これはDxDですか?〜いいえ、ゾンビです   作:絆蛙

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第五話 はあ、観戦です?

時が過ぎるのは早いもので、気がつけば決戦の日になった。

俺としては是非とも俺を焼きやがったフォックス・マクラウド家のライダーをボッコボコにして欲しいところだ。

え?そんなことよりもお前は何処にいるんだって?

仕方がない・・・知りたいなら探せ! この世の全てをそこに置いてきた!

ごめんなさい。冗談はやめるとして、今はですね---

 

「此方でご覧下さい」

 

なんか部屋に誘拐されました。

しかもメイドさんが腕を振るうとモニターが出現した。かっこいい。

モニターの先には、駒王学園。レプリカらしい。

 

「はあ・・・ありがとうございます?」

 

さて、それにしてもなんでこうなったんだろう? 人間・・・ではないけどゾンビである俺は参加出来ないから天使みたいに可愛くて全く飽きることの無いユーの顔を眺めながらお茶を飲む時間を楽しんで結果報告を待つだけだったはずなのにッ! 見ていて欲しいみたいなこと言われて誘拐されたんですけど!

まあ夜だから全然眠たくはないけどね? こっちとらアーシアがいるんだぞ?

そうそう、でもね---

 

「うん、シスター服を着てるアーシアは似合ってて可愛すぎる」

 

「ふぇ!?」

 

素晴らしい可愛さだ。この可愛さを全国に知らしめたい・・・ユーも一緒に撮れば間違いなく世界を取れるね。だが渡したくないのでやらないぜ。あとお金に困ってないし。面倒臭いし。俺はいつでも見れるからいいし。

ちなみにロザリオは流石に置いてきたらしい。オカルト部員が悪魔だからロザリオは苦手だもんね。

 

「うん?どうかした?」

 

「い、いえ。な、なんでもありませんっ」

 

俺が何やら思考していると、アーシアが顔を真っ赤にしている。

なんでもないとは言っていたが、やはり夜に来るのは間違いだったのかもしれない。あとで俺もライダー殴らせて貰おう。

メイドさん---グレイフィアさんって言うらしいんだが、無理無理。殴ろうものなら俺が消し飛ぶわ。この人、めっちゃ強いよ?ゾンピパワーなし場合だと不死だけ持つ俺が50人くらい居てもそれ以上に強いんじゃないかな。それにこの人は悪いと言うより苦労人の気配を感じる・・・俺と同じだな!

俺も太陽に苦労してるのでよく分かりますよ。

 

「少し緊張してしまいます」

 

アーシアは出ないから大丈夫だよ。むしろ出そうとしたら誰であってもぶん殴って止めてたよ。

 

「今回のレーティングゲームはあなた方だけでは無く、両家のみなさまも別の場所からご覧になります。さらに魔王ルシファーさまも拝見なされているので、下手な真似をなさらないように」

 

へー魔王様も見てるんだ。というか、魔王って世界の半分をやろうとかやっぱり言うのかな?

 

「そろそろ開始時間となります。では、私は両陣営に最後の説明をしてまいりますので。お二方はこのままお待ちください」

 

一礼し、グレイフィアさん---めんどいからメイドさんは転移していった。

便利だね、それ。

とりあえず残された俺は持参してきた新たな相棒、レイトウマグロを研いでおく。綺麗にしないと相棒が可哀想だ。

 

「部長さんたち、勝てるのでしょうか?」

 

「どうかな」

 

レイトウマグロを拭きながら答える。

真面目な話、俺はライダー家の連中の強さを知らない。あの攻撃してきた子は俺でも普通に100%以下で勝てそうではあったけど。

一誠のぶーすと!ってなる奴次第じゃないかな。不死身に通用するかは分からないけどね。

 

「ま、信じておこうか」

 

俺がそう言ってレイトウマグロを隠すと、いつの間にか数分が経っていてちょうどメイドさんが戻ってきた。

そしてメイドさんはゲームの開始を宣言していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ始まったレーなんたらというゲームだが、先輩たちは動かない。作戦会議を開いてるらしいが、ここでもお茶って余裕あるのかな。

 

「どうしたんでしょう?」

 

「アルジェント様。レーティングゲームとはすぐに決着が着く様なものではございません。長い時間をかけて競い合うものですので、作戦も大事なのです」

 

アーシアの疑問に答えてくれるメイドさん。

なるほど、確かに作戦とやらは大事だ---膝枕までも作戦とは流石に言いませんよね? 小猫ちゃんと木場、姫島先輩はなんかやりに行ったらしいけど一誠は膝枕されてますよ?

 

「ってか、なんで涙を流しているんだ・・・?」

 

たぶん、感激して泣いてるんだろうけど思わず口にしちゃったよ。

アーシアも苦笑いしちゃってるよ。かわいい。

 

数分の時が過ぎ、作戦会議を終えたところで両陣が動き出した。

体育館を制圧するつもりなのか、一誠と小猫ちゃんは一緒に入ってチャイナドレスの子と双子と思われる二人と対峙している。

 

『解体しまーす♪』

 

『バラバラバラバラ〜♪』

 

なんか怖いこと言いながらチェンソー振り回しておられるっ!

一誠は避けた後、俺を襲ってきた子の攻撃も避けていた。それにしてもチェンソー・・・売ってるかな?

 

『くらえ! 俺の新必殺技! 洋服破壊(ドレス・ブレイク!)

 

何処に売ってる考えていたらいつの間にか進んでいたらしく---何も見えなくなった。

えっ、マジで何も見えないんですけど。不具合かなにか?詫び石と修正パッチはよ。

 

「み、見ちゃダメですっ!」

 

アーシアの声が聞こえると、アーシアの仕業ということが理解出来た。

そんなグロいんですか!? いや、一誠のことだ。きっと服でも脱がしたのかもしれない。

確かに男の俺が見る訳にも行かないし、相手にも申し訳ない。ただなんか柔らかい感触が顔に当たってるんですけど。恥ずかしいのでやめて!ここにはメイドさんがいるのよ!

 

そんなことを考えていると、凄まじい音が聞こえた。

見えるようになったので見てみると、体育館が消滅していた。

 

「はわわわっ!?」

 

「・・・ファッ? 何があったし!」

 

アーシアが驚いてるが、俺も驚いていた。

なんだこの、こう・・・見ていたDVDかBlu-rayを飛ばして見たような感覚。

なんて思っていると、メイドさんが魔力による攻撃で敵ごと拠点を破壊したと教えてくれた。そうすることによって相手に奪わせず、敵の戦力だけを減らしたらしい。

人数差的に一人も欠けてない状態で相手を四人撃破。でもゲームでよくありガチだけど、絶対MP高いから回復が必要だ。王である先輩を除くと、三人しか戦力が居ない。

しかも、此方はレベル1からレベリングしたとはいえ短時間しか出来なかった。

そこで中ボスレベルの奴らと強制的に戦う感じ---まあクソゲーだな。だいたい、レベル35VS5くらいの差がありそう。

何よりも、ゲーム見たく最強の力があったり奥義もないのがキツい。最初っから思ってたけど勝たす気ないよね。ある程度戦えるようになってても俺は勝てないと思うなぁ・・・。

 

「小猫ちゃんが・・・」

 

アーシアの声に視線を変えれば、小猫ちゃんがちょうど退場した所だった。

表情だって、悔しそうだった。

そこからさらに勝負は激動していく。

まず敵の兵士がイケメンによって撃破され、イケメンたちは騎士と戦車と戦う。

僧侶の金髪の子はメイドさん曰く、なんたらふぇねの妹らしい。兄妹揃ってルックスが良すぎるだろ。

アーシアに視線を移す。

 

「アユムさん・・・?」

 

かわいい。撫でる。

うちのアーシアの方が可愛いことに内心ドヤ顔しながら視線を戻す。いや、向こうも顔とか整ってるけどね? 人それぞれだろう。

視線の先では、イケメンの武器が闇のカッケーやつから氷のカッケーやつになっていた。アイツ、他にもあったのか。羨ましい。

いや、違うよ。レイトウマグロさんが悪いわけじゃないよ。俺はレイトウマグロさんの方がカッコイイと思うし好きだから!

レイトウマグロさんの不機嫌を感じ取ってフォローしていると、そーどばーすっていうセイクなんたらと言っていた。

自由に魔剣を創れるらしい。だから魔剣創造(ソード・バース)なのか。俺的にも覚えやすくて高評価だ。ただしレイトウマグロさんには敵わないがな!

レイトウマグロさんは隠したところで嬉しそうに喜んでる・・・気がする。このレイトウマグロさん、何者なんだろう。というか、生きてるの?

 

『イザベラ! 受け止めるな! 避けろ!』

 

敵の騎士らしき人が叫ぶと、凄まじい音を立てながらテニスコートが吹っ飛んでいた。

やったのは一誠だが、怖い。

もし俺が山を吹っ飛ばした時の当たってたらあんな感じになってたのかも知れないな・・・でも傘で流せたしなあ。

でも流石に全身欠片もなく消えたら俺でも死にそうだ。

いや確か再生するわ。

 

そう考えていたらまた真っ暗になっていた。

うん、何回か考え込んで見てなかったことが多いけどさ。どうして俺の視線を遮るのかな? ドレス・ブレイク!って声が聞こえたから名前的に一誠が服を消したんだろうが、見る訳には行かないか。でも魔王様も見てるんだよね。いいの?

 

「ところでメイ---グレイフィアさん。リアス先輩は何してるんですか?」

 

見えるようになったので、どうせなら聞いてみる。

ゲームで例えると色々と分かるんだが、例えないと全く分からん。あの人はマジでなんでライダーと一緒に居るんだろう。将棋だと王が突っ込んでるみたいなもんだぞ、あれ。

 

「ライザー様の一騎打ちという申し出に応じたようですね」

 

なるほど、余裕のボスが情けをかけてチャンスをくれた、みたいなもんか。

だが先輩は服が所々破けた状態でも、相手は無傷。

ぶっちゃけ勝てないと思います。

なんて思っていたら、一誠が新たな力を解放してイケメンが五人をまとめて倒した。

こんな土壇場で覚醒とか、一誠。お前は主人公かよ。

 

しかし姫島先輩と木場も退場となって一誠のみになってしまった。

 

「・・・終わったな」

 

「えっ?」

 

アーシアが反応すると、しまった、と口を抑える。

流石に勝負が決まってないのに言うのはダメだろう。反省しないと。

でも一誠の体は限界だ。アーシアの力があったとしても体力は増えないらしいから無理だね。

そんな俺の考えと裏腹に、一誠は最後まで諦める気はなく立ち上がっていた---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

朱乃さん、小猫ちゃん、木場、みんなやられてしまった。

残った俺もボロボロでここから逆転するのは無理に等しいだろう。

でも、諦める訳には行かなかった。

俺が負けたら、諦めたら部長は鳥野郎と結婚することになる。部長の夢のためにも、惚れた人の為にも、俺は諦める訳には行かない。

それでも俺の心とは別で、体は全く動いてくれなかった。

 

「ブーステッド・ギアの能力はな、想像以上に宿主を疲弊させるんだよ。力を無理やり倍化させていくこと自体、異常すぎることなのさ。体への負担は他の神器に比べると段違いに高い。この戦場を駆け回り、俺の下僕たちと戦いながら、ブーステッド・ギアを使い続けた。---リアスの『兵士』、おまえはとっくに限界だったんだよ」

 

まだだ。横で部長が哀しそうな顔をしている。

すみません、心配かけちゃって。でも俺は大丈夫です。こんな奴と部長は結婚する必要はありません。今立ちますから。絶対、俺が何とかしますから。

 

何度繰り返したか分からない。それでも力を入れて、俺は何とか立ち上がる。

そしてライザーに突っ込んで行った。

---その後はあまり覚えてない。ただ俺が最後に鮮明に覚えてるのは部長が泣いていたこと。

アイツなら、違ったのかな。いつも何を考えて、何を背負っていて、何をするか分からない。それでも何だかんだで頼りになる。

学園で嫌われてる俺たちと関わりを切らず、自身をゾンビだという友人。

大勢いた神父たちを一人で倒して、知らない堕天使の為に土下座すらしてみせたやつ。そして絶体絶命のアーシアを救って、俺がやられそうになったミラって子の攻撃にも割って入って守ってくれた不思議なやつ。

アイツなら、部長を悲しませることも、こんな風に泣かせることもなかったのかもしれない。

俺はアイツ---アユムほど強くない。俺にもっと、もっと力があれば助けられたのかな。

 

そんなことを考えながら拳が当たる直前、俺はスローモーションの世界で部長に約束を守ること、勝つことを心の中で誓っていた---

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

『お疲れ様、イッセー。ありがとう、朱乃、祐斗、小猫、イッセー。不甲斐ない私のために、よく頑張ってくれたわ。私の負けよ。投了(リザイン)します』

 

「そんな・・・」

 

悲しそうな表情をするアーシア。

そんなアーシアに俺はなんとも言えない表情をするしかない。正直、俺はまだ先輩たちとそこまで親しいとは言えない。小猫ちゃん---とついでに一誠は前から知り合いだから心配なのだが、そもそも世界が違うのだ。

悪魔同士の戦いに俺が口を挟む訳にも行かない。ただみんながやられていく姿は少し、複雑だ。これがユーかアーシアがやられてたならば俺は迷いなく殴りに込んでいたと思う。

だけど、勝負は勝負。悪魔でもないゾンビの俺には結局何も出来ないこと。まあ、諦めて貰うしかない。人生ってのはそう甘くない。

そもそも、勝てる確率が低すぎるのもある。まるで仕組んでいたように。

 

「アーシア」

 

とりあえず、彼女の悲しそうな表情を見続けるのは辛いので撫でると抱きつかれた。

ふとメイドさんに視線を移すと、こちらをじーっと見ていた。

なんでだろう・・・あっ、もしかしてアーシアを撫でてるから!? そんな簡単に女性に触れるなってこと!? た、確かにセクハラになるかもしれない・・・!

い、いやでもこれ以外なくない? 俺、ポケットとカバンにはキノコしか入ってないよ? 何すればいいの?

流石に天使を放置出来ないし! ・・・ってか、アーシアは俺に撫でられて気持ち悪いとか思ってないかな? 大丈夫かな!?

 

「あ、あの・・・」

 

なんだが嫌なので、メイドさんに話しかけてみることにしようとしたら、ノック音が響いた。

メイドさんが気づいたのか、開ける。

 

「やあ、お邪魔---だったかな?」

 

突然入ってきた謎の紅髪のイケメン。

男性の意味を理解するのに少し時間が掛かったが、ふと視線を下に下げる。

①アーシアが抱きついている。

②アーシアを抱きとめながら撫でている

③別の視点から見るとなんかやばい

④恥ずかしくて死ぬ

 

「い、いや。これはその、あ、アレです。そう!アーシアには笑顔で居て欲しいというか悲しそうな表情でいて欲しくないというかってたまたまというか、髪の撫で心地が良くて綺麗だなってちがあぁああぁぁう!」

 

アーシアも見られたことに恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして離れるが俺は全く誤魔化すことが出来ないことに地面に両手を着いていた。

orz・・・。

 

「サーゼクス様。こちらに来てよろしかったのですか?」

 

「彼に用事があったからね」

 

俺が落ち込んでいると、紅髪のイケメンは何が面白いのか笑った後にメイドさんと話していた。

彼? 誰? ここにメイドさん以外、知り合い居るの?

 

「アユム様。此方は魔王サーゼクス・ルシファー様であられます」

 

「妹がお世話になったようだね」

 

「妹?」

 

想像とは違う魔王にも驚いたが、妹って単語が気になった。

 

「リアスは私の妹でね。君のこと。そしてアーシア・アルジェントのことも聞かされたよ。眷属に出来なかったのが残念だったって」

 

「はあ・・・」

 

突然の訪問に、なんという反応したらいいか分からない。

アーシアは驚いているが、多分見た目的に兄?

 

「で、魔王様が何の用ですか」

 

「ふむ・・・単刀直入に言うと、君にお願いしたいことがあってね」

 

この時、魔王様の眼を見た俺は後悔した。

---これは逃げないと、巻き込まれるやつだと。

まあ、無理だけどな! レイトウマグロさん抱えながらアーシアを連れて逃げるのは無理だしメイドさんにやられそう。

はぁ・・・ユー。早く顔が見たい・・・癒されたい・・・。

 

 

 

 

 






いよいよ次回・・・は無理そうだけどその次くらいに主人公の活躍を書ける! かな? たぶん、次回は戦う前で終わりそうです。
主人公はライザー戦無理なので、こうするしかないんすよね。まあ、参加しても積極的ではないので勝てないと思います。(先にリアスがやられる)
ただ魔王様から嫌な予感を感じとったようで、頑張って貰いましょう

というか、この主人公。マジで神器やらライザーのこと、何も覚えてねぇな()

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