ダンジョンでモンスターマスターを目指すのはきっと間違っていないはずだ。 作:タロス(元通りすがりの電王好き)
読みづらいのもあれだしこれで良さそう…?
・説明不足かも?の点
Q.テリーのワンダーランドってだけならGB版やPS版もあるのに、なぜ3D版を…?
A.モンスターの数が多いから。3D版にしかない要素がこのシリーズにおいてそこそこ大事だと思うから。
Q.なぜドラクエジョーカー2要素を加えた?
A.テリワン要素だけでは難しい部分がちらほらあるから。
「……っ!!ちょっ……ちょっと……あの…!!」
必死で息継ぎをしながら、彼はなんとか話しかけようとする。
それに対して赤い髪の少女は、全く聞こえていないのか振り返らず彼の腰を片腕で担いで離さずに、走り続ける。
現在、彼…ベル・クラネルは赤い髪の少女…アリーゼ・ローヴェルに有無を言わさずという勢いで、横脇に担がれたまま猛ダッシュでお持ち帰りされていた。
言うまでもなく傍から見れば誘拐なのだが、本人は嬉しそうに口角を上げた表情のままで走り続けており、全く気づいていなかった。
担がれたままの姿勢でずっと「降ろしてください!」と掴んでいる手を叩きながら訴え続けるベルだったが、その声がアリーゼ本人に届くことはなかった。
そうしてそのまま、アリーゼの所属するファミリア【アストレア・ファミリア】の本拠地である『星屑の庭』に到着する。
「ふぅ…よし、私達のホームに着いたわ!さぁ貴方の名前から…って、あら?」
一息つき担いでいたベルに声をかけるが、反応はなし。
どうしたんだろう、と能天気に呟きながらアリーゼは不思議に思い顔を覗き込むと…
「……キュゥゥ…」
とっくに気絶していたのだ。当然である。
ベルは父を探すためオラリオに向かう準備としてある程度は鍛錬していたとはいえ、冒険者に必須であり身体能力等が大幅に向上する神の恩恵を持っていないのだ。謂わば冒険者よりずっと体が弱いのである。
そんな状態の子どもが生身で恩恵持ち…それも、第一級冒険者であるアリーゼの身体能力による速度で担がれたまま連れて行かれて耐えられるはずもない。
「あちゃー……色々聞きたかったけど、起きてからになるかしらね…」
空いてる片手で頭を軽く掻きながらアリーゼはそう呟く。
そうして介抱すべく、アリーゼは気絶して完全に脱力して垂れているベルを担いでホームへと入っていった……。
誘拐していることに1ミリも罪悪感を持たないどころか気付きもしないあたり、流石であるというべきかツッコむべきなのか……。
「ねぇねぇおとうさん!」
「ん?なんだ?」
「ぼくも、おとうさんみたいにおおきくなれたら、もんすたーますたー?ってのになれるかな!」
「そうか、父さんみたいになりたいのか?」
「うん!」
夢を、見ている。
お祖父ちゃんに引き取られてお父さんと別れる前、お父さんと2人で暮らしていた夢だ。
僕は、お父さんが時々言っていた『モンスターマスター』というものがよくわかっていなかった。
当時はなんとなく、お父さんがよく連れているお父さんと同じくらいの背丈のかっこいいロボットのような見た目をしているモンスターと仲良くなれるものなのだろうか、という認識だった。
たまに見かける、見上げ過ぎて首が痛くなるくらい巨大な人馬のようなロボットと、所々に蔦があって巨大な天秤と眼球のようなものも含めた無数の歯車とドクロを合わせたような姿のモンスターとはちょっと……いやかなり怖くて、仲良くなれる気がまるでしなかったけど。
あれから数年経っている今の僕ですら、モンスターマスターになれていないからまだわからない。
「この上なく嬉しいことだなぁ…。」
「ほんと!?」
「ああ、本当さ。」
そう言うお父さんの遠くを見る横顔は、どこか寂しげな雰囲気を出していた。
それでも、あの時のかっこよかったお父さんみたいになれるなら…僕はそれを目指したい。
「けどな、ベル」
「…?」
「ただなりたいからなれる、ってわけじゃあないぞ」
「じゃあ、どうすればいいの?」
「そうだな…」
そう言って考え出すお父さん。
少ししてから、お父さんが口を開く。
「まず、ベル自身が強くならなきゃいけないな。けど、俺のモンスター見てビビってるようじゃ厳しいかもなぁ…?」
「ゔっ……こ、これから、がんばるもん…」
そう言いながらニヤニヤ顔で僕を見るお父さん。
「ふっ…ああ、頑張れよ。」
そう言って、僕の頭を撫でるお父さん。
そうされている時はいつも心地が良くて、ついつい身を委ねちゃう。
「そして、もう1つあるんだ」
「…それは?」
「それはな…自分のモンスターを信じてやることだ」
「もんすたーを……しんじる?」
「そうだ。
モンスターマスターってのはな、まあ簡単に言うとモンスターを使役して共に戦うやつのことなんだが…それはお互いの信頼なくしてできることじゃあない。
持ちつ持たれつ、ってやつだな。
それにただ使役すればいいってわけでもない、モンスターだって生き物だ。そこのところ、しっかり覚えておけよ」
「???なんだかむずかしくてわからないけど……ぼくに、できることなのかな…?」
「……できるさ、ベルならな」
その言葉を皮切りに、意識が遠のく。
あれからすぐ、お父さんはオラリオに行くとだけお祖父ちゃんに伝えていなくなってしまった。
なんの目的があって向かったのか、それすらも教えてくれなかった。
お父さん……
絶対、探して見つけてみせるから…
そして、お父さんのような…強くて優しいモンスターマスターに、なってみせるから……待ってて…!
ぷにっ
…………?
意識が途切れる直前、何かに触れられたような……?
何かわからないけど、とりあえず起きなければ……
何か話し声も聞こえるし、起きないといけないのかもしれない…。
そう思いベルは目を開く。
「あ、起きた?さっきは急にごめんね〜、ここまで連れてきちゃって。」
すると、そこにはもう大丈夫だよ〜と言いながら指でベルの頬をぷにぷにとつつき、可愛らしくテヘッ☆と小さく舌を出してる赤い髪の少女がいた。
起きたばかりで脳が働かず少しボーッとしていたためか、アリーゼが連れてきたこのホームやファミリアについての説明を禄に聞き取らずに流していたベルだったが、徐々に覚醒し始め今置かれている状況を理解するために思考の海に沈んでいく。
全く知らない場所、いつの間にか寝かされていたベッド、なぜか動けない体、辺りは少々殺風景だが所々に櫛や鏡などの女性が使う物が置いてある部屋(お祖父ちゃんの教え)、そして「どうしたのー?」と呑気に聞きながらもベルの隣で椅子に座り頬をつついている少女。その女の人とベルの2人しかいないこの部屋。
まさか…お祖父ちゃんの言っていた、かんきんしちゅえーしょん…!?
言葉の意味自体は理解してないベルだが、お祖父ちゃんが絵付きで教えてくれたのを思い出した瞬間、サーー……という音が小さく鳴りそうな勢いでベルは顔を青くした。
ちなみにその後、お祖父ちゃんは後から来たお父さんのモンスターによって殴り飛ばされた。
今のこの状況は、それに似ている…!?
そして、そのままプルプルと震え始める。
先程まで説明をしていたアリーゼは、そのベルの様子の変化に気付き声をかけるが「あのー…君、大丈夫?」と声をかけるもその言葉は本人に届かず、ベルは
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!かんきんしちゅえーしょんされたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
次の瞬間、そう叫びながら第一級冒険者でも捉えきれない速度で駆け出して部屋を出たベル。
突然のことに呆然としていたアリーゼだが、駆け出す間際にベルが叫んだ言葉の意味を理解して、こちらはボンッ!と顔が真っ赤になる。
「ち、違うのよーーー!!!!貴方に話を聞きたいだけなのぉぉぉぉぉ!!!!!」
そう叫びながら、慌てて追いかけ始めるアリーゼだった…。
今回さりげなく新登場したモンスター当てれた人いたら凄いかも。
書いてから思ったんだけど、アストレアファミリアの人たち書くっていうの先駆者様が偉大すぎてとんでもないハードルに感じる……これ完結まで書けるかな…?
次回いつになるかはわかりませんが、出す時にアンケートも載せる予定です。もし宜しければその際ご協力お願いします。