白い魔法少女と守護輝士   作:狩村 花蓮

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第五話 模擬戦のはずなのに・・・・・・・・

 

三人称side

 

魔力資質を図るために行われた試験で、なのはやフェイト、そしてプレシアの持っている資質を大きく上回る記録をたたき出したムツハとマトイ。

 

アースラでは彼女たちにあうデバイスを制作中だった。しかしそれは、そう。とても、とぉーっても難航していた。なんせ魔力量とその出力ががあり得ないほど高いのだ。

 

常人の魔力総量と魔力出力の何倍にも匹敵する彼女たちの力は、あの高町なのはのデバイス、レイジングハートに匹敵するデバイスでも制御しきれないというシミュレート結果が出た。

 

魔力量はまだどうにかできるようだったが、問題は出力だった。アースラにあるデバイスでは彼女らの出力では耐えられないのかすぐ壊れてしまう。その光景は奇しくもマトイがまだ

 

二代目クラリスクレイスと呼ばれていたころに、通常の武装でテクニックを行使したり、ガンスラッシュなどで弾丸を撃ったりすると一回で壊れてしまい使い物にならなくなる

 

あの時の光景と重なって見えた。最低でもレイジングハートを上回るデバイスが必要という超絶無理ゲーにアースラメンバーはこころがおれかけていた。

 

そんなところにその無理ゲーを作った張本人であるムツハがやってきた。

 

「どうしようクロノ君。このままじゃデバイスが作れないよ。」

「分かっている。でもこのレベルのデバイスを作るとなるとアースラの保有する設備ではだめだ。それこそ本局の設備で作らないと・・・・・・・・」

「おーいクロノ。暇だから戦闘訓練したいんだけど・・・・・・・・取り込み中だった?」

 

エイミーたちのいる工作室にムツハが入ってきた。どうやらさっきの訓練室を使いたいようだ。それもそのはず

 

彼女たちは未だにアースラに自主的とはいえ軟禁されている状態だ。体を動かしたくもなるだろう。

 

「いや、問題ない。それよりも訓練室の使用許可だよな?もちろん許可する。しかし、君たちの力は未知数だ。くれぐれも壊さないでくれよ?」

「分かった。できる範囲で気を付ける。」

 

そう言ってムツハは工作室を出ていく。

 

「クロノ君。気分転換にあの人たちの訓練、見てみない?何かわかるかもしれないよ。」

「それもそうだな。正直、このままやっても進まないと思うからな。」

 

部屋にある残骸の山を見ればそれはなんとなくわかる・・・・・・・・良くここまでやったなこの二人。

 

「じゃあモニターに出すね。・・・・・・・・あれ?なのはちゃんにフェイトちゃん、それにアリシアちゃんとプレシアちゃんもいるね。」

「みんな彼女たちの戦いぶりが気になるんだろう。」

「それもそっか。あの二人の戦うところ見たことないもんね。」

「かくいう俺たちもまだ見ていない。・・・・・・・・おっと、そろそろ始まるようだ。守護輝士の戦いぶり、見させてもらうぞ。」

 

そう言ってクロノがモニター越しに見たのは、既に彼女たちが自身の得物を装備して最終確認しているところだった。

 

その訓練室ではというと・・・・・・・・

 

「改めて確認するわね。直接攻撃はもちろんOK、PA・テクニック使用可能。ただし設備を壊すレベルの威力はダメ。OK?」

「うん。問題ないよ。まぁ私はPA使えないけどね。」

「そっか、クラスがFoだもんね。」

「これでTeクラスに変えられたらなぁ。」

「でもマトイのFoと私のFoのステータス見ると、マトイの方が圧倒的に高いんだよね。」

「あはは・・・・・・・・それはその職にフォトン傾向が特化してるからだよ。・・・・・・・・でももうちょっと自由度つけてくれても良かったのに・・・・・・・・」

「何かに特化するって言うのはいいことだと思うけど。ってかマトイがこれ以上強くなると私の立つ瀬がなくなるというか・・・・・・・・っと、そろそろ始めようか。」

「うん。そろそろ始めようね。」

 

そうしてマトイは明錫クラリッサⅢを装備する。対してムツハは先がブレード状になっている杖、コートステッキを装備する。そしてお互いに構えの姿勢をとる。

 

マトイは胸の前に杖ごと近づけ、祈るような姿勢を取り、そのまま構える。ムツハは華麗に杖を振り回し、そのまま杖を持っている腕を後ろに下げ、剣を持つ時と似たような感じで構える。

 

「行くよ。」

「うん。かかってきて。」

 

ムツハが地面を蹴る。そして一気にマトイのもとへと進み、その手の杖を振り下ろす。

 

マトイは迷うことなくクラリッサを振り上げ、ムツハのコートステッキとつばぜり合いを演じる。

 

少しの間その状態が続いたかと思うと、マトイがクラリッサでコートステッキを払う。それと同時に片腕を離しそこにフォトンを集める。

 

「ラ・グランツ!」

 

集められたフォトンは光属性のテクニック:ラ・グランツとなってムツハを襲う。

 

「くっ!ラ・グランツ!」

 

対するムツハもラ・グランツを発動。お互いのテクニックは空中で衝突し霧散する。

 

「勿論この程度じゃダメだよね。」

「本当に油断も隙もない。今のは少し危なかったよ。ここまで強くなってるとは驚いたな。っ!?」

 

するとムツハの頭の上から光の槍が降り注いだ。ムツハはとっさにコートステッキを頭の上で回転させ、光の槍を弾く。

 

マトイの十八番、無詠唱グランツだ。これの凄いところは本来一体のみにしか使えないグランツを複数の対象にあてることができることだ。

 

これはマトイの規格外のフォトン総量あってものだ。

 

「・・・・・・・・今の、ずるくない?」

「模擬戦とはいえ戦いなんだからずるくないずるくない☆」

「無茶苦茶だねっ!」

 

ムツハは再度接近し、ロッドのブレードによる連撃を繰り出していた。彼女は最初こそ両刃剣であるコートタブリスを使っていたが、後継クラスファントムの登場でロッドが主戦武器になると

 

ロッドを頻繁に使うようになった。今では一番得意な武器となっている。マトイはその攻撃を防ぐだけで攻撃できていない。ムツハの攻撃速度はアークス1、気を抜いたらすぐに戦闘不能に追い込まれてしまう。

 

しかも新しいクローンと入れ替わりになるときの戦闘ステータスの最適化の作用で彼女の耐久値も高くなっている。生半可な攻撃では彼女は倒れない。まぁ、だからこそマトイには”遠慮”の必要がないのだが・・・・・・・・

 

突如ムツハの顔面の目の前で”爆発”が起こった。ムツハはあまりの突然の出来事で受け身がとれず大きく後方に吹き飛ばされてしまう。マトイも多少ダメージがあったのか少しよろける。

 

そう、マトイが使ったのは火属性テクニック:ラ・フォイエ。いわゆる定点攻撃テクニックである。それを自分もダメージを負う覚悟でムツハの顔面の目の前で起爆させたのだ。

 

ムツハはフラフラになりながらも立つ。どうやら先ほどの攻撃で軽い脳震盪を起こしているのだろう。しかし、彼女の眼からは闘志が失せてはいなかった。

 

それどころか、その場で獰猛な笑みを浮かべ残像が残るほどの速度で、マトイに接近し彼女の腹を杖で一閃。マトイは吹き飛ばされてしまう。そこにムツハは追い打ちでラ・グランツを放つ。

 

しかしそれは氷の壁で阻まれてしまった。攻撃用のテクニックを防御、カウンターように改良した、零式ナ・バータである。

 

「やるね、さすがは、マトイだ。」

「それは、こっちの、セリフだよ。」

 

お互いが息を切らしながらねぎらいの言葉をかける。そうしてまた、クロスレンジでのインファイトが始まった。

______________

 

一方、その戦いを見ているなのはたちはというと、なんというか・・・・・・・・うん。目が点になっていた。

 

「ねぇ、フェイトちゃん。」

「・・・・・・・・どうしたの?なのは。」

「私たちってあんな風に戦えてたっけ?」

「いや、それはないと思う。というか、あの二人が規格外なだけだと思う。」

「あれが、守護輝士の戦いなの?私じゃ手も足も出ないよ・・・・・・・・」

 

なのはの懸念はもっともである。ムツハとマトイは倒した敵が強大すぎてそれ以外の戦いがあまり知られていないが、彼女らの越えて来た場数はすでにあの六芒均衡をゆうに上回っている。

 

2人は背筋に何とも言えない悪寒を感じていた。そしてそれは、モニター越しに見ていたクロノたちも同様だった。

 

「あれが最高戦力か・・・・・・・・あのレベルだと1分持つかどうか・・・・・・・・」

「えー!クロノ君でもそのくらいなの!?」

「あぁ、彼女はなのはと違って力がある素人ではない。彼女は力以上に場慣れしている。仮に魔力を制限しても戦えるぞ・・・・・・・・」

「・・・・・・・・本当に、敵に回さなくて良かったね。」

「あぁ、本当にな。」

 

そう言う二人が見ているモニターの向こうでは激しい応酬が続いていた。

 

 

場所はなのはたちの方へと戻る。

 

「おねぇちゃんたちすごーい。まるでテレビで見るヒーローみたいっ!」

 

アリシアは二人の戦うさまを見てヒーローショーを見に行った子供のごとくはしゃいでいた。しかし彼女の横にいた人物、プレシアは二人の戦いを見て顔をこわばらせていた。

 

(彼女・・・・・・・・ムツハと言ったかしら。彼女にはおそらく相手を殺す躊躇がない。もし彼女に敵対していたら・・・・・・・・考えたくもないわね。)

 

と、プレシアは、言い表せないような悪寒に苛まれていた。

________________

 

「いい加減に決着を付けようか。マトイ。」

 

また鍔迫り合いをしている彼女たち。そんな時にムツハはそう言う。マトイは再度振り払い、ムツハはその場で後方に一回転をして着地する。

 

「そうだね。そろそろ疲れてきちゃった。じゃあこれで、決めるよ!」

「えぇ!」

 

そう言うと二人は両手を左右に掲げた。その手のひらにはそれぞれ片方ずつに赤と紫の玉・・・・・・・・それぞれ火と闇に性質変化させたフォトンのエネルギーの集合体が浮かんでいる。

 

それを2人は手を合わせることで強制的に融合させる。そのエネルギーはどんどん膨れ上がっていく。その融合フォトン集合体の周りには強制融合の影響だろうか?

 

融合しきれなかったフォトンが火花のように散っていた。融合したフォトンの集合体が限界まで圧縮される。するとそれはどんどん肥大化していく。

 

それが臨界に達した時、二人は叫ぶ。

 

「「フォルメギオン!」」

 

2人はそのフォトンの塊を前に押し出すように腕を突きのばした。そのフォトンは赤と紫が混ざったようなレーザーのようになり、それぞれ相手に向かっていく。

 

それは寸分たがわず同じ座標に存在していた。そして衝突し合う。

 

「くぅぅぅぅぅ・・・・・・・・うわぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあああぁ!!!!!」

「うぅ・・・・・・・・あぁっぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁああ!」

 

2人の口から苦しそうな声が漏れる。今更だが、本当にこれが訓練なのだろうか?まぁそんなことは今はどうでもいい。彼女たちのその声にこたえるかのごとくそのレーザーはますます膨らんでいく。

 

それはしばらく均衡を保っていた、しかし・・・・・・・・

 

「「っ!?」」

 

その接触面から火花のようなものが散り始めるとレーザーは一瞬で爆発し、辺り一帯を光と煙で包み込んだ・・・・・・・・

_________________

 

「うわっ!眩しい!」

「くっ、前が見えないっ!」

 

なのはとフェイトが目をつぶる。光はその後すぐ収まったが一向に煙が晴れない。  その煙のおかげで換気システムが起動し、一気に煙が晴れる。その先ではお互いに後方の壁に叩きつけられ

 

意識を失っている二人の姿があった。

「ムツハさんっ!マトイさんっ!」

 

なのはが二人のもとへ向かう。それに続き、フェイトとアリシアも部屋の中へと入る。

 

その後クロノたちも駆けつけ、二人はそのまま医務室へと運ばれた。医務室の職員曰く、軽い脳震盪だろうということだった。

 

なのはたちは安心していたが、クロノだけは何とも言えない表情をしていた。

 

(彼女たちが放ったあの一撃、爆発する直前、二人の顔が強張ったように見えた。・・・・・・・・まさか、力が暴走してるんじゃないだろうな・・・・・・・・)

 

クロノはそんなことを考える。しかしこの予想が本当だったことに気づくのは彼女たちが目を覚ましてからのことだった。

 

ムツハside

 

「ここ・・・・・・・・は?」

 

私は気が付くとベットの上で寝ていました。マトイは隣で寝ています。それにしてもさっきのあれは何だったのでしょうか?

 

”複合テクニック”あれは確かに現存するテクニックの中では切り札に近いものです。本来は一属性でしかないものを無理やり複合属性にし

 

それを各種特性による最適化でもって打ち出します。その際、使い方になれていないとフォトンが暴走しその場で爆発してしまう危険性があります。

 

しかしあの場で私たちが制御を誤ったという可能性は限りなく低い・・・・・・・・と思います。マトイは私より早く、私はマトイより少し遅く複合テクニックを使い始めましたが

 

それも年単位で使っていたのです。いくらブランクがあるといっても暴走させるなんて・・・・・・・・まさか、我々の力が成長でもしたんでしょうか?すでに第三世代の中では私のスペックは

 

あまり良いものとはいえず、成長もしないだろうといわれました。ですがもし、何かが原因して私たちの力が成長したのであれば、早急に手を打たないと何かが起こりそうです。

 




ここまで読んでいただいて感謝の念に堪えません。ということで主人公が最後、匂わせるようなことを言いました。どうなってしまうんでしょうか?ではまた次回お会いしましょう

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