これはDxDですか?〜いいえ、ゾンビです   作:絆蛙

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『今日は今日で、また別の気配を感じる。会談を執り行うため、他の種族がこの街に集まってる。今はまだ問題が起きるようなことはない・・・けど近いうちに、何かが起きるような、そんな気がする』


第四話 俺が時を止めた

 

 

 

 

“ゴゴゴゴゴ・・・”と妙に雰囲気のある部屋。

『KEEP OUT』のテープが幾重にも張り巡らされており、幾つもの刻印が刻まれている。

そして周りにはキノコ。

素晴らしい装飾だな・・・一体誰がやったんだ!!

 

「神谷くん・・・なにやってるんだい?」

「・・・菌床栽培しようかなと」

「やめなさい」

「アッハイ」

 

先輩に言われ、渋々片付ける俺。

いやーなんかジメジメしてそうだなと思って。暗いし、キノコでも置いたらいいと思うんだ。

 

「ところで部長。本当にここに最後の僧侶がいるんですか?」

「ええ、ただその能力の危険性から、私の力では扱いきれないとして此処に封印されていたの。一応深夜には術が解けて旧校舎内なら自由に動き回れるのだけれど、中にいる子自身がそれを嫌がっているのよ。だから1日中ここにいるわ」

 

それって言わゆるニートと呼ばれるものでは?

いいなー俺も太陽は嫌いだからニートになろ・・・いやユーのためにそれは出来んな。くっ!!

幻滅されたら死ぬ。

 

「でも実は、此処にいる子が部長の眷属の中でも一番の稼ぎ頭なんです」

「ええ!?マジですか!」

「バカな、ニートなのに!?」

 

俺ですら金がない時に働く時は働くのに!!

 

「その子はパソコンを介した変則的な契約を結んでいるのですわ。依頼人の中には私たち悪魔と直接会うのが恐いという方もいらっしゃいますので」

 

はへぇ、人外なのにやけに人間社会に溶け込んでるな。

インターネット便利!やはりネット!ネットがなければ人類はもう生き残れなさそうだ・・・!

まぁでも、普通は悪魔って聞いたら架空の悪魔は想像するだろうしな、ゾンビだって同じだ。

普通は肉体は腐って理性もない存在を思い浮かべるだろう。

俺はこんな人間にしか見えない見た目だけど。

 

「さて、扉を開けるわ」

 

先輩が手を翳して魔法陣を作り出すと扉に刻まれている刻印も消え去り、ただの扉になった。

先輩が扉の取っ手を掴み、僅かに緊張が漂う。魔王さまが封印の指示をする程なのだからそれも仕方がないかもしれない。

そんな時でも俺はキノコを回収している。あっ、これ美味しい。

 

「イヤァァァァァァアアアアアアアアアアア!!」

 

開門した直後、とんでもない声量の絶叫が中から発せられた。

先輩と姫島先輩は慣れてるのか特に驚くことなく入っていった。

手を止めて目を向けてみれば、部屋の中は真っ暗で、窓から入ってくる太陽の光がなければ部屋中暗かっただろう。

俺のゾンビアイには通用せず、部屋の暗さ関係なく何があるのか認識する。

部屋はどちらかというとメルヘンチックな部屋だった。

机や椅子、クッションなんかはハートの形だったり若しくはそれに準じた装飾があしらわれていたり、部屋に飾ってある服とかもゴスロリだ。

逆に乙女感を感じさせないような物などただ一点を除いてこの部屋には無いと言っていいだろう。

その一点である部屋の中央に鎮座する洋風の巨大な棺桶だけは異質だが。

でもさっきの声も中性的だったし女の子か?流石に男でこんなのはないだろう、たぶん。

 

 

「ごきげんよう。元気そうで良かったわ」

「な、な、何事ですかぁぁぁぁ?」

「あらあら。封印がとけて、もうお外に出られるのです。さあ、私たちと一緒に出ましょう?」

 

まるで怯える小さな子供に優しく語りかけるような声で姫島先輩が促すが、声の主は頑なに拒否する。

 

「嫌ですぅぅぅ! この部屋が良いですぅぅぅ!!お外は恐いから出たくないですぅぅぅ!!」

 

一誠とアーシアとゼノヴィアが頭に疑問符を浮かべ、木場は苦笑して小猫ちゃんは溜息を吐いている。

俺はウサギさんと目が合い、やっぱり首を傾げた。

重症じゃないか、これ。

しかしいつまで経ってもこの場に居たって何も分からないため、俺たちは部屋に入った。

人間のアーシアのためか部屋を明るくしてくれたが、部屋の奥には先輩と姫島先輩の姿があり、その先には小柄な人物が座り込んでいた。

 

「おおっ、アユム! 見ろよ!女の子!しかも外国のだ!俺やっぱり部長の眷属になって良かったぜ!これでアユムと木場以外は全員美少女だ!」

 

開口一番にそう叫ぶ一誠はさすがだが、俺を巻き込むのはやめて欲しい。

確かにアーシア達と同じ駆王学園の制服を着た見ため金髪の美少女がいる。

ショートにしたブロンドヘアーに赤い双眸。

まるでフランス人形のような美少女が床にへたり込んで座っているが、震えている。

しかもよくよく見てみれば・・・口から鋭利な歯が見えた。

絶対吸血鬼じゃねーか!見たことあるもん!俺!見たことあるもん!

 

だがそんな一誠の幻想に先輩が無慈悲な現実を突きつけていた。

 

「喜んでいる所に水を差すようで悪いけれどイッセー、この子は男の子よ」

「・・・は?」

「・・・え?いやいや部長!そんな冗談を」

 

まさかの言葉に、興味がなかった俺も二度見した。

端正な顔立ちはしているし制服も着こなしている。体も華奢だし女の子と言われても不思議ではない。

・・・マ?

 

「イッセー、この子は紛れもなく男の子よ」

「うふふ。女装の趣味が有るのですわ」

 

女装!?平然と言ってのけたけど女装だと!?

声だって明らかに女なのに!?まるでフィクションじゃん!現実にそんな、マジの男の娘がいるとは思わないって!人の趣味なら否定は出来ないけどさぁ・・・!

いやーでも、男で女装ってのは・・・なぁ?俺からするとない。

けどまあ、中にはそういう人も居るんだろう。納得するしかない・・・。

 

「えええええええええええええええっ!?」

 

だが納得した俺とは別で、一誠は相当困惑したのだろう。あまりの衝撃的な事実に悲鳴にも似た叫びを上げた。

うーん、うるさい!

 

「ヒィィィィィッ!! ゴメンなさぁぁぁぁい!!」

 

案の定、一誠の叫び声にびっくりした彼女・・・彼は悲鳴をあげていた。

引きこもり相手にそれは確かにそうなるだろう。

とりあえずさっきからうるさいっす。

しかし一誠は認めたくないのか頭を抱えていた。

 

「こんな!こんな残酷な話があっていいものなのか・・・!見た目は明らかに美少女で男だなんて・・・!」

「でも似合ってますよ?」

「それはそうなんだよなあ」

 

悔しいが、アーシアの言葉に俺は肯定を示すしかない。

これが筋肉質な相手ならまだ男と言われて納得出来たかもしれないが、あまりに細い。

アンケート取ったら間違いなく100人中100人が女の子だと答えるだろう。

俺だってそう答える。

 

「女装趣味!似合ってる分それがさらに残酷だ!引きこもりなのに女装して誰に見せるってんだよ!?レベルが高すぎるだろ!」

「だ、だ、だって・・・女の子の服の方がかわいいもん」

「もんとか言うんじゃねぇぇええええ!一瞬でもアーシアとお前のダブル金髪美少女を夢みたんだぞ!俺の行き場をなくした想いをどうしろってんだ!!」

「人の夢と書いて・・・『儚い』」

「いや一誠は人じゃないし悪夢じゃないか?」

「どちらにしてもシャレにならねぇよ!」

 

いやーぶっちゃけそれに関しては勝手に夢見た一誠が悪いし。

押し付けるのは違うだろう。趣味は人それぞれだ、一誠の気持ちは男としては分からなくは無いけどな。

本当に似合いすぎてるのが・・・。

 

「ギャスパー、お願いだから外に出ましょう?ね?」

 

ギャスパーというらしい男の娘に先輩は優しく声をかける。

だが---

 

「嫌ですぅぅぅぅぅ!人と関わり合いたくないですぅぅぅ!」

「ほら部長が言ってんだからさ」

「おい待て一誠、引きこもり相手に無理矢理は---ぬわぁ!?」

 

そんなギャスパーの態度に業を煮やしたイッセーが強引に腕を掴み、俺は怯える相手に流石に止めるべきかと思って動いたが、何も無いところで躓いた。

 

「ヒィィィィィィ!」

「ぬぁあああ!?ファッ!?」

 

情けなく倒れる訳には行かず、回転しながら衝撃を逃した。

ふぅ、と無事に着地出来たことへ汗を拭って周りを見てみれば、違和感を感じた。

周囲の色がモノクロになり、焦った俺はアーシアを見て、一誠や先輩、姫島先輩や木場、小猫ちゃんやゼノヴィアを見た。

誰も身動きひとつ取らず、時計すら動いていない。

スマホすら起動せず、何らかの超常現象に巻き込まれている。

 

『キュ?』

「ま、さか・・・有り得るのか・・・こんな、こと・・・!」

 

動けるのは、俺とウサギさんのみ。

俺はひとつ、気づいてしまった。信じられないことに。

多くのものと戦ってきた。俺より強いやつなんてごまんといた。なんなら完全に分解されたことだってあった。死ぬかと思った。

けれどこんな現象は初めてだ。俺ですら経験したことのない未知の世界。

流石の俺も驚愕を隠せず、冷や汗が出てきた。

 

『キュー?』

 

心配そうにウサギさんが俺の腕に降りて見つめてくるが、そんな暇はなかった。

嘘だろ・・・そんな、まさか・・・こんな・・・・状況からして考えられることはただひとつ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・俺が時を止めた?」

 

全てが停止した世界で、俺は自分の手を強く握っていた。

まさか!まさか俺が時を止めることの出来る力を身につけてたとは!

確かに何度か相手の動きは止めたことはあったが、ここまで広範囲に空間ごと止めたのは初めてだ!

まさか時間停止能力すら身につけるとはな!これでやれることが増えた!キノコをより良い鮮度で回収出来る!

いよっしゃああああああああぁぁぁ!!

 

ご・・・ごめんなさい・・・」

「ん?」

 

喜びのあまりタップダンスしていた俺は、ふと聞こえた消え入るような声に気が付き、部屋の隅を見た。

そこには何かに怯えるように膝を抱えて涙を浮かべている人物が一人。

なん・・・だと・・・?この停止した時間の中で俺以外に動けるものが居た・・・!?まさか、同じタイプだというのか・・・!!

にしてもなんで泣いてるんだ、このギャスパーとやら。みんなには影響ないけど動ける俺からしたら泣かれると嫌だな・・・仕方がない、声をかけよう。

 

「ごめんなさいごめんなさい!どうして僕はこうなんだ!またみんなを止めて---」

「おい」

「ギャアアアァァアアアア!?」

「ウワァアアアアア!?」

『イヤァアアアアアア!?』

 

話しかけた瞬間、信じられないものを見たかのように目を見開き、大きく悲鳴を挙げたギャスパーに俺も悲鳴を挙げ、二人揃って驚いたように叫んだ。

涙を浮かべて部屋を駆け回るギャスパーと連続で後転する俺。

部屋の中だからか窓の縁に頭をぶつけて俺は収まったが、ギャスパーはまだ逃げようと駆け回っていた。

 

「う、動いてる!知らない人が動いてるぅぅぅぅ!あっ!?」

「ちょ、バッカ!」

 

割と失礼な事を言われてちょっとイラッとしたが、駆け回っていたギャスパーが転びそうになったのを見た俺は即座に砕かない程度で力を解放して地面を蹴った。

こいつ、目を閉じてやがる!さては色々と慣れてないな!?

 

「ッ!」

「ぐへっ!?」

 

咄嗟に自身の身をクッションにしたことで俺の背中が強打するだけで済んだが、一般男性より軽いとはいえ勢いの乗った人の体重をまともに受けるのは少し痛かった。

 

「え、あれ・・・ご、ごめんなさいごめんなさい!ぼ、僕のせいで・・・!」

「いやいいって、お前軽いし」

 

俺が助けたことに気づいたのかすぐに退いたギャスパーが平謝りしてくるが、この程度のダメージは実際に大したことないので、俺は対面になって座る。

ダメージを与えたけりゃ最大速力のトラックで突っ込んでくるんだな!

 

「それよりお前、名前は?」

 

今更だが、時間停止された世界で動ける者同士だ。

ここは自己紹介が必要だろう。あとまた謝り続けられても困る。

 

「俺は神谷アユム。こっちはウサギさん、雌だ」

『キュー?』

「あ、は、はい・・・僕はギャスパー・ウラディって言います・・・ってどうしてウサギが・・・!?」

「じゃあギャスパーだな。ウサギさんは俺のペットだから気にすんな。で、それよりどういう状況、これ。分かる?」

 

自己紹介を済ませたが、俺も今の状態はあまりよく分かっていない。

分かっているのは周りの時間が停止してること。俺が時止め能力を身につけてしまったということだろう。

だが、それだと目の前のギャスパーが動ける理由が分からない。

もしかしたら分かるのではと思い、俺は聞くことにした。

 

「え、えっと・・・これは僕の神器の影響で・・・『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』は視界に映したものを一定時間停止させることが出来るんです・・・」

「・・・え?」

「ほ、本当はあなたも止まるはずなんですけどぉ・・・」

「・・・じゃあ、これは君が?みんなが止まってるのも?俺は動けてるだけ?」

「は、はい・・・」

「・・・・・・・・・」

 

アアアアアアアアアアアアアァァァ!!!

はずかしい!はずかしいはずかしいぃいいいいい!!

かんっぜんに誤解してた!かんっぜんにやらかしたァァァァァァァ!!!

時止め能力に目覚めたかと思ったのに!間違いなくドヤ顔してたのに!

それが実は?俺の能力が目覚めたわけでもなんでもなく?ただギャスパーの力で?俺は動けるだけ?

アアアアアアアアアアアアアァァァァァ!!!!ウサギさん俺を殺せぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!

 

『キュ〜・・・』

「ヒィッ!?や、やっぱり僕のせいでどこか怪我を・・・」

「あっ、それはない」

「ふぇ?」

 

突如襲ってきた羞恥心に死にたくなって転がっていたが、俺の奇行を見て悲鳴を上げるギャスパーに気づき、即座に否定する。

ちなみにウサギさんは止まった時には俺の頭の上で睡眠状態に入っていた。

というかぶっちゃけギャスパーにやられるくらいなら俺はヴァーリを殴ることすら出来ねーわ。

あと妙に可愛い反応するのはやめてくれ。

 

「ま、だったら話は簡単だな。みんなを戻そうぜ」

「む、無理です無理です!無理なんですぅ!!」

「なんで?」

「ぼ、僕は神器を制御出来なくて」

「ふーん。なら仕方がないな」

「え・・・?」

 

唖然とした表情で見つめてくるが、俺は停止した椅子を無理やり引っ張り、置いてリラックスする。

お茶を注ごうとして、お茶は停止していた。

チッ、これは止まるとはな・・・!リラックス出来ねぇだろ!!

 

「あ、あの・・・怒らない・・・んですか?」

「制御出来ないなら仕方がないだろ。俺だって力の制御出来ずに片腕吹っ飛ばしたことあるし」

 

初めて戦った敵は、正直そこまで強くなかった。

自分の限界を知らずに殴った結果、敵と一緒に衝撃で俺の腕が破裂しただけだし。

あれはグロかったな。でも戻せないなら気長に待つしかないのが普通だろう。

 

「えっ!?」

「そういう時こそ落ち着けばいいんだよ、焦ったってなにもいいことはない。それにギャスパーはこの力をわざと使ったわけじゃない。勝手に発動した・・・違うか?」

「あ、あってます・・・」

「じゃあギャスパーは悪くないじゃん。いーんだよ。誰だってミスはある。もし誰かが怒るなら俺も一緒に謝ってやるから」

「あ・・・・・・」

 

そう言いながら俺は少しでも安心させようと笑顔を作りながら近寄ると、ギャスパーの頭を撫でながらそっと抱きしめた。

正直俺も停止した世界でいつまで動けるのか知らんけど、まあ止まる様子もないしずっと動けるのだろう。

やはり時の世界に入門したのかもしれない。けど緑茶を飲めないのは辛い。

しかしこいつ、本当に男か?髪質明らかに男と思えねぇ・・・これが本当の男の娘ってやつか・・・!

 

「あ・・・アレ!?俺は今確かに腕を掴んで・・・って何で二人と一匹が隅に移動してるんだ!?」

「うん?」

 

俺はただギャスパーを安心させようと抱きしめて頭を撫でていただけなのだが、気がつけば周りの世界は元に戻っていた。

皆の位置からは俺が何をしてるかは分からないだろうが、俺は思わずギャスパーを見ると、顔を赤くしてすぐに隠れてしまった。

ありゃ、なんかよくわからんな。戻ったらいいか。

 

「おかしいです。今一瞬・・・アユムさんも移動してますし・・・」

「・・・なにかされたのは確かだね」

「これは・・・驚いたわ」

 

詳細を知らない三人はともかく、知ってるっぽい先輩や姫島先輩、木場や小猫ちゃんは俺を見て驚いていた。

 

「今のはギャスパー君の持つ神器、『停止世界の邪眼(フォービドウン・バロール・ビュー)』」

「興奮すると視界に映したものを一定時間停止させることが出来るんです」

 

さっき停止した世界で聞いたことを、改めて姫島先輩と小猫ちゃんから聞く。

 

「停止させる対象が強い場合は効果が薄いみたいだけど・・・どうやら神谷くんには効かないようね。もしかしたらと思ったけど、本当に動けるなんて驚いたわ」

「彼は神器を制御出来ないから、サーゼクス様の命でここに封じられたらしいんだ」

 

木場が補足的な説明をしてくれた。

それもさっき聞いた。

しかし改めて聞くと時間停止はずるいな、キノコの鮮度を保ったまま回収出来るじゃん。

 

「ところで自己紹介はもうしたのかしら?」

「名前くらいは」

「そう、じゃあ改めてしましょうか。ギャスパー、まずは新しく私の眷属になった子たちを紹介するわね。イッセー、ゼノヴィア」

 

先輩に呼ばれた二人が順番に挨拶をする。

 

「さっきは悪いな、俺は兵藤一誠! これから宜しくな!!」

「ゼノヴィアだ。先日悪魔になったばかりだが『騎士』をやらせてもらっている。宜しく頼む」

「そして名前は聞いたでしょうけど、こっちが部員であり協力者の神谷アユムくんと人間のアーシア。私たちの仲間よ」

「アーシア・アルジェントです。よろしくお願いしますね」

「は、はぃぃぃ、よろしくお願いしますぅ・・・!」

 

一応これで全員挨拶したことになるのだが、ギャスパーは出てこない。

これは・・・俺のせい?土下座ならするけど?

 

「・・・それで、この子はギャスパー・ヴラディ。私の『僧侶』。一応貴方たちの後輩に当たる、駆王学園の一年生でもあるわ。悪魔に転生する前は人間と吸血鬼のハーフだったのよ」

 

なるほど、気配から分かっていたがやはり元々ハーフの存在だったらしい。

人間と吸血鬼、悪魔か・・・俺ですら人間→ゾンビだぞ。ずっと思ってたけど、先輩の眷属そう言うやつ多すぎでは?

 

「しかしよくそんな強力な神器を持ったやつを部長は下僕に出来ましたね」

 

お前が言うな、一誠。

なんの力も持たない俺が哀れじゃねーか。

 

「それは“変異の駒(ミューテーション・ピース)”を使ったのよ」

「“変異の駒(ミューテーション・ピース)”?」

 

変異の駒(ミューテーション・ピース)

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)中に稀に紛れ込んでいるバグみたいな駒で、明らかに複数の駒が必要な転生体でも一つで済むらしい。

だいたい上級悪魔の十人に一人は持っているとか。

なるほど、よく分からん。

まあゲームのバグみたいなもんなんだろう。普通ならばスカウト出来ないのに、特定のバグを起こすことでその人物をスカウト出来るみたいな。

 

 

「問題はギャスパーの才能よ。彼は類稀な才能の持ち主で、無意識のうちに神器の能力を高めてしまうみたいなの。

そのせいか、日に日に力が高まっていってるわ。上の話では、将来的に自然と『禁手』に至る可能性もあるという話よ」

 

はへぇ、それは凄いな。

言うならば勝手に進化するわけだ。規格外にも程がある。

けど制御出来ないから危険視されてた、と。

先輩も困り顔で額に手を当てている。

 

「危うい状態なのよね。けど、私の評価が認められたため、今ならギャスパーを制御できるかもしれないと判断されたそうよ。私がイッセーと祐斗を『禁手』に至らせたと上の人たちは高く評価したのでしょうね」

「・・・うぅ、ぼ、ぼ、僕の話なんてしてほしくないのに・・・」

 

俺のすぐそばにあった段ボールの中にいるギャスパーから情けない声が出てくる。

なんでダンボール?というか別に先輩がやったわけじゃないだろ、アホか上のやつら。

 

「能力だけなら朱乃に次いで二番目でしょうね。ハーフとは言え、由緒正しき吸血鬼の家柄だし、強力な神器を人間としての部分で手に入れている。吸血鬼の能力も有しているし、人間の魔法使いが扱える魔術にも秀でているわ。とてもじゃないけど、本来の『僧侶』の駒一つで済みそうにもないわね」

「あれ?でも吸血鬼って日光に弱いんですよね?アユムだって太陽を浴びたら干からびるのにこいつは大丈夫なんですか?」

 

そりゃそうだ。一般的にはそう伝わってるし。

俺は普通のゾンビだから効くけど。

それより能力的には最強だと思うんですけど。

 

「彼はデイウォーカーなのよ。日中活動出来る種族の血を引いてるから問題ないわ。ただ、苦手ではあるでしょうけどね」

「日の光嫌いですぅぅぅぅうう!!太陽なんか消えちゃえばいいんだぁぁぁぁあああ!!!」

「分かる!分かるぞギャスパー!俺は吸血鬼ではないけど、太陽の光を浴びると死にかけるからな!!」

「せ、センパイ・・・!」

 

感極まったように俺の名前を呼ぶギャスパーだが、思わず共感してしまった。

いやーどいつもこいつも太陽苦手なくせに問題ない悪魔共ばかりだからな!!

ギャスパーは俺の中で評価が上がったぞ!お前は間違いなく俺の仲間だ!!何かあったら助けてやるからな!

 

「でもお前、アユムですら授業に出てるんだぞ。力を克服してクラスと打ち解けなきゃダメだしいつまでも授業に出ない訳にはいかないだろ?」

 

その代わり俺はよく保健室送りになってるんだよなぁ・・・。

 

「お願いします! 僕の事なんかほっといてくださぃぃい!!僕にはこの段ボールの中で十分です!外の空気と光は僕にとって天敵なんですぅぅぅッ!!! 箱入り息子ってことで許してくださいぁぁぁぁい!!!」

 

一誠の言葉にギャスパーは喚くだけで、割と重症だった。

光が敵なのは分かるが、流石にダンボールの中という気持ちは分からん。まだ押し入れの方がいいだろ。

 

「こいつ血はどうしているんだ?」

「ハーフだから、そこまで血に飢えているわけではないわ。十日に一度、輸血用の血を補給すれば問題ないの。もともと血を飲むのが苦手みたいだしね」

「血、嫌いですぅぅぅぅぅぅ! 生臭いのダメェェェェェ! レバーも嫌いですぅぅぅ!」

 

・・・いやこいつ本当に吸血鬼か?

吸血鬼って血を好んで飲むイメージがあるんだけど。なんなら過去にあったやつに血を吸われたんだけど。

なんでゾンビの血を飲もうと思ったんだろうね、美味しかったのかな。味は聞いてないけど。

 

「・・・へたれヴァンパイア」

「うわぁぁぁぁぁん!小猫ちゃんがいじめるぅぅぅぅぅ!」

 

吐き捨てるような小猫の一言に大泣きするギャスパーだが、俺にはフォローすることが出来ない。

ダンボール越しに頭と思わしき箇所を撫でてやろう。

 

「う、ぁあああああん!」

「ぐばらっ!?」

 

感触が伝わったのかダンボールの中に引きこもっていたギャスパーが出てきて俺に抱きついてきた。

俺は唐突の鳩尾に軽くダメージを負うが、出てこれるのかよ!!

最初から出てこいよ!

 

「とりあえず神谷くん、ギャスパーは貴方相手なら問題ないみたいだし神器も効かないようだから教育を任せるわ」

「は?」

 

おい待てよこの人、さらっと人に面倒事押し付けやがったぞ。

悪魔か!?俺の意思は尊重してくれないんですか!?

 

「私はこれから朱乃と一緒に三すくみトップ会談の会場打ち合わせに行ってくるから。もちろん神谷くんだけじゃなくて貴方達にギャスパーの面倒を見ていてもらいたいの。それと祐斗、お兄様が貴方の『禁手』のことについて詳しく話を聞かせて欲しいそうよ」

「はい、部長」

 

しかしこうなると断れないというか・・・ギャスパーは放っておけないんだよな。俺しか停止した時間で動けないし、あの様子からして誰かを停めることが嫌なのだろう。

まあ仕方がない、同じ日光大嫌い同志力を貸すか・・・。

 

「ギャスパーくん。そろそろお外に慣れないといけませんわよ?」

「朱乃お姉さまあぁぁぁぁぁ!そんなこと言わないでくださいいいいいぃぃぃぃぃぃ!」

「あらあら、困ったわね」

 

俺を挟んで大きな声を出すのはやめてくれない?

 

「まあ、とりあえずはこいつを鍛えるとしよう。軟弱な男はだめだ。それに私は小さいころから吸血鬼と相対してきた。扱いは任せて欲しいね」

 

デュランダルを肩に担いだゼノヴィアが俺の近くに来る。

ギャスパーは俺の背中から離れようとしない。

やめろォ!やめろォ!俺が聖剣に巻き込まれるぅ!!

 

「ヒィィィィッ!せ、せ、聖剣デュランダルの使い手だなんて嫌ですぅぅぅぅ!滅せられるぅぅぅぅぅ!」

「悲鳴をあげるな、ヴァンパイア。なんなら十字架と聖水を用いて、さらにニンニクもぶつけてあげようか?」

「ガーリックはらめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

おい待て、俺も殺す気か!?その聖剣砕くぞ!?

というか!さっきから!俺を!挟んで!やるんじゃねぇええええええええええ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって旧校舎の裏庭では今、吸血鬼狩りが執行されていた。

夕方に差し掛かった時間帯なので俺は太陽を防ぐために日傘を差しているが、危なくなったら止めようと思っていた。

嫌だって、あれに突っ込めるか?

 

「ほらほらどうした!もっと早く逃げなければこのデュランダルの餌食になるぞ!」

「びえええん!そんな物で切られたら消滅しちゃいますぅぅぅ!!」

 

ギャスパーの後ろからデュランダルを振り回しながらゼノヴィアが嬉々として追い掛け回し、俺たちは少し離れた所でその様子を見ている。

あんなの俺も嫌だよ。

 

「ぜ、ゼノヴィアさんが楽しそうに見えます・・・」

「完全に吸血鬼狩りだよな・・・」

「弱点が似ている俺から言わせてもらうと、あんなのトラウマ不可避なんだが」

「・・・ギャーくんは出来る子ですから」

 

俺は出来るできない関係ないと思うぞ!?

必死に逃げ回っているが、追いつかれたら消滅じゃん!なんて奴らだ、悪魔め!!

 

「な・・・何でこんな事するんですかぁ?」

 

暫く走り回ってから体力が限界を訪れたのかギャスパーは可憐な乙女の仕草でその場にへたり込みながら、運動の影響で上気させた頬に瞳に涙を浮かべていた。

隣の一誠はまだ諦め切れないのかそれとも整理がついてないのか、どっちでもいいが「畜生!あれが男だとは思えねぇよ!」とこっちはこっちで俺に言ってきた。

なんで俺に言うんだよ・・・。

 

「健全なる魂は健全なる肉体に宿ると言うからな。体力を付けるのが一番だ。そもそも、お前が最初からちゃんとやっていれば私もデュランダルを抜いたりはしなかったぞ!」

 

はいダウトー。

俺の勝ちだな、ウサギさん。

ついでに向こうもダウト。あいつめっちゃ楽しそうだったじゃん。絶対関係なしに抜いてたろ。

俺が途中からトランプで遊んでいると、そのままへたり込んでいるギャスパーに小猫ちゃんが近づいて行く。

 

「も、もうダメですぅ!一歩も動けませぇぇぇぇん!」

「ギャーくん。コレを食べればすぐに元気に」

「いやあああ!!ニンニクぅぅぅ!小猫ちゃんが僕をイジメるよぉぉぉ!!」

 

何処からか取り出したニンニクを差し出して、ギャスパーは体力の限界が嘘のように逃げ出した。

悪魔かな?

 

「小猫ちゃんもちょっと楽しそうです・・・」

 

同じ一年らしいから何かあるんだろう。小猫ちゃん以外みんな年上だったしなあ。

でも流石に可哀想。そろそろ止めるか・・・。

 

「おー、やってるやってる」

「何しに来たんだよ匙」

 

ギャスパーが小猫ちゃんに追いかけ回されているのを見て動こうとすると、ひょっこりと匙が現れた。

ひょっこり匙じゃん。

 

「よぉ、神谷。いやーどうにも解禁された引きこもり眷属が居るって聞いたからついでに見に来たんだよ・・・ってもしかしてあの金髪美少女か!?」

「そうだぞ」

「うひょぉぉぉ!可愛いじゃん!!羨ましいぞ、このやろー!」

「女装野郎だけどな」

 

テンションが上がって俺に絡んでくる匙に一誠が先程自分も突き付けられた残酷な真実を告げると、一気にテンションが下がった匙はその場で四つん這いになって泣き出してしまった。

お前ら似たもの同士だな!?

 

「マジか・・・こんな事が在って良いのか!?何でこんなに世界は残酷なんだ!?つーか引きこもりで女装って誰に見せるんだよ!?」

「服装に関してはお前もどうしたんだよ」

 

匙の恰好はジャージに軍手、シャベルを肩に担いでいる。

土木作業でもしてるのか?楽しい?それ楽しい?

 

「ああ、俺は花壇の手入れをしてるんだよ。1週間前から会長の命令でな。ほら、ここ最近行事が多かったし今度魔王様方も来られる。学園を綺麗に見せるのが生徒会の兵士(ボーン)たる俺の役目だ」

 

それは体のいい雑用では?と思ったが、胸を張って堂々とする匙に言うのは幅かられたので胸に締まっておく。

それよりもガチめにギャスパーがヤバそうなので、俺は間に入る。

 

「はい、小猫ちゃんストップ。ギャスパーも大丈夫だから、な?」

「ふ、ふぇええええええ僕の味方はアユム先輩だけですぅぅぅぅ!!」

「いやなんでぇ!?」

 

止めただけなのに俺の背中にやっぱり密着するギャスパーの姿に俺は困惑を隠せない。

どうしよう、男にされても嬉しくねぇ!

 

「というか、そろそろ出てきたら?そこのやつ、さっきから気配丸わかりだぞ」

 

茂みの方から気配を感じた俺は、背中に隠れるギャスパーは・・・うん守れるから諦めて良いとして、俺が視線を向けると皆が気づいたように遅れて見る。

 

「おっとっと!バレちまったか。へぇ、悪魔さん方はこんな所でお遊戯かい?」

「アザゼル!」

 

突如現れた浴衣を着た男性。

一誠が彼の名を呼ぶ事でその場の全員が目の前の人物の正体を知り、一誠とゼノヴィア、匙はそれぞれの得物を取りだして俺とアーシア、ギャスパー以外は一気に臨戦態勢に入る。

しかし俺は誰か分からなかった。誰だ、こいつ。

気配からして堕天使なのは分かるが・・・一誠たちじゃ勝てないなこれ。

 

「ひょ、兵藤!アザゼルって・・・」

「マジだよ、俺は何度も接触している!」

 

そういえばそんな話してたっけ。

まあ戦う様子は無いみたいだしどうでもいいや。俺には関係ないだろう。

 

「止めとけ止めとけ。そこの不死者以外じゃ束になっても勝負にすらならんぞ?むしろお前らが足枷になるだろうな。こっちの方から気配を感じたんで散歩ついでに見学に来たんだが、聖魔剣使いは居ねぇのか?」

「木場なら居ねぇよ!用がそれならとっとと帰りやがれ!」

「そっか。そりゃあ残念だ。だが俺は聖魔剣使い以外にも興味が在ってな。久方ぶりだな、不死者」

「あ?」

 

旧友にでも会ったかのように俺に手を上げて少しずつ接近してくるが、俺は怪訝な目で見つめる。

この顔というか姿・・・。

 

「アユム!お前も会ったことあったのか!?」

「・・・あぁ!!」

「なんだ、ようやく思い出したか?」

「人の金でゲームしたおっさん!!」

「もっとマシな思い出し方はないのかよ・・・」

「いや、あの時の金返ってこないし」

 

割と昔に会ったことあったけど、正直さっきまで忘れてた。

堕天使なのは知ってたが、あの時のおっさんか・・・。名前聞くの忘れてたな、そういや。

 

「それより何の用?あんたが俺を狙ってるってなら容赦しないけど」

「別にそういうつもりはねぇよ。どうだ、ユークリウッド・ヘルサイズは元気にしているか?」

 

特に驚きは無い。

てか俺のことを不死者と見抜いてる時点で全部知ってるんだろうな、初めて会った時も知ってそうな感じはあったし。

ただ敵意は前と同じでないが・・・むしろ本当に興味津々と言った視線を感じる。

なんというか栗立つわ。

 

「・・・ユーとはどうせ会うだろ。元気っちゃあ元気だけど」

「なら良かった。お前さん個人にも興味はあるが、そいつを聞けただけで十分だ」

「そんな趣味ないけど?」

「俺もないっての。まあ要件はそれだけだ---ああ、それとそこに隠れているヴァンパイア!」

 

俺の背中に隠れているギャスパーが慌てふためくと、背中に加わる力が強まった。

なんで俺を盾にしてるんだ・・・やめとけ、俺じゃこいつには勝てんぞ。なぜならもう太陽に焼かれてるからな!!フッ、今はクソザコアユムさんなのだ。子供にも負ける自信がある!

本当にやるつもりならやるけど。

 

停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)の持ち主か。そいつは使いこなせないと害悪になる代物だ。神器の補助具で不足している要素を補えばいいと思うが・・・そういや、悪魔は神器の研究が進んでいなかったな。五感から発動する神器は、持ち主のキャパシティが足りないと自然に動きだして危険極まりない」

「関係ないけどそれ以上近づいたら殴るからな」

「おっと、そいつは勘弁願いたいところだ。それでお前は黒い龍脈(アプソープション・ライン)だな?」

 

後ろで怯える様子が感じられたので、ちょっと敵意をぶつけるとアザゼルは少し離れて今度は匙を指さしていた。

驚きながら身構える匙だが、俺はもう問題なさそうなので欠伸した。

 

「鍛錬ならそいつをヴァンパイアに接続して余分な力を吸い取ってやれば良い。暴走もしづらいだろう」

「コイツにそんな機能が?」

 

匙が興味深そうに自分の神器を見つめる。

いや把握してねぇのかよ。

 

「なんだ知らなかったのか?ったく悪魔って奴は神器持ちの人間を転生のステータスとして扱うクセに神器そのものに興味が無い奴らが多すぎるぜ。そいつは五大龍王の一角、黒邪の龍王『ヴリトラ』の力を宿していてな。力を吸い取ったり、短時間なら自分以外のモノに接続する事もできるんだ---そうそう、もっと手っ取り早い方法が有るぞ。赤龍帝の血を飲む事だ。ドラゴンってのはその血液にまで力が強く宿っている。ヴァンパイアなんだろ?試してみると良い」

 

そしてそのまま「後は自分たちで何とかしろ」と立ち去って行ったが、俺は首を傾げる。

 

「アレが堕天使の総督か・・・何とも掴みどころの無い男だったな」

 

ゼノヴィアがそう言うが内容だけ振り返ればアドバイスしかしてなくないか?

まぁ目的の人物がいなかったってのもあるだろうけどさ。

 

 

 

 

 

 

それから言われた通り匙の力を利用して鍛錬を始めたが、まあ一長一短に出来る訳ではなく、ボールごとみんなを停止させたので問題なく動ける俺が時間が動く前にボールを叩き落とし、次にまた叩き落としては叩き落として---となんか途中からギャスパーじゃなくて俺の鍛錬になってきてるような気がしてきたが、終いには自分の部屋に籠ってしまった。

はてさて、どうすればいいのやら。俺は皆みたいに神器持ってるわけじゃないから分からんしなぁ。

いっその事ユーを連れてきて無効化するって策もあるが・・・それは最終手段にしたい。

 

「ギャスパー!出てきて頂戴!無理に外に出そうとした私も悪かったわ!」

 

しかし部屋の中からはギャスパーの泣き声しか返ってこない。

 

「すみません部長。大事な会議の最中に呼び出してしまって・・・」

「いいえ、貴方たちはギャスパーの為を想って頑張ってくれたのだし、謝る事じゃないわ」

 

結局引きこもってしまったので先輩を呼び寄せることになってしまったのだが、わざわざ呼び出すことになったことは流石に俺も申し訳ないと思う。

 

「にしたってちょっと恐がりすぎでは?人見知りにしたって引きこもりにしたってこれは異常だと思うんです。日光が苦手な気持ちは分かりますけど、何か理由あるんじゃないですか?」

 

俺は思ったことを先輩に聞く。

俺もニートになりたいくらいには太陽は嫌いだが、別に人見知りするわけでもないし、結局は引きこもりになろうという気持ちはない。

なので聞くことにしたのだが、長かった。

どいつもこいつも重たい過去を持ってるのなんなんだよ、と思いつつ頭の中で整理して見た。

 

吸血鬼は悪魔以上に血統を重んじる種族らしい。だからこそ純血ではないギャスパーには差別的だと。

だからこそハーフである彼は周囲の大人たちから差別・迫害を受けていた。

類希なる吸血鬼の才能と人間としての才能である特殊な神器を兼ね備えて生まれて来てしまったため、望まなくても歳を取ると共に大きくなっていったらしい。

そしてそういった思想に染まり切っていない周囲の子供たちからも大人たちと同様の扱いを幼少の頃から受けていた。親兄弟や腹違いの兄弟にすら。

人間界に行ってもバケモノとして扱われて居場所がなかった、と。

 

 

「ねえ、イッセー、神谷くん。貴方たちはもし時を止められたらどんな気分?」

「俺は・・・少し怖いですね」

「んーまぁ何されるか分からないというのはあります」

 

俺は停止しないが、そんなの関係なく止められるとして考えれば何をしてくるのか、何をされたのか、そういったのは気になる。

ああ、なるほど。そうやってギャスパーに停められて来た人たちも不信感が生まれたのか・・・。

そして彼はそれを何度も経験してきたわけだ。

・・・ったく、いい加減にしろよ。俺みたいな性格のやつに背負わせるなら分かるが、ギャスパーもアーシアも何も悪いことはしてないだろ。不幸にばかりさせて辛い目に合わせて、何がありがたい贈り物だ。

 

「僕は・・・こんな神器いらないっ! だ、だって、皆停まっちゃうし、怖がる! 嫌がる! 僕だって嫌だ! と、友達を、な、仲間を停めたくないよ・・・停まった大切な人の顔を見るのは・・・もう嫌だ・・・」

 

部屋の中ですすり泣くギャスパーの声が聞こえる。

ギャスパーは強大な力を持っているから、上からの命令でここに封印された。

そしてようやく解禁する許可を貰った・・・わけだが。

 

「どうすればいいのかしら・・・。自分の眷族が大変なときになにもしてあげられないなんて、『王』失格ね、私」

 

落ち込む先輩。

今回の一件、部長もギャスパーも悪くない。誰も悪くは無いだろう。ただ唯一、今までと違うところがあるのを忘れてないか?

ギャスパーが力を無意識に発動したら動ける者は居なかったのだろう。それは今も変わらない。

一誠や先輩、姫島先輩や小猫ちゃん、木場やゼノヴィア、アーシアも止まっていた。

けど俺だけは違う。オカルト研究部の中では俺だけが動けた。ギャスパーの能力を無効化できた。

まぁゾンビだしぃ?死人だから効かないんだろう、知らんけど。いや待てよ。それならなんでウサギさんは効かねぇんだよ・・・あれ?てかマジでなんで効かなかったんだ!?

い、いや今はそんな場合じゃないか。

 

「先輩、ここは俺に任せてもらっていいですか」

「待てよ、俺も力を貸すぞ。部長、ここは俺たちに任せてください!せっかく出来た後輩ですし何とかしてみせます!」

 

特に策があるわけでもなかったが俺が申し出を出すと、一誠が乗ってきた。

こいつは変態だけど、こういったところはちゃんと芯があるんだよな。変態じゃなければモテただろう・・・いや変態じゃないコイツとかキモすぎてやだわ。

 

「何か貶された気がするんだけど・・・」

「人の思考読むんじゃねーよ」

「本当に貶してたのかよ!」

「だったらお前の行動振り返れよバカ!」

 

こればかりは正論だと思います。

 

「相変わらず仲が良いわね。分かったわ、二人ともお願いね」

「仲が良いかは置いておいて、了解っす」

「置いとくなよ!っと、はい!」

 

俺と一誠の姿を見て微笑んだ先輩は名残惜しそうに、心配そうにギャスパーの扉を一瞥するとこの場を後にした。

先輩を見送ったあと、俺と一誠は顔を見合わせる。

 

「さて・・・やることは分かってるな?」

「ああ、もちろんだ!」

 

一応確認を取ると理解しているようで俺と一誠は深呼吸をひとつ置き、そして---

 

『お前が出てくるまで一歩も動かねぇ!(からな!)』

 

同時に扉の前に座り込んだ。

被ったぁああああああああ!?

ウッソだろ!こいつと同じ!同レベルだった!?同レベルの思考だと言うのか!?

ま、マジかよ!俺はこいつよりは頭が良いと思ってたのに!!

結局二人揃って行き着く先は持久戦・・・!

だが見捨てるほど薄情じゃないし、過去を聞いたなら尚更もう無理なのだ。

耐久アユムさんを舐めるなよ、朝までなら余裕だぞ。太陽出たら死ぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---いや、思ったより辛いわこれ。

あれから一時間。なんなら開始三分、カップラーメンが出来る時間帯にはキツかった。

俺も一誠も無言で待っていたが、出てくる気配は無い。

待つだけじゃ無理か・・・だろうな、そんなんで出てきたら困らねぇよ。引きこもってるわけないだろ!なんで気づかなかった!

 

「怖いか?神器や・・・俺たちが・・・」

 

俺と同じ考えに至ったのか一誠が語りかける。

扉の向こうからは、何も返ってこない。

 

「俺も最強のドラゴンが宿った神器を持っている。でもお前みたいにヴァンパイアとか、木場みたいにすごい生き方をしてきたわけじゃない。普通の男子高校生だったんだよ」

 

普通・・・?あれが普通・・・?ちょっと全国の高校生に謝るべきじゃないか?あれで普通なら世界は変態で溢れかえるんだが。

 

「俺は正直言って怖いんだ。これを使うたびに体のどこかが違う何かになっていく感じがしてさ。だけど立ち止まっていられない、前に進もうと思う」

 

怖さ、か。

残念ながら俺には分からない感情だ。

力の制御は出来ない時だってあるが、別に俺の人体が吹っ飛ぶだけだし。

 

『ど、どうしてそう思えるんですか・・・?も、もしかしたら、大切な何かを失うかもしれないんですよ? どうして、そこまで真っ直ぐ生きていられるんですか・・・?』

「うーん、なんだろうな。もしかしたら追いつきたいやつが居るからかもしれない」

『追いつきたい人・・・?』

「ああ、俺みたいにドラゴンを宿した神器を持ってるわけでもないのに凄く強くてさ。俺が禁手を使っても苦戦したライザーと互角以上に渡り合ったりあのコカビエルにさえ勝ったやつ」

 

一誠が同意を求めてるのか俺に視線を向けてくるが、記憶になかった。

そんなやつ居たっけ?俺は一誠が言ったヤツらと戦ったことあるが、どれも相性悪かったり体調崩してたしな。まぁライダーに関しては最初から殴れたら良いと思ってただけだし。

てかコカビエルのやつ負けてんのかよ。俺に負けただけじゃなくてその前に負けたのにあんな私強いですよムーブしてたの?

恥ずかしくない?それ。

 

「今の俺じゃ、まだまだそいつの隣にも前にも行けない。コカビエルと戦ったとき、それをよく理解させられた。後ろで見てることしか出来なくて、守れてばかりだった・・・だから俺は俯いて立ち止まりたくないんだ。前を向いて、いつかは隣で並び立ちたいって」

 

何処か憧れを目にした子供のように、生き生きとした目で見上げながら一誠は語っていた。

誰のことかまでは知らんが、一誠も一誠で考えてるのか。

だったら俺も見てるだけじゃいられないな。

 

「ギャスパー、お前はどうなんだ?一誠はちゃんと『目標』を定めて前に進んでいる。でも今のお前はただ逃げて殻に閉じこもってるだけだ。そうやって日々を過ごしたって何も変わらない」

『ぼ、僕は・・・でも、僕じゃご迷惑をかけるだけです・・・。引きこもりだし、人見知り激しいし・・・そんな僕なんかじゃ・・・』

 

俺の中でプチッと何かがキレるような音がした。

めんっっっどくさっ!いやいや落ち着け、ここはちゃんと優しく威厳のある先輩として落ち着いて---

 

「だぁああああ!やっぱり面倒臭い!!迷惑?俺が、一誠が、みんなが!いつ迷惑だと言った!?引きこもりなんか関係ねぇだろ、むしろ羨ましいだけだ!人見知りが激しい?だったら慣れるまで俺が面倒見てやる!後輩なんだから人生の先輩は頼れ!それにッ!」

 

次々と言いまくりたてた俺は、行動に出た。

ドアを掴み、800%の力で剥がしながらドアを大きく浮かせながら背後へ投げ飛ばす。

後ろで壊れる音がしたが、突然のことに驚いたのだろう。

壊れる音が途中で止まった。

つまりギャスパーの神器が発動したわけだが、無視して俺はギャスパーの顔を抑えて至近距離で目を見た。

 

「よく見ろ!前まではみんな停まってたのかもしれない。怖がるやつや嫌がる人が多かったのかもしれない。けどそれは過去だ!今を見ろ!俺は停まってるか?俺は嫌がってるか?怖がってるか!?お前が誰かを停める力を持っていても俺は停まってない。お前はもう、ひとりじゃないんだよ!」

「っ・・・!?」

「これからは俺が居る。みんなが停まるなんてこと絶対ない。お前がなにかに怯えるなら俺が守ってやる。だから心配すんな、一緒にやっていこうぜ。少しずつ、一歩ずつさ」

 

顔を引き離すと、俺は扉の外に出て手を差し伸べる。

残念ながら俺に出来ることはこいつの手伝いしかない。ただ動ける者がいるのといないのじゃ全く違うだろう。

そして俺が引きずり出すのは簡単だが、ギャスパー自身の足でラインを超えなければならない。

だから俺は、これ以上はギャスパーに何もしない。

 

「で、でも・・・」

「選ぶのはお前自身だ。今まで通り過ごすのか勇気を出して前へ進むのか。それにさ、ギャスパーの力は言い換えればみんなを守れる力になるだろ」

「みんなを守れる・・・ですか?」

「ああ、動ける俺と停めれるお前、ある意味最強のコンビだぞ?」

 

俺が能力が効くならば意味はなかったが、相手の動きを止められるのはその間に殴れる。

俺も相手の動きを止める技には助けられたことがあるし。

 

「本当に・・・僕にできるんでしょうか?」

「それはギャスパー次第だ。俺からは何も言えない・・・けどな、いくらでも手伝ってやるよ。もし停めたら、落ち着かせてやる。それでもダメか?」

「・・・」

 

割とそろそろ手を下げたいなーと思いながら 見つめるが、悩んでいるのかギャスパーは俯いている。

これでも無理なら流石にお手上げだ。後は一誠に託す。俺にはむりむり。こういうのは主人公が何とかするもんって相場が決まってるんだよ。

俺が行動したのは気に入らないからだ。ギャスパーではなく、こんなクソみたいな仕打ちをしまくるこの世界が。

ユーにもアーシアにも、木場にも---そしてギャスパーにも。気に入らないからやる。俺は主人公じゃないから崇高な考えがあるわけでも正義感があるわけでもない。優しさからでもない。

ムカつくから、それだけで十分だろう。

 

「・・・アユム先輩は優しいですね」

 

顔を挙げたギャスパーは嬉しそうに微笑みかけてきた。

その笑顔は今までのとは違って、極上の笑顔だった。

いや、それはもう一瞬女の子かと思うくらいには。アユムさんは騙されません。

 

「・・・僕、本当はみんなと居たいんです」

「そうか」

「すぐにみんなを停めてしまって・・・迷惑ばかりかけて誰かの力になることなんて僕には無理だって思ってました」

「そうか」

「でも、でも・・・!僕も立ち止まりたくない!僕も進みたい!だ、だから・・・」

 

怖いのか恐れながらもゆっくりと、少しずつ進んだギャスパーは外に出る前で止まった。

両手には黒いウサギのぬいぐるみを抱えて、明るい外からまだ出ていない。暗い部屋に居たまま。

けど俺は、確信をしたように微笑みかけた。少しでも勇気を出せるよう、安心させられるように。

 

「その・・・頑張ります。で、ですから・・・一緒に居て欲しいです。アユム先輩が居てくれたら・・・みんなとなら何とか出来そうな感じがしますから・・・」

「言ったろ、面倒見てやるって。例えお前が時間を停めようとも一緒に居てやるよ。なら、いけそうか?」

「っ・・・はい!」

 

まだ少しかもしれない。

でもギャスパーは一歩進んで、俺の手を掴んだ。

だから俺は、ギャスパーを軽く引っ張る。思ってた通り軽く、そうすると一歩だけじゃなくて全身が出ることになる。

 

「よく頑張ったな」

「わぷ・・・あ、アユム先輩のお陰です。先輩が居てくれたから、進めました・・・。も、もちろんイッセー先輩やみんなも。だ、だから一緒に居てくださいね・・・?」

「ああ、任せろ!」

 

俺の方が身長は上なので、抱きしめる形になりつつ頭を撫でてやると上目遣いでそう言われたから即答した。

すると今まで停まっていた空間が元に戻る。

どうやら能力が解除されたらしい。

 

「っと・・・そっか。アユム、お前のお陰か?」

「いや」

 

時間が停まっていたことを理解したらしく、事態が収拾ついたと思ったのだろう。

俺とギャスパーを見て問いかけてきたが、俺は首を横に振る。

 

「お前とみんなのお陰だ。まぁ問題は解決してないんだけどな」

 

そしてそう伝える。

あくまで俺がやったのはギャスパーを部屋から出すことだけ、まだ何も終わっていない。

 

「そこはゆっくりとやっていけばいいさ、そういえばアザゼルの野郎が言ってたことが事実なら俺の血を飲めば扱えるらしいけど・・・」

「言ってたっけ?」

「言ってただろ!てかお前居たじゃねぇか!」

 

首を傾げるが、残念ながら覚えていない。

いやだって俺の頭の中はユーとお金でいっぱいだったし・・・そういえば結局返ってきてねぇし!

 

「何でもいいや。どうする?」

「い、生きた者から血を吸うのは怖いです・・・これ以上力が高まったりしたらって思うと余計に・・・」

「だってばさ」

「うーん・・・なら仕方がないか。だったら使い方を考えるのはどうだ?」

「おいどうした、急に良い案だして。病気か!?」

「さっきから酷いなお前!」

 

普段の言動から考えて言ってるだけなのだが、でも割といい案かもしれない。

簡単に言えば怖くなくなる使い方を頭に入れたらいいわけだ。例えば時を止めてキノコを育てたり授業中寝たくなったら時間を停めて寝たりと・・・完璧か?

 

「もし俺が時間を停められたら学校中の女の子のスカートを覗き見したりだな・・・あー部長を停めてお、お、おっぱいを好き放題・・・ッ!そうだ!朱乃さんのおっぱいも---」

「お前後輩になんてこと言ってるんだ」

「はっ!?す、すまん・・・」

 

暴走気味になっていた一誠を止めたのはいいが、俺は内心ちょっと引いていた。

こいつにこの能力がなくてよかった・・・あったら俺が止めないといけなくなるじゃねーか。面倒事は勘弁してくれ。

 

「イッセー先輩って・・・楽しい方ですね」

「いや助平なだけだぞ」

「う、うるせぇ!いいか、よく聞いてくれギャスパー。俺は赤龍帝の力を部長のおっぱいに譲渡したいんだ」

 

無駄に真っ直ぐな目をしながら気持ち悪い想いを口にする一誠に、そろそろ殴ろうかと思ってたらギャスパーが驚くような表情を見せたのちに、じんわりと瞳を潤わせる。

 

「す、すごいです、イッセー先輩!神滅具の一つとされている神器の能力をそこまで卑猥な方向に考えることができるなんて・・・僕では到底及ばない思考回路ですが、なぜだか少しだけ夢と希望を感じました。イッセー先輩の煩悩って勇気にあふれてますね!」

 

あれ、それバカにしてね?

いやいい、もっとやれ。ギャスパー、そいつはバカにしていいぞ。言ってることはただの変態だ。

 

「流石神谷くんとイッセーくんだね。もう談笑出来るだなんて」

 

そんなふうに一誠のせいで話が変な方向に行きつつあったが、木場が覗き込むようにやってきた。

 

「おお、木場!ちょうどいい、アユムもギャスパーも聞いてくれ」

「なんだい?」

「・・・?」

 

どうしよう、聞きたくないんだけど。絶対ロクなことじゃないだろこれ。

 

「俺とアユムと木場とギャスパーは男だ」

「は、はい・・・」

「突然そんなこと訊いてどうしたの?」

「むしろ女って言われた方がビビるわ」

 

三者三様に反応を示すが、本当に突然だった。

頭でも打ったか?だったら叩いて治してやるけど。

 

「俺はオカルト研究部男子チームの連携を考えたんだ」

「それは・・・興味がそそられるね」

「確かに俺も僅かに興味があるな」

 

一誠の考える連携とやらに食いつく木場と首を傾げるギャスパーとちょっと興味が湧いた俺。

力を与えれる、力を貯めれる、剣を作れる、停められる。

組み合わせによっては強大だ。あれ?でも改めて考えたら俺って一誠の下位互換では・・・いやいやそんなはずは!気づいてはいけない気がする・・・!

 

「まず俺がパワーを貯める。そして貯めた力をギャスパーに譲渡して周囲の時間を止める。その間、俺は停止した女子を触り放題だ!」

「俺いらねぇだろ!」

「それだけなら僕もいらないよね?」

 

拳を強く握りしめて熱く語った一誠だが、考えることはただの犯罪者だった。

いや時間は停まってるから犯罪してることも気づけないけど、それにしたって連携してるの一誠とギャスパーだけじゃん。

 

「いや、そんなことはない!まず木場は禁手をして、もしかしたら停止した時間の中でも襲撃してくる敵が居るかもしれない。だからおさわりタイム中の俺を命がけで守ってくれ。そしてアユムは停止した女子たちの探知と最短ルートを探して、襲撃者が多い場合木場の手伝いをして欲しい。完璧な連携だ!」

 

確かに完璧だ。

お前しか特に利益がないことを除いてな!しかも俺の労働力だけおかしすぎるだろ!足で探知しろと!?確かに速度は力を解放したら木場より速いけど、学校壊れて俺が叱られるパターンじゃん!

 

「イッセーくん、僕はイッセーくんや神谷くんのためなら何でもするけど・・・一度真剣に今後のことを話し合おうよ」

「こんなやつのためにやりたくないな。というかそのために使われるお前のドラゴンが可哀想だわ」

「お、お前らなぁ・・・!俺はお前らと違って女子と話してるだけで汚れるとか罵倒されるんだぞ!お前らと違ってこうでもしないと触れることが出来ないんだよ!」

 

いや先輩とか姫島先輩とかゼノヴィアとかいるやんけ。

何言ってんだ、こいつ。

木場も同じことを思ったのか顔を見合わせたが、言わない方がいいと首を振られたので何とか抑え込む。

それからダンボールの中が癒されるというギャスパーが穴を開けた紙袋を被ることになってゾンビみたいな動きをしたりなど起きたが、明らかに変質者というか変態だった。

とりあえず自分の周りが変なのばっかとかほざきやがった一誠は一度50%でぶん殴りつつ、女子の好きなところをそれぞれ挙げる選手権が一誠の手によって開催され、夜通し猥談する羽目になった。

何故か俺も参加してしまったが・・・木場は意外にもスケベでした、まる

 

 

 

 

 

 





なんかめっちゃ筆が乗ったんだけどなんでこの主人公、ヒロインじゃなくて男を攻略してるんだ・・・?(困惑)
本来の予定では停まった時間で動く→ゲッタンする→一誠の援護くらいだったのに・・・。ギャスパーはめっちゃ懐くと思います。責任取って、どうぞ。男と男でも需要あるらしいぞ。それも男の娘ならお得らしい。

ちなみにうちの一誠にはちょっと心情変化おきてます。うちのアユムさんは一誠に言われるレベルで激クソ鈍感野郎なので女だけでなく男に向けられる感情さえ気づいてないし勘違いしかしてないけど。

(前書き)いる?

  • いる
  • いらない
  • ユー可愛いし出番欲しいからいる
  • (本作の)他のキャラも欲しい
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