3rdイベントのグッズ、欲かいていっぱい買っちゃった。
なんでアクリルスタンドって別にそんな欲しいわけじゃないのに、つい買ってしまうんだろうか。
「はい、ではトレーナーさんのスキャンダル暴露コーナーのはじまりです!」
「な、納得いかねぇ……」
CMに入る前まではスタジオで暴れていたトレーナーだったが、今は大人しく最初と同じようにハナの隣に座っている。その隣にいる彼女の顔は明るく、今か今かと待っているようだ。
「私も早くトレーナーさんのスキャンダル見てみたいです!」
反対側に座るロールバトーは多くのファンを魅了するであろう笑顔をニコッとカメラに向けながら言った。それを見てトレーナーのこめかみがピクピクと動いているところを見るに、かなりイラついているようだ。
「まぁまぁロールバトーさんそう慌てないで。ではトレーナーさんのスキャンダル一枚目はこれ!」
中央のモニターに一枚の写真が映し出された。そこはどこかのバーカウンターに座っているトレーナーと東条ハナであった。
雰囲気だけを見れば互いにグラスを片手に何か語り合っているように見える。
「なんで私なのよ……」
「ていうかこれ、絶対あのマスターが撮ったろ。俺らの顔正面だし」
「そうよね。一枚目がこれってちょっとインパクトが薄いわよ」
「まぁそう慌てないで。これはまだジャブです」
『ジャブ?』
すると写真が変わって、次の写真は「らぁめん」と書かれた暖簾をくぐって店から出てくるトレーナーと秘書の駿川たづなであった。
「あら。やっぱり本当だったのね。彼女とよく食事に行っているっていう噂」
「いや、ね? 彼女には……色々とお世話になってるからそのお礼だよ、お礼……うん」
「ちなみにどこをお世話してもらっているんですか!」
キラーンと目を光らせながら司会はトレーナーの言葉を突っついてきた。
「仕事です。やましいことは一切ありません!」
「えぇ~ほんとうですか~? もっとディープな関係なんじゃないんですか~」
「……終わったら絶っ対に締めてやるっ」
ロールバトーの煽りにトレーナーは小声で叶うことのない誓いを立てるのであった。
一方トレセン学園理事長室でも戦いが勃発していた。
「憤懣! 理事長秘書という立場であるキミがこのような失態をしていいと思っているのかね!」
「それはあくまで勤務中の話では? 勤務時間外で同僚の男性と、どう過ごすかは私の自由ですから」
「むっ……こほん。あんな男のどこがいいんだか。大人の癖に期限は守れないし、問題ばかり起こすんだぞ」
「トレーナーさんはああ見えてちゃんとしてるんですよ。約束の時間より早く待っていますし、食事の時はいつも奢ってくれます。ちゃんと気遣いのできる男性です」
「ふんッ。どうせ彼の弱みでも握っているのはわかっているんだ」
バサッといつも持っている扇子を広げると、そこには「恐喝」と書かれていた。それを見たたづなもイラっときたのか、
「まぁ……やよいちゃんには大人の世界はちょっと……早いかもね」
「ななっ!?」
秋川やよい。トレセン学園の理事長を務めているが、まだ彼女は「少女」と呼ばれるぐらいの年齢らしい。
同時刻カフェテリアでは。
「やっぱ緑色の服を着た女性は卑しいわね」
「だよね~」
「そういえば勝負服が緑の娘ってそこそこいたわよね……?」
『……』
該当するウマ娘数名が笑顔で圧力をかけていた。
「実は次が本命なんですよ」
「本命?」
「はい!」
司会は満面の笑みで答えた。するとトレーナーの隣に座るハナが何かを察したのか、彼の顔を見ながら言った。
「もしかして……」
「え、なんだよ。分かってるなら教えろって」
「いや、流石のあなたでも彼女には──」
「では本邦初公開!」
するとそこにはトレーナーに肩車をしてもらっている秋川理事長の姿が映し出された。その光景は例えるなら父と子供を彷彿とさせる。同時にスタジオにどよめきが起こった。
「あなた、理事長にまで手を出して……」
「背が高いとああいうことを
「ン。よく?」
「言葉の綾だよハナちゃん」
「ハナちゃん言うな」
「──え、これじゃない?」
「は?」
司会がそういうと空気が変わった……特にトレーナーの。
その写真はどこかの和室の一室だろう。位置からして庭園から撮影したらしく、これだけでもこの場所が由緒ある武家屋敷だということが分かる。
問題はその一室で、テーブルを挟んで男女一組が向き合っていることだ。服装もちゃんとしていて、一人は大男、もう一人は幼い少女。最近のカメラの性能はとてもよくて二人の顔がよく写っている。
それを見て問題の彼がつい声を漏らした。
「え、なんで」
「……くくっ」
「!!」
ほんの一瞬笑ったロールバトーの声を逃さなかったトレーナーは鬼の形相で彼女を睨んだ。
一方トレセン学園理事長室、最初の写真が映し出された時。
「あらあら。人には弱みと言っておきながら自分は職権乱用ですか……いいご身分ですね」
「と、盗撮! そもそもアレはたづなが撮ったんだろう! どう見てもあの場所はここだし、それにキミもいたではないか!」
「そうですよ。つい面白かったので」
「潔い!?」
『──え、これじゃない?』
部屋にたづなの笑い声が響き渡る中、テレビの向こうでは写真が即座に切り替えられて別の写真になった。それを見た途端、やよいは言葉を失い唖然としていた。
「──!?」
「……理事長、なんですかこれは」
「い、いや、これは私ではない。きっと他人の空似だろう」
「とぼけないでください。どうみてもこれは理事長ですし、こっちの男性はトレーナーさんです!」
「たぶん……ドッペルゲンガーというやつだろう。うん、そうに違いない」
「そんなの誰が信じるというんですか!」
同じ頃カフェテリアでは。
「みんなニンジンは持ったな! いくぞぉ!!」
『おぉおおお!』
会長を先頭に理事長室へ突撃を開始していた。
その頃スタジオではなんやかんやあり、トレーナーはなんとかその場を乗り切って話題は次の写真へと切り替わった。
そこには当然トレーナーとウマ娘である──タマモクロスが写っていた。
「次はこちらです! えーこれはスーパーで一緒に買い物をしているトレーナーさんと……タマモクロスさんでしょうか。仲良く買い物をしているだけかと思いますが……やっぱりデートですか?」
「なんでそうなる……」
「あなた、やっぱり幼児体型の子が好きなんじゃないの?」
「誤解だ」
「じゃあトレーナーさんどうして彼女と買い物を? タマモクロスさんはチームのウマ娘ではありませんし、あまり接点もないですよね」
タマモクロスは高等部なので授業では面識があるかもしれないが、司会の言うように担当している生徒ではないしチームメンバーでもない。
しかしトレーナーは先程よりも冷静である。
「俺はオグリキャップをよく飯屋に連れて行くんですが、まあこれが長い月日が経つのでかなりローテーション化するんですよ」
「大半が出禁になったからでしょ? あの子よく食べるから」
「まあそうなんだけど。そこでタマモクロスに相談したんですよ。美味しくて食べ放題の店知ってるかって。あの子うちのオグリと仲良いし、面倒見もいいから」
「それでどうやってこれに発展を!?」
「そしたら、自分で作ればええんやって言って、うちがほんまもんのお好み焼きを作ってあげるって言うから」
「それでそれで!」
「一緒に近くのスーパーで材料買って」
「買って!」
「トレーナー寮の俺の部屋でお好み焼きパーティーしただけ」
「……それだけ?」
「それ以外に何かがあるとでも?」
「ちなみに。女子寮はウマ娘以外立ち入り禁止ですが、トレーナー寮は自由に出入りできます」
トレーナーが至って真面目な返答をしている中、ハナはハナでトレセン学園のちょっとしたルールを解説していた。
「いやぁタマの作るお好み焼きはとても美味しくてね。今では俺の得意料理の一つなんですよ」
「……タマ!?」
「ちなみにどれくらいの頻度で教えてもらってたの?」
さりげない言葉を聞いて司会は驚いていたが、隣のハナは特に気づくこともなく彼と話を続けていた。
「昼休みとか空いた時間を使って。あとタマのヤツたこ焼きも上手くて。そのうちにやろうって思って買っておいたたこ焼き器全然使っていなかったんですが、彼女がそれを見てたこ焼きも作ってくれまして。今ではよく一緒にたこパしてます」
「……それ、タマモクロスと二人だけで?」
「だってまだタマのようにうまく作れないから恥ずかしいし。だからいつも彼女の作る様子を見て研究しているのさ。それがマスターできたらその内お前にも披露してやろうじゃないか」
「それはいいわね。私好きよ、たこ焼き」
「と、東条のやつ自然と約束を取りつけやがったぞ……」
「ロールバトーさん?」
「なんでもありませんよ~」
スタジオはスタジオで盛り上がっている中、カフェテリアではカフェテリアで盛り上がっていた。
たまたま……そう、たまたまその場に居合わせたタマモクロスは、偶然にも自分が話題になるとは思っておらず、ついオグリキャップの隣に座っていたために身動きが取れなくなっていた。
「な、なぁオグリ……あれはな? 深い意味はないんや……普通にテレビで言うとった通りなんや……」
「タマ……」
「ひぃ!」
オグリはゆっくりと立ち上がり、タマモクロスの前に立つように移動すると何かを口にし始めた。
「……したのか」
「な、なんやて……?」
「たこパしたのか……私のトレーナーと」
「え、う……うん、した……で」
タマモクロスは嘘をついてもきっとバレると思い正直に告白した。だが、オグリの様子に変化はない。
「そうか。最近トレーナーが作ってくれるお好み焼きが、何故かタマと同じ味だったのはそういうことか」
「そうや。トレーナーも中々上達がはよて、教え甲斐があったで!」
「ありがとう、タマ。タマのおかげで私はトレーナーの美味しい手料理を食べることができた」
「な、なんや急に……照れるやないか」
何かとんでもない事をされると警戒していたタマモクロスだったが、意外と優しい口調で言うので安堵したのか、張りつめていた緊張が解けたようだった。
だが、その緩んだ隙をついてオグリは彼女の肩を掴んだ。
「お礼に私がタマにご飯を奢ってあげよう」
「そ、それは──」
「遠慮しなくていいぞ、タマ。美味しいお店を知っているんだ。さ、今から行こう」
「か、堪忍や! オグリ、それだけは堪忍したってやーー!!」
「アハハ」
あのオグリキャップがご飯を奢る。それ即ち死を意味することをタマモクロスは知っていた。
これでもか、これでもかと言うほど口に料理を入れさせられて、気絶するまで食べることを強制されてしまうのだ。
タマモクロスの悲鳴がカフェテリアに聞こえる中、テレビの向こうでは次の写真に変わっていた。
つづく。
理事長の話はその内やりまぁす!
それとネタを提供してくださった方々ありがとうございました。一応いくつか閃いたものがあったので、短編なりこの話とかでやりたいと思います。
別に締め切るつもりなどはないので活動報告に方に書いてくだされば幸いです。
あと6月からは忙しくなるので更新遅れます。