どけ!トレーナーの隣はわたしだ杯   作:ししゃも丸

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ゴルシと出会って初めての夏。俺たちは学園指定の合宿所に訪れていた。まあ、俺のチームはゴールドシップ一人だけなので、チームリギルのような豪華なホテルがある場所ではなく、古きよき旅館がある場所だった。
当然ゴルシはトレーニングをするわけがないので海で遊んでいると、突然ゴルシのヤツが宝の地図を売店でもらってきたと言った。
俺はどうせ偽物だろ言ってたら、ゴルシのヤツに金銀財宝がアタシらを待ってるぜーと言われながら首根っこを掴まれて船がある港へ連れていかれた。
ゴルシに引きずられながら船を探していると、ひとりの老人が言った。
「おまえさんがた、あの島にいくのかい。やめてときな。死にたくなかったらな」
と、さらにゴールドシップの好奇心に火をつけてしまい、俺たちは結局その無人島にいくことになってしまう。
島に着くと、そこは無人島にしては不思議な場所だった。まるで彼岸島のようにあちこちに武器が落ちてるではないか。
さらには先客がいて、そいつらは俺たちを見つけると警告もなしに銃を撃ってきたんだ。
俺たちはそこら辺に落ちていた武器とすげー丈夫な丸太を使って敵を撃退することに成功した。
するとゴルシが言った。
「くそっ、こいつらきっとゴルゴル族の兵士にちがいねぇ! いくぜトレーナー! 奴らにアレを使わせるわけにはいかない!」
俺は言われるがままにゴルシについていった。それからすごい映画のような出来事が起きた。例えるならアクション映画のBパートかCパートぐらいまでありそうな感じの出来事だ。
道中よくわからん仲間も増えた。
「ほう、お前たちもゴルゴル大王の野望を阻止するためにきたのか。だがやめときな。ここから先は生きて帰えれる保証はないぞ」
なんかサングラスをかけた謎のアフロが言った。
「へっ。その言葉そっくり返すぜ。ゴルゴル大王を倒すのはこのゴルシ様だからな!」
と売り言葉に買い言葉。
そのあともどんどん仲間が増えて、とげの生えたやつとかところてんみたいなやつとか、なんかもっといっぱい増えた。
そしてついに大王とご対面した。
「よく来たなゴールドシップ。お前は自分が正しいと思っているだろうが、所詮お前も俺と同じくゲームの駒にすぎんのだ」
「ふざけんな!アタシは駒なんかじゃねえ! みんなの犠牲を払ってここままで来たんだ。決着をつけてやる! いくぜトレーナー!」
「こいゴールドシップ!」
「うぉおおおおお!!」
壮絶なラストバトルが始まる中、俺は最終兵器の自爆スイッチを押してひとり脱出していた。




幕間劇 ゴルシ様の休日

 アタシの名はゴールドシップ。トレセン学園に通う伝説のスーパーウマ娘とはアタシのことだ。

 

 は? アタシのことを知らないだって? 

 

 お前、本当に地球に住んでんのかよ。

 

 ファン投票したら1位から5位まで総なめするぐらい有名なんだゾ☆

 

 まあ、それはともかく。

 トレセン学園に通うウマ娘の休日ってのは、大半が遅くまで寝てたり、どこかへ出かけたり、時には休日返上でトレーニングしているヤツが多い。

 もちろんゴルシちゃんだっていつもだったら寝てる。

 けど、今日はお仕事の日なのだ。

 

 仕事の日はだいたい行動パターンが決まっている。

 寮を出たら学園の近くに出店しているキッチンカーまで出向く。ここはウマ娘が好む甘い飲み物を多く取り扱っていて、特にはちみつドリンクが人気だった気がする。

 店の前まで来ると、お姉さんがあいさつをしてきた。

 

「あ、ゴールドシップさん。おはようございます」

「グッモーニン。いつもので」

「はい。いつものですね」

 

 待たされること数十秒ほど。

 出てきたのは甘いはちみつドリンクじゃなくて、真っ黒な液体──そうコーヒーだ。

 ウマ娘は比較的甘いものを好む傾向にあり、コーヒーのような苦い飲み物を飲む娘はあまりいない。

 

 たしか……テイオーなんかどっかのラーメン屋みたいな頼み方してたっけ。

 

 そんなことを思いながら一口飲んでいると、何やら困り顔でお姉さんが言ってきた。

 

「あのゴールドシップさん。お代はいつものように?」

「うん。うちのトレーナーにつけといて」

「はい、わかりました。よい休日を」

「あんがと。また来るよ」

 

 ここに通ってどれくらい経つだろうか。アタシはここで一度も金を払ったことがない。全部トレーナーにつけているからだ。

 あいつも仕事がある日は、毎朝ここでコーヒーを買っているから別に問題はない。

 

 アイツの財布はアタシの財布でもあるからな。

 

 コーヒーを片手に学園近くにある駅へ向かう。休日なので平日と違い駅内の人混みはまだ少ない。

 ウマ娘は聴覚が鋭い。

 だからこういった人が多く出歩く場所など色んな音が聞こえてくる。まあぶっちゃけ意識しなければそこまで変わらないんだけど。

 

 Suicaを使って改札を通って目的の電車に乗る。目的の場所は数駅先にある。車でなら学園から1時間もかからない場所だ。

 目的地まで暇なのでスマホを取り出すと、メッセージが届いてた。

 

 ──ちゃんと起きたか? 

 

 アイツからだった。まったく、心配性で困ったもんだぜ。いつもアタシが面倒を見てやってるのに、こういう時だけ立場が変わるんだもんな。

 

 ──いま起きちゃった♪ 

 

 ──時間的に○○線だろ。じゃあ仕事がんばれよ。またあとでな。

 

 まったく。長い付き合いだと冗談に付き合ってくれなくなるから困ったもんだ。

 最後に昼飯おごれって打ち込んだが既読にはならなかった。

 

 ほんと、可愛げのないやつだぜ。

 

「じぃ~~」

 

 すると隣に座っていた子供がアタシの顔をじっと見ているのに気づいた。

 

「どうした坊主。アタシの顔になんかついてるか?」

「おねえちゃん、ごーるどしっぷ?」

「お、アタシを知ってるとは中々見どころがあるじゃねえか!」

「ごーるどしっぷはやべぇーってみんな言ってるから」

「ほう。よくわかってるな小僧。このこの!」

「わわっ!」

 

 子供の頭を撫でてやると恥ずかしそうにしているのがまあ面白い。するとこの子の隣にいたお母さんが声をかけてきた。

 

「ごめんなさいね。この子、こんなに近くでウマ娘を見たのあまりなかったもので」

「いえいえ。別に構いませんよ。子供は好きなんで」

「それにしても、こんなに朝早くからどこに?」

「ああ、仕事があるんですよ」

「仕事?」

「ええ。これでも売れっ子なんで、アタシ」

 

 そう。今日は仕事があっていつもの撮影スタジオに向かっているのだ。

 きっかけはほんの些細なことから始まった。

 

 

 

 当時はまだチームもアタシとアイツだけ。一人だけのチームというのは、まあ学園の規模から考えたら珍しく、世間でいう弱小チームと言われていたような気がする。

 そんな二人だけで活動していたある日、アイツがアタシに言った。

 

「なあ、モデルの仕事やる気あるか?」

「モデルぅ? アタシが? なんで?」

「高身長で」

「うん」

「それなりのモデル体型で」

「うんうん」

「黙ってればすげー美人に見えるから」

「一言余計じゃい!」

「ぐほっ!」

 

 色々あったけど、面白そうだから引き受けた。

 そしたらなんか相手側の受けもよくて、実際に世間の評価も高く、気づいたらトップモデルの仲間入りを果していたのであった。

 

 

 あの親子とは降りる駅が違うのでひとりで降りて改札口を出る。ここから撮影スタジオまではそう遠くなく、あるいて10分ぐらいで着ける距離。

 建物に入って連絡にあった自分の控室に向かう。当然道中ここの人間や撮影スタッフがもうすでに働いて、みんながすれ違うたびに挨拶をしてくる。

 

「あ、ゴールドシップさん! おはようございます!」

「おはようございます、ゴールドシップさん!」

「ええ。おはようございます。今日もよろしくお願いしますね」

 

 驚くかもしれないけど、アタシはTPOはわきまえているつもりだ。

 それにこれでも売れっ子だからな! 

 

 自分の控室まで来ると、プレートに『ロールバトー様』と書かれている。

 これはアタシの芸名だ。

 

 アイツが言うにはアタシの名前をフランス語にするとこうなるらしい。本名を使わないのはただ単に面白いから。

 これはアイツと共通の見解だったりする。

 

 現に一度もアタシがロールバトーだとバレたことはない。よくファッション雑誌を読んでいるマックイーンや他のみんなからも一度だってアタシだと疑われたことすらない。

 まあ、それも無理はないんじゃないかとアタシでも思う。

 なぜなら──

 

「あ、ゴルシちゃんおはよう。じゃあまずはこれに着替えてもらっていい? そしたらセットするから」

「うん、おねがーい」

 

 この仕事を始めてからいつもヘアメイクを担当しているお姉さんとはそれなりの仲だ。

 撮影する服に着替えて、いつもつけているヘッドギアを外す。

 たぶん、これがアタシをアタシだと認識できない理由なんじゃねぇかなって思ってる。これを外すとまとめていた髪が前に落ちるから、別人に見えるのだとアタシは勝手に思ってる。

 

 つまり、世間はまだまだアタシを理解できてないってことだ。

 

 だいたいメイクが終わる頃、扉をノックして一人の……お姉さんが入ってきた。

 

「おはよう、ゴルシちゃん。今日も決まってるわ! いいぃ、すごくいいわ!」

「あ、KEIさんおっはー」

 

 この人はKEI。苗字は知らないけど名前はアイツ曰くケイスケらしい。

 つまり、元男。だけど今は大人の女。

 本人曰くオカマと呼ばれることには対して気にしてないし、ある意味本当のことだからいいんだとか。

 これでも有名ファッションデザイナーで、アイツにこの仕事を依頼した張本人。

 

「あれ、ゴルシちゃん。今日は保護者の彼、来てないの?」

「ちげーよ。アタシがアイツの保護者なの」

「あらあら。そういうことにしておくわね。朝早くから悪いけど、今日もお願いね」

「おっけー」

 

 準備が整ってスタジオに移動する。

 たまに知らない人間がいるけど、大半の人はもう数年の付き合いになる。

 

「いいねぇ。いいよ! はい、いまのもう一枚!」

 

 この仕事を受けたときから、アタシはカメラマンからの評価が高かった。まあ、アタシは賢いからどういうポーズで、どういう絵を撮りたいのかだいたいわかる。

 だからミスはほとんどないし、一発どりで大半の撮影は終わるのだ。

 

「はい、お疲れさま。これいつものお土産ね」

 

 撮影が終わると、KEIはいつも撮影で使った衣装をお土産ってことで全部くれる。なので最後に着た服でいつもアタシは帰るし、このこともあって服はしばらく買ったことはない。

 

「アタシはありがたいけど、毎度毎度貰っていっていいのか?」

「いいのいいの。撮影用のは全部ゴルシちゃん用に合わせて作ったものだし、それに宣伝にもなるから」

「じゃあ遠慮なく」

「あ、そうそう。彼に会ったら言っておいて。もしゴルシちゃんの勝負服を新しくするときは、わたしにデザインさせてって」

「だいじょーぶだって。アタシが言えば何でも『はい』か『うん』で通るから」

「うふふっ。期待しておくわ」

「おう。じゃ、お疲れさまでしたー」

「はい、またよろしくね」

 

 簡単にあいさつして撮影スタジオを後にする。

 時間はだいたいお昼前ぐらい。朝早くから撮影しても意外と時間がかかるものだといつも思う。

 来た道を戻っていつも仕事終わりにいくオープンカフェにいく。

 これも毎度のことなので、そこの店員には顔を覚えられているのでいつもの窓際の席に案内される。もちろん、トレセン学園のゴールドシップではなく、モデルのロールバトーとして。

 だからひそひそと色んな声が聞こえる。

 

「え、アレってモデルのロールバトーじゃない?」

「あ、本当だ!」

「おいおい、今日はついてるぜ」

「座っているだけであの高貴なオーラはまさしく本物」

 

 毎回思うのは……ここでいつものヘッドギアをつけたらみんなどういう反応をするかってこと。

 それはそれで面白いが、ここでやるにはまだ早い。

 いや、それをやるべき時がいずれ来る──―そんな気がするのさ。

 

「──よ、お疲れさん。あ、コーヒーひとつ」

 

 物思いにふけていると、いつもの仕事着姿のトレーナーが堂々と前に座ってコーヒーを注文した。

 その光景を見て周りがざわついているがもう慣れたことで、互いに普通に話を続ける。

 

「ちょっと遅いんじゃないの?」

「ぷっ……いや、まあちょっと仕事を片付けたあと、理事長と色々話をな」

 

 堂々と笑うので思わずこめかみがピクリと動いた。

 外にいるため、例えトレーナーが目の前にいようとロールバトーを演じなければならない。ゴルシちゃんはかなりの演技派なのだ。

 もしここが学園だったら、容赦なく飛び蹴りかプロレス技をかけたことだろう。

 

「なんでもトレセン学園の広報モデルにお前を使いたいんだと」

「わたしを?」

「そ、人気モデルのロールバトーを。どうする? 俺は面白いから受けてもいいと思ってるんだけど」

「ええ、いいわよ」

「じゃあスタッフはあいつのとこに任せるか──あ、どうも」

 

 余程喉が渇いていたのか、ウェイトレスが持ってきたコーヒーをトレーナーは一口で……全部飲み干した。

 アタシはそれを見て、もうここに用はないと判断し立ち上がった。

 

「ん、もう行くのか」

「腹減った」

 

 これは本当で、撮影中用意された飲み物ぐらいしか口にしてない。それにだんだん演じるのも面倒になってきた。

 それをこいつは見抜いているのか。

 

「なんだ、何も食ってなかったのか。じゃあ行くか」

 

 そういって伝票を持って先に歩いていく。トレーナーが来る前に頼んでいたのは飲み物だけで、あとはさっきのアイツのコーヒーだけ。それでもアイツはいつも支払いをしてくれる。

 

 ──まあ、そうアタシが仕込んだんだけど。

 

 会計を済ませて店の外に出る。行きかう人がすれ違うたびにこちらを見てくるが、それにも当然慣れているので気にせず歩き出す。

 すると、アイツはすぐにアタシが仕事で貰った服と、元々来ていた服が入った紙袋を差しながら言った。

 

「ほれ、それ持ってやるよ」

「うむ。苦しゅうない」

 

 まあ、これも日々の教育の賜物だな。うん。

 

 隣を歩きながらこいつはにやにやしながら言う。

 

「にしても相変わらず()子にも衣裳というべきか、お前は何着ても似合うよな。それに黙ってりゃかなりの美人だしな」

「お前はもっと素直に褒められねぇのか。そんなんだからまだ独身なんだよ」

「なんだ、素直に言ってほしいのか?」

「──うっせぇ! ほら、さっさとお前んち行くぞっ。腹も減って、こんな恰好じゃストレスが溜まるだけだからな!!」

「へいへい」

 

 結局のところ、この仕事がある日は決まってこんな感じだったりする。

 

 仕事して、カフェで休んで、アイツの家にいって時間を潰す。

 

 何の変哲もない、いつもと変わらないアタシの休日だ。

 

 

 

 




朗報。当初の予定通りある二人をアニメ基準で書いたらとんでもないことになってる模様。
おら、わくわくすっぞ!

だけど文字数がエグくなってしまった。両方1万文字越え1人に至っては2万文字超えちゃいそうなの♡
ていうか数日かけてまだ終わらないってマジ?

でも仕方ないよね。今まで全然重くないし、普通だったもんね。
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