ダンジョンでモンスターマスターを目指すのはきっと間違っていないはずだ。 作:珊瑚宮出身イマジン
投稿感覚めっちゃ空いてしまった…。
多分この後もこんな感じになりそう…?
「団長?いったい何をしていたのですか?」
「えーっと、あの子の私への誤解がちょっと酷かったから、それを解こうと思って…」
「ほーーん、で?それのためだけにホーム内を走り回って、物を壊していく必要はありましたか?
だ・ん・ちょ・う・さ・ま・?」
「ありません……」
あれから30分強ほど後……
現在、アリーゼは笑顔だが笑顔ではない様子の極東の着物姿の女性…アストレアファミリア副団長のゴジョウノ・輝夜に正座をさせられ、説教をされていた。
理由は当然、叫びながら館内を走り回った事である。
あれから館内では、かつて鍛錬の一環でモンスターと戦った時以上の恐怖と速度で逃げ回るベルと、誤解だと言いながらそれを全力疾走で追いかけ回すアリーゼの図が出来ていた。
リビング、庭、他団員の部屋……あらゆるところを逃げ回り他の団員達が驚くも事態が呑み込めず手を出せない中で、この逃走劇は更に加速。ついには通路にあった備品や扉などを壊し始めてしまったのだ。
これに副団長である輝夜は当然激怒。即原因である両者を捕らえては渾身の拳骨を落としたのである。
まだ自己紹介も何もない上状況は一目で一応察してはいたため多少手加減したとはいえ、輝夜もアリーゼと同じ第一級冒険者。
その力は強烈で、アリーゼですら殴られた箇所からたんこぶが出来ていたほどである。
なおベルはここで2度目の気絶をしてしまい、少ししてから状況を聞きつつやってきた神アストレアによって膝枕をされ介抱されていたのだった…。
「……んっ…」
そうして、暫くしてからベルは目を覚ます。
のだが…
フニッ
「…あら?起きたのかしら?」
拳骨で気絶させられ地べたから起き上がってると思っていたベルは次の瞬間、持ち上げた頭部全体に……主に顔に謎の柔らかい感触を感じたのだ。
そして聞こえる大人の女性のような優しい声。
同時になぜか周りから恨めしそうな声が聞こえるが、こちらは聞くと嫌な予感しかしないと直感的に判断したベルはこれをあえて聞かなかったことにする。
何かと思い見上げようにも、視界は何かの障害物があるのか真っ暗で動かせず。
頭を下げようにも、後頭部にも柔らかい何かの感触があり動かせず。
ならば横に…と思いベルは右側にずれようとすると、上から「あっ、そんなに動いたら…!」という綺麗な声が。
なんのことがわからないため気に留めず動くと、突然の浮遊感。
直後、ドシャッ!という痛い音と共にベルは床へ転げ落ちたのだった。
「いてて…」
「あの…君、大丈夫かしら?」
明らかなベル自身の不注意にも関わらず、その女性はベルのことを心配している。
ベルはそれに対して「だ、大丈夫です」と軽く謝ると、ザッという音を立てて更にたんこぶが4つ程増えたアリーゼがベルの目の前に仁王立ちした。
「さぁ、貴方のことを教えてちょうだい!全て洗いざらい吐いてもらうまで帰らせないわよ!」
「…おかしいわね、話を聞くはずだったのにどうして尋問みたいになってしまってるのかしら……?」
「誘拐しておいて言うことがそれか、戯け!」
「ぶげっ!!」
ふふん!と声に出しながらドヤ顔でそう言う放つアリーゼと、ツッコミつつも額に手を当てて少し困り顔の先程の胡桃色の髪を持つ女性。
そしてどこから持ってきたのか、木刀でバコーンッ!と勢い良くアリーゼの頭を叩きつける輝夜がそこにあった。
その際アリーゼから女性にあるまじき声が聞こえたが、ファミリア内ではこれが平常運転のためか皆ツッコまないのである。
「ひゃっ!…あ、あの、凄い音がしましたけど、大丈夫なんですか…?」
「ん?ああ、こいつは何も問題ない。どうせすぐ勝手に起き上がる」
「は、はあ…?」
「いったたたぁ…輝夜ぁ!毎度の事とはいえちょっとは手加減しなさいよね!?」
「それで?お前は何者なのか教えてもらおうか?」
「ちょっ、私を無視して話進めないでちょうだい!」
「別に構いませんけど…僕も聞きたいことがあるので、その後で聞かせてください」
「勿論いいわよ!」
「問答してるのは私なのだが?」
「あ、でもその前に…」
そうしてぐだぐだになりかけつつも、ベルは自己紹介から入りつつ自身のことを要点だけまとめて話した。
と言っても、ベルから話せることは物心付くまでの間ずっと父と共に何気ない日常を過ごしていたこと、父が異常なほど機械系モンスターが好きなためか毎日飽きるほどに熱弁していたこと、数年経ったある日からそこに祖父が加わったこと、もう数年経つと父が突然いなくなったこと、そして父を探すためこのオラリオに向かったこと。それくらいだったのだが。
「そうなのね、貴方のお父さんが……」
「はい…」
正直軽いものだろう…などと思っていたのか最初は嬉々とした表情で聞いていたアリーゼなのだが、ベルの話を聞いていく内にその表情を少し暗くさせていた。心なしか声のトーンまで低くなっていた。
それと同時に、内心で確信を得ていた。
「(とりあえず、探しているベルくんのお父さんってのは私が探している人と同じ人っぽいわね……ベルくんの言うモンスターとほとんど似ているのがいるみたいだし間違いはなさそう!それなら、あのことは話しておいた方が良さそうね…)」
と。そうしてアリーゼは考えが纏まり、いつもの調子に戻しつつ再度話しかける。
「わざわざありがとね、ベルくん」
「いえ、それ程でも」
「なら、私も教えなきゃね」
「……へ?えっ!?お父さんのこと何か知っているんですか!?!教えてください!!」
「わわっ!?ちょ、ちょっとがっつき過ぎでしょ!待って待って!!ちゃんと話すから!!だから一旦落ち着いて!!」
教えてもらったお返し、というような軽いノリでアリーゼはベルに自身の知っている事を話そうとすると、ベルはそれに飛びつく。
当然である。ベル本人からすれば、偶然とはいえ目の前にいる相手がずっと探していた自身の父親の情報を持っているのかもしれないのだ。ならばそれに縋りたくなるのもやむなしというもの。
「とりあえずステイステイ。あ、人参どうぞ。
あ、でもその前に自己紹介させてちょうだい!ベルくんはさっきしていたけど、私達のことは知らないでしょ?」
「あ、どうも。ハムッ
えっ?ああ、まあそうですね…」
「……ねえ、あれって餌づ」「言わないでください主神様、これ以上ぐだぐださせたくないので私達も突っ込みたい気持ちを抑えてますので……」
「じゃ、そういうことで!あ、でもちょっと人数多いから簡潔にね!
私はアリーゼ・ローヴェル!Lv5のアストレアファミリア団長よ!
そして、あそこのソファーに座っている方が私達のファミリアの主神、アストレア様よ!
あと、あそこの着物の娘がゴジョウノ・輝夜!同じくLv5で副団長よ!
で、あの耳が長い娘はリュー・リオン!あのピンク髪の娘はライラ!それからそれから……」
ベルの飛びつきをなんとか落ち着かせた後に、そう言いながらまるでマシンガントークの如く団員11人をすべて紹介していくアリーゼ。
ベルはそれを必死に聞き取ろうとしていたが、途中で覚え切れなくなったのかアリーゼの紹介が終わる頃には頭から煙が出そうなほどショートを起こしていた。
ちなみになぜ具体的に書かないのかと言うと、作者の頭もショートしそうだからです。
「さて、これで全員軽く紹介したけど…ここまでは大丈夫そう?」
「え、えっと……大体は」
「おっけー。それじゃあ、貴方のお父さんかもしれない人の話をさせてもらうわね」
「かもしれない…?あの、それって…」
「…私達も詳しくは知らないのよ。
ただ確かに言えることは、あの日貴方とよく似た服装の人に私達の命を救ってもらったってことくらいなの…」
「そう、ですか……。でも、一応聞かせてくれませんか?なんというか、知っておかないといけないという気がするんです」
「!…わかったわ。今から4年ほど前の、ダンジョンの中層辺りでのことよ…」
そう言い、アリーゼの当時の出来事語りが始まる。
この時のベルの表情は、今までにないほどの真剣なものだったと後に見ていたアストレアは語る。
それを見たのかアリーゼもここまでの軽快な表情を伏せ、真剣な表情で語る。
「と、まあそんなわけで私達が知っているのはここまでよ。」
「お話ありがとうございました。しかし、ダンジョンの深層ですか…」
「多分だけど、ね。あれからもう何年も会いに行こうとして見かけてすらいないから、私達もお礼を言えずじまいなのよ」
「そうですね…」
その一言から、その場の空気は少し重くなった。
無理もない、このような話を聞いて気を軽く持とうなどという方が難しいのだ。
そのまま沈黙が続く2人だったが、ここで痺れを切らした輝夜が口を挟む。
「…団長、例のものを渡すのではなかったのか?」
「ん?ああ、そうね!」
「?」
「ごめんベルくん、ちょっと待っててね!貴方に渡さなきゃいけないものがあるの!」
「あ、はい…」
「廊下を走るな阿呆!!」
そう言い残し、アリーゼは輝夜の注意をも無視して一目散に部屋へ駆けて行く。
そんなアリーゼを見つつ待っていたベルだが、少しすると本当にすぐにアリーゼが戻ってきた。
それも、指で小さく翠玉色に輝く物を大切に摘むように持ちながら。
「お待たせ、これが渡すものよ。」
「これは…指輪、ですか?なんか見覚えがありますけど…」
「そうよ。さっき話した、貴方の父親かもしれない人が私に託してくれた物よ」
「!」
アリーゼのその言葉を聞いて、ベルは指輪に向けていた顔を上げる。
そして、改めて指輪に目を向ける。
「…お父さんが、ですか?」
「ええ。貴方みたいな格好してる子どもが来たらこれを渡してあげなさい、って」
「………そう、ですか……」
指輪に向けていた顔をそのまま更に下げて俯き始めるベル。
その様子は、今にも泣き出しそうなのを堪えている幼少期の子どものそれとそっくりだった。
「(お父さんは……死ぬ気、だったの……?)」
そんな考えが頭を過る。
…いや、きっと違う。
何か特別な事情があったんだ。あんなに強いお父さんがそうするとは思えないのもあるが、ここはオラリオ。
それも何があるかわからないことで広く知られているダンジョンのことだ、きっと自分じゃ想像もつかないことなのかもしれない。
この指輪だって、実はたくさん持っていたりして数に困っていないからだけというのもあり得るかもしれない。
思考を切り替え、ベルは改めて手元の指輪を見る。
お父さんはよくモンスターに指示を出す時や何かをする時に、この指輪を掲げ光らせて使っていた。
ならば、自分もこれを指に嵌めたらそういったことができるようになるのだろうか。
もしそうなら嬉しいが、仮に何もなくてもお父さんとお揃いになれる。
そう思うと、少し心がポカポカと暖かく感じてくる。
「アリーゼさん。この指輪、僕が嵌めていいですか?」
「え、ええ、貴方のものなんだしいいわよ。」
返答を聞き、すぐさま指輪をお父さんと同じ位置の左手の人差し指に嵌める。
すると、ベルの指よりも大きい穴だったはずの指輪が嵌ったのを確認したかのように、キュッという小さい音と共にベルの指と同じ大きさに変化し綺麗に収まったのだ。
「うっそ!私がやった時はそんなのなかったわよ!?」
「ああ、私もそんな効果の指輪聞いたことがないぞ…。っておい待て、団長お前人のものを勝手に嵌めてたのか!?」
「だって気になるじゃない!!据膳食わぬはなんとやらってやつよ!」
「だからといって普通やらないだろ!!あとそれ使い方ちげーからな!?」
「……貴女達、少し静かにしてもらえるかしら…?」
ベルが指輪の付いている手元を見て密かに微笑んでる中、外野でそんな会話が飛び交うも束の間。
突然指輪が光り出し、ベルだけでなくこの部屋全体を包み込んだ。
「うわっ!」
「きゃっ!」
「な、なんだ!?」
同じ部屋にいた一同は失明しないようにとそれぞれ対処を行う。
手で目元を覆う者、咄嗟に顔を後方に向けて目を閉じた者、どこからかマンホールを持ち出して防いだ者…。
とにかく、それぞれが各自で自衛を行っていたのだ。
そうしているとすぐさまその光は消えていき、代わりにベルの目の前に1匹のふわふわとモコモコと毛深い生き物が浮いていた。
「おや、君が新しいマスターかい?ぼくはわたぼう。よろしくね!」
そしてベル達が何かを言う前に開口一番の発言がこれのため、一同は全く理解が追いつけず口を開けて固まっていた。
これを神々の言葉で言うのならば、「宇宙猫状態」とでも呼べるものだろう。
「……えっ、なにこの沈黙。みんなお人形さんなの?というかマスターどこ?」
お前のせいだよ!!あとマスターってなんだよ!!というか理解が追いつかん!!
…という言葉が一同の喉から出そうになった時、わたぼうは偶然ではあるが遮るように言葉を続けた。
「お、タイミングよく最初のモンスターが来たみたいだね。せっかくだし皆おいでよ!マスター探しはその時ついでにやるさ!」
軽快そうに言ってから、わたぼうはふわふわと浮きながら玄関の方へと向かっていく。
それと同時に、ベル達がいる部屋の窓から本来は聞こえないはずの草木と、それの揺れる音が発生。
その音で一同はハッと我にかえり、慌てて玄関から外へと向かっていったのだった…。
せっかくですし、モンスターズシリーズの初代と2リスペクトで最初のモンスターを投票で決めたいと思います。
全部はさすがに厳しいと思うので、各作品から1匹ずつ抜粋しました。
宜しければそちらもお願いします。_|\○_
ベルの最初のモンスターは?(姿とかがわからなければ是非調べてみてください。)
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いたずらもぐら
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リーファ
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ドラキー
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スライダーキッズ
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スラぼう