屑が行くダンジョン物語   作:仁611

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俺の人生を振り返れば、正に屑の鑑と言える男だった。

 

高校時代はでは何股か分からない浮気をし、彼女達に男が屑であると言うトラウマを生んで来た…。

 

自分が浮気する側だった時は良いが、原因が自分だったとしても浮気されて激怒した挙句、相手の方へ責任を追求する程に口は達者だったのだ。

 

そんな俺も、社会人になり成長と共に節操は生まれて行ったが俺の駄目な所は別にも存在した。ギャンブルに喫煙、典型的な駄目な奴の見本の様な人間だった。

 

 

 

どうしようもない男だった俺にも転機が訪れ、本気で惚れた女性と巡りあったのだ…。

 

ギャンブルに喫煙、女友達などを自分から絶って彼女を本気で愛し大切にしていた。そんな大切な女性と結婚し、子供を授かり幸せな日々を送っていた俺だが、長男が7歳と長女が5歳を迎えた頃に自身の違和感を感じて、有給を使い家族に黙って病院へと向かった…。

 

 

 

『食道癌フェイズ4』

 

 

 

普段の生活を送れる事すら不思議な段階だと、先生から言われた俺は本当に絶望した。子供の成長が見られない事や、妻を独りにしてしまう己の不甲斐なさを嘆いた。

 

生命保険や医療保険は恐らく、子供が成人出来る程は大丈夫だろうけれども、父や夫を失うと言う事はそんな単純な事では無い。

 

結果…。

 

終活をする事にし、妻より先に会社へと説明すると有給消化でギリギリボーナスを支給できるとの事で対応してくれ、家族が不自由しない様に両親と義両親にも説明した。

 

手紙を書き、想い出を沢山残る努力を行った俺だったが、先生に受けた診断から1ヶ月と言う短い期間で、俺は倒れて動けなくなった…。

 

 

 

 

 

妻が真実を知り泣き崩れ、俺に治療を受ける様に懇願してくる姿が忘れられなかった。惨めな姿を最後にしないと決めていた俺はそれを説得し、涙ながらに了承してくれた。

 

俺が息を引き取るその瞬間に全ての行いを本当に悔い、妻の『ありがとう』と言う言葉が薄れ行く意識に木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気付いたのは、鬱蒼と茂る森の中で横たわる自分の身体の変化を自覚したからだった…。

 

幻想的で儚げな湖が見え、蛍の様な光が湖の上を無数に彷徨っているのが視界に入り、俺が死後の世界へとやって来たのだと思い自分の過去を振り返っていた。

 

幸せにした人の数より、不幸にして来た数の方が圧倒的に多い事を後悔していたが、死んでしまった俺には償う機会すら与えられない。

 

いつまでも思考に耽っていた俺だが、現状は一向に変わらず美しい情景が目に入るだけで、とても天国や感慨に耽る事が出来る場所に誘われる資格が無い俺は違和感を覚えた。

 

神官服の様な服は縁に銀糸で縫われており、高級感の感じる文様が施された装いが目に写り、自分の出で立ちがおかしい事を再認識する。

 

起き上がった俺の傍には、かなり細身で高貴な者が携えていそうなレイピアが腰に留められている事を不思議に思い、湖を鑑代わりに自分を確かめた…。

 

「誰だこいつは」

 

湖に写る姿は超絶美青年で、耳が尖っているだけでも困惑していたが頬には不思議な刺青が彫られており、その刺青は七色に光る宝石の粉でも含まれるのか、幻想的に月明かりを反射していた。

 

少し衰え始めていた腹筋は綺麗な肉体へと変わり、声も姿も別人へと変わっていた事に、現実主義な俺は理解が追いつかなかった。

 

 

 

 

 

現状を再確認する為に、既に朝日が森を照らし始めていたのっだが、ファンタジー世界のエルフを思わせる似姿に、数時間前まで彷徨っていた光の玉を思い出して混乱を始めたが、直ぐに気持ちが落ち着くのを実感した。

 

「この身体は、どうも慣れないな」

 

明鏡止水を思わせる冷静で落ち着いた思考力は、この肉体の持ち得る元々の特性なのだろうか?見た目だけなら20代前半に見えるが、書物で有名なエルフと言う種は長命種だ…。

 

空腹感を感じた俺は辺りを彷徨い、食べられそうな果物を見つけて湖のほとりへと戻った。当然直ぐに食べずに肌で食用可能か確かめ、次に舌先を湿らす程度で確認をした。

 

文明水準にどう言った世界か分からない俺は、少しずつ自分の知識を増やす事を優先して行った。

 

 

 

あれから2ヶ月、人に会う事は無いが少しだけ分かった事がある。光の玉は微精霊なのかはたまた妖精なのか、実体は無く触れる事は出来ないながらもとてつもないエネルギーを感じた。

 

周囲10キロ範囲で人里は無く、富士の樹海より幻想的で虫を見た事が無いし、食べられない果物は無いが大きな動物を一度も見ていないのだ。

 

この森が神聖な場所に感じる程、肉体に流れる暖かな言い様の無い力を受けてる気もする…。

 

いつまでもここに居て何か分かる事は無いと、ここを離れる決意と準備を始めた。鳥や兎を狩り、薫製肉と毛皮を溜め込んで食料を確保した。

 

準備自体は3週間を要し、離れる頃には力の正体が何なのか理解していた。恐らく受けていた力は魔力であると気づき、どうにかファンタジーな魔法を再現しようと試行錯誤した結果、イメージを明確に集中出来た場合のみその現象が可能になった…。

 

その頃から感じる、集中すると感じる時が緩やかに感じる体感時間や肉体の限界を超える剣技に既に慣れ始め、現実逃避の段階を通り過ぎて受け止めていた。

 

 

 

 

湖から離れた事で感じるホームシックの様な感覚を、湖周辺に咲いていた花で作った匂い袋で緩和する。既に、湖から3ヶ月経過した距離だが、普通な森になって時たま子供程の身長で緑色した肌が特徴的なゴブリンぽい魔物に遭遇する程変化していた。

 

ゴブリン(仮)は、前世?の肉体では決して勝てなかっただろう力と速さで迫って来たが、腕がブレる程の剣速のお陰で難なく退けて来たのだ…。

 

やっとの思いでたどり着いた街道では、白髪で長い髭を蓄えた老人がゴブリンと戦っており、すかさずその老人を助けに向かった。だが、その老人はあろう事か手に持つ杖をゴブリンの眉間に突き刺し危なげなく倒していた。

 

全てを数メートル手前で見ていたが、とても素人の動きに見えない立ち回りと、微かに感じる湖自体と似たオーラを放っていて、どこか神聖な雰囲気を醸し出していた。

 

俺の存在を感じていただろう老人が、全てを終わらせて杖の血痕を振り払いこちらに視線を向けて来た…。

 

 

「お前は、レガリア・リヨス・アールヴ…何故其方が生きておる」

 

「レガリア・リヨス・アールヴとは、私の事ですか?すみません。自分自身が分からないのです」

 

「……」

 

 

俺が出会った相手は『神ゼウス』天空神であり、雷の神とも言われたオリンポス十二神の王や神の王と言われた大神ゼウスである。話を聞いて驚いたのは、俺の肉体は1000年前に降りて来た神々ですら敬い人類の叡智と呼ばれ『人神レガリア』と呼ばれたハイエルフらしいのだ…。

 

当時既に2000歳を超えていたハイエルフは、人類の歴史や叡智を集約した歩く図書館の様な存在で、全エルフと一部のヒューマンと獣人族に神聖な存在と敬う扱いを受けていた。

 

そんな長命種であっても、いずれは生の終焉を迎える時が来るのは生物として当然なのだが、この肉体は眠る様にとある湖で眠りについあたとゼウスに聞かされた。

 

 

「其方が目覚めたのには、何か意味があるのかも知れんな…儂自身義孫のベルの後押しをする為、これより姿を隠すつもりじゃ、其方はどうするつもりなんじゃ?」

 

「私は、自身を見直す為にも旅をするつもりです」

 

「そうじゃな…其方は既に只の『レガリア』じゃ、好きに生きても誰も文句は言えんじゃろう。今の世では、世界の中心と呼ばれる迷宮都市オラリオに行くのもまた良いかも知れんの」

 

 

神ゼウスから聞かされた義孫の行く末を見たいとも思ったし、人が多くいる場所でなら自分が出来る何かがあるかも知れないと思い、神の眷属になって何かを成し遂げるのもいいかも知れないと思った。

 

神ゼウスからは、困った事があれば頼るといいと言われて5通の手紙を預かり、記憶が無いと感じながらスラスラ読める神聖文字(ヒエログリフ)で書かれた宛名を読んだ。

 

 

【ヘルメス】

【ウラノス】

【ヘスティア】

【ロキ】

【フレイヤ】

 

 

 

どうやらかなりの名だたる神々への手紙らしく、黒い便箋に金色のインクで書かれた希少なアイテムの様だ。まあ、神ゼウスの話で聞いた内容ではハイエルフの始祖らしく、どの様に生まれたか神々すら抽象的にしか把握してない様だ…。

 

そんな存在はエルフにとって神と同じか、下手をするとそれ以上の存在と捉える者も少なく無いだろう。その辺りも危惧して手紙をくれたのだと思い、神ゼウスには感謝しか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

『神々が下界される遥か昔、人々の生活はこの星にある大きな穴から産まれる怪物によって苦しく辛いものだった…

 

天界では無い何処か別の場所にいた原初の神は、その星に人々が安寧に暮らせる為にもと、小さな涙を星へと零した…

 

その涙は湖を創り、湖の周辺は怪物を遠ざけ人々に安らぎをもたらしたのだ…

 

その湖は人々に『原初の水』と呼ばれ、どこかの森の深き場所に存在すると言われている』

 

 

 

 

俺はあれから数週間、多くの道草を食いながら迷宮都市オラリオへと向かっていた。途中様々な町や村により、狩の獲物や果物を現金へと替えて書物を購入した。

 

神ゼウスから聞かされた話し以外にも、エルフ語やドワーフ語にアマゾネスの言葉で書かれた書物を読み漁った…。やはりと言うか、俺はどの言語でも全て読む事が出来る不可思議な現象に襲われた。

 

途中では、処女の乙女だけが乗れると言われるユニコーンの背に乗せてもらい、順調に迷宮都市へと辿り着く事が出来たが、オラリオの外壁で行われる入管手続で大騒ぎになった…。

 

 

『ハイエルフ』

 

 

この種族は全て王族であり、明らかに普通では無いハイエルフが手続きに来ればそれは大騒ぎになるのも仕方ない。何故か多種族すら俺に道を譲り、手続きをかなり繰り上げで済ませてオラリオへと足を踏み入れた。

 

そこに広がるのは広大な都市にひしめき合う建物や人々、顔を隠す為に巻く絹の首巻きがあるのに、隠しきれない銀色の髪と宝石眼と呼ばれる七色にも見える淡い蒼…。

 

歩く姿に息を呑む音すら聞こえる程、誰もが動きを止めてしまう大都市の人々達。気にするのはやめようと、入管職員だったギルド員から聞いた『万神殿』(パンテオン)へと向かった。

 

当然のように、万神殿に足を踏み入れた瞬間音が消え誰もが呼吸を忘れ俺に視線を向けた。受付らしいギルド職員に話し掛けようと近寄ると、ブリキの玩具のように職員は俺に頭を垂れた。

 

「すまないがファミリアの紹介を頼めないだろうか?」

 

「ひゃひゃい!」

 

「落ち着いて欲しい…私はそこまで敬う者では無いのだから」

 

「わっ分かりました…少々お待ち下さい…………エイナ———!?」

 

「ちょっちょっと!わっ私は無理!本当に無理!?」

 

「お願い!きっ緊張して上手く話せない」

 

 

結局、数分後に4人体制でどうにか大まかな説明をされ、資料と言う事で多くのファミリアを紹介されたが、ハイエルフへの異常な敬いを避けて手紙の主要ファミリアは1柱を除き遠慮した。

 

決めては神格者であり、ファミリアの登録だけでまだ団員が一人も居ないと言う理由で神ヘスティアを選んだ。登記簿に記載された場所が何故かへファイストスファミリアの店舗になっている為、ギルド職員がわざわざバベルにあるへファイストスファミリアの店舗へと案内してくれた。

 

バベルと呼ばれる蒼天を貫く槍の塔には、1〜3階はギルド管理区画で4〜12階までは店舗として商業目的で貸し出している。それ以外の階層は神々が借り受けた高級マンションの様な扱いで、30階にある神会(デナトゥス)会場として使う場所以外全て居住済みだ。

 

へファイストスファミリアは商業エリア階層で最も店舗を所持する大型ファミリアらしく、オラリオだけに留まらず世界的に有名な鍛治ファミリアだと説明された。

 

神へファイストスへの仲介をギルド職員が依頼すると、案内が来るまで職員は俺の側で只々控える様に佇み、へファイストスファミリアの団員が来た事で、3言程話した後俺に一礼をして立ち去った。

 

 

『コンコン』

 

「どうぞ、入ってもらって」

 

「失礼させてもらいます…」

 

「っ!貴方はハイエルフなのね。ヘスティアを知っている者が私のファミリア以外余りいない筈だけど、何故ヘスティアに会いたがっているの?」

 

「とある神に頂いた手紙を見て頂いたら、おわかりになる筈です」

 

 

俺は荷物から『ヘスティア』と書かれた手紙を、送り主である大神のエンブレムが見えるように提示した。それを見た神へファイストスは目を見開き、今では存在しないゼウスファミリアを瞬時に思い浮かべた…。

 

 

「そうなのね…因みにヘスティアに会ってどうするの?」

 

「ファミリアに入れて頂こうと思っています。その前に、自己紹介すらまだでしたね、レガリア・リヨス・アールヴと申します」

 

「ええ…えっ!レガリア・リヨス・アールヴ!?『人神レガリア』なの!」

 

「すみませんが、私自身己が何者か分からないのです」

 

「…それで名乗った時、少し違和感を感じたのね。遅れてしまったけど、私は鍛治の神へファイストスよ。貴方程の人物に余り畏まって話されるのは少し居心地が悪いわね…ヘスティアについてだけど、実は私が持っている土地に数ヶ月前から住んでいて、ここには居ないの」

 

「そうですか…出来たら道を教えてもらえないですか?」

 

「ええ…あっ!流石にあそこに貴方が住むなんてなったら、私がエルフから恨まれるわね」

 

「私は雨風が凌たら構わないです」

 

「はぁ〜貴方が良くても他のエルフが許すないわ…直ぐにヘスティアに迎えを寄越すから、数日は私が滞在先を用意するわ」

 

「何から何まで感謝します」

 

「やっやめて頂戴…貴方に頭を下げられると罪の意識を感じるわ」

 

「気持ちだけ、お受け取り下さい」

 

「はぁ〜分かったわ…」

 

 

その後、神へファイストスが神ヘスティアに遣いを出している間、神へファイストスからオラリオの大まかな話を聞いた。神ゼウスの話し通り、現在ではロキとフレイアの二大派閥が都市最強派閥として君臨しており、治安維持などはガネーシャファミリアが取り仕切り、上位派閥にへファイストス・イシュタル・アポロンなどが含まれるらしいのだ。

 

5年前までは闇派閥(イビルス)がかなり脅威を振るっていたらしいが、正義を掲げるアストレアフファミリアの崩壊と共に殲滅させられたと言う事だ。

 

その他にも、15年前まではゼウス・ヘラファミリアが最強派閥で最高レベル9が存在していたらしいが、三大冒険者依頼と呼ばれる『海の覇者』リヴァイアサン『陸の覇者』ベヒーモスを遂げて、最後の『空の覇者』黒龍に敗れ全滅した。その後はオラリオを追放された事で、現在世界最強のレベル7のフレイヤファミリア所属【王者】オッタルだとか。

 

 

 

そうこうしていると、結構な時間話した神へファイストスの執務室へとバイトを終わらせ直で来たのだろう神ヘスティアと対面している。

 

「君が遣いの彼が言っていたレガリア君だね!僕にも遂に眷属が出来るんだね…」

 

この言葉を聞いた神へファイストスは、神ヘスティアの俺と言う特殊な存在が入団する意味を理解していない事に、額へ手を当てて空を仰ぐ様に嘆いた。

 

その後かなりの時間を使い、神ヘスティアに今後の流れが説明される事になり、現在の神ヘスティアが住む廃教会ではヘスティアのみならず、へファイストスですら逆恨みの対象になる旨が伝えられ、エルフと言う種の特異性やハイエルフへの配慮に加え、神ゼウスからの手紙を読み終わると膝と手足を地面につき『Oh!ジーザス』などと神に願う言葉を神自身が叫んだ…。

 

 

 

 

 

 

1週間程へファイストスファミリアにお世話になり、ヘスティアファミリアホームは改装された事により、綺麗な教会へとなって周囲には植樹まで施された…。

 

この1週間は神へファイストスの好意から書物を読み漁り、オラリオや世界を知る時間に宛てた。正式に恩恵はまだ刻まれていない状態だが、俺が決して約束を違えないと言う言葉を信じて改装後のホームで正式に恩恵を授かると決めていた。

 

何故か、教会の二階部分に執務室と俺の寝室が設けられ、神ヘスティアの寝室は地下室のままだと言うのだ…。

 

厨房や食堂は教会の奥に設置され、神ヘスティアの扱いは神へファイストスの決定事項として苦労を与える事になっている。俺の内心では哀れでならないが、改装自体は神へファイストスの好意と俺がいるからなのだから、ヘスティアに得る物があっては突き放した意味が無いと正座させられ説教を受けた神ヘスティア…。

 

 

 

 

 

「すっ凄い改築だね…レガリア君の部屋に置かれた家具の数々は、どうやらエルフの子達が送って来た物らしいよ…そっそれにロキ無乳のとこの眷属である【九魔姫】(ナインヘル)君が早急に挨拶したいらしいね」

 

「すみませんヘスティア様…私も敬われるのが好きでは無いのですが『ハイエルフ』の宿命の様です」

 

「え〜っと…様は付けないでくれないかい、正直僕は胃に穴が開かないか心配だよ」

 

「それでは仕方ないですね…ヘスティア」

 

「ありがとう。こう言うのも変だけど感謝するよ…では早速恩恵を君に刻もうと思うけど、それでいいかい?」

 

「ええ、宜しくお願いします」

 

「記念すべき日なんだね!僕には感慨深いよ」

 

 

そうやってはしゃぐヘスティアの姿に娘を思い出す気持ちを抑え、執務室に備えられたシングルベットへとうつ伏せになった。ヘスティアは遠慮がちに腰に乗り、背中へと恩恵を刻むべく神血が一雫滴る。

 

目を瞑る俺には、湖に滴る雫を連想させられ部屋中が閃光によって視界を奪われる。『うぎゃぁ』などと言うヘスティアの声と、これが普通だとは思えないなどと言う言葉を後に、俺は意識が薄れるのを感じた。

 

 

 

 

『———◾️&▲————』

 

『——————————』

 

 

断続的な記憶が駆け巡り、世界に広がり自然を感じながら会話する声が脳内に反響する。これからどんな物語が紡がれるのか、この時の俺には想像もつかなかった…。

 

 

 

 

 

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