どけ!トレーナーの隣はわたしだ杯   作:ししゃも丸

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『新しい挑戦者が現れたようです』

(GWに入ってからログインするたびにすげー可愛いウマ娘いるんだけど、この子いつ実装されるんやろなあ)

トレセン学園について調べてたらトレーナー兼体育教職員として従事してるってあったけど、細かいことは気にするなってゴルシが言ってた(多分)


幕間劇 知らぬが仏

 

 トレーナーと教師。この二つの仕事を両方をこなすのはここトレセン学園でも数えるほど。いや、実を言えば両手で数えるぐらいだ。

 トレセン学園では世間一般の教養も教えるのだが、ここは人間の学校ではなくウマ娘専門学校。よって授業の比率は授業が3、トレーニングが7の割合で変動もするが、中等部では4:6か半々というところだろうか。

 ウマ娘はレースに出れば嫌でも目立つし、名が売れれば露出も増えてくる。よって一般常識とか最低限のマナーなどはこれでもかと言うぐらい叩き込まれる。

 まあ、ウマ娘はヒト族と比べると頭がいいという論文も出ているので、中等部ですでに高校の授業内容を学んでいたりもする。

 話が脱線してしまった。

 

 つまりだ。ウマ娘はトレーニングが一日のメインとなるので、トレーナーとしても付きっきりで指導するのだから、わざわざ二足の草鞋を履くことはないのである。

 ではなぜ俺がトレーナーと教師の両方をやっているかと言えば──。

 

 ぶっちゃけ給料がいいから。

 

 さらに担当のクラスを持てばさらに給料がUP! 教師をしつつトレーナーとしてウマ娘と関われる。これほど素敵な職場はないだろう。

 まあ、俺の場合偶然教師の資格もとっていたからというのもあるが。

 

 ……なんで俺のように両立している人間が少ないのかって? 

 

 それはね。担当ウマ娘が片手で数えられる範囲での話なんだ。もし片手を超えて両手で数え切れなくなったら……ただの地獄。

 見ろ、この書類の山を。

 三分の一ぐらいが授業で使う資料で、残りがトレーナーとして処理しなければいけない書類だ。

 他にも領収証の提出はかれこれ何度も事務員から提出の催促はきてるわ、チームの報告書の作成(所属ウマ娘一人ひとりの)を理事長からせかされている。

 最初は、ほんとうに最初はうまくいっていた。だがチームメンバーが増えるたびに仕事が増え、疲労もマシマシ。まだ大丈夫、まだいけるとだましだまし続けた挙句の果てに限界がきて理事長に直訴。

 

「クラス担任は続けるけど、授業は無理ンゴ。なので追加の人間よろしく。あ、減俸は勘弁」

「憤怒っ! そう簡単に人材が手に入ったら苦労せんわ!!」

 

 まあ結果から言えば申請は通らず地獄のパレードは続いている。

 

 トレーナーはレースに出るウマ娘ともにバ場へ向かうわけだが、これが非常にいいのである。近くならば当日入りするのだが、それが北海道ともなると当日に向かうというわけにはいかない。よって現地には前日入りするわけで。

 ようはご当地グルメ食べ放題である。しかも交通費は全部経費。これほどホワイトな職はない。なお、ウマ娘が数名の話の場合である。

 

 担当が多ければ多いほど出走レースは多くなり事務手続きも増える。今はレースが終わったら適当に近くの店でご飯を食べて帰るのが当たり前になりつつある。

 一応食費もウマ娘だけなら経費で落ちるようになっているのだが、むかし最初に分けて出したら却下されたので、その日以来暗黙の了解で食費は一緒に経費で落としているのだ。

 

 ちなみにゴルシの時は非常に気楽だった。

 

「なあ、味噌ラーメン食いに北海道いかね?」

「いいなそれ。じゃあついでにレースも出るか」

 

 こんな感じで食べ物がメインでレースがついでだった。

 補足になるが、普通のウマ娘は天皇賞やら有マ、三冠ウマ娘になるべく出たいレースがはっきりとしている中、彼女は特に希望がなかったので本人の気分次第で出走してた。ただその割には気づいたら宝塚2連覇したり菊花賞も取ったりしてた。

 

「ん、待てよ?」

 

 何か違和感を思い出して書類を書いていた手を止めた。

 

「宝塚2連覇? 3連覇じゃなかったっけ……おかしいな。全然思い出せない」

「何が思い出せないんですか?」

「うおっ」

「うおっ、じゃありませんよトレーナーさん」

 

 どうやらいつのまに声に出ていたらしい。どうやら彼女──駿川たづなの存在に気づけなかったようだ。

 彼女は両手で抱えられるぐらいにダンボールを持っていて、それを空いていた隣の机に置いて嫌味のように言ってきた。

 

「はい、トレーナーさんへのラブレターですよ」

「よく言うよ。全部あいつらへのファンレターだっつうの」

「うふふっ。でもトレーナーさん宛にちゃーんとラブレターが届いてますよ。お仕事のオファーですけど」

「はあ……」

 

 ため息を付きながらあの子たちのファンレターを仕分ける。その様子を彼女は横で微笑ましく見ているだけ。

 理不尽だ。

 

「で、どうします?」

「そっちでチェックして大丈夫そうなのをあとで送ってくれ。ああ、いつものところはいいから」

「了解です」

 

 担当のウマ娘がレースで勝つとトレーナーもまた名が売れる。多くの出版社やらフリーの記者の取材の依頼とかテレビ出演のオファーなど。ウマ娘なら雑誌のモデルとか色々あって依頼するのもわかるが、なんでトレーナーまで表に出なければならないのか。それを彼女に愚痴れば。

 

「それも仕方ありません。多くのウマ娘達を指導して、みんながそれぞれ結果を出しているんですから、そのトレーナーであるあなたの手腕も評価されるのは当然ですよ」

「あーあ。ゴルシだけの時が懐かしくて涙が出るよ」

「あはは。あの時はあの時で色々と問題が……。あ、ところでトレーナーさん」

 

 ぱん、と手をたたくと突然満面な笑みを浮かべ言ってきた。

 

「今度食事に行きませんか? おいしいラーメン屋さん見つけたんです。もちろん私の奢りですよ?」

「それは嬉しい誘いなんだけど、いかんせん予定が……」

「あの子達との時間はつくれて私はダメなんですか? トレーナーさんのために理事長に口添えしたりしてあげてるのに……」

「その誤解を招く言い方はやめ──」

「あ、先輩! ちょっと今度の合宿についてお話が!!」

 

 まるで見計らって来たかのように同じトレーナーである桐生院葵が駆け寄ってきた。内心グッドタイミングだとか思ってしまったが、この状況を打破するには俺ひとりでは不可能なのは目に見えていた……のだが周囲の温度がいきなり下がったかのか肌寒くなってきた。

 

「桐生院さん。いまトレーナーさんは私とお話しているので、そちらの要件はあとにしてくれます?」

「あ、駿川さんいたんですね、気づきませんでした。私、先輩と大事な打ち合わせあるので、関係ない人はとっととあっちに行ってくれませんか?」

「あら関係大ありです。大事なお話をしていたのに、割って入ってきたあなたのせいで迷惑しているんです」

「大事な話って、秘書のあなたには関係ないじゃないですか」

「そういうあなただってトレーナーさんのおこぼれに預かろうとしているんじゃないですか? いつもトレーナーさんのところの子に負けてばかりですもんね」

「そうですねー。まあ、そのために今度一緒に合宿しようと思ってるんですよ。ああ、秘書のあなたには関係のない話でしたね」

「……」

「……」

『──ちっ』

 

 前門のたづな後門の桐生院に挟まれた俺。頭上で繰り広げられているよくわからないバトルに巻き込まれたくないので避難することにする。いい具合に二人の視線には映っていないので音を立てなければいけるはずだ。

 そーっと椅子を後ろに引いて足音を立てずに抜き足差し足……扉までくればもう安心。さあいざゆかん我が部室へ。

 

 しかし、なんで二人はあんなに仲が悪いのだろうか。

 俺からしたら、たづなくんには書類の提出期限やらで理事長に口添えしてもらっているので頭が上がらない存在。対して桐生院は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。こればかりは運が悪いのか、彼女の担当であるハッピーミークとうちの子が同じレースに当たるたびにうちの子が勝ってしまっているためである。

 それにしたって二人の接点ってそこまでないのに、まるで犬猿の仲のように仲が悪いんだ? 

 

 触らぬ神に祟りなし。

 俺は早歩きで部室棟へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

『やっぱりこのモデルさんすごいよねー』

『ええ。同じウマ娘として憧れてしまいますわ』

 

 部室の前まで来ると、相変わらず扉が薄いことを忘れて話が漏れている。中にいるのはテイオーとマックイーンだろうか。

 なんだか面白そうな話をしているので聞き耳を立てることにした。

 

『身長も高くてさ、ボンキュッボンって感じで……いいなあ」

『いいですわよねぇ……』

 

 話からしてファッション雑誌のモデルに自分とないものを比較しているらしい。まあ、モデルなんてそういう人が映えるというのはわかるが、二人は二人でいいところはあるのだから、そこまで悲観することはないと思うのだが。

 

『でもさマックイーンはいいじゃん。同じ芦毛でちょっとだけ共通点あるし』

『そうですけど。だからこそ比較してしまって自信を失くしてしまうといいますか……』

 

 ん? 身長が高くて、ボンキュッボンのスタイルで、芦毛のウマ娘のモデル? 

 

『ロールバトーさんかぁ。全然聞いたことないウマ娘だけど、きっとレースでも凄かったんだろうな』

『それはそうでしょう。ただの写真でこの存在感。きっと実物を見てしまったら、わたくしきっと感激のあまり失神してしまいそうですわ』

『あーわかる。ボクなんかはしゃいでころんじゃいそうだもん』

『そういえばゴールドシップ。あなたこの間出かけたときに来ていた服、これと似たような服装ではありませんでしたか?』

 

 ロールバトー。ロールはフランス語で金、バトーは船と読む。

 英語で言うと……ゴールドシップ。

 

『そうだっけー』

『そうだよそうだよ! でもこれさ、来週発売する新作だよ。じゃあ違うんじゃない?』

『あら本当ですわね』

『それにゴールドシップがオシャレに気をつかうわけないよー」

『アタシの服はみんなもらいものだからなー』

 

 そりゃあそうだ。撮影に使った服のサンプル貰って帰ってくるんだから。多分ちゃんと買ってるの下着ぐらいだろ。ていうかこの気の抜けた声からしてアイツわかってて適当に受け答えしているな。

 

 ゴルシがモデルの仕事を請け負ってかれこれ数年は経っている。事の発端は俺の友人経由で話が回ってきて、向こうの条件にゴルシが当てはまっていたので、ご飯で釣って当日知らせぬまま撮影に挑んだというものである。

 意外なことに彼女は嫌がるそぶりをせず、むしろカメラマンが撮りたいポーズを自らやってのけるのだから、多分ノリノリだったのだろう。

 

『どうだ!? これで全国のゴルシちゃんファンはアタシにメロメロだな!』

 

 撮影後にそう言うぐらいだから本人も満更ではないと思いたい。

 ただ、撮影の時のあいつは別人ってぐらい美人だ。普段のアレと同一人物とは思えないぐらいに。

 まあ俺も俺で面白がって名前を本名じゃなくて芸名でロールバトーと名付けた。もちろん分かる人にはすぐわかった。あの理事長ですら直接聞いてきたぐらいだ。

 

『質問! この子は本当にゴールドシップなのか?』

『まさか。俺の知り合いのウマ娘ですよ』

『うむっ、やっぱりそうか。あの子だったらどうしようかと思ったぞ』

 

 とまあこんな感じで普段のゴールドシップしか知らない人間からすれば、モデルのロールバトーがゴールドシップと同一人物だと信じることはないのである。

 しかしだ。本当のことを二人に教えていいものか。教えたら教えたですげー面白そうではあるのだが……。

 

『あなたがこの方と同じ服を着ても天と地の差がありますもの』

『そうそう。ゴルシも少しはファッション勉強した方がいいんじゃな~い?』

『そだねー』

 

 教えない方がもっと面白いと思った俺はいつもの感じで扉を開けた。

 

「おーす。ミーティングはじめっぞー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





前書きと後書きをあんな使い方しているため下手に何かを書くのは嫌だと思ったので、このような短編で色々と書いていきたいと思ってます。

今回の話ですが、桐生院さんの家はトレーナーの名門。あとはわかるね? たづなさんはご想像にお任せします。

最初は前3話までの補完話を考えていましたが無粋だと思うのでやめました。
その変わりオグリに関してだけは言いますが、何個かエピソードを削って最後以外普通になってしまいました。なので妄想なのか、それともうまだっち?うまぴょい?したのかは下記にも書きますがエンディング次第です。
(例 血の味を覚えさせてからの展開はさすがにマズイと判断したため訂正)

今後の予定ですが、とりあずオチは決まってます。出すキャラもある程度固めています。今後実装されて書きたいと思ったキャラはDLCみたいな感じでやりたいですね(マンハッタンカフェとかエイシンフラッシュとかメイショウドトウとか)
一区切りついたらそれぞれエンディングを予定しています。
内容は……まだ私にもわからない。
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