ホロライブラバーズ『幸福論者』獲得RTA なんでもありチャート 作:かとしょう
2,3時間で急いで書き上げたのでいつも以上に拙作です。許してね?
とゆうか100人超えていたのに投稿時には超えていない……。ま、いっか!
不知火フレアが家に帰ると感じたのは何十年ぶりの懐かしさと違和感。扉を開けて家に入り、リビングを覗くとやっぱりかと言いたげに頭を抱えた。
「おかえり~」
「お帰りじゃないよ!こんなにお酒飲んで!酒臭いなもう!」
同居人が酒に酔っていた。
「もう飲まないって約束したよね!パパ!?」
不知火フレアの父がその高級感を感じさせる品に溢れた黒く光る木の机に酒瓶を並べていた。その数10本以上。不知火家に酒は常備されていない、いやフレアがさせない。そのためこれは今日自分が数時間ほどエルフの森にいない間に手に入れたものだろう。
銘柄からするとわざわざ人間の町に出て行ったのか。それとも近所の雪花家からもらったのか。どっちにしろフレアにとっては頭が痛かった。
「もうお酒は飲まないって約束したじゃん!なんで飲んでんの!?しかもこんなに!?」
机に酔いながらも几帳面に並べられた酒瓶はすべてからになっていた。
「なんでこんな――ああ、もう!」
ドスドスと音を立てて部屋に入ると机の上を綺麗にしていく。ビン類を台所から外につながる窓を開けて捨てておき、換気のためそのままにしておく。おつまみ代わりの袋はゴミ箱に捨て、皿はお供の妖精であるきんつばに任せ、濡らした布巾で机を水拭きする。そのまま洗い場に放り投げると大きく溜息をつきながら席に着く。
台所で水の流れる音がする。きんつばが洗い物をしてくれるらしい。
「はぁ!もうなんでこんな急に飲み始めて……」
小言を並べるが父はどこ吹く風、だらだらと独り言を続けていた。
「聞いてるの!?」
「聞いてるマイスイートハニー」
「うわ気持ち悪」
ただひたすらに辛辣だった。
「いやぁ、フレアも200……200……なんさいだったか?」
「221歳」
「そう221!いやぁもうそんなになるのか!早いなぁ……!」
「どうしたの急に娘が成人したお父さんムーブ初めて」
「なぁに、ついにフレアも結婚するのかと思うと感慨深いと思ってね」
「はぁ!?私が結婚って何言ってんの!?そもそも相手いないでしょうが!とゆうか散々結婚は許さんとか言っておいて!」
「今日見つけてきた」
何を言ってるんだこの酔っぱらいは。アルコールはエルフの頭に重大な記憶障害を起こすものだったかと本気に考え出したが雪花家を思い出した。それはないか。
もしそうだったら今頃あの家の人たちは全員記憶がなくなっている。
いやたびたび飲み過ぎで記憶なくしているが。
「酔っぱらいの分際で何を言ってるんだか」
洗い物を終えたきんつばが戻ってきたので、肩に乗せてねぎらいを込めて頭を人差し指でなで上げる。
結婚なんてフレアには二重に縁遠い話であった。それは年齢的な意味で、そして出会い的な意味で。
221歳。人間には測れないスケールだがエルフ族には結婚、嫁入りに少し早いという年齢だ。あと数十年かしてからが適齢期だ。もちろん前例がないわけではないが。
そして残念ながらフレアの周りには男っ気が少ない。自身の性格か、その頼りやすい男勝りの要領の良さか、寄ってくるのは女性ばかりだ。むしろ男性からは少し避けられているのではないかと思い軽いコンプレックスだった。
「エルフの森にパパのお眼鏡にかなうような人いたっけ?」
エルフの森は広いがコミュニティは狭い。ここで10年も住んでいれば全員近所のおじさん、おばさん感覚になる。
必然的にここの人たちは全員顔見知りになる。
フレアははて?と首をかしげながら父の顔を覗く。
「あぁ。彼はね今日エルフの森に訪れた人間の少年だよ。二人ともお似合いじゃないか」
「……はぁぁぁぁ」
今日何度目かのため息をついた。このままでは幸せは永遠に飛んで行ってしまうのではなかろうか。
「だーかーらー!私は人間と付き合わないって言ってるでしょ!」
何十回と言っていることだった。不知火フレアは人間族と付き合わない。それは男と女の関係というだけでなく個人的な、それこそ友情というものも。
「相変わらずの人間嫌いか」
「パパが人間大好きおじさん過ぎるの!」
不知火フレアの父は人間に傾倒しているエルフの中でもかなりの変わり者だ。自室には人の街並みの写真を壁一面張り付けている。またたびたび遊びに行っては旧来の友人と遊んでいるらしい。自然との調和を重んじるエルフにとっては奇異の代表格だった。
だからと言っていじめを受けたり何かに省かれたりなどはなかったが。それどころかエルフの里で彼を見る目は尊敬や羨望の割合が大きいと思う。これについては幼少からの不思議で父を含めていろいろな人から聞こうとしたが結局分からなかった。
閑話休題。
とりあえずフレアの人間嫌い、というより距離を置くのは父の人間オタクは関係なかった。フレアが人間と関わらない理由は――
「パパがそんなに飲むなんて久しぶりじゃん……。ママが亡くなったときみたい……」
母の影響が強い。
不知火フレアはハーフエルフだ。そして父はエルフで、母は――人間だった。そしてエルフと人間の寿命には大きな差がある。
今でも目をつむれば鮮明に思い出せる。
母が老衰で亡くなった日。身内で粛々と葬儀をやった後父はその日だけ浴びるように酒を飲んでいた。泣くわけでもなく、ただ埃のかぶったアルバムを引っ張り出し、懐かしそうな、悲しそうな顔で眺めていた。そして次の日に規則正しい生活をしていた父にしては珍しく昼に寝室から出てきたのだった。
そして何事もなさそうにのほほんとしたいつも通りの顔、仕草で生活を送っていた。
フレアにはそれが嫌で仕方なかった。嫌悪感ではなく、寂しさ。父のその姿を見ていると母を亡くした以上に胸をキュッと締め付けられるような寂しい痛みに襲われる。
幼いながらもフレアには理由に見当がついていた。
父は別れに慣れてしまったのだと。
人間が好きで人間と多くかかわった故に多くの別れを経験してきた。だからまた別れるときにも涙を流さずにいられるんだと。
「まぁまぁ、フレアも少し付き合ってくれ」
コップを目の前に置くとトクトクトクと透明な液体を流し込む。
髪を結んでいるリボンを外して下す。机に置くと髪をいじりながらちびちびと飲み始める。
「フレアが人間とかかわらない理由はそれか……」
父がポツリとつぶやく。
「別れが怖いのかい?」
そして核心を突く。
「……うん」
同じくポツリとつぶやく。
「ママが死んだときに感じた寂しさ。人間はエルフと違ってどうしても早く死んじゃうのだから。それならばいっそ出会わなければいいのにって」
「そうか。まぁその気持ちは痛いほどわかるよ」
「嘘つき」
「嘘じゃないさ」
心外だと目を丸くしながら酒を呷る。
その姿からは本当の清廉さを感じた。だからこそ今、長年の疑問を教えて欲しい。
「じゃあなんでパパは多くの人間と関係を貫くの?寂しいじゃん」
「彼らが好きだからだよ」
「答えになっていないよ……」
またこうやってはぐらかす。頬を軽く膨らませながら少し拗ねた。
「本当のことを言っているんだかな」
空になったコップをカン!と音を立てて置くと逆に質問を返した。
「ならばあの銀髪の女の子。ノエルちゃんとどうして交友関係を持っているんだい?」
「……別に。不知火家と白銀家は昔から深いつながりがある。それだけでしょ」
「確かに白銀家との関係は深いが……。でもフレアに物心ついてから積極的に関わるようになったのは当主が五代も変わってからじゃないか」
「……」
「感じているんだろう?彼女にしかないなにかを」
「……わからないよ」
「そうか」
目をつむり腕を組む父を横目にフレアも酒を呷る。
「感じているならもうすぐにわかるさ。何なら彼が教えてくれるかもな。同じ学校みたいだし」
「だから誰なのよ。とゆうかなんで今日はそんなにお酒飲んでいるの?」
「そりゃあ嬉しいから。というより懐かしくなったというのもあるけどね」
「懐かしく?」
「どっちも半々さ」
またこれだ。父は自分の中でしまい込んで楽しむ癖がある。もう少し教えてくれれば、共有してくれればこの寂しさをも和らぐのだろうか?
「いや本当にうれしいのさ。
「だーかーらー教えてよ。パパが結婚を許すような人って誰?」
「聞きたいかい?彼の名前は星本颯太!エルフの森を救いし現代に生まれた英雄だよ」
夜は更けども不知火家の明かりは空が白むまで残っていたという。
上機嫌の酔っぱらいによる嘘八百と一緒に。
Q.なんでホモ君はフレアに狙われているの?
A.すべておっさんのせい。