これはDxDですか?〜いいえ、ゾンビです   作:絆蛙

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『最近、考えるようになっていた。
大丈夫。そうだと分かっていても、私の体が動いていたことを。本当は、動くつもりがなかったから。
アユムには、迷惑をかけてしまったと思う。アユムは私のせいで何度も何度も、酷い怪我を負った。死ぬ思いをした。だけど彼は一度も逃げなかった。諦めなかった。
だからコカビエルを相手にしても大丈夫・・・それは分かっていたのに、どうしてだろう・・・。私は、感情を殺さなければならないのに』

悩むようにペンを握るユーの姿。




第二話 強・制・参・加

「冗談ではないわ!」

 

プール掃除をした日の翌日の放課後、オカルト研究部の部室にて先輩が苛立ちを隠しもせずにそんなことを吐き捨てていた。

 

「堕天使の総督が私の管理する町に潜入して、あまつさえ営業妨害していただなんて!それに、私の可愛いイッセーに手を出すなんて・・・万死に値するわ!!」

 

どうにも昨日はあの後一誠の客?から呼び出しが掛かり、そこで一誠の客?ってやつが堕天使だと発覚したのだとか。

ついでに三大勢力のトップによる会談がこの町で執り行われる事を告げたとか。

うーん・・・これ、さては俺にも関係があるな?(名推理)

 

「部長。この町でトップ会談と言うのは本当なんですか?」

「ええ。私も先ほど聞いたばかりだけど、間違いないわ。一度トップ同士が集まり、今後のことを話し合うことになったそうよ」

「コカビエルの一件は三大勢力のトップを動かすには十分な刺激があったと言う事か・・・」

 

小猫ちゃんが先輩に聞いていたが、間違いないらしい。

分かりやすくまとめてくれたゼノヴィアだけでなく、一誠とアーシアと俺を除いて皆難しい顔をしている。

俺はやはり分からん。ユーに聞くべきかなこれ。

 

「それにしてもアイツ・・・俺に態々接触してきたって事はやっぱり、俺の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を狙ってきたのかな」

「確かにアザゼルは神器(セイクリッド・ギア)にも造形が深いと聞くね。有能な神器(セイクリッド・ギア)所有者も集めてると聞くけれど、大丈夫だよ。僕がイッセーくんを守るからね」

「い、いや・・・それは嬉しいんだけどさ・・・真顔で男にそんなことを言われても反応に困るというか・・・」

「真顔で言うに決まってるじゃないか。君()僕を助けてくれた。それに問題ないよ。禁手(バランス・ブレイカー)に至った僕の力と一誠くんの赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が合わさればどんな危機にも乗り越えられる気がするんだ。前まではこんな暑苦しいことを口にするタイプではなかったんだけど・・・イッセーくんや神谷くんと付き合っていると不思議と心構えが変わってしまう。それが嫌じゃなくて、こう・・・胸の辺りが熱いんだ」

「お、おまえ・・・や、やめろ!キモイぞ、近寄るな!」

「そ、そんなぁ・・・神谷くん・・・」

 

おいやめろ俺にも矛先を向けるな。気落ちした目を向けるな。

てか何気に最初の方、俺のことも含んでますよね!?

 

「あ、アユム?」

 

俺はただ無表情で目を閉じ、一誠に近づくと同情するように肩を掴んだ。

分かるぞ一誠。俺も先日言われたからな。

 

「な、なぁ・・・アイツなんかコカビエルの一件からおかしくないか?」

「気のせいだ」

「いやでも」

「気のせいだ、諦めろ」

「・・・おう」

 

深く考えては行けない気がするので、一誠を無理矢理納得させる。

というかそこから先は間違いなく地獄だ。

このままではただでさえ噂が多い一誠がより多くなって、俺すらも危うくなりかねない。

普段学校では俺は力尽きてるからあんまり広まってないけど、一誠は悪魔になった時にクラス中に見られてるからな・・・。

 

「しかしどうしたものかしら・・・。あちらの動きが分からない以上はこちらも動きづらいわ。相手は堕天使の総督。下手に接することも出来ないわね」

 

先輩が嘆くように考え込んでいるが、話に入れないのでウサギさんと戯れてると、強力な気配を感じた。

逃げようと思ったが、これは来る方が早いな。

うーむ・・・隅っこに居よう。

 

「アザゼルは昔からああいう男だよ、リアス」

 

俺が隅っこに移動したのと同時に、転移魔法陣が展開され、そこからメイドさんと先輩に似た紅髪の美丈夫---魔王様が現れる。

 

「な!?お・・・お兄様!?」

「え!?ま、魔王様!?」

 

いきなり現れた悪魔のトップの一人に驚愕の表情を浮かべる先輩だが、姫島先輩とイケメン、と小猫ちゃんはその場で膝を突き、一誠も慌てて見様見真似で同じく膝を突いていた。

しかし俺とアーシア、ゼノヴィアは立ったままだ。

俺に関しては頬を引き攣らせていた。

とりあえずバレないように極力端っこで気配を消して空気に---おいどうなってんだよ、もうメイドさんにバレたんだが?

まあこの人かなり強いしなあ・・・バレるよね。

少なくとも500%じゃ勝てないし、800%を引き出しても戦う気で来られたら余裕で負ける。

 

「やぁ、久しぶりだねアーシア・アルジェント、それから神谷アユムくん」

「は、はい!お久しぶりです」

「うす、元気そうッスね魔王様。今日は服装違うっぽいですけど」

 

本当は一発殴っていいですか、と口にしたいが先輩の前なのでやめた。

俺、まだ試された時のこと恨んでますよ。ユーのことを知れたというか聞くタイミングを作ってくれたって意味では感謝してるけど。

 

「今日はプライベートで来てるからね。だから皆も楽にしてくれたまえ」

 

やっぱりフランクだなこの人などと思ってたら、一誠たちが何やら驚いた目で俺を見ていた。

なんだよ、この人に気を使うだけ無駄だろ。むしろこっちの方が嬉しそうだもん。

それに魔王だろうが俺にとっては関係ないし、悪い人ではないってのは知ってるしな。

 

「あなたが魔王か。はじめまして、ゼノヴィアという者だ」

「ごきげんよう、ゼノヴィア。デュランダルの使い手がリアスの眷属になるとは、初めて聞いた時は耳を疑ったよ」

「私も悪魔になるなどと、我ながら大胆な事をしたと思ってるよ」

 

そんなことを思っていると、初めて会うらしいゼノヴィアは魔王様と挨拶を交わしていた。

 

「と、ところでお兄様。どうしてここへ?」

 

本題に入るためか、挨拶が済んだのを見計らった先輩が魔王様に疑問を呈する。

そういえばプライベートで来てるって言ってたな。この人シスコンだし・・・あっ(察し)

 

「何を言っているんだ、公開授業が近いと聞いたよ。可愛い妹が勉学に励む姿を見たいと思うのは兄として当然だろう?」

 

そう言って魔王様が懐から一枚の安っぽい紙を取り出したかと思えば、その用紙には『授業参観のお知らせ』とデカデカと書かれていた。

知ってた。俺には関係ないからいつも無視してて忘れてたが、あるんだよなこれ。どの学校にもあるんだけど、なんでわざわざやるんだろうね。

 

「ああ、安心しなさいリアス。父上もこの日の予定を空けるため当主の仕事は最優先で処理したと仰っていたよ」

「そ、そうではありません!・・・お父様はまだしもお兄様は魔王なのですよ? 私のような一悪魔を特別視するような事が在っては・・・!

それに魔王としてのお仕事はどうなさるおつもりですか!?」

「なに、可愛い妹のためなら父上も私も、魔王職が激務であったとして休暇を無理矢理入れてでも来るさ。それに心配しなくともこれも仕事のうちでね」

 

俺に婚約パーティーを壊して欲しいと頼んだだけあって流石のシスコンっぷりに舌を巻く。

でも魔王職って激務なのか・・・上に立つ者だもんな。給料って出るのかな。

あんなパーティ開けるんだし出てそうだな。

 

「仕事・・・ですか?」

「うむ。この町で行われる三大勢力のトップ会談をこの駒王学園で執り行おうと思ってね、その下見も兼ねているのだよ」

 

三大勢力のトップ会談。悪魔、堕天使、天使のトップがこの駒王学園で集まるということだろう。

そういえば先輩が言ってた気がする。

そうか・・・この学園でやるのか・・・。当日休もうかな?

絶対何かあるじゃん。俺巻き込まれるやつだろこれ!

トップが全員揃うとか・・・それぞれの勢力の情勢がどうなってるか知らないけど、クーデター派とかいるかもしれないのにそんなやつらからすれば狙うチャンスじゃん!なんで特別な防衛力もないこの学園にするんですか?

せいぜい人外が多いだけやんけ・・・。

 

「な・・・何故この学園なのですか?」

 

先輩も似たようなことは思ったのか、魔王様に聞いていた。

人間が巻き込まれたらどうする気なのだろうか。というかアーシアは人間だぞ。

 

「この学園には様々な『力』が渦巻いている。

魔王の妹であるリアスにシトリー嬢、赤龍帝に聖魔剣使いにデュランダル使い。さらにエクスカリバーに白龍皇とコカビエルが襲来し、それらを撃退した不死者(アンデッド)。そして今回、この学園に姿を現したユークリウッド・ヘルサイズ。

これらは偶然では片付けることの出来ない事象だ。何かしらの因果があるんじゃないかと思ってね」

 

そう言って、魔王様が何故か俺を見てくる。

やだーまるで俺が原因見たいに視線送るのやめてくれませんか。確かにユーは傍にいる俺の運命が一番変わるって言ってたけど、そんなラノベ主人公でもないんだからさー。

 

「まぁ今は別の問題があってね」

「別の・・・?」

「ああ、魔王の仕事を終わらせたとは言っても、先程のことでね。

本当はもっと早く来たかったのだが、こんな遅い時間になってしまったのだよ。人間界の宿泊施設というのは空いているのだろうか?」

 

どうやらこの魔王様は仕事を終わりに来たようだ。

別に朝でよかったんじゃないですかね・・・?

まぁ、行くのは人外スペックがある点から考えて問題ないと思うけど調べるのに時間かかって間に合わないと思うんですけど(名推理)

 

「あ、それなら---」

 

宿泊場所がもしかしたら無くなる可能性のある魔王様に対し、一誠が手を上げて家に泊まることを提案していた。

先輩はそれを拒否したそうというか憂鬱そうな顔をしていたのだが、相手は仮にも魔王で兄である魔王様を拒否する理由が見つからなかったのだろう。

もしその理由があったとしても、断るとなると一誠の好意も無碍にするし魔王様を野宿・・・かまた冥界に帰すことになるので無理だっただろうけど。

最初から断れないと思っていたのか先輩はため息を吐いたのが見えたが、俺には関係ないので同情だけはしよう。

この人、溺愛タイプだから自慢してそうだもんな・・・。

さて、俺は帰る---

 

 

「ああ、そうだ。アユムくん、後日、君の家にも行っても構わないかな?ちょうど話もあることだしね」

 

・・・うそーん。

 

「ど・・・どうぞ」

 

むしろどう断れと言うんですかね!!!

断っていいならやってるよ、ちくしょう!

そういえば話あるって言ってましたよね、忘れてた!

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝、今日も今日とて学校だ。

俺は珍しく早起きしていた。

本当ならこんな真夏は寝て引きこもり生活に勤しみたいものなのだが、暑いせいで寝づらいのも理由のひとつ。

 

「おはよう」

 

とりあえずリビングに降りてきた俺は挨拶を告げる。

 

「あ、おはようございます、アユムさん」

『おはよう』=『今日は早起きなんだね、えらいよ!』

 

そんな朝から褒められたら照れるよユー。

俺は今日も一日頑張れそうだ、と思った。

俺の視界にはエプロン姿のアーシアと我が家の天使にして俺の主である、プレートアーマーにガントレットを常に身につけている美しく長い銀髪に青い双眼を持つ少女、ユークリウッド・ヘルサイズがいる。

彼女を見るだけで気力が湧く。

ちなみに彼女の能力はとても強力で、それを抑えるために鎧を身に付けて感情も出さないようにしているらしい。

しかもユーに対しては、なんとあの魔王様すら頭が上がらないと魔王様自身が言っていた。

やはりユーの素晴らしさを理解しているのかもしれない。俺の好感度は僅かに上昇した。

 

「もう少しで出来ますから、座ってて待ってくださいね」

「いつもごめん」

「いえ、私がしたくてしてますので」

 

朝は基本、アーシアがご飯を作っている。

最初の頃は俺がやってたんだが、いつも太陽にやられている俺に代わっていつの間にかアーシアがやるようになっていた。

その代わり夜は俺がやってるけど、そうでもしないとダメ人間になりそうだ。

うん、アーシアの好きな人は幸せものだな、よかったね。一発は殴りたい。

 

『アユム』

「んー?どうしたんだ、ユー?」

 

筆談で俺の名前を呼んできたユーに俺は優しく返す。

彼女の場合、筆談でもまるで会話している時と同じ速さで返ってくる。せいぜい時間かかるのは悩んでる時くらいだ。

まぁ、もし普段から遅くとも、可愛いのでいくらでも待てますけどねっ!

 

『学校の方に』

「ああ、気づいてるよ。ヴァーリだろ、あれ」

 

多分気づいてる人の方が少ないだろうが、流石の俺でも分かる。

これまで一誠たちが戦ってきた奴とは文字通りレベルが違うからな、あいつは。

どれだけ強くなったかは知らんが、俺の800%の速度ですら顔面に受けるのを回避したんだから相当強くなっているはず。

どうでもいいけど。

 

『どうするの?』

 

どうしようかね。

もし戦闘になれば、確かに一般人も巻き込まれるし一誠は絶対負けるだろう。てかコカビエルに勝てない時点でお察しなんだよなぁ・・・。

ぶっちゃけ太陽で体力削られまくってたし空腹だったし吐いてたしほぼ瀕死の俺に負けたヤツだぞ。

ヴァーリやイケメンと違って、一誠はバランスってないしな。

バランスってないってなんだよ。

まぁ、あれ。なんだっけ、ライダー戦で纏ってたやつないからね、一誠。

でも俺が行っても勝てないと思う。戦う前に太陽に負けるわ。子供にも負けるんだぞ真夏となるとむりむり。冬なら多分なんとかなる。

でも放っておけないかあ・・・。

 

「・・・ちょっと早めに出るかな。戦闘にはなると思うか?」

『・・・』

 

もしその可能性があるならカジキマグロセンパイを背負っていこうと思ったが、返ってきたのはNO。

目を閉じて首を横に振るユーもかわいい。スマホで撮りたい。待ち受けにして同級生にバレて殺される。

一般人に殺されちゃうのかよ・・・。

 

「そっか、ならいいか」

 

戦闘するつもりないなら挨拶かなんかだろう。それとも釣りでもする?

まあ行くだけで牽制にはなると思うし、行くけど。

流石に見捨てられない。

 

「アユムさん、ヘルサイズさん。出来ましたよー」

 

とりあえずアーシアのご飯でも食べますか。

詳しくは行ってみないと分からん。

・・・しかしアーシア、料理の腕徐々に上がってるよなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

傘を手にアーシアと一緒に学校へ歩いていく。

本当はアーシアより先に出ようとしたのだが、事情を説明したら一緒に行きたいと言われたのだ。

どうするか悩んだが、俺が守ればいいかと承諾。

まぁ人間のアーシアと人間じゃない俺では裏のことを知っていても見る世界が変わるからね。

オカルト研究部に居て、これからも俺たちと関わるならこういう場面に会って、少しでも耐性は付けておいた方がいい。

咄嗟の判断は大事だってそれゾンビ歴一年目で散々習ったからな。

何度不意打ちで殺されたか・・・ゾンビじゃなければこの世に居ねーわ。いやゾンビってこの世にいる扱いでいいのかな・・・分類上死人だよな?

 

そんなことを考えていたら、強い気配が近いことに気づく。

顔を上げてゾンビアイで見てみると、ムカつくほどにイケメンな白髪の青年が校門前に立っていた。

どうしよう、もう帰ろうかな。殴りたくなってきた。俺の武器返せ。

しかし帰る訳にはいかない・・・面倒だな?

 

「アーシア、俺から離れないように」

「は、はい・・・」

 

ひとまず接敵する前にアーシアに注意しておく。

流石に夜ならともかく、太陽があるときに離れた距離に居られると守れないからね。

しかしそうは言ったが・・・おずおずと裾を握る姿めっちゃ可愛くないか???

くそぅ!いいもん、俺にはユーがいるもん・・・!

 

「やあ、神谷アユム」

「帰れ」

 

もんとか男が言っても可愛くねーよと思いつつ近くまで行くと、俺の存在に気づいていたのかヴァーリは口角を上げて名前を呼んできたが俺は即座に返した。

 

「くっくっくっ!別に今日は戦いに来たわけじゃない。それにキミとは全力で戦いたいんでね、わざわざこんな時間に戦う気はないさ。

だからそんな嫌な顔をしなくてもいいだろう?随分と前になるが、よく覚えている。あれほど熱く燃え滾るような夜を共に過ごした仲じゃないか。あの時の興奮は思い出す度に体の底から熱くなってくるよ」

「やめろっ!?」

 

なんだコイツはァ!?なんだ?なんなんだよ!イケメン共はそんな誤解招くような言い方しか出来ないのか!?

しかも何処か熱くだよ!こいつと戦ったのはゾンビ歴一年目だぞ?あの時の俺は700%が結構な高出力だったんだが!?安定した出力は400%くらいだし、むしろ俺は戦いをやめたかったよ!!あの時はまだ安定してない出力を何度も出させやがって!

800%で腕折れてたわ、クソが!

 

「・・・で、結局目的はなんだよ」

「何、簡単な話だ。今日は単純に俺の宿敵たる兵藤一誠に会いに来たのさ」

「ふぅん・・・よかったな、一誠。お前に会いに来たらしいぞ、男にはモテるじゃん」

 

散々言いたくなった文句は何とか抑え、俺はヴァーリの言葉を聞くとどうでもよくなったのでそう言いながら振り向くと、左腕を抑える一誠が居た。

痛そう(小並感)

 

「全く嬉しくねぇこと言うんじゃねぇよアユム!それでそいつはお前の知り合いか?」

「や、俺が前殴ったやつだけど」

「間違っては無いが……まぁいい。こうして会うのは二度目だな、兵藤一誠。俺の名はヴァーリ。白龍皇、バニシング・ドラゴンだ」

「テメェが!?あの時の!?」

 

一誠が今更ながらに気づいたように声を上げ、左腕が痛んだのか顔を顰めると気が逸れた瞬間には、ヴァーリが一誠の眉間に指を突きつけている。

残念ながら周りには誰も居ないので、俺はヴァーリに殺気を向けておく。

・・・断じてまだ恨んでるとかそんなんじゃないよ別にプールの時にあの武器があったら困らなかったなんてオモッテナイヨホントダヨイッセイヲマモルタメダヨ。

 

「・・・フッ」

 

一瞬だけ、ヴァーリの視線が俺に向けられたような気がした。

しかし本当に戦う気はないのか特に何も反応をすることもなく、一誠に語り掛ける。

 

「全く無防備だな。今のキミがどういう状況なのか理解してないようだ。例えば俺がキミを魔術的なものを使ったり・・・」

「ッ!?」

 

ヴァーリの物騒な言葉で一誠が大きく飛び跳ねるように後ろに下がり、同時にヴァーリの首に聖魔剣とデュランダルが突き付けられる。

 

「冗談はその辺りにして貰おうか」

「ここで二天龍の戦いを始めさせる訳には行かないな」

 

イケメンとゼノヴィアも気づいてきたようだ。

流石騎士(ナイト)の速さだな。俺の出番、終わったくね?大した活躍してなくね?いいけど。

むしろ来なくてよかったのでは???

 

「止めておいた方がいい。---剣先が恐怖で震えているぞ?だがそれを恥じる事は無い。相手との実力差を感じ取れるのは強い証拠だよ」

 

状況だけ見れば圧倒的期有利。

だが、ヴァーリは余裕の表情でそう宣言していた。

それもその通りでイケメンとゼノヴィアの持つ剣は震えている。

ヴァーリが持つドラゴンのオーラというか、格上だからこそ持つ強力な気配を間近で感じ取って脂汗を掻いているからだろう。

そもそもコカビエルに(以下略

 

「まぁ、彼に来られると流石の俺も余裕では居られないが・・・少なくともコカビエルごときに勝てなかったキミたちでは俺には勝てない」

 

俺が全く別のことを考えたら、見事ヴァーリと思考が被った。

最悪だ・・・しかも何故か俺に視線が向けられる。

なので俺は一瞬で目を逸らした。

おれ、しってる。目が あったら エンカウント これ ゲーム の  常套手段。

五・七・五・七・七。

・・・全然なってなくね?

てかこんな剣とか出してるのになんでみんな気づかないんだろ・・・認識阻害ってやつ?相変わらず便利ですね人外どもは!

 

「人目を気にしないなら俺はいいけどね」

 

そんなことを思っていたら、イケメンとゼノヴィアは武器を消して一誠の元へ向かっていた。

やっぱり俺、居る意味あんのかなこれ

 

「兵藤一誠。キミは世界で何番目に強いと思う?」

「なに?」

「未完成のバランスブレイカー状態としたキミは上から数えた場合、四桁---千から千五百のの間くらいだ。いや、宿主のスペック的にはもっと下かな?

この世界は強い者が多い。紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)と呼ばれるサーゼクス・ルシファーでさえ、トップ10以内には入らない」

 

ぼうっとして聞いていると、気にしたこともなかった情報が入ってくる。

マジかよ、俺なんて不死身なだけで雑魚じゃねぇか。

魔王様すら10位以内に入らないんだ、はへぇ・・・まあ誰であろうとユーに手を出すやつはぶっ飛ばすからどうでもいいな?

 

「だが」

 

一度言葉を区切ったヴァーリが指を一本立てる。

容姿整ってるやつがそれをやるとそれだけで絵になるのがムカつく。

 

「一位は決まっている。それも、不動の存在が」

「?誰のことだ。自分が一番とでも言うのかよ?」

「いずれわかる。ただ、俺じゃない。

兵藤一誠は貴重な存在だ。十分に育てた方がいい、リアス・グレモリー」

 

ヴァーリは一誠の後ろに、他の眷属を連れて来ていた先輩に話を振る。

小猫ちゃんも姫島先輩も戦闘態勢だが、そいつ戦うつもりマジでないですよ

 

「白龍皇、何のつもりかしら?あなたが堕天使と繋がりを持っているのなら、必要以上の接触は---」

「二天龍と称されたドラゴン。赤い龍(ウェルシュドラゴン)白い龍(バニシング・ドラゴン)。過去、関わった者はろくな生き方をしていない。あなたはどうなるんだろうな?」

 

ヴァーリはまるで警告するように先輩に言っていた。

先輩は言葉に詰まっていたが正直傍から聞いてても否定出来ないのはなんなのだろうか。・・・ああ、きっと俺が近い存在だからだろうね。

ユーの傍から離れるつもりは無いが、彼女の能力はそれだけの危険性も備えてるわけで、俺ももっと強くなることを視野に入れた方がいいのだろうか。

ぶっちゃけ俺は痛みはあるけど死なないからなあ・・・。

 

「何はともあれ、今日は戦いはしない。俺もやることが多いからさ、ただ俺が今興味あるのは神谷アユムだけだ」

「あん?」

 

飽きてアオキノコを食っていた俺は、話を振られたのでガン飛ばしする。

やめろよ、誤解増えるだろ。それに俺は興味無いんだけど。

 

「ドラゴン---いやそれ以上に力を引き寄せる存在と居続けながらも、未だに彼はここまで一度たりとも全力を出していない。兵藤一誠の傍に居続けると言うならば、彼くらい強くなって見せるんだな」

 

そう言いながら、ヴァーリは歩いて去っていく。

おいちょっと待て、あいつなんてこと言い残していきやがった!

全員から視線が集まったじゃん!恥ずかしいダルォ!?

やめろー!俺はみんなが思ってるよりも弱いんだぞ!子供に負けるんだぞ!今なんか既にカサカサになりかけつつあるから校舎に入りたいとすら思ってるんだぞ!

 

「・・・あれ、てかアーシア平気なんだな?」

 

みんなが俺のことを少しの間驚いたように見ていたが、ヴァーリが去って緊張が去ったのだろう。

俺のことは気にしないようにしてくれたのか・・・いや多分精神的疲労だろうが、先輩たちは一息つく姿があるのに唯一なんとも感じてないアーシアに俺はちょっと驚いた。

 

「はい、アユムさんがずっと傍に居てくれましたから」

 

はにかむようにそう告げてくるアーシア。

やだこの子つおい。

でもアーシアの意志とはいえ戦えないアーシアを連れてきたのは俺なわけでして、守るのは当然なんだよなぁ・・・。

あんまり過大評価はしないで欲しいけどね、俺そこまで大体的に強いぜ俺!とか言えないし、アイツの評価が無駄におかしいだけだから。そんな上げんなよぶっ飛ばずぞクソイケメン野郎てめーかっこいいんだよ。

そもそも俺は魔物ならともかく人外連中にはクソ弱いからな?

だって空飛べないもん。なんでみんな飛べんの?ふざけんなよ、人間は飛べねーよ。地の利を得るなよ卑怯だろ、俺も飛ぶぞ。

出来ないがな!!

というかさあ、空飛ぶなんて出来るのは今どき魔法少女くら・・・うっ、なんか頭が痛い。具体的に言うと世紀末覇者と、アキバ電波系の猫型宇宙人を足して2で割ったような外見をした漢が浮かんだ。

あの人はそろそろ魔法少女になれただろうか、俺は空飛べることになってもなりたくないけどね。女装とか嫌だし、少女じゃないし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部活も終わって暇つぶしぶらぶらも終わった夜。

 

「やあ」

「・・・マ?」

 

家の前に魔王様とメイドさんがいた件について。

今日だけエンカウント率おかしくないか?

こうなっては仕方がない・・・さあ、選べ!

①逃げる

②逃げる

③逃げる

 

「さーて腹減ったからどっか行くかー!」

 

アユム は ④の逃げる を 選んだ!

 

「何処かに行くのかな?良ければと思って和牛を買ってきたのだが---」

「何言ってるんですか、俺が魔王様を放置して行くわけないじゃないですかあはは。どうぞどうぞ、お入りください」

 

ざんねん! アユムは 肉の魔力に負けてしまった!

まったく、誰だよ逃げるとか言ったやつは。

アホだろ、魔王とかいう明らかに悪魔の中でも立場がある人をこんなところで放置しようと考えてたやつの気が知れないね。

やれやれ、困ったもんだぜ。

 

「それじゃあ失礼するよ」

「アユム様。夜分遅くに申し訳ありません」

「いえいえ、むしろ夜の方が助かるんで」

 

色んな意味でね。

昼に来られても力尽きてる俺となんて話せないだろうし、俺が入れるわけないだろう。

はっきり言うと、俺は魔王様とこのメイドさんは『信用』はしているが『信頼』はしていない。

恐らく、俺が本当の意味で信頼しているのは裏表を感じさせないアーシアくらいだろう。

---いや、認めたくは無いがイケメンも信頼しているかもしれない。認めたくないし絶対本人には言わないが、アイツはユーのことを決して先輩にも話さなかったし誰にも話してないからな。好感度は何気に一番高いかもしれんぞ・・・うわ、やっぱり言いたくねえ。

とにかく俺は魔王様とメイドさんを案内することにした。

もしなにかやろうものならこの場で戦争不可避だが・・・友好的っぽいし問題ないはず。

・・・ないよね?

 

「えーちなみにですけど、予想はつくんですが・・・要件は?」

()()に提案・・・いや頼みがあってね。コカビエルの一件で表舞台に立ってしまったことで私の一存だけではどうすることも出来なくなってしまったんだよ」

「はあ・・・」

 

相変わらず悪魔というか三大勢力か。

面倒なことだ。

でもこれに関しては俺のせいでもあるから仕方がないんだよな、そうそうに力を引き上げてぶっ飛ばせば良かったのに体調悪くて力出せない状態になってたし。

あの時はレイトウマグロパイセンの成長で何とかなったが、正直あれがなければ俺は空腹でもっとやばかったね。

といっても、やばいのは俺以外だけど。

 

「アーシア、ユー、ただいま」

 

ひとまず俺は魔王様たちには待ってもらい、襖を開けて声をかける。

襖を開けた先、俺の存在に気づいていたのか座ってるだけでも絵になる幻想的な女の子、ユーはメモを見せてきて、アーシアも俺の存在に気づいたようだ。

 

「アユムさん、おかえりなさい!」

『おかえり』=『あ、やっと帰っ---』

「んんっ!」

 

危ない危ない、いつもの癖が出るところだった。

笑顔で迎え入れてくれたアーシアとやはり表情は変わらないユー。

だが、まずい。流石に魔王様がいるのにいつも通りは出来ない。

とにかく要件を伝えなければ。

 

「ユー、お客様がいるんだけど」

『かまわない』

「・・・おーけー」

 

簡易的な一言だが、この様子からして気づいているのだろう。

確かに見知った感じだったしね。

許可をもらったので、俺は開けた襖の方で隠れてもらっていた魔王様とメイドさんに声をかける。

 

「入って大丈夫だそうです」

 

彼女が言うなら間違いないだろう。

俺はいつでもレイトウマグロパイセンを背負えるように場所を把握しながら、二人をリビングへと招き入れた。

 

「やあ、こうやって会うのは久しぶりになるのかな、ユークリウッド・ヘルサイズ」

「ご無沙汰しております、ヘルサイズ様」

『久しぶり。サーゼクス、グレイフィア』

 

入ってそうそう、魔王様は昔の知人にあったかのように、メイドさんはものすごーく丁寧なお辞儀をしていた。

ユーは何も変わらず。

しかしメイドさんのお辞儀、綺麗だ。

俺では出来ない領域だぜ・・・!土下座ならば誰にも負けない自信はあるが、お辞儀では勝てないな・・・くっ!

 

「アーシア・アルジェントも先日ぶりだね」

「はい、えっと・・・席を外した方がよろしいのでしょうか」

「んー、なら俺も外すか?」

「いや、この件に関しては二人にも関係がある。特にアユムくんにはね」

 

は?逃げるぞごら。

くそう!ユーのために逃げれない!

これも作戦かっ!

 

『アユム』

 

突然ユーが俺の名を書いて見せてくる。

なになに、お兄ちゃんに任せなさい。俺に出来ることなら何でもするぞ!

 

『飯』

「・・・アッハイ」

 

・・・ユーは平常運転だったぜ。

でも可愛いから(なんでも)ヨシ!(激クソちょろ)

ちょうど魔王様が和牛持ってきてくれたらしいし、使わせて貰えないだろうか。

聞いてみよう。

 

「あの、魔王様。良かったらなんですけど」

「ああ、構わないよ。そのために持ってきたわけだしね、グレイフィア」

「はい、私もお手伝いさせて頂きます」

 

元からそのつもりだったようで、貰うはずだったが、何故かメイドさんが袋を持ったままキッチンの方へ来た。

なぜだ。

 

「いや、あの・・・グレイフィアさん?流石にお客様にさせるのはちょっと」

「お気になさらず。こう見えて家事は得意ですので」

 

だろうね、メイドさんだもんね!!

でもさぁ、そういう意味じゃないんですけど。もしかしてこの人、俺より料理上手かったり?やめてくれよ、そんな設定いらないよ俺の存在意義がキノコになっちゃうだろ。

 

「・・・まあいいか」

 

俺は諦めた。

てかこの人絶対引かないじゃん。もういいよ、俺料理すっから(現実逃避)

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

始めて三分ほど。

冷蔵庫の中身を調べつつどの料理にするかだけ伝えて、俺は思った。

やっぱりやめていい?

す、すごい!中身がない!話がないぜ!当たり前だろ、俺この人まったく知らねーから。強いことしか分からないから。

 

「お上手ですね」

「ですかね、俺なんて全然。グレイフィアさんなんて俺から見たってすごいと思いますけど」

 

俺の料理スキルはユーのために生み出し、ユーのために練り上げられ作り上げた技術だ。

自分のためと考えてやったことなど1度たりともないし、料理を覚える前は山菜とか食ってたレベル。

ユーと出会ってからは、迷惑をかけてしまったけどプロの人たちに必死に頼み込んだ上に土下座をしまくったし見返りで教えてもらったりしたし労働時間なんて関係ねぇ!っていうくらいに参加したり技術を盗んだ結果、ここまで至っただけに過ぎない。

俺は所詮凡才だから、そういった複数のものをやらなければ到達出来ないのだ。人間の限界を超えてるからこそ得ることが出来ただけで、ゾンビ体質様々だった。

でも、この人の持つ技術は俺がそうして積み上げてきた技術に匹敵する。

・・・悲しくなってきたな? フッ、所詮才能なきものは淘汰される。想像力も技術もないものは落ちていくのが料理の世界よ。

やっぱり俺雑魚じゃねーか!

 

「ご謙遜を。もしアユム様が悪魔でしたら、是非とも勧誘したいところでした」

「あはは、またまた。お世辞が上手ですねグレイフィアさんって」

「・・・失礼ながら、アユム様はもう少しご自身を自己評価すべきかと」

「はへ?」

 

俺は正当な評価してますけどねぇ。

メイドさんについていくだけで、超えること出来ない時点でまだまだだろ。

うーん料理教えてくれた人達に合わせる顔がねぇぜ。

しかしこの人、ほんと凄いね、めっちゃ楽だわ。一人でやるより圧倒的に楽。

レベルが合う人とやればこんな料理はスムーズに作れるものなのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は過ぎては、てっきりユーと喋ってたのかと思ったのだが魔王様はあまり喋ってないようだ。

時折話してたくらいでアーシアとは割と話してる様子だったが、俺はメイドさんと一緒に料理を並べていた。

 

「これは・・・凄いね」

『豪勢』

「うぅ・・・私はまだまだですね・・・」

 

すまん、それ対抗心がお互い燃えた結果だ。最初は一緒にやってたんだけど、どうしてこうなったんだろうか。想定していた数の四倍くらいになった。冷蔵庫が空っぽだぜ。

でも割と引けの取らない戦いだったと自称しているのだが、キノコ料理だけは絶対に勝っている自信はある。

バッキャロー!キノコに関しては俺に一日の長があるんだぞ。むしろ負けてたらショック死するわ!

そうなったら二度と料理するか!

俺の料理スキルは(多分)Aクラスはあるんだぞ、自己評価だから知らんけど。

今度師匠に会いに行くべきだろうか、いや師匠多すぎて誰か分からんわ俺の場合複合してるし。師匠の定義崩れる!

 

「まぁ、口に合わないかもしれませんけど、どうぞ召し上がってください」

 

その言葉が皮切りになったのか、ちゃんと食事前の挨拶をしてみんなが食べていくのを見たあと、俺はキノコ山盛りの皿にありつく。

うーんウマァイ!キノコ!やはりキノコ!

キノコこそ至高かっ!ドキドキノコさんでは味合うことの出来ない、自分で決めた味付け!素晴らしい!シャキシャキとした食感にほんのり感じる甘さ!バターの風味としょうゆの味が味付けされ、ご飯にかけても美味い!万能!

それに香ばしい匂いに食欲がそそられるし見た目も中々に鮮やか。

さらに俺だからこそ出来る芸当、あらゆるキノコを網羅している俺にとって造作もなく、それぞれのキノコに合う調味料と分量、ほかの食材や野菜に混ぜることでキノコの良さをより引き立てるッ・・・!

なおかつ揚げ物に関しては程よい焼き加減や衣揚げの色もパリパリとする心地よい音も良く、満足感が凄まじい。

かけるものによっては味も変化でき、キノコは無限の可能性を持っているに決まっている、いいや持ってるんだよ!みんな推すんだよ!

今こそキノピ・・・いやキノコ神!茸神を生み出さねば!

クサビラ神、クサビラ神を信仰しよう!

 

「ふむ・・・アユムくん」

「はい?」

 

キノコの良さをひたすら語りながらキノコを食べまくっていると、魔王様が話しかけてきた。

キノコの良さなら24時間語れますけど、して欲しいんですか?

 

「どうかな、君が良ければ是非ともグレモリー家の専用料理人として働くというのは。好待遇で歓迎するよ?」

「ふーん専用ね・・・専用!?」

 

何言ってんだこの魔王様(ナディイッデドゥンダコトバオルサァバ)!?

絶対そっちの家の方が上手い人多いでしょ、なに?俺の心でも折る気か?

あれでしょ、貴族みたいなもんだろ?グレイフィアさんクラスがうじゃうじゃ居る魔境でしょ?料理引退するわ!

てか好待遇つったって望むものなんてないし乗るわけ---

 

「見た感じ、アユムくんはキノコ料理を好んで食べているように見える。実は冥界にも自生していたり栽培していてね。優先的に譲ろうと思うのだが---」

「よし!その話のっt『ダメ』乗るわけないじゃないですかっ!」

 

な、なんて人だ!違う、なんて魔王だ! 俺の弱点を的確に突いてきやがった!

危うく冥界で働くことになりかけたぞ・・・くそっ、これも魔王の実力か?実力を見誤った・・・!

 

「はははっ、それは残念だ。アユムくんの料理はそれほど美味なのだけどね」

「お世辞はいらないですよ・・・ったく、冗談も程々にしてください。魔王様の家の人たちの方が絶対美味いでしょうに」

 

いやほんと冗談でもこういう口だけの契約だとしても危険だろう。相手は悪魔だし。ユーが身を乗り出して間に入ってくれなければ危うかった。

そんなユーは相変わらずすまし顔で食べているが。

 

「そういうことにしておこう。あまり怒らせるのも良くないことだしね」

「・・・?」

 

何処か意味ありげな視線を魔王様がユーに向けていたが、ユーは視線に目もくれずにお箸を進めていた。

俺は理解出来ずに首を傾げる。

別にこんなことでは俺、怒らないけどなあ・・・いや、冥界の植物は割と気になるけど。

でも俺にはドキドキノコさんがいるから・・・大丈夫だな!

 

「ん?」

 

そんなことを思っていたら、服を引っ張られる感覚があった。

そこへ視線を送ると、妙に気合いの入ったようなアーシアが。

 

「どうした?」

「私・・・頑張ります!」

「お、おう・・・?」

「・・・ふふ」

 

謎の宣言をされた俺はさすがに困惑した。

何を頑張る気なのだろうか、アーシアは。

というか、メイドさんって笑うのか・・・!!ライダーの時も全然表情変わることなかったから珍しい・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ本題に入った方がよさそうかな」

 

夜食も食べ終わり、さすがにそれで終わりとはならなかった。

何の話かまでは流石に分からないが、長年の勘が告げてくる。

あっ、これ絶対面倒なやつだ・・・と。

 

「といっても要件はひとつだけなんだけどね。今度アユムくんたちの学園で開かれる三大勢力の会議にユークリウッド・ヘルサイズに出席してもらいたい」

 

し っ て た

やっぱりクソ面倒な要件じゃねーか!断っていいんじゃないすかね(適当)

 

『理由は?』

 

それは確かに。

ユーの出身は冥界らしいし、勢力としては一応悪魔側なのでは?

悪魔じゃないけど。

 

「まずアユムくんにも言ったが、コカビエルの一件で表舞台に立ってしまったことで関わるものに事情を説明する必要が出てきたこと。

トップ会談は三すくみの関係に関しての話になるのだが・・・キミの立場と力を考えて中立の立場として聞いて欲しい、というところかな。どの勢力にも属していないから、別の勢力、という形だけで入ってもらう形になる。そうしてもらわなければ均衡が簡単に崩れ去ってしまうからね」

「???」

『そう 分かった』

『参加する』

 

マジ?

俺はもうよく分からないんだけど誰か助けてくれない?

アーシアに・・・聞いても多分分からないよな、こういうことに詳しくないし・・・と助けを求めるようにメイドさんに視線を送る。

 

「・・・簡潔に伝えると『もう一つの勢力』としてヘルサイズ様にご参加して頂く、ということです」

「なるほど」

 

通じたようで説明してくれたが、それなら理解した。

つまるところ、ユーは悪魔でも天使でも堕天使でもなくて、どの勢力にも入ってない。その理由がユーの能力が強大すぎて入れられないからだと思う。

でもとんでもない力を持ってるから、その会談に参加して欲しいってことか。

中立ってことね。そりゃそうだろう。正直優しいユーだからこそバランス壊れてないけど、これがユーじゃない誰かが能力を持ってしまうと地球そのものが壊れかねないし。

災害とか簡単に起こせるんだから、デメリットを抜きにしなくともヤバすぎる。

それどころか、不死身である俺すら簡単に殺されるからな。

 

「感謝するよ。それとアユムくんたちに関係あるのはこのことだね」

「・・・たち?」

 

俺個人ならともかく、複数形で関係あると言われたことに俺は反応した。

ま、まさかこの人、俺のカジキマグロセンパイ、もといレイトウマグロパイセンとウサギさんに気づいている・・・!?

 

「神谷アユムくん。そしてアーシア・アルジェント。キミたち二人にも参加してもらう。ユークリウッド・ヘルサイズの勢力として。まぁ、どちらにせよアユムくんは元から強制参加になってしまうのだが・・・」

 

おいちょっと待て。今すっごく聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど!

今は反応するところじゃないと分かってるのに俺にとって不穏な言葉が聞こえたんだけど!

俺は鈍感な一誠と違うし鈍感ゾンビじゃないから聞こえるんだぞ!!

 

「わ、私もですかっ!?」

 

黙って聞いていたアーシアが驚いたように声を挙げる。

アーシアは人間だから、三大勢力には関係ない。

ユーも関係ないみたいだが、彼女の場合は特別だから仕方がないだろう。

で、俺はゾンビ。三大勢力の悪魔、堕天使、天使に襲われまくっている。むしろその他大勢にも狙われた。

やだ、モテ期・・・?いやなモテ期だな、全員くたばれ。

・・・あれ?待てよ、おかしいな?今更なんだけど俺だけ被害者じゃない?全員返り討ちにしたから加害者?

いやいや、でも今思えば俺って全く関係ないよね、一誠みたいな特殊なの・・・ドラゴンを宿してるのなら話は別だろうが、俺はただのゾンビだし。

 

「これも説明しよう。キミたち二人はリアスの部活には入っているが、勢力としては悪魔でもないし、堕天使でも天使でもない。しかしこの街で起きた事件に()()と言っていいほどに関わっている。

ただ他の勢力に入れるか・・・となると色々と問題がついてくる。だからこそ、別の勢力として扱うことになっているユークリウッド・ヘルサイズのところに入れてしまおうということだ」

「うーん・・・?」

 

俺、そんな関わってたっけ?

確かにゾンビになってから色んなやつとバトってきたけど、ここ最近だとアーシア誘拐未遂というかレイナーレ?っていう堕天使による殺人事件(?)。

ライダー・ふぇ・・・ふぇー・・・先輩の婚約騒動。

エクスカリバーが関わったコカビエル戦。

・・・十分関わってるやんけお前ぇっ!

 

「まぁ、アユムくんはともかくアーシア・アルジェントに強制権はない。辞退したければ私が何とかしよう」

「やっぱ聞き捨てならない言葉混じってるんですけど!!」

 

聞き間違えじゃないじゃん!

なんなん、なんなんだよ!イジメか?俺に対するイジメか!?なんで巻き込まれるの!?

確かにユーが参加する時点で強引にでも入るつもりだったけど!!

 

「わ、私は・・・」

 

スルーされる俺氏。

ゾンビに人権はないのかもしれない・・・。

もはや達観したかのようにため息を吐くが、アーシアは何処か迷っているように俺と魔王様を見ていた。

ごめん、俺を見られても分からないんだ。だって俺強制参加らしいから。なんでだろうね、理由くらい教えてくれない?

せいぜいコカビエル倒した上にちょっとオーバーキル(氷漬け)しちゃっただけだろ!

しかし放っておくのはなぁ・・・まぁ、背中を押すか。

 

「アーシア」

「アユムさん・・・」

 

・・・なんて言えばええのん?

ええい、ままよっ!

 

「アーシアの好きにしたらいいんじゃないかな。トップが集まるってことはきっと教会関係やら堕天使関係も関わってくるし、アーシアも中心になった出来事はある・・・でも何があったって守るから。アーシアはアーシアのしたいようにしたらいいんだ」

 

当事者に来てもらわないのは困ることもあるかもしれないけど、あくまで三大勢力の会談。

人間のアーシアに過去関係があったとしても、今はない。

辛い思いをするくらいなら来なくてもいいという思いも込めて言ったのだが---

 

「・・・分かりました。あの、私も・・・私も参加させて頂きます」

「そうか、なら詳細は後日伝えよう。流石にいつまでも居座るわけにはいかないからね」

 

どうやらアーシアは参加することを選んだらしい。

彼女が自分で選んだなら俺は止めないが、魔王様はそう言って、メイドさんと一緒に立ち上がっていた。

確かに時間が時間だしな、別に泊める部屋はまだまだあるんだけど。

 

「今日はここに来れて良かったよ。どうやら私たちが心配してる以上に大丈夫そうだ」

「・・・?はあ」

 

なんの心配をしていたのだろう?

けどまあ、帰るというなら見送りしなければならないので、俺も立ち上がる。

 

「それじゃあ、また次は会談の場で会おう」

『わかった アユムと一緒に行く』

 

マジ?

ユーと学園に・・・ユーと学園に行けるだと・・・ッ!?

一誠や松田、元浜たちは何かしたらフルボッコにするとして、他の人たちからも守らねば!

誰一人ユーには触れさせんぞ、ああ、エスコートもちゃんとしなければ・・・くっ、こんなことならプライドを捨ててでも悪魔の貴族連中に教わるべきだったか!(うんまい棒レベルの安いプライド)

 

「アユムくんたちもね」

「あっはい」

「はい!」

「それでは皆さま、失礼致します」

 

そういや結局俺が強制参加な理由ちゃんと聞いてないんだけどなぁ・・・と思いつつ、見送った。

多分だけど、コカビエル倒したのお前だから顔出せよタコメンチってことだろう。

いや待て、誰が馬鹿野郎だよ。しかもタコメンチってなんだ、タコメンチって。

ともかく、どうやら俺の当日サボる計画はあっさりと崩され去った・・・とさ。

~完~

 

 

 

 

 








※終わりません。


オリ主は別に天才じゃないです、戦闘面でも家事方面でも色んな意味でやべーやつではあるんですけどね。
ただ料理に関してはユーのために努力を突き通した結果、アホみたいな料理技術(キノコ料理なら食戟の世界でも余裕で通じる)持ってるだけで。
戦闘力はオリ主からしてもコカビエルだと『程度』で収まるのがこのインフレ世界。
だってユーの影響受けつつ五年間も戦って無事という時点でえぐいし(確かこれゾンで起きた事件は全部たったの一年の出来事だったはずなのでそう考えると・・・)

てか、投稿再開して感想読んだらこんな小説(酷い自虐)待ってる人居たんか・・・嬉しいんだけど、内容見たら分かると思う。
これ、深夜テンションで書き上げてる作品っすよ。ガバガバのガバだよ設定。
さすがにヒロインは考えてましたけどね、始めた時から確定してるメインヒロインはユー。
ただユーだけならクロスオーバーする意味ないのでハイスクールDxD側からアーシアをヒロインに抜擢しました(作者の好み全開)
他はどうなるかは分からん。・・・前言ったっけ、これ。もう忘れたわ、また何章か進んだら設定集投稿します。

(前書き)いる?

  • いる
  • いらない
  • ユー可愛いし出番欲しいからいる
  • (本作の)他のキャラも欲しい
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