屑が行くダンジョン物語   作:仁611

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壁をよじ登る芋虫型モンスターは、死に行く仲間の体液に溶かされる様は地獄絵図だった戦場は、総魔力量が半端じゃ無い俺に蹂躙され尽くすまで然程掛からなかったが、49階層入り口からこちらを伺うロキファミリアの安堵を裏切る様に突如、地面から何かが飛び出して来たのだ…

 

俺を目掛けて飛び上がった雌型の芋虫モンスター、そのフォルムは芋虫型モンスターに女体を取り付けた様で、空想上のアラクネを芋虫版にした姿の様だった…。

 

4本の腕は平で自立起動している様に様々な動きをしている。俺に攻撃して来た雌型の攻撃をレイピアを抜き取り回避する際、高速で降下中に腕を1本斬り飛ばした。

 

声にならない金切り音の様な叫び声が50階層に響くと、在ろう事か芋虫型モンスターが51階層から溢れ出て来た。数を数えるのも億劫になる量が一気に押し寄せ、地面が見えなくなって行く51階層との入り口付近。

 

フィンさんが大きな声で何か指示すると、リヴェリアさんとレフィーヤさん達魔導師隊が詠唱を行う。腐食液を風で吹き飛ばせるアイズさんが芋虫達を抑え、武器使用禁止を言い渡されたヒリュテ姉妹も加勢している。

 

ベート・ローガとガレス・ランドロックは49階層側から来る別種のモンスターと対峙しているが、ダンジョンの悪意を感じながら状況が不利になって行くのをひしひしと感じている。

 

走馬灯では無いが俺の前世を考えていた、誰かを救い善行を躊躇う事など今の俺には無かった。イメージは神ゼウス、雷を纏い雷の槍を撃ち込む最強の矛…。

 

化学知識がある俺はモンスターの周囲に高濃霧を発生させ、雷を全方位から雌型と芋虫型に浴びせまくった。雷に焼かれるモンスター達に加えて霧が急激に過熱し過ぎて爆発する。

 

25M程の雌型芋虫は爆散し、芋虫型モンスターの多くはその爆発と雷によって殲滅した。一瞬だけ見えた雌型の魔石は他のモンスターと違い極彩色であった為、どうにか風魔法で腐食液から保護する事に成功する。

 

ロキファミリアは、好機と見て総攻撃を芋虫型に叩き込んでいた。漸く全ての芋虫型を排除する事が出来、一度50階層で負傷者等の治療や休息を挟んだ。

 

 

 

ここで俺は新たな情報をリヴェリアさんから聞かされた、ヘスティアファミリアに新人が入ったと言う事だ。俺がダンジョンへの遠征に来たのは10日前だが、リヴェリアさんが言うには9日前に『竃の教会』に訪れた際にヘスティアが嬉しそうに話してたらしい、7日も18階層を拠点に魔石の大セールをしたのが間違いなのか?

 

18階層で野営地を構えてると、日替わりでエルフが地上から食料を届けてくれるのだから仕方ない…。

 

それにヘスティア宛の手紙なども預かってくれたり、リヴィラの街に店舗を持つエルフが、リヴィラではかなり良心的な金額で魔石を買い取りしてくれて少し調子に乗りすぎた。

 

更に驚くべき事に、新人冒険者の名前はベル・クラネル…。大神ゼウスの義孫である事が分かったのだ。リヴェリアさんは本人がギルドで登録中か講義の為会って居ないが、ヘスティア曰く兎の様に可愛く純粋だがそれ故真っ直ぐだとか。

 

 

 

 

ロキファミリアは、冒険者依頼(クエスト)としてカドモスの泉水を確保しなくてはならないらしく、一応俺がカドモスを殲滅していると言う事から、レベル4をかなり含むメンバーで泉水だけは確保しに向かった。

 

護衛依頼では無いが、同行しないかと提案を受けて俺は予備のバックパックまで使い51階層のモンスターを蹂躙して行った。何故かアイズさんが俺に付いて来ると言う話しになったが、彼女を無視出来ない理由が彼女の容姿にあった…。

 

 

『妻』に似たロングストレートと華奢な手足、もう少し大人な感じだが容姿は眼と髪色以外はほぼ瓜二つ。

 

 

同行する代わりにバックパックを帰還時は持ってくれるらしく、アイズさんと一緒にデフォルミススパイダーやブラックライノスを狩りまくった…。

 

6時間程50階層で休憩した我々は地上へ帰還する為前進した、50階層での戦闘が影響したらしい(リヴェリアさんの談)アイズさんが構ってちゃんなのだが、会話が下手でド天然な事から余り上手く話せて居ない。

 

 

「あの。何故、そんなに強いんですか?」

 

「すまないけど記憶が無い私には分からない」

 

 

 

「えっと、持ちます」

 

「アイズさんに持たせたら、私は君のファンに恨まれるだろう」

 

 

 

「私の剣…問題無い、ですか?」

 

「…少し剣に無理な動きがあるように感じるね」

 

 

 

「アイズさん?」

 

「アイズ、です」

 

「?アイズさん」

 

「アイズ」

 

「アイズ…さん?」

 

「……アイズ」

 

「…分かりました。宜しくお願いしますアイズ」

 

 

 

結構どうでも良い会話が多いが、アイズは何故か俺を大層気に入ったらしく、リヴェリアさん達ロキファミリアの団員は面食らった表情をしていた。

 

アイズ大好きレフィーヤさんは、尊敬するアイズに近付く俺を睨めば良いのか、ハイエルフの始祖である俺と親しくするアイズを睨めば良いのか困惑して百面相していた。

 

恐らくアイズに好意を寄せているであろうベート・ローガは、終始俺を睨んでいたが、自分より強くエルフの神の様な俺に悪態を付けばロキファミリアが崩壊しかねないから睨むだけだった。

 

俺がダンジョン遠征開始して丁度14日目、18階層から地上へ帰るロキファミリアに紛れ、15階層でフィンさん達と戦闘を見学していたのだが、ミノタウルスの大集団が出現した事で幹部連中も無償で応戦していた…。

 

残りが8体になった途端、ミノタウルス達は全力で上層へと逃げ始めたのだ、あらゆる道に別れたミノタウルス達を追い掛けるロキファミリア幹部、最悪死人が出てもおかしくない上層へとミノタウルスが逃走した。

 

 

 

 

 

俺が最後の1体を目視した光景は、白髪で小柄な男の子を追いかけ回す姿、レベル10が本気で追い掛けた事によって大事には至らなかった事は幸いだ。

 

ミノタウルスの横に移動して首をレイピアで串刺しにした。少年は突如吹き荒れた風と、先程まで地響きの様なミノタウルスの鳴き声が止み立ち止まった。

 

俺の姿を目視した途端目を見開きフリーズした。そんな少年が怪我していないか確かめる為に彼に話し掛けて見たのだが、予想していない反応が返って来た。

 

 

「大丈夫ですか?」

 

「ほっ」

 

「ほ?」

 

「ほあぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「……」

 

 

数十秒後アイズが付与魔法の風を纏って現れると、俺が少年が去った方向を見続けていたからか、心配して「大丈夫、ですか?」と聞かれたがリヴェリアさんが言っていた話しを思考していた。

 

 

「ありがとうございますアイズ…大丈夫でしたよ」

 

「そっか、良かった」

 

「ええ…本当に良かった」

 

 

彼の少年の容姿は白髪に紅眼、例えるなら間違いなく兎であり純粋そうな雰囲気が凄く伝わった。彼がベル・クラネルだろうと気付き、同じファミリアの団員を間接的に殺してしまわなかった事にホッとしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

18階層【迷宮の楽園】(アンダーリゾート)で受け取った、買取代金の代わりの証文やドロップ品の多くは明日に回し、証文の2000万ヴァリス分だけ同行したエルフ達に渡した。

 

18階層滞在時は、推定3200万ヴァリス程の証文を受け取り、下層以降で得たドロップ品の想定額は魔石6500万ヴァリス、ドロップアイテム3300万程見ている…。

 

今日は既に解散した遠征隊だが、俺はバベルにあるへファイストスファミリアへやって来ていた。神へファイストスに改装費や活動支度金としてもらったお金の返金の為やって来た。

 

当然こんなに早く返済し終わると思っていなかった様で、神へファイストスは驚くと共に俺の早い返済に好感を持った様だった。改装費費に350万ヴァリスと支度金100万に加え、ヘスティア迷惑料として500万ヴァリスの証文を手渡した。

 

少しだけ世間話をした神へファイストスから、ヘスティアに決して大金を握らせない様に言われ、二つ返事でその旨を了承した。遠征で得たヴァリスは、20〜30万ヴァリス以外は金額を教えない事にしてから、ヘスティアに神会時のドレスや装飾品は言えば買う事を伝え、趣味などヘスティア個人の消費は交際費(飲みや外食)以外は小遣い制であると伝えよう。

 

帰り道では新鮮な野菜を多く購入しながら、ホーム『竃の教会』へ帰って行った。どうやらこの肉体は濃い肉類より野菜や果物を好み、肉類は淡白な物を好んでいる。

 

一応新人がいつから肉類も多少は購入てからホームの扉を開いた…。そこには恐らくベルくんから俺の特徴を聞いて予想していただろうヘスティアが、満面の笑みで俺の帰宅を待っていた。

 

 

「お帰り〜レガリア君〜長かった君の不在も当分は無いよね?」

 

「ええ、只今戻りました。安心して下さい、当分は長期遠征をするつもりはないです」

 

「やったー!僕はやっぱり君が居ないと寂しいから、本気で嬉しいんだからね」

 

「ふふっ」

 

「うわぁ〜レガリア君がそこまで笑顔になったのは始めて見たけど、最早美の女神顔負けだよねぇ〜おっ!そうだ…新しく入った子がいるんだけど、呼んでも良いかい?」

 

「ええ。では荷物を置いたら食堂に行きますから、そちらに案内頂けますか?」

 

「分かったぜ!あっ食材は僕が運ぶよ」

 

「お願いします」

 

 

自分の部屋に証文や装備を置き、魔法で自身の汚れ(スキルによって常に再生する為、肉体は綺麗を維持する)を簡単に落としてから食堂に向かった。

 

大神ゼウスの義孫がどんな子か、見た目以外をいよいよ知る事が出来るので、転生後初めてワクワクしていた。自分の子よりかなり大きいが、出来るだけ彼の力になれるようにしようと思ったが、成長の阻害にならない程度に自制もしないとな…。

 

 

 

 

 

 

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