これはDxDですか?〜いいえ、ゾンビです   作:絆蛙

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第八話 禁手(バランス・ブレイカー)と真実

 

俺はもう沈む忌々しい太陽を見ながら、ため息を吐いていた。

あーもぅしぬぅ・・・。

太陽が暑いんじゃぁ・・・。

あのやろーレイトウマグロパイセンさえあれば簡単にいけるのになぁ。なぜ持って来なかったんだろうか、俺は。

そもそもなんでこうなったんだっけ、ああ槍で殺られただけだわ。

死んでないけど、なんか死んだ扱いされてたけど。普通に生きてたんだよねーむしろ晩飯考えて黙ってただけなんだけどねー。晩飯考えたの無駄になったがな!

やーあいつ、案外強いんだなー流石に武器無しだと相性悪ぃや。まぁ200%しか使わなかったのもあるけどさ。

そういや、あのツインテールの子は無事かなーとりあえずあの神父に殺られる前に投げ飛ばしたけど。

それにしてももう夕方かぁ・・・このボロ教会朝からずっと太陽差し込んで来るんだが?

お陰で抜け出せないんだが? 力入らないんだってば。くそう、なんで俺は槍を抜く前に寝てしまったんだ、睡魔に負けなければこんなことには・・・!

あーあ、誰かこの胸に刺さる熱い()取ってくれませんかねぇ・・・夜までこれはきつい、特にユーに会えないのがキツい。

あとトイレ行きたい。漏れそう。

 

「・・・ん?」

 

そう思ってると、ガサッ、ドンッと何か重量があるような音と地面を踏む音が聞こえた。

もしかして誰か来たのかと思っていると、凄まじい速度で飛んできた()()()が俺の胸に刺さる()を消した。

 

「おぉ、取れた!」

 

転がるように日陰に向かった俺は、安心する。

ぶっちゃけ痛いだけで全然問題なかったんだけどね、太陽消えたら脱出出来るし。てかもう沈んだし。遅いんだよ沈むの!

でも助かったのは事実だ。

誰が助けてくれたんだろう、そう思って気配を探るが、何も感じられない。

 

「あれれー・・・ん?」

 

何も無いことにおかしいな、と思っていると、ナニカが降ってきた。

俺は思わず両手を天に向けてそれを受け止める。

すると---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギョエ』

 

レイトウマグロパイセンが居た。

ファーっ!? アイエー!? ナンデレイトウマグロパイセン!?  ナンデ!?

こいつ、単体で来たのか・・・! あんたやっぱ凍ってねえーだろ!

絶対生きてんじゃん! 槍を消すどころか降ってきた時点でホラーだよ! 怖いよ! あっ、俺の存在がホラーだった、てへ☆

・・・キッモッ(自虐)

 

『ギョギョ、ギョエーエ』

 

「え? アーシアが危ない? それとユーにも危険が迫る?」

 

なんでここに居るかは分からないが、どうやらアーシアに危機が迫っているらしい。

それにユーにもだと? おい誰だそいつ、ぶっ飛ばす。

もう夜だぜ? いいのか? 夜になった俺は自由行動出来るんだぞ、反復横跳びでも向かえるからな?

ん? 反復したら戻ってね?

 

『ギョー』

 

「あー学校か。助けてくれてさんきゅー。じゃあ行こ行こ。ウサギさんがいるから問題ないと思うけどなー」

 

あいつ、俺の300%くらいまでは対応出来るし、多分修行したら余裕で焼き鳥と戦ってた時の一誠超えるんじゃないかなー。あの状態の一誠強いんでしょ、知らんけど。

いや、でもすげーの持ってる一誠超えるとか可能性の獣過ぎんだろ、ウサギさんもしかして()()の力持ってたりしない?

 

『ギョギョ』

 

「え、お腹空いた? あーごめんな。ご飯作り置きしてなかったっけ・・・大丈夫大丈夫、学校に行けば飯はあるよ。多分堕天使もそこにいるから。そいつなら食っていいよ」

 

俺の胸に槍刺しやがったし。

それはともかく、俺は先に公園の公衆トイレを借り、尿を足してからレイトウマグロパイセンを背中に携え、コンビニで肉まんを買うとお金が払う必要になった袋も一緒に買って、レイトウマグロパイセンの口吻に袋をかけてからすぐさま走って向かう。

いくらゾンビでも戦い中にトイレ行きたくなったらやばいし空腹だと力が出ないからな・・・今日一日中磔になってたもん。

なんかこう、魔女狩りにでも会った気分だったわ。ゾンビだけど。

そして学校に着くと、生徒会長たちがいた。

 

ええ!? なんでいるの!?

うっわ、俺は見つからん! 見つからんぞ! 生徒会のメンバー全員に俺の顔は割れてるんだ。

絶対面倒くさい! てか急いでるんだよ、パイセンおなしゃす!

 

『ギョ』

 

近くにあったダンボールを頭から被り、四つん這いでなんか貼られてる結界みたいなバリアをレイトウマグロさんに食べてもらい、俺が入れる範囲を開けると中へ入る。

すると結界は修復されており、俺は気づかれないようにカサカサと素早く校舎の中へ入ったのだった。

 

「えー確か校庭だっけ?」

 

場所は予め聞いてるため、向かうために四つん這いで---行く必要ねぇわ。

もういらんわこれ、エロ本でも入れとけば誰か拾わないかなこのダンボール。

持ってないけど、ユーが居るのに買えるわけないし。

ユーにそんな破廉恥なのは見せれんよ。

 

「戦闘音が聞こえるな。アーシアが居るし、行きますかね」

 

それにアーシアがもし怪我してたら大変だ! 俺なら全然いいが、アーシアの肌に傷でもつけてみろ! 殴る! ブサイクになるまで殴るからな!

そう思って俺は200%の力でダッシュ、校庭に出た。

 

「っ・・・! あ、アユムさん・・・ッ!」

 

「アーシアァァァ!」

 

『ギャオァアアアア!』

 

俺が校庭に出ると、なんか色々カオスでよく分からんかった。

なんか木場いるし、えー目つきの悪い方・・・ぜの・・・ゼノヴィオだっけ、ゼノヴィアか。いるし。

ふむふむ、それに一誠が手を伸ばしてるし、アーシアに向かって三つの怖そうな首がある犬が飛びかかってら---っておい、てめえ何手を出す気だよ!

アーシアが震えてんじゃねーか! 許さねぇからな!!

 

「はいそこ邪魔」

 

なので俺は跳躍。

500%の力で両足蹴りを犬っころにぶつけると、なんか風穴空いて吹っ飛んで行った。

え、グッロッ誰、そんなことしたの! 子供がこの作品見れないよ!

それはともかく、アーシアに汚れや怪我は・・・ないな、ヨシ!

あったら土下座して最終手段である何でも言うこと聞くことを条件に許してもらうしかなかった・・・それで無理ならむり。

諦めろ(無慈悲)

 

「アーシア、大丈夫か?」

 

「ぁ・・・。あゆ、むさん・・・」

 

とりあえず俺は、アーシアを安心させるためにも起き上がらせるためにも手を差し伸べると、アーシアは心底嬉しそうな、安心したような様子を見せてくれる。

いやーよかったよかった。無事ならなんでも---

 

 

「アユムさんっ!」

 

「ファッ!?」

 

と思っていたのだが、アーシアは差し伸べた手をスルー。

まさかのまさかで抱きついてきた!

俺は驚いて尻もちを着くが、やばいやばい!柔らかいすげえいい匂いというか髪めっちゃさらさらで近くで見るとやっぱり綺麗だな---ってちげーよ! そんな場合じゃねぇしただの変態じゃねぇか!

 

「良かった・・・アユムさんが無事で、本当に良かったです・・・!

怖かったですけど、絶対、絶対来てくれるって、信じてました・・・!」

 

「・・・そっか。ごめんな、心配かけて。でも間に合ってよかった」

 

流石に俺の腹に顔を埋めるアーシアには色々と悪いことをしてしまった自覚はある。

そのため俺は真剣な表情で彼女を慰めるために撫でると、戦いはまだ終わってないのでそっと起き上がらせて前に出た。

さて、本当はアーシアの傍に居てやりたいというかユー成分を回収出来てないから代わりにアーシアに癒されるために居たいが、ユーにも危機があるらしい・・・で、それの原因はここと。

つまり---

 

「お前をぶっ飛ばせば言い訳だ、なあ、俺の胸に槍を刺したクソ堕天使!」

 

『キュー!』

 

「ん? あっ、ちょっそんな展開じゃないでしょおおおぉおおお!?」

 

俺がビシッとなんか玉座みたいに調子こいてる堕天使に指を指すと、ウサギさんの声に反応して横を見れば、ボロボロな犬っころが飛んできていた。

そして俺は、がぶりと食われた。

なんでやねん・・・てかくっさ! 異常にくっさ! あとその歯は痛そうだし噛まれたくないのでちょっと体内入るね、ごめんね。

 

「あ、アユムゥゥウウウ!」

 

「あ、アユムさんッ・・・!」

 

ここだとめっちゃ響くせいか一誠の声が煩いなぁ。

いやごめんね、心配させてるんだろうな。変態だけど友達想いだし。

それにこれ以上アーシアに心配させるわけにも不安にさせるわけにもいかん。

 

「どう脱出するか・・・」

 

消化活動が始まったのか、なんか俺を溶かす気満々のようだが、俺は腹が減ってきて---思った。

殴ったら勿体ないし食えばいいんじゃね?

多分美味いやろ、知らんけど。

 

「いただきまーす!」

 

なので、俺は早速ガブリと食われた仕返しに体内から食べることを選んだ。

割と俺の思考やべーな・・・と思いながらも毒キノコ幼い頃に食った時点でやばいかと思い、一口食べた瞬間、不味かった!

いやでも慣れたら美味しいのではとむしゃむしゃと食べるが、不味い。これあかん・・・。不味すぎるわ・・・あかん。

むしろ何かが肺から昇ってきた気がするので、俺は慌てて500%の力で犬っころの中から穴を空けて飛び出る。

 

「アユム!」

 

「う、うえっ、オロロロロロロロロロ---ッ!」

 

そして俺は全力で皆から離れ、綺麗に虹色の何かを、吐き出したのだった---あかん、これ生肉だし。これはあかん、不味すぎる。

しばらく・・・動けん・・・うっぷ。えぷ・・・!

そ、そうか。こ、これもお前の作戦のうちか、堕天使・・・!? なんて、・・・なんて卑怯なやつで、なんて策士なんだ・・・!

この策、まるで孔明のようだ・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

アユムがケルベロスに食われ、流石にダメかと思ったしアーシアも涙を貯めていた。

流石に体内にアユムがいるとなると木場やゼノヴィア、小猫ちゃんや朱乃さんも攻撃出来なくて見ることしか出来ない。

しかしすぐにケルベロスの中から物凄い音が聞こえた。

アイツ、まさか食べられたのはわざとで、体内からケルベロスを倒すつもりだったのか!

直線上には俺が居たし、アーシアも近くにいたから巻き込む可能性はあった・・・!

 

『だろうな、やつの強さはあんな魔物如きにやられるほどではない。

やつの強さは、今の相棒のはるか先だ』

 

悔しいが、ドライグが俺の思ったことに肯定してくれる。

ああ、間違っちゃいねぇよ。アユムは色々やって俺がなんとか倒したライザーと殴りあってたからな・・・しかも俺がライザーと戦った時は、ライザーはかなり消耗していたし。

あいつなら本当は倒せただろう。

 

そしてドライグの言葉は現実のようで、一際強い音が響くと、ボゴン、っという空気が破裂するような音ともにアユムがケルベロスの中から出てきた。

 

「アユム!」

 

ゼノヴィア以外の全員がほっと安堵の息を吐き、俺も安心して笑みを浮かべながらアユムに近づこうとすると、アユムは顔を真っ青にしていた。

なんだ、どうしたんだ---そう思ってると、アユムは俺の目では追えない速度で離れ、思わず周囲を見ると木に両手を着いてる姿があった。

そしてアユムは---吐いた。

 

「ええっ!?」

 

吐いたあああああああ!?

なんでだよ!? 何処に吐く要素が!?

俺だけじゃなくてみんなも驚いて固まってるしあのコカビエルですら呆然としてるぞ!?

 

「あ、アユムさん、大丈夫ですか!?」

 

誰よりも早く復帰したアーシアが慌ててアユムに近づくと、遅れてウサギも近づく。

そしてアーシアはアユムの背中を優しく擦り、ウサギは心配そうな様子で見ていた。

それを見て思い出す。

もしかしてあいつ、食べられた時にウサギが助けようとしてたからその時の揺れで酔ったのか?

結構ケルベロス吹っ飛んだり首動いてたりしてたしな・・・。

 

「あ、あーし・・・うっぷ。お、おええええええっ!」

 

「ああっ、喋っちゃだめですっ。無理しないでください!」

 

・・・なんかめっちゃ羨ましいな。

放っておこう、アイツはもうダメだ。放っておかないと戦えない。

でもアイツのせいで決戦!って感じの雰囲気が台無しなんだけど。

これ、どうしてくれるんだよ! もうコカビエルですら無言だぞ! 部長なんて魔力貯めてたのに撃ってないからな!?

アユムのせいで戦える空気じゃないんだが!?

 

「---完成だ」

 

その時、多分俺以外も誰かどうにかしてくれないかと思っていると、どこからか声が聞こえる。

今回ばかりはナイス! と思って声の主を見ると、バルパーだ。

さらに校庭の真ん中にあった四本のエクスカリバーが有り得ないほどの光を発し始めた。

目を凝らしてみれば、四本の聖剣が重なっていくのがわかる。

七本に分かれたものだが、その四本が一本に戻ろうとしているのだろう。

実際、光が収まったところには一本の聖剣が存在していた。

 

「4本の剣が統合される時に生まれる莫大な力を俺が頂く。奴とはそういう取引をしてな」

 

「その力を使って、天地崩壊の術を掛けたと言うの!?」

 

「フフフフフ! 此処から逃げるがいい。魔法陣の中で力を反響させ、あと20分もあれば聖剣のオーラは臨界点に達するぞ」

 

司教の姿をした小太りの男、バルパー・ガリレイが凶悪な顔を浮かべながら心にも無い忠告をする。

 

「阻止したいならば、この俺を倒すしかないぞ、どうする? リアス・グレモリー!」

 

そんな中、玉座に居たコカビエルが十の翼を広げ、挑発するように言ってくる。

そんなの部長にわざわざ聞かなくたって決まってる!

 

「さ、させ・・・おええっげほっげほっ!」

 

・・・うん、今回ばかりはお前は黙っててくれ。動けないならもう喋らなくていいから。

戦意削がれる!

 

「知れたこと!」

 

アユムは置いておいて、部長がついに滅びの力を放つ。

俺のギフトの力も入っていて、その大きさはでかい。

しかしコカビエルは手をかざすと、片手で部長の魔力を弾いた。

弾かれたことに驚く暇もなく、部長は自分の放った魔力の塊を避ける。

 

「なるほど、赤竜帝の力があればここまで引き上がるか。ククク、面白い」

 

「だったら、朱乃!」

 

何が面白いのか笑うコカビエルに対して、部長が唇を噛み締めると、もう一度魔力の塊を放つ。

しかしギフトの力は失われているからか、コカビエルは片手で止める。

そこに朱乃さんが背後から迫り、指から雷撃を放っていた。

だがコカビエルはそれすらも受け止めると、両手を合わせて二人の巨大な魔力を合わせることで合体した塊を作り出し、部長に放つ。

 

「部長!」

 

流石に大きすぎて避けられないからか、朱乃さんが魔法陣の障壁を貼るが、受け止めきれずに堕ちていく。

まずい!

 

「朱乃さああああぁぁぁん!」

 

俺はそれを見ると、今度は間に合った!

朱乃さんが地面に落ちる前に何とか受け止めたのだ。

 

「朱乃さん大丈夫ですか!?」

 

「イッセーくん・・・? ごめんなさいね、せっかくイッセーくんが---」

 

「いえ。そんなことはどうだっていいっすよ。それよりてめぇ! よくも朱乃さんを! 絶対許さねぇ!」

 

指を震わせるアユムがアーシアに朱乃さんの治療に行くように言ったらしく、アーシアがこちらに向かってくるのが見えた俺は任せることにする。

そして確かな怒りを抱きながら拳を握りしめてコカビエルに向かおうとするが、足を止めることになった。

バルパーに木場がその殺気を隠すことも無く剣を手に近づいて行っていたからだ。

 

「バルパー・ガリレイ。僕は聖剣計画の生き残り---いや、正確には貴方に殺された身だ。悪魔に転生することでこうして生きながらえている。僕は死ぬわけにはいかなかったからね、死んでいった同志たちの為にも諸悪の根源である貴様を此処で倒す!」

 

「危ない、祐斗!」

 

普段の木場なら気づいただろう。

しかし木場の背後、それも上空にいるコカビエルが槍を構えていたのが見えた俺と小猫ちゃんは二人同時に飛び出す。

しかし俺と小猫ちゃんは槍の爆発の余波だけで吹き飛ばされてしまった。

 

「木場!」

 

俺はすぐに体を起こして、木場が居た位置を見る。

すると直撃は避けたようで、槍が貫いてるというわけではなかった。

 

「直撃は避けたか。すばしっこいネズミだ---フリード。

最後の余興だ。四本の力を得たエクスカリバーでこいつらをまとめて始末して見せろ」

 

「へいへい。全く人使いの荒いボスだけど、超素敵仕様になったエクスカリバーちゃん。確かに拝領させてもらいやす。

いやぁ、しかしこんなことでこれほどの報酬を貰えるなら悪くないと思えてくるッスねぇ!」

 

そう言って魔法陣の中心にあったエクスカリバーをフリードは手に取る。

 

「さーて皆殺しは確定だけど誰から殺そうか・・・僕ちん迷っちゃって困りまくり♪」

 

そうしてフリードが最低な順番決めを行っている中、バルパーが木場に向かって歩いて行く。

爆発だけでなく光の余波まで受けた木場は直ぐには動けないようで、起き上がるだけで精一杯のようだ。

 

「あの実験の生き残りか、卑しくも悪魔に堕ちていたとはな。お前は私を恨んでいるようだが、逆に私はお前たちに感謝しているのだぞ?お前たちの犠牲のお陰で実験は成功したのだからな」

 

「・・・成・・・功?」

 

「あの時集めた被験者たちは皆、聖剣を扱う為の因子を保有していた・・・正確には人間は誰しも多かれ少なかれその因子を持っている。しかし実験では因子を強化する事は叶わなかった。そこで私は一つの結論に達したのだ! 被験者から因子だけを抜き出し、結晶化すれば良いと!」

 

そうしてバルパーは懐から一つの輝く結晶を取り出した。

 

「これはあの時の実験で貴様らから抜き出した聖剣の因子の結晶だ! 最後の一つとなってしまったがね!」

 

「!!?」

 

木場が驚愕の眼差しでその結晶を見つめる。

 

「ひゃはははははは! 最初は俺様以外にも使い手として因子を入れられた奴らが居たんだけどよ! そいつらは聖剣の因子に体がついて行かずに死んじまったんだぜェ☆ そう考えると、俺っちてばスペシャル仕様だねぇ!」

 

「てめぇ!」

 

俺に斬りかかってきたフリードの攻撃を躱しながら、俺は怒りを隠せなかった。

最低なやつとは思っていたが、ここまでなんて・・・!

 

「そうか。我ら聖剣使いが着任の命を授かる時、あのような物を体に入れられるが、アレは因子の不足分を補っていたという事か」

 

何かに気づいたらしいゼノヴィアの言葉から察するに、イリナたちもあの結晶を入れられて、聖剣使いに至ったってことか・・・!

 

「偽善者どもめが、私を異端として追放しながらも、私の研究成果だけは利用しよって・・・どうせあのミカエルの事だ。因子を抜き出した者たちも殺してはいないのだろうがな」

 

「なら、僕たちの事も殺す必要は無かったはずだ---研究が成功したと言うのなら、僕らはそれを称賛だってしたはずだ! それなのに、どうして!!」

 

「極秘計画の実験体など、必要なくなれば廃棄するしかなかろう? 不必要な存在など残す価値すらない。

あぁ、だがそれは欲しければくれてやろう。もはやさらに純度の高い結晶を作り出せる段階まで私の研究は進んでいるのでね」

 

そう言ってその結晶を祐斗の前に無造作に放り投げる。

そのバルパーの言葉は、酷いの一言に尽きた。

特に聞いていたアーシアなんて治療しながらも涙だって浮かべていた。

自分たちで勝手に集めておいて、子供は選ばれたなんて言われてしまえば拒否しない。

でも自分勝手に実験し、自分勝手に廃棄した・・・!

はっきり言って、こいつは狂ったクズだ!

 

「みんな・・・」

 

木場はダメージの残っているであろう体を動かし、無造作に投げられた結晶を両手で大切そうに包み込んで胸元で抱きしめていた。

 

「僕たちはこのことがいつか誰かのため、人々のためになると思って頑張ってきた。どんなに苦しい実験にも、辛くとも!

だというのに貴方は自分の欲望のためだけにどれだけの命を弄び、奪ってきた・・・!」

 

その瞬間、大切そうに抱えられた木場の持つ因子の結晶が想いに呼応するように暖かい意思を感じる光が溢れ出し、戦場を優しく照らし出す。

それは徐々に光の形を形成していき---青い光の人型が木場を囲むように現れる。

 

「恐らく、この戦場に漂っている様々な力の波動、それから祐斗くんの心からの震えが彼らの魂を解き放ったのですわ」

 

一体何かと思っていると、朱乃さんが説明してくれた。

確かに悪魔や堕天使、天使に・・・ゾンビがいる世界だ。こういう現象が起きるのも有り得るのか。

 

「皆・・・」

 

木場は自分の周りに現れた人たちに唖然としながら声を溢す。

 

「皆、僕は、僕はあの日からずっと思っていたんだ。ずっと・・・ずっと、思っていたんだ。僕が、僕だけが生きていていいのかって・・・。僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかった子がいた。僕よりもやりたいことを持っていた子が居たッ!

だというのに、僕だけが、僕だけが平和な暮らしを過ごしていていいのかってっ! 幸せになって良いのかって・・・!」

 

懺悔するかのように、木場は悲痛な面持ちで語る。

しかし一人の霊魂の少年が笑いかけると、みんなが笑い、木場に何かを伝えていた。

それはきっと、俺達には分からない木場にだけ向けたものだったのだろう。

 

「そうか・・・君たちはずっと、僕に復讐なんかじゃなくて・・・幸せに。生きて、欲しかったのか・・・」

 

先ほどまでの悲しみや絶望からの涙では無く、喜びや感動から木場は涙を流す。

そして彼の同志たちの口から歌が聞こえ始める---決して大きくはないのに、それでも確かに戦場の全てに確かに響き渡る歌だった。

 

「聖歌・・・」

 

その様子を見て涙してしまったであろうアーシアがポツリと溢す。

本来、悪魔が聖歌を聞けば酷い頭痛に苛まれるはずだが、誰一人としてそんな物は感じていなくて、むしろ温かく感じる。

きっと彼らが、過酷な辛い人体実験の中で唯一希望と夢を保つために手に入れたもの、唯一知った生きる糧なのだろう。彼らの魂が青白い輝きを発して木場を中心に眩しくなる。

 

『僕らは、一人ではダメだった---』

 

『私たちは聖剣を扱える因子が足りなかった。けど---』

 

『皆が集まれば、きっとだいじょうぶ---』

 

さっきまで聞こえていなかった声が、俺達にも聞こえるようになっていた。

俺は不思議と、何故かは知らないけど目から涙が止まらず、自然と涙を流していた。

 

 

『聖剣を受け入れるんだ---』

 

『怖くなんてない---』

 

『たとえ、神がいなくても---』

 

『神が見ていなくても---』

 

『僕たちの心はいつだって---』

 

「『---ひとつだ』」

 

いつの間にか木場を囲んでいた少年少女の霊魂は空へと登り、彼らの言葉が重なった瞬間、今まで感じた事の無い特異な波動が放たれた。

その闇夜の天を裂く光は、まるで木場を祝福してるように見える。

 

「暖かいです」

 

小猫ちゃんの感じたようにとても暖かく、それでいて静かで且つ力強い波動だった。

神々しく暖かな光に包まれていた木場がゆっくりと瞼を上げる。

 

『相棒』

 

そんな中、俺の中の腕からドライグが突然語りかけてくる。

 

『---あの騎士(ナイト)は至った』

 

こんな感動的な場面で挟んできたことに文句を言いたいが、言ってる意味が分からない。

一体、何に至ったのか。

 

『所有者の想いが、願いが、この世界に漂う『流れ』に逆らうほどの劇的な転じ方をしたとき、神器は至る。そう、それこそが---禁手(バランス・ブレイカー)だ』

 

珍しくも、ドライグが何処か楽しそうな様子で語るのが妙に印象的で、そう言われれば俺ですら途中で理解した。

 

「・・・バルパー・ガリレイ。同志たちは僕に復讐なんて望んではいなかった。

だけど!ここで貴方と言う悪意を打倒しなければ第二、第三の僕たちが生まれてしまうだろう。あの悲劇を経験した者として、この場で貴方を見過ごす事など出来はしない!」

 

木場の宣言を聞いた俺はその想いを後押しする為に声を上げる。

 

「木場ァァァァァ!! アイツらの想いを! 願いを! 今までのは無駄じゃなかったってことを! お前がエクスカリバーをぶっ壊すことでしらしめてやれぇえええええ!!」

 

「やりなさい祐斗。貴方はこのリアス・グレモリーの眷属。たかだかエクスカリバー如きに負ける事など許さないわよ!」

 

「祐斗君。信じてますわ」

 

「ファイトです。祐斗先輩」

 

「木場さん!」

 

俺の叫びに触発されたのか、皆が木場を後押しするように呼びかけた。

 

「ありがとう、皆・・・。僕は剣となる。ここまで僕を支えて、導いてくれた部長や仲間たちの為に。こんな僕を信じて、仲間だと言ってくれて、助けてくれた仲間たちのために。今も信じてくれてる人たちのために!

だから同志たちよ! あの時果たせなかった願いを、想いを今こそ、今度こそ果たそう! 僕たちの力で最強の剣となり、みんなを守るための力を貸してくれ!魔剣創造(ソード・バース)!!」

 

木場が片手を天に突き上げた時、木場の想いに応えるように白と黒の光が噴き出す。

そして、混ざり合って一つになった。

 

双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)。同志たちから受け取った聖の力と僕の魔の力。その双方を有するこの力、その身で受け止めてもらう!」

 

「聖魔剣だと!? 馬鹿な、有り得るはずがない! 相反する二つの要素が混じり合う事など起きようはずが無い!!

・・・フリードォ!!」

 

まさに聖魔剣というに相応しいその一本の剣を手に、木場は剣を構えた。

それに危機感を覚えたのか、パルパーは驚愕しながらも錯乱したように叫び、フリードを呼んだ。

あれが木場の禁手(バランス・ブレイカー)・・・凄い力だ!

あの力ならきっと、いや今の木場ならエクスカリバーに勝てるはず!

 

「はいよぉ〜! 呼ばれて飛びてて参上☆ さっきから吐気がするような感動シーン見せられてたせいで斬りたくてうずうずしてたんすよ。だからとっととテメェらを斬り裂いてついでに俺っちを散々舐めプしてきたあそこのゾンビも祓わせて貰おうかぁ!」

 

「そんなことをさせるわけにはいかない。彼は僕の大事な仲間だからね。

キミにも、これ以上同志たちの力を悪用される訳にはいかない。ここで終わらせてもらおうか」

 

バルパーの目の前に降り立ったフリードへ木場が剣を手にゆっくりとした足取りで歩いていく。

するとその横に共に歩む者が居た。

ゼノヴィアだ。

 

「リアス・グレモリーの騎士よ、まだ共同戦線は生きているか?」

 

「そう思いたいね」

 

「ならば共に破壊しよう。あのエクスカリバーを・・・」

 

「良いのかい?キミは教会の戦士だろう?」

 

「もうアレは聖剣であって、聖剣ではない。異形のナニカだ。もしエクスカリバーだとしてもソレはこれ以上汚して欲しくないだろうからな」

 

「・・・分かった」

 

何やら二人が話していると、共に並び立ってゼノヴィアが突然破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)を左側の地面に突き刺し、右手を真横に向けていた。

 

「ペトロよ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」

 

そのゼノヴィアが唱えた詠唱と一緒に、空間に黄金の光と波紋が生まれてそこから鎖で雁字搦めにされた蒼く美しい幅広の剣が現れる。

それは聖剣のように見えるし、同じような感じがした。

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する!聖剣、デュランダル!!」

 

ゼノヴィアが空中に浮かぶ聖剣の柄を握りしめ、力強く宣言する事によって聖剣を拘束していた鎖が荒々しい聖剣のオーラに当てられて粉砕し、完全に引き抜いた。

その姿を見た俺たちは、驚いた。デュランダルという名前はよく知らない俺でさえ知っていて、ゲームにもよく出てくる有名な剣だ。

俺たちだけじゃなくてコカビエルたちも驚いているのだから、それは相当なモノなのだろう。

 

「あれは・・・この世の全てを切り裂くと言われているエクスカリバーに並ぶ聖剣ですわね」

 

「バカな、聖剣デュランダルだと!?

私の研究ですらまだそれを扱える領域まで達していない! 一体何処でどのような調整を受けたというのだ!?」

 

「残念だが、私は調整など受けてないよ。私はソイツやイリナとは違う、数少ない天然物だ」

 

「なるほど。真の適性者、聖剣使いという訳か・・・! それならば確かに使えても不思議ではない・・・! 何故今まで気づかなかった!」

 

「それはそうさ。デュランダルは想像を遥かに超える暴君でね。触れたものは何でもかんでも斬り刻む。私の言うこともろくに聞かない。ゆえに異空間へ閉じ込めておかないと危険極まりないのさ。使い手の私ですら手に余る剣だ。だから奥の手としてでしか使うことはない。

---さて、フリード・セルゼン。おまえのおかげでエクスカリバーとデュランダルの頂上決戦ができる。私はいま歓喜に打ち震えているぞ。一太刀めで死んでくれるなよ? せいぜいエクスカリバーの力を存分に揮うことだ!」

 

そう言ったフリードがエクスカリバーにオーラを込めて鞭のように刃先を枝分かれさせながら伸ばし、ゼノヴィアに放つ。それはイリナが持っていた擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)の能力だ。

しかし、ゼノヴィアはそんな攻撃をあっさりとデュランダルの一振で粉砕した。

 

「所詮は折れた聖剣。このデュランダルの相手にはならない!」

 

ゼノヴィアがすぐさま飛んでデュランダルを叩きつけようとする。

だがその程度でやられるなら、以前戦った際に終わっていたはず。

 

「ここにきての超展開!そんな怖気が走る設定いらねぇんだよ!クソが!!」

 

案の定フリードはそれを高速で動いて避けた。

天閃の聖剣(エクスカリバー・ラビッドリィ)の力だ。

ゼノヴィアの攻撃はフリードに当たることなく校庭の地面を傷つけるが、隙の出来たゼノヴィアのフォローに入るように木場が駆け出してフリードと高速戦闘に入っていた。

何をやってるのかは見えない。

けれど分かることはひとつ、木場は優勢だ!

 

「そんな剣で!僕たちの想いには勝てない!!」

 

縦横無尽に動き回りながらも互いの剣をぶつけているようだが、一合、また一合と剣が衝突する度にフリードの持つ剣が欠けていくのがうっすらとだが分かる。

そして遂に木場の斬撃がフリードをエクスカリバーごと切り裂いた。

 

「マジ・・・ですか・・・」

 

フリードは奇しくもエクスカリバーが盾となったようで、派手に切り裂かれながらも致命傷には至らなかったようだ---とは言え、木場の剣にやられたフリードはもう動けないだろう。

 

「皆、見ていてくれたかい?僕たちの想いはエクスカリバーを超えたよ」

 

静かにだが、力強くあの子達に伝えるように木場は勝利の宣言をした。

そんな木場は深く息を吐き、すぐに残るバルパーを"キッ"と睨みつける。しかしバルパーは信じられないとでも言うように顔を強張らせていた。

 

「バルパー・ガリレイ。今こそ覚悟を決めて貰おう!」

 

しかし、剣を向けられてもなお当のバルパーは木場の言葉など耳に届いてないかのようにブツブツと何かを呟いていた。

 

「あのような特異な現象・・・聖と魔、それが混じり合うとしたらそれは・・・そうか!そう言う事なのか!聖と魔、片方だけでなく双方のバランスを司るものが居ないのであれば説明はつく! つまり、魔王だけでなく対となる神---」

 

突然何かを言い出したバルパーの言葉が終わる前にその腹に光の槍が突き刺さり、バルパーの肉体を文字通り塵に変えた。

 

「バルパー、お前は優秀だったよ。そこに思考が至ったのも優れているが故だろうな」

 

そんなヤツを殺した張本人---コカビエルが言いながらゆっくりと高度を下げながら降りてきた。

 

「コカビエル、一体どういうつもりかしら? 仲間を殺すなんて・・・」

 

「仲間?何を言っている?あんな奴がどうなろうが興味などない。余興にも飽きた---そうだな、そこの赤竜帝の小僧。限界まで力を上げて、誰かに譲渡しろ」

 

圧倒的な重圧と凄まじいオーラを纏いながら、不敵な笑みを浮かべるコカビエルの言葉に部長が激昂した。

 

「私たちにチャンスを与えるというの!? ふざけないで!」

 

ヤツの言葉は俺たちを舐めている証だ。

しかもわざわざ俺の力で強化して譲渡するように言ってきたということは、俺たちの普通の攻撃では通用しないという自信の現れなのだろう。

 

「ふざけないでだと? ハハハ、ふざけているのはお前たちの方だ。俺を倒せると思っているのか?」

 

凄まれるだけで全身を射抜かれる。

ライザーとは比べ物にならないほどの恐怖、圧倒的な力の差。

何も言い返せないでいると、俺の右手が誰かに触れられる。

視線を向ければ、そこには部長がいた。

 

「・・・イッセー、神器(セイクリッド・ギア)を。時間が無いわ、私が倒す」

 

「部長・・・」

 

確かにこの中で一番可能性のあるのは滅びの力を持つ部長だ。

俺は部長に応じて、手を握り返しながら一緒に前へと出る。

 

『Boost!』

 

機械的な音声とともに真っ赤な閃光が俺の神器(セイクリッド・ギア)の宝玉から発せられた。

出し惜しみはなしだ。

ヤツが待ってくれるというならば、最大火力をぶつけて、待ったことを後悔させてやる!

 

「来ました、部長!」

 

あれから数分後、俺の赤龍帝の籠手の宝玉から眩い光が発せられる。

その間もコカビエルは何もしてなくて、本当に俺たちを舐めてるらしい。

 

「・・・イッセー」

 

赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!」

 

『Transfer!』

 

部長の想いが手から伝わってきて、俺は部長に力を譲渡する。

その瞬間、部長の魔力が一気に膨れ上がり、近くにいる俺は油断すれば吹き飛びそうなくらいに凄まじい力を感じていた。

 

「ぶ、部長・・・!」

 

「すごい・・・!」

 

「ここに居ても凄まじい魔の波動を感じる・・・!」

 

いつもの部長も凄いが、今の部長は普段の何倍も上回る力だ。

離れてるアーシアや木場たちですら伝わっているのだから、相当なもののはず。

 

「フハハハハ! 良い、いいぞ、リアス・グレモリー! その魔力の波、波動、力!

俺に伝わるお前の力は最上級悪魔に匹敵する魔力だ! お前も兄に負けず劣らずの才に恵まれているようだな!」

 

「消し飛びなさいッ!」

 

部長はコカビエルの言葉には答えず、狂喜に彩られた表情を浮かべるコカビエルに部長の滅びの力が放たれる。

地の底まで響くような振動を周囲に巻き散らし、龍のようにも見える魔力に対し、コカビエルは片手ではなく、両手を前に突き出して受け止めていた。

 

「面白い! 面白いぞ、魔王の妹! サーゼクスの妹!」

 

最大の一撃を受けてもなお、面白そうに笑うコカビエル。

部長が魔力の勢いを強めるが、その一撃は徐々に形を失い、勢いを殺されて部長が弾かれるのと同時に魔力が消失した。

あの一撃でも無理だってのかよ・・・!

 

「朱乃!?」

 

そう思っていると、隙の出来たコカビエルに対して朱乃さんが雷撃を放つ。

その攻撃をコカビエルは翼で自身を守るように包み、天雷を受け止めていた。

 

「俺の邪魔をするか、バラキエルの力を持つ者よ」

 

「・・・ッ。私をあの者と一緒にするなッ!」

 

朱乃さんは目を見開き、激昂して雷撃を強めるが、コカビエルには通用していない様子だった。

 

「バラキエル・・・?」

 

「『雷光』の二つ名を持つ雷使い手と聞いたことのある。堕天使の幹部の名前だ」

 

普段からは考えられない朱乃さんの様子に驚くが、名前をどこかで聞いたことがあると思っていると、近くにいたゼノヴィアが教えてくれる。

 

「悪魔に堕ちるとはな! ハハハ! まったく、愉快な眷属を持っているな、リアス・グレモリーよ! 赤龍帝、禁手に至った聖剣計画の成れの果て、そしてバラキエルの娘! おまえも兄に負けず劣らずのゲテモノ好きのようだ!」

 

「兄の---我らが魔王への暴言は許さないっ! 何よりも私の下僕への侮辱は万死に値するわっ!」

 

朱乃さんがバラキエルの娘---つまり堕天使の娘だと知らなかった俺とアーシア、ゼノヴィアが驚いてると、部長の怒りの叫びをコカビエルは鼻で笑い、地面に足を着くと挑戦的な物言いをしていた。

 

「ならば滅ぼしてみろッ! 魔王の妹! 『赤い龍(ウェルシュドラゴン)』の飼い主! 紅髪の滅殺姫(べにがみのルインプリンセス)よっ! おまえが対峙しているのは、貴様ら悪魔にとって長年の宿敵なのだぞ!? これを好機と見なければおまえの程度が知れるというものだ!」

 

正直色々なことがあってよく分からないが、俺も我慢の限界だった。

聞いていれば散々言いやがって!

 

「やい、このくそ堕天使! てめぇこれ以上部長や朱乃さんにふざけたことを抜かしてみろ! 俺がぶちのめしてやるからな!」

 

「貴様・・・馬鹿なのか?」

 

「馬鹿で結構! いいか、そこを動くなよ! 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!」

 

『Boost!』

 

「イッセー、ダメ!」

 

光の剣を作り出したコカビエルに対して、俺は啖呵を切る。

部長から止めるような声が聞こえてくるが、関係ない。

例え勝てないほどの力差があっても、ここで何も言わなきゃ男じゃねぇ!

 

「兵藤一誠! ここは私たちが時間を稼ぐ!」

 

「イッセーくんはパワーを!」

 

「お、おう!」

 

『Boost!』

 

ゼノヴィアと木場が駆け出し、俺の後ろから小猫ちゃんが飛び出す。

確かにパワーを貯めなければ俺の力は大したことがない。

その通りにするしかないか・・・!

 

「ほぉ、デュランダルと聖魔剣の同時攻撃か」

 

速い木場の攻撃を片手の剣で受け止め、もう片方の手に作り出した光の剣でゼノヴィアの一撃をコカビエルは受け止める。

二人は押し込もうとしているようだが、ビクともしてないようで、両手が塞がったコカビエルに小猫ちゃんが上空から飛びかかる。

 

「・・・そこ!」

 

だがコカビエルは翼を広げ、鋭い刃へと刃物と化すと凄まじい突風と共に小猫ちゃんに木場、ゼノヴィアを纏めて吹き飛ばした。

あれでも全く通用しない!?

 

『Boost!』

 

神器から力が増える音声が鳴る。

それでもまだ溜まってなくて、焦る気持ちが出てくる。今すぐにでも俺も飛び出したい衝動に駆られる。

しかしそれをすればみんなの頑張りを無駄にすることになるから、俺は耐えるしかない。

そして起き上がった木場とゼノヴィアに対してコカビエルは両手の剣をクロスして光のエネルギーを放ってきた。

二人がその一撃を受け止めるが、コカビエルの力は凄まじく俺たちにですら向かってくる。

それはまずい・・・!

そう思って、俺はアーシアの方へ向くが、加速したウサギが余波を蹴り飛ばしていた。

 

「お前・・・!? って、木場やゼノヴィアは!?」

 

助けてくれたのは有難いが、その足はどうなってるのかと驚く暇もなく、剣で止めてたとはいえまともに受けた二人は大丈夫なのかと見渡すと、消耗はしているようだが無事ではあるようだった。

 

「まだだ・・・!」

 

「まだ向かってくるか。いいぞ、来い!」

 

 

「っ・・・魔剣創造(ソード・バース)!」

 

コカビエルの辺りに聖魔剣を作り出し、囲んだ木場の剣たちだが、コカビエルはつまらなそうにそれら全てを翼で防ぎ、さっきと同じ要領で全て砕く。

 

「この程度か」

 

だが、それだけじゃなかった。

砕けた剣の破片によって視覚を奪われているコカビエルに対し、真っ直ぐ剣を突き出す木場。

しかしコカビエルは左手の指だけで止め、もう片方の手から創り出され、突き出された木場の剣すら右手の人差し指と親指だけで止められる。

 

「バカめ」

 

「まだだ!」

 

嘲笑うコカビエルに対して木場が口を開けると、口周りに聖魔剣が創造される。

その三本目の聖魔剣の柄を歯で抑えた木場は、勢いよく首を振った。

流石のコカビエルもその攻撃に虚をつかれたのか、木場の剣を離して後方へ退く。

あれでもダメージを与えられなかったのか?と思って見れば、コカビエルの頬に横一文字の薄い切り口があり、少しだけ血が滲んでいた。

 

「貴様・・・!」

 

あれだけしてもなお、唯一ダメージを与えただけで大したダメージにはなっていない。

ただプライドが傷つけられたのか木場に対して巨大な濃密な光球をコカビエルは放つ。

その攻撃を動けない木場に対してすかさずゼノヴィアが誰よりも早く割り込み、デュランダルの横にして受け止めながら気合いの一斉と共に切り裂いていた。

だが、俺も含めて全員が肩で息をするほどに消耗し、絶望的な表情を浮かべていると一人だけ余裕の表情だったコカビエルは苦笑する。

あと少しだってのに・・・なんだ?

 

「教会のものが悪魔を助けるか。しかし仕える主を亡くしてまでお前たちの悪魔と神の信者はよく戦うものだな」

 

「なに?」

 

突然コカビエルは謎の言動を発し始めた。

俺たちはそれがなんなのか意味がわからない。

 

「・・・どういうこと?」

 

「おっと、口が滑ったか・・・」

 

「答えろ、コカビエル! その言葉はどういう意味だ!?」

 

無視出来ない言葉だったからか、部長が怪訝そうな口調で訊き、口を閉じるコカビエルにゼノヴィアが問い出そうとしていた。

そんなゼノヴィアに対し、コカビエルは何が可笑しいのか盛大に笑い始める。

心の底から無知なことを嘲笑うように、おかしそうに、思い出すかのように。

 

「フフフ、フハハ、フハハハハハハハハハハハ! そうだな、そうだった! これから戦争を起こすってのに今更隠す必要なんてなかったか!

口を滑らせたついでだ。教えてやるよ。先の三つ巴の戦争で四大魔王だけじゃなく、神も死んだのさ!」

 

衝撃的な言葉がコカビエルから告げられ、その場にいた全員が驚愕を露にする。

特に教会に関連がある木場とゼノヴィア、アーシアが一番驚いている。

 

「う、嘘だ・・・そんなはずはない! そんな戯言が真実のはずが無い!!」

 

「そうよ、神が死んだなんて・・・馬鹿なことを。そんな話、聞いたこともないわ!」

 

ゼノヴィアの信じられないように叫んだ声に同調するように、部長も叫ぶ。

いや、部長やゼノヴィアだけじゃない。

俺も、この場の誰もが信じられないといった様子だった。

 

「知らなくて当然だ。あの戦争で神が死んだなんて誰に言える? 人間は神がいなくては心の均衡や定めた法すら機能しない愚かな存在だぞ。だからお前らのような下々のような存在に教えることなど出来なかった---どこから漏れるか分からなかったからな。

真相を知ってるのはトップと一部の者達だけだろうよ。

先程、バルパーは気づいたようだがな」

 

さっき何かを言おうとしてたバルパーを思い出す。

あれは口封じのためでもあったってことかよ・・・でも神が死んだなんて・・・!

 

「あの戦争で悪魔は魔王と上級悪魔を数多く失い、天使も堕天使も幹部以外ほとんど失った。もはや純粋な天使は増えることすら出来ず、悪魔とて純血種は希少なはずだ」

 

「そ、そんな・・・そんなこと・・・」

 

アーシアが信じたくないというように呟く。

実際、信じたくないのだろう。

なぜならそれが真実なら木場の過ごしていた日々も、祈っていたアーシアの日々も、神を信じて剣を振るっていたゼノヴィアも、全員の想いが無駄になる。

神を信じて頑張ってきた、全てが偽りになる。

 

「もはやどの勢力も人間に頼らなければ存続出来ない程に落ちぶれた。三大勢力のトップ共は神を信じる人間を存続させるためにこの事実を隠蔽したのさ」

 

「・・・ウソだ。・・・ウソだ・・・」

 

離れたところで戦いの場だというのにデュランダルを落とし、力が抜けたように項垂れるゼノヴィアの姿がある。

現役の信仰者で神の下僕。神に仕えることを使命として生きてきた存在---生き甲斐を失ったも同然なのだから、仕方がないといえば仕方がない。

 

「だが! 俺が一番気に喰わないのは神も魔王も死んだ以上、戦争継続は無意味だと判断した事だ! 一度振り上げた拳を収めろだと!?

あのまま継続していれば、俺たちが勝てたかもしれないのに、だ!アザゼルの野郎も2度目の戦争は無いと宣言する始末! ふざけるのも大概にしろ!! 人間に頼らなければ生きていけない俺たちに何の価値がある!?

だから、誰も戦争を起こす気が無いと言うのであれば俺がこの手で戦争を引き起こしてやろうってことだ!! 故意的にでも起こさない限り再び起きることはないだろうからな!!」

 

憤怒の形相で持論を語るコカビエルからは、さっきとは比べ物にならない威圧を感じるが、俺たちはそれどころじゃなかった。

特にアーシアは口元を手で抑え、体を震わせながら涙を浮かべている。

彼女は信仰者で毎日、どんな時も祈りを欠かさずにやっていた。

いつか神が応えてくれると。

だがそれが無駄で、意味がなくて、今までの人生を否定されることになった。

アーシアは大半の人生を捧げたのだから。

 

「・・・主はもういらっしゃらない・・・。 主は・・・死んでいる? それでは私たちに与えられる愛は・・・?」

 

アーシアの疑問にコカビエルはおかしそうに答える。

 

「そうだ。神の守護、愛がなくて当然なんだよ。神はすでにいないのだからな。ミカエルはよくやっていると思うよ、神の代わりをして天使と人間をまとめているのだからな。

まあ、神が使用していた『システム』が機能していれば、神への祈りも祝福も悪霊祓いもある程度動作はする」

 

その言葉に、俺たち---特にその中でも教会に関係する三人は誰よりもショックを受けているようだった。

つまりミカエル・・・確か天使のトップだったか。代わりにやってるってことだ。

 

「とはいえ神がいる頃に比べ、切られる信徒の数が格段に増えたがね。

そこの聖魔剣の小僧が聖魔剣を創りだせたのも神と魔王のバランスが崩れているからだ。本来なら、聖と魔は混じり合わない。

聖と魔のパワーバランスを司る神と魔王がいなくなれば、様々なところで特異な現象も起こる」

 

それを聞いたゼノヴィアが、堪えるように唇を噛み締め、木場は剣を強く握り、アーシアはただ辛そうに泣き声を出さないためか口を抑えたまま涙を流す。

 

「俺はこれを機に戦争を勃発させる! お前たちの首を土産に、俺だけでもあの時の続きをしてやる!」

 

こいつ、そんなもののために俺たちの街を壊すってことかよ・・・ッ!

それにこいつの言い分でハーレム王になる道を閉ざされてたまるか!

俺は意を決して前へ---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しょーもな。くだらねーわ」

 

出ようとした瞬間、ドンッと凄まじい音を立てて、土埃を発生させながら何かが降り立つ。

血だらけでボロボロな学生服に、色の抜けた髪。

背負われているカジキマグロ、いつの間にか肩に乗っているウサギが印象強い---アユムだ。

 

「アユム・・・!?」

 

「小猫ちゃん。これ、君ならサイズ問題ないから汗臭いかもしれないけど着といて。目のやり場に困る」

 

「え・・・あ・・・。は、はい・・・」

 

俺が突然現れた親友に驚いていると、どうやって背中にあるカジキマグロに突っかからず脱いだのか分からないが、服を掴んでバッと脱ぐと服がはだけて下着が見えている小猫ちゃんに被せる---こいつ、自然と渡しやがった・・・!

 

「で、コカビエルとやら。お前、戦争したいんだってな」

 

「おまえはあの時の・・・! 存在が薄すぎて忘れていただけではなく、この俺ですら気づけなかっただと・・・?

いや、今はいい。そうだ、それがどうした?」

 

「はっ、萎えた。くだらん、アホ、消えろ、帰れ。面白くもない。

なぁ、ゼノヴィア、木場、アーシア---いや、みんな」

 

心底面白くなさそうにコカビエルに罵倒しまくったアユムは珍しく無表情で、アユムはぺっと唾を地面に吐き捨て、口を腕で拭うと俺たちに呼びかけてくる。

それに反応して、みんなが顔を上げた。

 

「話を聞いてたが、そんな神が大事か? 俺たちは生きてる。神が居たって居なくたって、死ぬわけじゃない。

この世界は広い。どれだけつまらなくとも、面白くなくとも、死にたいと思うような現実でも、いずれ出会える。生きたいと思えるような、そんな日々に。そんな人に。

現に今という日常が、良いんだろ? だから今日、ここに来て戦いに来たんだろ、守るために。

これからの日々を、毎日を、守るために」

 

アユムが俺たちに投げかけてくるその言葉は、何処か不思議と、上面ではなく重たくのしかかってくる。

そう、まるで自分がかつて経験していたように。

ただそれでも、下を見てしまう。

知ってしまった、衝撃的な真実を考えて。

俯いてしまう。

 

「神は死んだ。やり直しなんて出来ないし、したって無意味だ。

だったら俺たちはもう、神の居ない現実を受け止めて未来へ進むしかないだろ? たとえ神に愛が貰えなくたって---俺たちは人だ、人外だ、でも心がある、感情がある!

神から貰えなかったとしても、誰かから愛を受け取ることは出来るだろ!

ここで終わらないなら、人生まだまだ終わらねーだろうが!

やりたいことがあるんだろ!守りたい人達がいるんだろ!ないならやりたいことを見つけろ、したいことを見つけろ、そのためにも生きなきゃダメだろうが!

だったら俯くな!前を向け、明日(あす)へ目を向けろ!」

 

アユムなりの叱咤なのだろう。

その言葉を聞いていた人たちが気がついたように、思い出したように頷き、一人、また一人と顔を上げていく。

顔を上げたみんなは、表情が変わっていた。

ただそれでも、アーシアだけは辛そうで、涙を流したまま俯いていた。

 

「それとコカビエ・・・いいやクソ堕天使。お前にはひとつやらなきゃいけないことがある。俺の胸を光の槍でぶっ刺したことは許してやるよ。

ただな---」

 

一度アユムがコカビエルから視線を変え、俺たち---いや、間違いなくアーシアを見た。

そして拳を握りしめたかと思うと、アユムの姿が消える。

俺の目から、消えていた。

目は離してなかった。俺もある程度は強くなった---だというのに俺にはどこに行ったか分からず、木場や部長たち、ゼノヴィアですら驚き、探るように周りを見渡していた。

そう、この場で一番弱いであろう俺だけではなく、この場の誰もがアユムの速度が見えてなかったのだ。

 

「!? きさ---」

 

声に反応して一斉にコカビエルの方を見れば、コカビエルの表情は驚愕に染まっており、さっきまでアユムが居た地面は砕けていた。

 

「そんなくだらねぇことより、お前のつまねえ目的よりっ!

俺のことよりッ! 俺がお前を許せないのは、お前がアーシアを泣かせて傷つけた事実だけだ!」

 

渾身の、怒りの籠った一撃。

俺たちがあれだけ苦戦し、与えられたのはたったのかすり傷レベルの一撃だというのに、アユムは容易に近づき、その拳をコカビエルの頬にぶつけては思い切り殴り飛ばしていた。

コカビエルがきりもみ回転で吹っ飛んでいく姿を、俺たちはただ驚きながらみていた。

あのアユムが、珍しく怒っていたんだ。

普段は掴みどころもなくて、飄々としてて、何事にも興味がなさそうな目をしていて、底知れない力が確かにある、信頼出来る俺たちの仲間---そんなアユムが、コカビエルに対して間違いない怒りを抱いて睨みつけていた。

 

「アーシアッ!」

 

だがそんなアユムでも咄嗟に反撃を受けたのか、アユムの腕はあらぬ方向に曲がっていた。

しかしアユムは自分の腕を強引に治し、アーシアを真っ直ぐ見つめて大声で呼ぶ。

今も絶望し、辛い思いをし、俯いて、涙を流す彼女の名を。

するとアーシアはゆっくりとだが、顔を上げていた。

 

「アユ、ム・・・さん・・・?」

 

「たとえ神が居なかろうが、アーシアはひとりじゃない!友達だっている、()()()だって居る!アーシアを泣かせるやつは、俺がどんなやつだって今みたいにぶん殴ってやる!

だから---俺を信じろッ!

どんな苦しいことがあっても、辛いことが起きても、アーシアが俺を信じてくれるなら、俺が全て受け止めてやる!ずっと守ってやる!どれほど辛い現実があったとしても、絶望があってもいくらでも慰めてやるッ!希望を与えてやるッ!

だから、過去じゃなくて、これからを! 未来を見据えろ!」

 

「ッ・・・!」

 

アユムのその姿は、同じ男として、何よりも人としてかっこよく見える。

もうこの場に漂う絶望は何処にもない。俯いてる奴はいない。アユムの言葉は、みんなに向けた言葉ではないはずなのに、間違いなくみんなを救い、みんなに光を灯した。

そしてその言葉を聞いたアーシアですら涙を拭い、さっきまでの辛そうな表情が嘘のように、彼女は目尻に小さく涙を浮かべながら淡く天使のような笑顔を浮かべて顔を赤くしながら口を開く。

 

「はぃ・・・はい・・・! 私は、私はずっと、()()()からアユムさんを信じてます! だから、無事に・・・無事に帰ってきてください!」

 

「ああ---任せろ。

みんなを傷つけた。大切な人たちに危害を加えようとした。友に手を出したッ!

コイツは大勢の人を傷つけた。ここから先は、俺の喧嘩だッ!」

 

そう叫びながらコカビエルに対して拳を構えるアユムの姿を、俺はやっぱり、見ていることしか出来なかった。

ただ何故だろう。

俺はその姿に不思議と、嫉妬なんかではなく、憧憬を抱く。

そう、いくら親友とはいえ、頼りになるとは思っていても、こんな感情、抱くことなんてなかったのに。

だったら、その理由はきっとアユムは---俺の理想とする、強さの象徴のひとつだったからなのだろう。

・・・かっけぇ。俺もあんなふうに、誰かを守れるように、誰かの力になりたい・・・その姿を見てると、邪な心もなく、純粋にそう思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アユムさん・・・貴方にお会い出来たことが、私にとって・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






うーんこれは自分をモブと思い込んでるだけの主人公。
他者視点だと普通にかっこいいから困るな、こいつ・・・。
そしてドライグさんのせいで勝手に上がるアユムの評価。
なお感動シーンが終わるまでゲロを吐いてた模様。

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