には耐えれなかったはずよ。あなただってちゃんと修行の成果は現れているのよ。じゃあ、始めてちょうだい」
「いくぞ、
『Explosion!』
「100%」
傘を投げ捨て、俺は一誠に飛び蹴りを放つ。
一誠は籠手でそれを受け止めて反撃に足を突き出してきたため、すぐに後方に飛んで避ける。
一誠は一定時間溜めた力を使えるらしいから逃げたら勝てるのだが、目的は違うので正面から懐に入り込む。
「ッ!」
反応して殴りかかってきた一誠の腕を弾き、軽めに胸を殴り飛ばす。
「イッセー!魔力の一撃を撃って見なさい!魔力の塊を出すとき、自分が一撃強くイメージしやすい形で撃つのよ!」
すると先輩が一誠にアドバイスを飛ばし、一誠は米粒ほどの小さな魔力の塊を手のひらに形成していた。
それを見ながら、俺は再び真正面から一誠に向かう。
「撃ちなさい!」
「こんのぉおおおおぉぉお!」
一誠が放った瞬間、米粒くらいのサイズから巨岩ほどのサイズへと変貌を遂げて迫ってきた。
「いや、あぶなっ!?」
それを350%の力を解放した俺は、慌てて傘で逸らした---のだが、傘は消滅してついでに俺の腕に掠ってたのか痛みが走り、風圧でごろごろ転がりまくった。
そして---凄まじい轟音と共に、山が消し飛んでいた。
「山が・・・」
「なくなってしまいました・・・」
解説ありがとう小猫ちゃん、アーシア。
というか下手したら俺の腕が吹っ飛んでたんですけど!消し炭になっちゃうだろ!それにものすっっごく痛い!素直に避けた方がよかったわっ!多分右手の骨逝ったな、これ・・・。
「そこまでよ。神谷くん、一誠はどうだったかしら?」
「強くなったと思いますよ。最初に比べたら俺の攻撃をガードしてましたし、腕にダメージ負わされましたから」
座り込んだ一誠を見つつ俺は腕を差し出す。先程逸らした時、僅かに血が出てきていたので再生する前に見せた。
ふと一誠の表情を窺ってみると、唖然としている。
「そういうことらしいわ。イッセー。あなたは私に『一番弱く、才能もない』と言ったわね?」
「は、はい」
「それは半分正解。
先輩が吹っ飛んだ山を指差しているが、俺は離れて木陰に座り込んだ。
あー痛い痛い。折れた骨は治しとこう。
「あなたはゲームの要。イッセーの攻撃力が状況を大きく左右するわ。私たちを、何より自分を信じなさい」
「みんなを・・・自分を・・・」
「フェニックスを相手に私たちの力を見せつけてやりましょう。リアス・グレモリーとその眷属がどれほど強いのか彼らに知らしめてやるのよ!」
『はい!』
俺とアーシアを除く人たちが返事をする中、俺はゴキっと曲がった箇所を強引に戻していた。
まったく、自信を取り戻させるために避けなかったけどさ。ゾンビじゃなかったら大変なことになってたぞ。太陽があるせいで再生が全くしねぇ・・・。夜じゃなかったら再生能力が低い方なのはどうしようもないからな。
「アユムさん、今治療しますね」
「おー・・・ありがとう」
そこで困っているときに現れたのが天使---アーシアだった。
アーシアはトワイなんたらで折れた腕を治療してくれる。夜は問題ないけど朝と昼は本当にアーシアにお世話なってます。
悲報 今回全くふざけられなかった件について。
一誠視点がほとんどだったせいで全くふざけれてませんね・・・せいぜい主人公が伝説の傭兵ばりの匍匐前進やら、さらっとただの傘でドラゴンショットを逸らすという気持ち悪いことしたくらいでしょうか。あとは300%までしか使ってなかったのに350%使ったこと・・・?画面外でギャグ漫画並の転がり方やカジキマグロパイセンを手入れしたりとかはしてましたけど。
えー、それでですが、今回投稿した理由は実は今日、私の誕生日なんです。あるキャラと同じ誕生日なんです。私を祝ってくださいお願いします!誕生日プレゼントとして高評価をくださあああああい!あと感想やらお気に入りもぜひぜひ!
とまぁ、私からの誕生日プレゼントという訳です・・・あれ?俺が誕生日なのにプレゼントっておかしくない?まぁ、誤差でしょ(意味不)
それでは、次回もあと三話か四話かで完結すると思われるフェニックス編をお楽しみくださいませ!
あっ、200人突破しました。ありがとうございます!
ヒロイン数
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ユーとアーシアのみ
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うるせぇ!増やすんだよあくしろよ
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投稿日数増やせ、ハゲ
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戦闘シーンはやく♡