自衛艦これシリーズ   作:蒼崎一希

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色々な苦難の末にようやく横須賀鎮守府での演習が始まった護衛艦ひえいとはるな。
しかし世代と武装の違いが少しばかりギクシャクとした関係を生んでしまい……?


NAVAL GIRL's HOLIDAY

 みなさんこんにちは。私、ひえいです。

 鎮守府での艦娘生活もかなり馴染んできました。他の皆さんともだいぶ打ち解けてきて、前ほど世代差のようなものは感じなくなってきました。だいぶ皆さんと打ち解けられるようになったのです、が……。

「あ、こんばんはゴーヤちゃんにイムヤちゃん」

夕飯時の鎮守府食堂。たくさんの艦娘たちが所属しているこの鎮守府では食堂での食事の時間をずらして食事をしやすくすることになっています。

私とはるなは今日は後のほうになっていたのでその時間に合わせて食堂につくと、ちょうど入り口でスクール水着にセーラー服―なんともアグレッシブなファッションというかなんというか―のふたりと顔を合せました。『ゴーヤ』と『イムヤ』のニックネームを持つ潜水艦の伊58と伊168さんです。

「ッ! あ、こ、こんばんはッ!」

「こ、こんばんはでちッ!」

ふたりは私たちの顔を見るなり全身をビクつかせ、明らかに顔色が変わっていました。怯えるような声色で挨拶だけはなんとか済ませたといった有様で、それを済ませるとそそくさとどこかへ行ってしまいました。

「……明らかに怯えてるよね」

はるなが頬をポリポリと掻きながら困惑していました。

「午前中、ちょっとやりすぎたかな……? でも、なにもあそこまで怯えなくても……」

私たちとしてはあのふたりに怯えられる覚えがないわけではないのであれこれ言ったりはしないのですが、さすがにあそこまで露骨に怯えられれば多少は心が凹みます。

「確かにあのふたりが艦として戦っていた時よりはるかに進化した対潜装備で戦っているわけだから、まぁあんまり責められはしないんだけど、ね……?」

はるなとふたりで苦笑いするしかありません。

 そう、今日の午前中にはじめての対潜演習が行われて、イムヤちゃんたち潜水艦娘さんたちを相手に対潜戦闘訓練を行って……。

 本来対潜戦闘に重きを置かれている私たちは徹底的に叩きのめしてきたわけです。もちろん演習なので身体にダメージは受けてませんが。

 どうもそれがかなりのトラウマになっているようです。

「とりあえず、晩御飯食べよっか」

「そうね。ひえいは今夜は何食べる?」

「私は……、舞鶴肉じゃが定食にしようかな」

「じゃあ私は……、あ、長崎ちゃんぽんにしようかな」

ふたりはお盆を手に取り厨房の人にそれぞれ注文をします。

 この食堂、艦娘のみなさんの要望のおかげでいろいろな料理を出してくれるので艦娘だけでなくてそれ以外の人たちにもとても評判がいいようです。例えばはるなが注文したちゃんぽんは、はるなや霧島先輩、それに日向先輩といった皆さんが生まれた三菱重工の造船所がある長崎の有名な郷土料理です。他にも呉のある広島名物のお好み焼きだったり、私が注文した舞鶴肉じゃがだったりとそれぞれ艦娘のみなさんの生まれ故郷の名物料理がたくさん用意されているので毎日の食事が楽しみだったりします。

 あ、ちなみに私ひえいは石川島播磨重工の東京第一工場生まれなのでれっきとした江戸っ子だったりします。

 さて、注文した料理を受け取って座る場所を探していると、

「!」

「?」

先に食堂について大盛りの喜多方ラーメンをすすっていた陸奥先輩と目が合いました。

 私たちは反射的に視線を他のところに移して、

『あ、妙高先輩那智先輩! 横空いてますか!』

ふたりで声を揃えてそそくさと妙高先輩たちの隣に収まることにしました。

 ――ゴーヤちゃんやイムヤちゃんのこと、ますますアレコレ言えませんね、私たち。

 

「ねぇねぇ陸奥」

ラーメンをすする陸奥の隣に座っていた伊勢が声のトーンを落として彼女に声をかけた。

「なんだかさ……、避けられてない? 護衛艦姉妹に……」

何したのさ、とひそひそと訊いてきた。

「――午後の演習で彼女たちの艦隊と模擬戦闘やって、その時に長門姉と一緒にちょーっと火力を強めにぶつけてみたら、こんな感じに」

まさかあそこまで怖がられるとは思わなかったけど……、と陸奥は小さくため息を漏らす。

 彼女たちにとって、大口径の主砲を搭載した戦艦は歴史の中の存在。ミサイルなどで攻撃し合う戦後生まれの艦からすればその火力の強さはトラウマができそうなくらいには強烈だったようである。

「あの娘たちのいた時代にはこういう主砲向け合いながらの戦闘ってなかったみたいだからねぇ……、仕方ないと思うよ」

ポンポンと陸奥の肩を叩きながら慰める伊勢。

「でも、さすがにこのままっていうのはちょっとマズいわよね……。うーん、どうしようかしら……?」

同じ鎮守府で過ごし場合によっては共に戦うことだってあるわけで、さすがにこのままというのは非常に宜しくない。宜しくないのだが、状況を打開する妙案は全く以って浮かばず。困ったものである。

 そんな時。陸奥の目の前をひとりの艦娘がお盆を手に鼻歌交じりの上機嫌な様子で通り過ぎていこうとしていた。高雄だ。

「た、高雄!」

ようやく妙案を思いついた陸奥、少し上ずり気味な声で彼女を呼びとめる。

「――なんでしょう?」

如何にも申し訳なさそうな顔をしながら手招きする陸奥の姿に何かを感じた高雄が陸奥の向かい側に腰を下ろした。

「高雄ってさ、ひえいとはるなのふたりと仲いいよね……?」

ちらりと少し奥に座るふたりを確認してから、陸奥がテーブルに身を乗り出して小さい声でそう尋ねてきた。

「――? えぇ、部屋が隣り合っていますから愛宕と一緒によく過ごしていたりはしますけど……」

高雄はスプーンを手に取り海軍カレーに手をつけ始めながら質問に答えていた。もちろん、質問の意図は理解できていないようだ。

「そこでなんだけどね、ちょーっとお願いがあるんだけど……」

陸奥がさらに身を乗り出して、耳元で事の次第を説明する。

「――そういうことですか」

「そういうことなの! ……協力してくれないかしら?」

顔の前で手を合わせて協力をお願いする陸奥。

「そこまで頼まれたらいいえとは言えませんわ……。わかりました、協力しますわ」

ただならぬ状況を感じた高雄は陸奥の協力を快諾することにした。

「よかったぁ……。それじゃ今度の週末、よろしくね」

陸奥の顔にようやく明るさが少し戻る。早くも頭の中では週末に向けての脳内作戦会議が始まっているようだった。

 

    ◇

 

 この週末、高雄先輩に誘われて陸奥先輩と一緒に初めて鎮守府の外に出てみることにしました。考えてみれば艦娘として生まれてから、この鎮守府の外に出たことがありません。

 艦だったころは当然海の上にしかいることができませんから、街は訓練や任務の合間に入る港越しにしか見たことがありません。だからちょっとワクワクしていたりします。陸奥先輩が一緒というのは気にならなくもないですけど。

 昼前、はるなと一緒に約束した時間の少し前に鎮守府の正門前に行くと、

「ふたりともおはよう♪」

「おはようございます」

黒のタートルネックのセーターとワインレッドのスカート、そして紺色のコートを羽織った高雄先輩と、ブラウンのダッフルコートを着た陸奥先輩が待っていました。

「お、おはようございます!」

先輩のふたりが先に来ていたというのもありますが、普段からいつもの艦娘としての恰好しか見たことがないふたりにとって、私服姿というのはとても新鮮で少し驚きもありました。

 驚きもありますけど、見た目の印象が変わると、先日の演習の時に対峙したあの人と同じとは思えないくらい優しい雰囲気全開で、ちょっと安心したような気もします。

「あれ、もしかしてふたりともそれ以外の服持ってない……?」

陸奥先輩が何やら期待しているような雰囲気が顔を通して伝わってきます。確かに、今まで鎮守府の中で過ごす分にはこの艦娘としての制服と寝間着くらいしかいらなかったので、陸奥先輩の言うとおりではあるのですが。

「そっかぁー、それなら! 今日は私がふたりに似合う服を選んであげる♪」

腕が鳴るわね―、と陸奥先輩がやたらと意気込んでいます。

「陸奥さんね、ファッションとかすごく詳しいから聞いてみるといいと思うわよ?」

「は、はぁ……」

あの人鎮守府のおしゃれ番長だから、と高雄先輩がクスリと笑いながら補足説明してくれました。そう言われて改めてふたりを見てみると、そのスタイルのよさがとてもまぶしく見えます。

 脚は長くてすらりとしているし、出るところは出て締まるところは締まったあの姿にならどんな服でもとても似合いそうな気がします。

 ――同時に自分の容姿への自信が薄れてきますけど。

「それじゃ、街に遊びに行こうか!」

「おー!」

周りの雰囲気に合わせてよくわからない掛け声に乗った後、いよいよ鎮守府の門をくぐって外へ出発です。

 鎮守府正門前から私たちはバスに乗って、鎮守府の所在する街の中心部へと出ていきます。もちろんバスに乗るのもこれが初めての体験です。見たことのない景色がどんどん後ろへ流れていくのはなんだかわくわくしてきます。バスはしばらく街中を走って終点の駅前に着きました。

街の玄関口らしくたくさんの人がそれぞれの目的の場所に向かって歩いていく様子が見えます。

「うわー人がたくさん……」

「鎮守府の中とは大違いでしょ?」

確かに高雄先輩の言うとおり、鎮守府の中とは全く違う世界です。

「男の人って、艦以外にもこんなにたくさんいるんですね……」

はるながふとそんな言葉を漏らして陸奥先輩と高雄先輩は苦笑いしていました。でも、普段私たちが見る男の人と言えば提督か一部の男性軍人の姿くらいしかないのもまた事実なので、はるなの感想は当然といえば当然な気もします。

「それじゃちょうどいい時間だし、まずはお昼にしよっか♪」

リードする気満々の陸奥先輩に引っ張られて、私たちは駅のそばに立つ大きなショッピングモールという建物の中へ入ることにしました。

 

    ◇

 

 私たちはひとまず建物の上のほうにあるレストランエリアの中にあったイタリアンレストランに入ることにしました。陸奥先輩は休日にはよくここに長門先輩と来ているそうです。

「どれにしようかなぁ……」

私たちは案内されたテーブルについてふたりずつでメニューを広げて何を食べようか悩んでいます。

「陸奥先輩のおすすめってありますか?」

はるなは早速自分で選ぶことをあきらめたようです。イタリアンなんて食べたことないので確かに選びにくくはあるのですけど……。

「そうねぇ……、私ならこのライスコロッケか、それかカルボナーラかなぁ……」

どれも美味しいんだよねぇ、といいながらメニューを指し示します。

「うーん……、それじゃあ私はライスコロッケと、この生ハムのサラダにしようかな」

「私はカルボナーラとミネストローネで」

「うーん……、それでは私はサーモンのクリームソーススパゲッティとガーデンサラダにしますわ」

「えーっと私はライスコロッケとシーザーサラダと、あとあとマルゲリータで♪」

はるな、私、高雄先輩、陸奥先輩と順にメニューが決まっていきましたが、さすが陸奥先輩、戦艦だけあって注文する量が違います。

 しばらくしてそれぞれ注文した料理があらかたテーブルに運ばれてきたところで、

「いただきまーす♪」

丁寧に手を合わせて料理を頂きます。

『おいしいぃ~♪』

私とはるなのコメントが見事にシンクロしてしまいました。

 いつも食べる鎮守府の食堂の料理もとてもおいしいですけど、これはこれでまたとてもおいしいのです。陸奥先輩が何度も通う理由がよくわかった気がします。

「ね? たまにはこういうところもいいでしょ?」

マルゲリータをおいしそうに食べてから陸奥先輩がニコッと笑顔を見せながらこういうのが今ならとてもよく理解できます。料理がおいしいのはとても大事なことです。私たち艦娘は艦時代の記憶でそのことを十二分に理解しているのでなおさらです。

 そんな人生(?)初のイタリアンの食事は、食後のデザートまでとても楽しく過ぎていったのでした。

 

    ◇

 

 食事を終えて一息ついたところで、建物の中のお店をあれこれ回って見ることにしました。この建物の中には様々な種類のお店が並んでいます。

洋服や靴に、化粧品から雑貨までいろいろなモノが並んでいて見ているだけでもとても楽しいです。

 そんな中高雄先輩が入っていったのはファンシーショップと呼ばれるお店でした。中にはアクセサリーやキャラクターのグッズなどといった可愛らしいアイテムがたくさん並んでいて目移りしてしまいます。

「高雄先輩! このネックレスとってもおしゃれですよ♪」

気にいったモノを見つけた時の声が自分の予想以上に弾んでいるのに他ならぬ私自身が驚きましたけど、でもやっぱりおしゃれでかわいいものはおしゃれでかわいいので仕方ない気もしました。

「んー、これプレゼントしたら喜ぶかな……」

一方陸奥先輩は陳列棚にあったクマのキャラクターのぬいぐるみを手にとって悩んでいました。

「誰にプレゼントするのですか?」

「え? もちろん長門姉よ?」

『えっ!』

――意外でした。

「長門さんね、実はこういうぬいぐるみ集めるのが趣味みたいなのよね。いつも部屋に戻ったら可愛がっているみたいだし……」

 おまけになんだか公然の秘密のようになっていました。人は見かけによらないとはこういうことを言うのですね……。

 

    ◇

 

 建物の中をあれこれと回って、最後に陸奥先輩行きつけという服屋さんに行くことになりました。

「あら陸奥さんお久しぶりですー。今日は長門さんとはご一緒じゃないのですか?」

「長門姉今日は用事で来れなくてねー、だから後輩連れて来ちゃった♪」

どうやら陸奥先輩はここの店員さんに顔を覚えられる程度には常連さんのようです。さすがは鎮守府のおしゃれ番長。

 というわけで、陸奥先輩に高雄先輩、そして店員さんによる私たちの大コーディネート作戦が実行に移されることになりました。

 やる気に溢れる陸奥先輩と店員さんの眼がやたらとキラキラ輝いています。ただ、店員さんより陸奥先輩のほうがやる気に満ち溢れているように見えますが……。

「これなんかどうかな?」

「こちらのコーディネートが今年の冬のトレンドなんですよー」

「あーこれカワイイ! でもこっちも捨てがたいなぁ……」

と、試着室で着せ替え人形のようになることかれこれ一時間近く……、

「か・ん・ぺ・きッ♪」

コーディネートが完成しました。

 私は黒のチェックのニットのオーバーに白のスカート、黒のストッキングに黒のエナメルの厚底パンプス。

 はるなは白のレースのワンピースにトレンチコートにストームパンプス。

 試着しては別のものに着替え、を何度も繰り返しての結論に陸奥先輩と店員さんも大満足。

 かくいう私たちも鏡に映った今までとは全然違う自分の姿に強烈な新鮮さを感じていたりしました。服で印象は変わるものです。

「それではこのコーディネートでお買い上げということで……」

「はい♪ あ、今日はこれ全部私が支払いますから」

『えっ!』

今日だけで何回ふたりの言語回路が同期したでしょうか。それなりにいいものが選ばれている気がするのでこれを二人分お買い上げとなると結構な額になりそうなのですが……。

「いいのいいの。今日はこの戦艦陸奥にどーんとまかせなさい♪ このお洋服はこれからもよろしくね、の印にプレゼントするわ」

腰に手を当てて堂々の威厳を見せる陸奥先輩の姿に、私たちは「ありがとうございます!」としか言えませんでした。

 最初はその威厳に圧倒されていましたけど、それだけが陸奥先輩ではなくて、こういう優しさもところも含めて初めて陸奥先輩の人柄を見たのだな、と私たちは感じていました。

 気がつけば、あの演習の際に感じた雰囲気がいい方向に書きかえられていました。

 

    ◇

 

「今日は楽しかった?」

お会計を終えて、それぞれ服一式が入った紙袋を提げてエスカレーターを降りる私たちの前を行く陸奥先輩が、振り向きざまにそう訊いてきました。

「はい! 今日はいろいろとありがとうございました!」

「この服大切に着ますね!」

「よかったですね陸奥さん」

「高雄のおかげだよー」

今日は鎮守府の外の世界のこともよく感じ取れましたし、陸奥先輩ともいい関係になれて本当にいい一日でした。いつもの鎮守府での毎日も楽しくないわけではないですが、たまにはこういう日も悪くないと思いました。

そんなところに、

「ん?」

エスカレーターを降りて通り過ぎたところにある休憩ロビーのような場所に置かれたテレビの映像と音声が目に入りました。

『――乗客乗員合わせて279人が犠牲となった豪華客船『パシフィック・プリンセス』号の東シナ海での深海凄艦襲撃事件から今日で半年を迎えます。一時は駆逐されたと思われていた東シナ海の深海棲艦の再びの活動活発化に、周辺各国海軍は頭を抱えています――』

映像の中で黒煙を上げて傾く豪華客船の映像と、その映像を心配そうな、またはほんの少しの怯えの混じった眼で見つめる人。そしてその周りを歩いていくたくさんの人。

 海の上ではちょっと分かりにくいけれど、実は私たちはこんなにたくさんの人たちのために戦っているのだ。ふと、私はそうハッキリと理解することができました。

 周りに見える数え切れないほどの平和に満ちた表情。今日私たちがお世話になった人たちに浮かんでいて、知らぬ間に私たちを癒してくれる、そんな笑顔。

 私たちが一番守らなければいけないのは、きっとそんな笑顔。

 そしてそれは、それは艦の身であっても艦娘の身であっても決して変わらないのだと。

「もっと、がんばらなきゃ」

思わず、そんな言葉が小さく口から漏れました。

明日から再び始まる訓練、もしかしたら突如やってくるかもしれない実戦の日々。

 そんな日々を頑張るために、今日は、少し羽を伸ばそうと思います。

「ひえいちゃーん、行くよー」

陸奥先輩の呼ぶ声が聞こえて、私は元の世界に戻ってきました。

「どうしたのひえいちゃん?」

「いえ、ちょっと考え事です。でも、もう大丈夫ですから」

「よし、それじゃ鎮守府に帰る前に新しく出来たパフェの専門店行ってみよー♪」

「え、陸奥先輩まだ食べるんですかッ?」

「こういう時じゃないと食べられないからねー、さぁ行きましょう♪」

「ふたりとも無理して食べなくていいからね?」

「そんな無理強いしたりしないってぇ~」

ただ今日は。せめて今日だけは。

 ちょっとだけ、『ふつうの女の子』でいても、いいですよね?

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