第一話 顔合わせ、らしいです
さて、ところで皆さん。私はゾンビです。
えぇ、ゾンビなのです。ある日、私の日常に大きな変化が訪れました。
まず兵藤一誠という覗き常習犯の未だに捕まらないのが謎な彼が悪魔になっていたり、何度か話したことのあった小猫ちゃんや話したことはないけど学校で有名なイケメンや先輩、姫島先輩も悪魔だったり、金髪の美少女で天使な優しさを持つアーシアと出会ったり、変な撮影か誘拐かと思ったらアーシアを実は殺す気だったとかいうよく分からない変態神父共と戦ったり、堕天使を殴り飛ばしたり、フォックス・マクラウド家とかいう人を燃やしやがった癖に最後まで謝罪しなかったライダーと戦ったり、巻き込まれたり、そして魔王様に喧嘩ちょっと売ってメイドさんに負けたり、実は同居人の力が想像を絶するほどの強力な力だけどやっぱり天使であることに変わりはないユークリウッド・ヘルサイズさんの秘密を知ったりなど・・・。
とまぁ、そんな様々な困難を迎え、乗り越えてきた私ですが---
「どうしてこうなった・・・」
な ん か 怪 物 が い る 。
試しに殴ろうと突っ込んでみたっちゃあみたんですけどねぇ。見事口の中にパクっと行かれちゃったんですよ。そしてこう、なんて言えば良いんだろう・・・。うん、完全に肌所か筋肉まで溶けて骨しか残ってないんですよね! あはは・・・無理じゃね?
しかもポヨンポヨン跳ねるくせに見た目に全然可愛らしさが・・・多少はあるかな。
表現の仕方が難しいのですが、今私の目の前にはうさ耳みたいなのを生やして尻尾も生えている。それでいて人型のまさに小さな
ドロドロしてるしスライムか怪物なのか怪獣なのかどれなんだよ!
「ってか、跳ねるより歩いた方が良くない?」
俺が思ったことを正直に口に出すと、怪獣みたいなやつは止まったかと思えば、急に目の前で涙を流し始めた。
突然泣いたことに困惑するが、涙滴が靴に落ちた。
「ぎゃあああ!?」
その瞬間、俺の靴と靴下が溶けた。
溶けた---え?
「・・・なるほどなるほど」
一歩下がって、相手を見据える。
落ちた雫は次々と地面を溶かすような音を出していることから凶暴さが分かる。
なので俺は300%の力を込め、思いっきり貫く勢いでボディーブローを放つ。
俺が放ったボディーブローは見事怪獣に刺さり---腕が溶けました。
「アァッ!?」
はい! ここで一つ!
---無理じゃね? 胴体も酸とかどうなってるのよ!
というか、もしかしてユーの感情を体現した敵? だから出会う羽目になった敵・・・と。先日、確かにユーは泣いていた。
そしてコイツの涙は酸、それも硫酸っぽい。特徴的には一致するが、まぁ怪獣の力なんて魔力がうんたらかんたらとか言われたら全くわからんし硫酸ってのはこんな溶けたりしないだろうから『よく分からない』が結論だな。
その前に戦況をどうにかしたいんですけどー、先輩とか気づいてないだろうしなぁ。やれやれ、どちらにせよ、やってやるしかない。
あれだけ心の中で大見得切っといてこんな奴に逃げて帰るとか笑うどころか恥ずかしくて死ぬ。
でもなぁ、あの人らみたいに万能な力を何一つ持たない俺にとって殴るしか出来ないし・・・詰んでない?
「ん?」
そう思っていると、ドロドロした怪獣擬きが口を開けた。
不思議に思って見つめてみると、白い魔力みたいなのを貯めている。
そして凄まじい速度で放たれたのを慌てて横に飛ぶことで避けた。
「・・・え?」
パキパキと言った音を立て、木が連続で倒れていく。
先程まで居た位置を見ると、全ての木が風穴を開けられていた。
・・・こわっ!
「500%」
早く倒すべきと判断すると腕の再生を終えた俺は走りながら即座に腕を強く引く。そして勢いよく伸ばすことで速度を早くし、なおかつ軽く握っていた拳を力強く握るストレートを---
「・・・・・・」
ぶつけようとしたら、何故か泣かれた。
「えぇ・・・?」
流石の俺でも困惑するしかない。今まで相手したやつは嘘泣きならともかく、こんなガチ泣きしてるの見たことねぇよ!
殴ろうとしたら悲しげに泣いてくるんだよ? 俺にどういう選択を取れって言うんだよ! そっちは攻撃していいのにこっちはダメなの!?
『ギョエー!』
「あっ、ちょっ」
拳を解いてどうすればいいのか悩んでいると、突如背中にあったレイトウマグロパイセンが飛び出した!
自分でも何が言ってるか意味が分からないけど、飛び出した! 凍ってるくせに動いた!?
『ギョッ』
パクッと怪獣擬きを食べたかと思えば、噫していた。
汚い。汚いよレイトウマグロパイセン。というか食べたの? もしかして食べちゃったの!?
『きゅぅ〜』
「・・・へっ?」
俺がレイトウマグロパイセンについて驚いていると、これはまた可愛らしい鳴き声が聞こえた。
きょろきょろと見渡すが、居ない。マジで目の前の怪獣っぽいドロドロしたやつもいない。ドロドロどこ行ったし。
『きゅ、きゅ〜』
「レイトウマグロパイセン、うるさいよ」
そんな可愛らしい鳴き声で鳴くんだなぁと思ってレイトウマグロパイセンに視線を向けるが、レイトウマグロパイセンは尾鰭で俺の足元を差す---ねぇ、絶対生きてるよね? まっったく凍ってないよね?
それは置いておいて、レイトウマグロパイセンの『そこ』という指示に従って見てみると---
私の足に頬擦りしてくる兎が居ました。
「なんでやねん」
なんだかよく分からないドロドロした怪獣に襲われた次の日、俺は柔らかい・・・いや、もふもふとした感触に目が覚めた。
毛が口に入ることも無く、まるで洗濯した後のお布団のような柔らかさ・・・これは枕だろうか。
俺は眠たいので寝ます。学校なんて知らない。
「アユムさん、起きてますか?」
優しさの込められた声が聞こえた。
でも私は寝たいので寝ます。ふざけるな! もうそろそろゾンビにとって地獄の季節じゃないか! 俺はやだ! 寝る! このもふもふとした安眠枕が俺に力を貸してくれる! これがあればどこでも寝られるんだ!
あーそれにしても昨日は変な感覚だったな・・・。腕が吹き飛ぶことは慣れてるけど、まさか骨以外溶かされるとは・・・見た目がグロい。
「入りますね」
それに整理すると、この際動いたことは気にしない。気にしたら俺の周りがホラーになる。
とにかくあのドロドロとしたやつは予想通りスライムだった。人間を溶かしてくるレベルの強力なスライムらしい。果たしてユーの魔力に引き寄せられたのか、生み出されたのか、強化されたのかは分からない。
けれどそれが怪獣みたいな見た目を形成をしていたらしく、俺が狙われた理由は邪魔をさせないためだろう。たぶん、詳しくは知らん。
スライムはレイトウマグロパイセンが食ったけどな! すげぇわ。
ちなみにレイトウマグロパイセン曰く、500%で殴ったらウサギも死んでたらしいから、泣いてたのはウサギらしい。
どうやら取り込まれていたようだ。
うーん、乗っ取られてたなら申し訳ないね、やっぱり。問答無用で襲ってくるやつなら殺ってるが。
「アユムさん、起きてください」
なんて昨日の出来事を整理していると、体が揺さぶられた。
もふもふも無くなった・・・! 寝れない・・・。
「おはよう、アーシア」
やれやれと言った感じで起き上がった俺は、朝の太陽に照らされても元気なアーシアを見て、元気だなぁ・・・とか考えていた。
「はい、おはようございます」
笑顔で返してくる。
天使かな? でもユーの方が俺の中では天使だから安心してくれ、ユー。
「ウサギさんもおはようございます」
『キュッ』
「・・・うん?」
あれ? 聞いたことのある鳴き声だ。つい最近聞いたことがあるような・・・。
そう思って視線を向けると、乗っ取られそうになっていた可哀想なウサギが居た。
俺が視線を向けると、ウサギが飛びついてきて俺の顔面に---
「ぐへっ」
体重を掛けられた。
ちょっと重たいし邪魔なんですけど。ってかなんでいるの? キミ、森に帰ったよね? 俺知ってるよ? だって見てたもん。
「ふふ、アユムさんのことが好きなんですね」
「・・・なんでやねん」
『ギョギョギョーッ!』
結論、なんでやねんが気に入ったかもしれない。
あとレイトウマグロパイセン、それニワトリね。
「おー、育ってる育ってる」
今日は一誠の家で部活をするらしく、アーシアは一誠の家に行っていた。
俺? 俺はめんどいから行かないよ。ユーの傍に居たいし、キノコ育てたいし。そもそも真面目じゃない俺は結構サボるし。入ってみたのは暇潰しと付き添いなものだったからねぇ・・・。
『キュ〜♪』
俺は日傘が死んだせいで無くなったため、雨傘を差しながらキノコを満足気に頷いていると、俺の頭でウサギが鳴く。
どうやら俺が溶かされまくって疲れたから寝た時に玄関前に居たウサギをアーシアが入れたらしい。
心優しいアーシアらしいが、このウサギさぁ。俺の家まで特定するとかちょっと怖いんですけど・・・。人間の言葉を理解しているのか、ガチで離れろって言ったら離れるけど。
流石にトイレや風呂に動物を連れていく趣味はない。
『ギョギョ』
『キュ、キュー』
『・・・!』
「・・・あー! 今日もクソみたいな天気だなぁ!」
『アユムが 現実逃避している』=『お兄ちゃん、目の前の現実から目を逸らしちゃ、めっ!だよ』
今日もユーは可愛いなぁ・・・。
それに現実から目を逸らしてなんかいないよ、ドキドキノコさんが踊ってたりレイトウマグロパイセンが声を出してたりウサギが会話をしていたり、そんなの俺の夢だよ。
幻に決まっている。あっ、ちなみに幻覚作用のあるマジックマッシュルームは食べないようにね。麻薬みたいなもんだから禁止されているよ。流石に俺も法律を破ってまで食ったりはしない。
「そういや、ウサギウサギ言っててもアレだし、お前の名前決めないとな・・・」
『キュッ?』
ウサギの見た目を見る。
焦げ茶色のウサギで、もふもふとした毛並み。ちなみに枕だと思ってたらコイツだったらしい。これからは枕・・・そうだ、マクラはどうだろう。
「なあ、ユー。このウサギの名前ってマクラで---クロスボーンッ!?」
いいんじゃないか、と聞こうとしたら、ウサギの飛び蹴りを受けて軽く吹き飛ばされたが、キノコに被害が行かないようになんとか踏み留まる。
こいつ・・・ド〇クエのスライムみたいなのに乗っ取られそうになってた割に出来る!
『キィー!』
なるほど、嫌だと。
それにコイツ、メスか? オスか? ウサギの見極め方知らねぇよ・・・。そもそもあの怪獣みたいな姿からどうやったらウサギになるんだよ。
「ユー、なんかない?」
「・・・」
縁側で緑茶を飲むユーに聞いてみると、ユーは無言で湯呑みを置いてウサギを見つめる。
ウサギは首を傾げていた。そんなウサギをユーが抱き上げたかと思うと、何かをしていた。
そのため、俺は特製水でキノコに水やりをやっていた。
「あー・・・ほんと、どうなってるのやら」
ユーの魔力に引き寄せられた・・・っぽいけどなあ。
でもなんか先輩たちと出会ってから増えたよな。それまでドキドキノコさんとユーしか居なかったのに。
ドキドキノコさんは今まで動いてなかったけど。
水やりを終えると、キノコに育ちますように、と思いを込めて視線を送っていると、服を引っ張られる感覚を感じで振り向く。
「ユー?」
『メスだった』
「ユーは凄いなぁ・・・」
主に俺の考えを読んだことに。
とりあえず俺はユーの頭を撫でておく。その時見えたが、ドキドキノコさんはレイトウマグロパイセンの上に乗って合体していた。
なにやってんだ。
「・・・はぁ」
今日は一段とカオスな一日のようです。
諦めのため息を吐いた俺は、戻っていくユーを見ながら俺の頭にジャンプして乗るウサギを無視してキノコの世話に入っていた。
とりあえず、ウサギの名前はいつか考えるか・・・メスらしいし。
数日が経った。
部活の球技大会の練習で何度も太陽に焼かれてそろそろ死ぬんじゃないかと錯覚していたが、今日も無事に生きている。
あれ以降、襲われることはあってもウサギみたいな仲間は出来ていない。むしろ出来ていたら困る。百鬼夜行を作るつもりはない。
傍ではなんか一誠の噂を流しているらしい元浜と松田。
一誠が可哀想だぜ。
「ちなみにイッセーと木場、アユムにホモ疑惑も噂で流れている」
「一部の女子には大変人気です」
「なんでだよっ! 俺は巻き込むな! 代わりに一誠は好きにしていいから!!」
「なんて奴だ! 俺を売りやがった!」
時に友人は売れってばっちゃん言ってたよ。ばっちゃん居ないけど。
ところで珍しく昼休みも起きている俺だが、昼休みに部活の集まりがあるからだ。なかったら飯すら食わずに寝てる。
俺は先にカバンに空になった弁当を仕舞うと、クラスを見渡した。
目的の人物を見つけると、クラスの隅っこで他のクラスの女子と昼食を摂っているアーシアが居た。
女の子の友達が出来てよかったぜ。つまり、夢は叶ったのかな。
「先アーシア呼んどく」
「分かった。悪い松田、元浜。昼に部活の集まりがあるからそろそろ抜けるわ」
一応一誠に声を掛け、二人に話す一誠を無視してアーシアの方へ近づく。
「アーシア、飯食べたか? まだなら待つけど」
ある程度声が届く距離になると、普通の声量で声をかけた。
「アーシア、彼氏が呼んでるわよ」
アーシアと一緒に食事をしていたメガネ女子---桐生藍華がイヤらしい表情で言う。
俺はいつも通りの冗談に華麗にスルーしたのだが---
「かっ、かかかかかか彼氏ぃぃっ!?」
アーシアはスルー出来なかったらしく、かつてないほどに動揺していた。
ぶっちゃけこんな動揺するアーシアは初めてなんだが、ただの友達である人物を彼氏呼ばわりされるのは嫌だよね。うんうん、知ってるよ。・・・ユーに慰めて貰おう。
「え? 違うの? あんたらいつも登校時も下校の時も二人で居るしてっきり付き合ってるのかと思っちゃった」
「そ、そそそそそ、そんなこと・・・あぅぅ・・・」
藍華のせいで視線が集まって眉を寄せる。
ゾンビは目立つのが苦手なのだ・・・お前いっつも何でもかんでも苦手だな。
「ふーん。傍から見たら、あんたたち毎晩合体しているカップルにしか見えないよ? 同居もしているらしいじゃない? そんな若い男女の二人がひとつ屋根の下ですることといったら、そりゃねぇ。あ、ちなみに『裸の付き合い』を教えたのは私よ!」
「お前かっ! アーシアの純粋さを利用したのはお前かっ! というか創世合体するやつじゃないんだからさ。そもそも、アーシアが可哀想だろ」
以前の犯人が桐生ということが分かったが、女子なのもあって殴れない。松田か元浜なら100%で殴ってたってのに。
「へぇ。でもアーシアってあんたのこと---むがっ!」
「あーあーあーあーっ! 桐生さぁぁん、やめてくださいぃぃぃ!」
何かを言いかけた桐生の口元をアーシアが両手を使って防ぐ。
仲良しで何よりです。それよりも一誠が待ってるし早く連れていこう。
「何でもいいから、部室に行くぞ」
「は、はいぃぃ」
埒が明かなそうなので、気が動転しているアーシアの手を握って連れていくことにした。
こういうのはさっさと行けばいいってじっちゃんも言ってた。じっちゃん居ないけど。
部室に入ると、既に俺たち以外のメンバーが顔を揃えていた。
俺は部員じゃない人が居ることに気づくと、気付かれて面倒事が起きる前に匍匐前進で隠れる。
まずい、あれはまずい。バレたら何をされるか分からない。というかカバンがそろそろ壊れそう。
「せ、生徒会長・・・?」
そう、俺が一瞬で逃げたのはソファーに座る駒王学園の生徒会長が居たからである。冷たく厳しいオーラを出しているが、注意されると面倒。
因みに気配的に悪魔だし付き添いの奴も悪魔。
「なんだ、リアス先輩、もしかして俺たちのこと兵藤に話していないんですか? 同じ悪魔なのに気づかない方もおかしいけどさ」
「サジ、基本的に私たちは『表』の生活以外ではお互いに干渉しないことになっているのだから仕方がないのよ。それに兵藤くんは悪魔になって日が浅いのだから当然の反応をしているだけ」
一誠が驚愕しているが、オカルト研究部部員以外でも悪魔が居たのかみたいな反応だ。
そんな一誠に姫島先輩が説明していた。
「この学園の生徒会長、支取蒼那さまの真実のお名前はソーナ・シトリー。上級悪魔シトリー家の次期当主さまですわ」
名前がそのままだったのかよ! と思ったが、今はひょっこりと覗きながらキノコを食べてるので声が出せない。
「シトリー家もグレモリーやフェニックス同様、大昔の戦争で生き残った七十二柱のひとつ。この学園は実質グレモリー家が実権を握っていますが、『表』の生活では生徒会---つまり、シトリー家に支配を一任しております」
「会長と俺たちシトリー眷属の悪魔が日中動き回ってるからこそ、平和な学園生活が送れているんだ。ちなみに俺の名前は匙元士郎。二年生で会長の『
「おおっ、同学年で同じ『兵士』か!」
なんだか嬉しそうな声が聞こえる。
どうでもいいけど、いつ出ようかな。生徒会長に見つかりたくねぇ。
「俺としては、変態三人組の一人であるおまえと同じなんてのが酷くプライド傷つくんだけどな・・・」
「な、なんだと!?」
ため息を吐いた匙の言葉に俺は頷いていた。
恐らく誰もが思うよ、一誠。悪魔じゃなくても一緒にされたくないと思うよ。俺もされたくない。
「おっ? やるか? こう見えても俺は駒四つ消費の『
「サジ。お止めなさい。」
「し、しかし、会長!」
挑戦的な物言いをする匙を会長が鋭く睨む。
元々の表情もあって、怖い。
「今日ここに来たのは、この学園を根城にする上級悪魔同士、最近下僕になった悪魔を紹介し合うためです。つまり、あなたとリアスのところの兵藤くんと会わせるための会合なのです。私の眷属なら、私に恥をかかせないこと。それに---」
どうでもいい話に欠伸をするが、そんな俺のことは関係なしに話は続いていた。寝ようかな。
「サジ、いまのあなたでは兵藤くんに勝てません。フェニックス家の三男を倒したのは彼なのですから。---『兵士』の駒を八つ消費したのは伊達ではないということです」
「駒八つ!? ていうか、フェニックスをこいつが!? 俺はてっきり木場か姫島先輩がリアス先輩を助けたものだと・・・」
「ごめんなさい、兵藤一誠くん。うちの眷属はあなたよりも実績がないので、失礼な部分が多いのです。よろしければ、新人の悪魔同士、仲良くしてあげてください。アーシア・アルジェントさんは人間ですが、リアスたちと同じ悪魔であるサジとも仲良くしてあげてください」
そろそろ終わりそうだと思って顔を出してみると、匙が渋々と頭を下げていた。
「サジ」
「は、はい。・・・よろしく」
「はい、よろしくお願いしますね」
アーシアが一誠よりも先に屈託なくニッコリとしながら挨拶を返す。
「アーシアさんなら大歓迎だよ!」
先程の態度とは打って変わって、匙がアーシアの手を取る。
するとカバンの中が凄まじい暴れ具合になったので、壊れる前に開けた。
焦げ茶色の物体が凄まじい速度で匙に迫り、見事匙の額を蹴り飛ばして匙はアーシアから離された。
「イテッ!? な、なんだ!?」
「あっちゃー・・・なにやってんの」
最悪な展開になったとため息を吐いた俺は嫌だが、嫌だが! 渋々と起き上がった。
焦げ茶色の物体は褒めてというように足に擦り付いてくるのだが、なにやってんの?
「なっ・・・神谷!?」
「神谷くん。いつの間にそこへ・・・?」
ずっと居ましたよ。一誠の後ろでこっそり匍匐前進で移動しただけですし。
「ういーす。匙おひさー会長さんもどうも」
「いや本当にいつの間にそこに居たんだ!? それに知り合いかよ!」
一誠が驚きながら言っているが、なんでお前も驚くんだよ。さっきまで一緒に居ただろ。というかウサギ、足蹴るな。痛いよ。
「分かった分かった。おーよしよし。よくやったなぁ」
「おい!? それにやったのはお前か!」
匙を無視してウサギを撫でると、満足したのかカバンの中に入っていった。
何がしたかったんだ。
「神谷くん。何故ウサギが・・・?」
「・・・偶然入ってきただけですよ。あはは」
目を逸らしながら答える。会長さんのメガネが光った気がするよ、めんどいから叱られたくない。
「それにしては懐いているようでしたが?」
「気のせいです」
「・・・何故カバンに」
「気のせいです」
「ど--「気のせいです」最後まで聞きなさい」
「はい」
ゴリ押し失敗! 俺は正座した。
「あなたはいつもそうです。以前は軽い騒動を起こしていましたね。お陰で私たち生徒会がどんな後始末をしたのか---他にも遅刻はしたり授業を寝ているとの報告がよく聞きます。そもそも私生活はどうなっているのですか? 健康な生活をしていないから体育の授業で倒れたり遅刻したりするのでは? ・・・聞いてますか?」
途中からウトウトしていて半分くらい聞いてなかったが、何やら色々と言われていたらしい。
軽い騒動って・・・どれだ? 俺が実験中に寝落ちして爆発を起こしたこと? それともぼーっとしていたら煙を溢れさせたこと? ボロボロで来たこと?
「あーはいはい。聞いてますよーふわあ・・・やべっ」
「聞いてないようですね。いいですか? 確かに普段は一般の常識がある行動をしているのは認めます。しかしあなたは問題のある行動を起こしたり、騒動を起こすことが多すぎます。そもそも車に引かれて何度も学校に登校するなんてどうなっているのですか? 事故に合う確率なんてそうそうありません。動物だって、本来学園に連れてくるのは許可出来ませんし、何よりもカバンに入れてくるというのはもっと許可出来ません。仮に他の方の授業を邪魔したり先生方に迷惑を---」
こ、これだから生徒会長と会うのは嫌だったんだ・・・ッ!
「・・・兵藤。神谷のやつ、説教されてるのになんで欠伸したり暇そうに出来るんだ?」
「俺が知るわけないだろ・・・匙くんよ」
「ソーナ、説教はその辺にしておきましょう。今日はそのために来たわけじゃないでしょう?」
「リアス・・・そうね。ひとつ言っておきますが、私はこの学園を愛しています。生徒会の仕事もやりがいがあるものだと思っています。ですから、学園の平和を乱す者は人間であろうと悪魔であろうと許しません。それはそこの彼やあなたち、リアスでも同様です」
床に倒れる俺は、生徒会長から全力で目を逸らしながら考えていた。
足が・・・。足が・・・痺れたっ! というか、人間であろうと悪魔であろうと・・・? よし、俺は関係ないな!
「はーい、俺はゾンビなので関係な---ごめんなさい」
鋭く睨まれた俺は黙り込む。
「・・・お互いの紹介はこれで十分でしょうね。私たちはこれで失礼します。お昼休みに片付けたい書類がありますから。・・・神谷くんは今回だけ、無かったことにしてあげます」
「マジですかっ! イエ---なんでもないです。以後気をつけます」
喜びのあまり立ち上がってガッツポーズを取ろうとするが、やはり睨まれたので正座し直した。
「リアス、球技大会が楽しみね」
「ええ、本当に」
会長と先輩がそんな会話をすると、会長と匙は部室を出ていった。
そして居なくなった瞬間立ち上がってウサギを解放する俺。
アーシアのところに行ったが、お前のせいで叱られたんだからな?
「イッセー、アーシア。そして神谷くん---は仲良さそうだから良いとして、匙くんと仲良くね。他の生徒会メンバーとも改めて悪魔として出会うでしょうけど、同じ学び舎で過ごす者同士、ケンカはしないようにね」
「はい!」
一誠が元気よく返事をしたが、無視して何故か小猫ちゃんがウサギを見つめてることに不思議に思った。
愛でたいなら好きにしてもいいのに、なんだかそういう意味ではなさそうな目だ。
聖剣行けねぇ・・・深夜テンションのせいでウサギ増えたけど名前思いつかねぇ・・・。元ネタは硫酸怪獣ホーだゾ。
次は軽く球技大会やって、例のヤツと対峙、木場の過去編ですかねぇ。
今のところ、ドキドキノコさん(キノコ全般)→回復アイテム
カジキマグロセンパイ、またの名をレイトウマグロパイセン(強化の余地あり)→武器
ウサギ→枕かペット(?)
ヒロイン数
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ユーとアーシアのみ
-
うるせぇ!増やすんだよあくしろよ
-
投稿日数増やせ、ハゲ
-
戦闘シーンはやく♡