塚の森駅に向かったという響の元へ急ぐ弧仁
その途中
・・・「!、弧仁君止まって!」
「!」
無線に響くあおいの声
・・・「ありえない数のノイズ反応が突如発生!響ちゃんの位置とはかなり離れています!翼さんからも距離があります!」
・・・「すまない弧仁、今最速で動けるのはお前だけだ」
「分かり、ました」
今すぐにでも響の元に駆けつけたいが、突如現れたノイズも無視することはできない
『弧仁、速攻で終わらせよう』
「・・・」コクッ
踵を返し、反応が現れた場所へ急ぐ
・・・
「・・・」
たどり着いた場所には数えきれないほどに大量のノイズ
商業施設が立ち並ぶエリアだが、周辺の避難は完了しており、市民はいない・・・はずだった
「おいおい、本当にきてくれたじゃねーか」
「!?」バッ
突如聞こえた声、その声はノイズの集団の中から聞こえた。
「そう身構えんなよ。今出てきてやるから・・・さ!」
そう言って集団から人影が飛び出す、出てきたのは赤いワンピースのような服を来た少女・・・その白銀の髪にはどこか見覚えがあった。
「アンタに今、あっちにはいてもらいたくないからなぁ・・・この通り満員御礼の舞台を用意してやったぜ?」
少女がノイズを出現したかのような口振り、その手には銀の杖が握られている。
・・・「どうした弧仁、なにがあった?」
「謎の少女と、遭遇、手には、謎の、聖遺物」
・・・「!!、確保できるか?」
「能力が、不明、ですが、善処します」
「おいおい、内緒話とはさみしーじゃねーか『呪術師』さんよぉ」
「!」
呪術のことは特務二課にしか明かしていないはずの情報・・・何故そのことを少女は知っている?
「それを、どこで」
「ハッ、どこどこで聞きました~なんて、素直に答えるわけがねぇだろ?知りたきゃ力ずくで「蒼」!?」
バシュゥゥゥッ!!
「・・・マジかよ」
「もう一度、聞く、それを、どこで知った」
蒼を発動、少女を対象外として辺りにいたノイズを一気に殲滅し、少女に再度問う
「フィーネの言う通り、まともにやったらこっちがバカだな・・・チッ」
少女が杖を振るう、その瞬間再びノイズが現れる。
「いいこと教えてやるよ!今からこいつらを適当な所に転送する!!お前はそこで遊んでな!!」
再度杖を振ると、ノイズが何処かに消えた
「それじゃあアタシは一足お先に戦場に行かせてもらうとするかな」
「っ!逃がさない!」
少女を捕らえんと駆け出すが・・・
「おっと!そうだ・・・これに見覚えないかぁ?」
「っ!?」
キィィィンッ!!
一瞬少女が光り、白銀の鎧を纏った・・・それは
「ネフシュタンの鎧・・・?」
資料でしか見たことのなかった・・・あの日、奏と翼のライブによる起動実験の対象となった完全聖遺物
・・・「この反応はネフシュタン!?弧仁一体なにが起こっている!?」
弦十朗の言葉から間違いない、それが今、目の前にあの日の原因がある・・・これさえなかったら!!
「それを、どこで!!「たどたどしいーんだよ!」!?」
ガシャァァンッ!!
鎧に装備されている鞭が弧仁に迫る、かろうじて避けることはできたが・・・威力はいうまでもなく強力
「なんでも聞いて、答えてもらえると思うな甘えん坊!お前が自分の力を秘密にするように、こっちにも秘密はあるんだよ!それより、ノイズはとっくに転送したぜ?・・・今動けるのはお前しかいないんじゃないのか?」
「っ!」
『あの子頭いいね。それに相手の力量が分からない以上・・・今はガムシャラにあの子に迫るのは得策じゃない』
分かってる、さっきから無線から五月蝿いくらいに聞こえている
・・・「また新たなノイズ反応!?この付近はまだ避難が遅れています!」
・・・「弧仁!そちらの状況も分かるが今は現場に急行してくれ!」
響のことも、翼のことも、この少女のことも・・・全部放っておけないのに
「反応は、どこ、ですか!」
それでも行くしかない、動けば自分の手が届くというのなら、それで誰かを救えるのならばと、弧仁は見捨てられない
場所は聞いた、ナビは藤尭が行ってくれる。
「っ」キッ!
「おうおう、いい目で睨みやがる。けど今はまだその時じゃない、じゃれあうのはまた今度やってやるよ!」
そう言って、少女は空を舞った
それと同時に弧仁も走り出す。
・・・
・・・「反応はいくつも、その全部が響ちゃん達から遠ざかるように現れてる」
「最短ルートを」
・・・「分かった、まずはその先の・・・「蒼!」!、相変わらずすごいな「次は?」、次は東だ!」
夕暮れの空が暗くなる僅かな時間で全てのノイズを殲滅することに成功した・・・しかし
「はぁっ、はぁっ」
『流石に呪力の乱発が効いてきたか』
各地の移動、ノイズの殲滅に呪力をフルで使ったため、六眼の恩恵があり、呪力量の多い弧仁でも流石に限界だった。
・・・「この短時間で全ての反応消失・・・!、弧仁君、一旦二課に戻って休息を「ひ、ひびきは?」!」
「響はどこ?まだ、駅?」
行かなければいけない、自分はまだ
「守らなきゃ」
もう手を伸ばすことを諦めたくない
・・・「っ!今響ちゃんは翼さんと合流している、だけどさっきのネフシュタンの鎧を持つ少女も現れて今はその子と交戦中だ。」
「そっか、なら、用事も、一気・・・に・・・」
そうして意識が途切れそうになった・・・その時、ガシッ
「倒れるな、立て」
自分を支える腕、そして聞こえた声・・・それは
「父、さん?」
「守るんだろう、最後まで踏ん張れ」
弦十朗がいた。
「なんで?」
「今の現状は明らかに異常だからな、俺が直接行くことにした。そこで了子君も待ってる」
グイッ、弧仁に肩を貸す弦十朗
「しっかりしろ、守るんだろう全員で」
「!」
「肩は貸してやる、だけど自分でしっかりと歩け」
「うん」
・・・そうして了子と合流し、車で響達の元へと向かう
「弧仁、今のうちに休んでおけ」
「いざって時は弧仁ちゃんの力が鍵になるかもしれないわ」
「はい」
後部座席に座り、体を休める・・・しかし
「!、翼ちゃん歌うつもりなのね」
「!歌うって、なにを」
「・・・絶唱か」
「!?それって」
絶唱、かつて奏がライブ会場に現れたノイズを殲滅するために歌った歌
シンフォギア装者にとって最大最強の技ではあるが、その威力と引き換えに使用者に強烈なバックファイアを及ぼす諸刃の剣
「!、父さん!」
「分かっている!」
車を急がせる、時間はもう残されていない
・・・
そうして翼と響の元に到着した弧仁達
焦土と化した地面と、その中心に立つ翼と翼の近くにいる響
「無事か!翼!」
弦十朗が声をかける、それに対して
「私とて、人類守護の務めを果たす防人
こんなところで折れる剣じゃありません」
口から瞳からおびただしい量の血を流す翼
その姿を見て、あの日の奏を思い出す
「っ!翼ちゃんっ!!」
思わず昔と同じ呼び方で翼の名を叫ぶ弧仁
「!、弧仁」
翼もそれに答えるかのように、昔と同じように弧仁の名を呼ぶ。
「私が未熟だから、奏を、守れなくて、弧仁を、否定して、戦場(いくさば)に、連れ出して、ごめんね」
そうして語られる言葉は翼の本心
あの日、奏を守れなかったこと
あの時、弧仁を拒絶してしまったこと
今、弧仁を戦わせていること
全部、謝りたかったこと
そして、本当は
「また、弧仁と、歌いたかった、な・・・」
バタッ・・・言い切るや否や翼が倒れた。
「!、翼ちゃんっ!!!」
急いで反転術式を施そうとしたが、その手が止まる
「っ!」
もしかしたら、また間違うかもしれない
翼を奏のように呪ってしまうかもしれない
その恐怖で手が震える
『弧仁』
「!」
『自信を持て、呪われた力を守る力に変えるために努力してきたんだろ。
できる、できないで考えるな
独占的で独善的でもいい、本気で欲張れ』
「っ!」
『弧仁自身が翼に生きててほしい、そう願うならそれだけでいいんだよ』
もう、迷いはない
ただ自分の良心に従い、翼を救うと決めた
翼の胸に手を置き、反転術式を使う
「弧仁ちゃん、絶唱はシンフォギアとの融合係数でバックファイアの大きさは変わるわ。翼ちゃんの融合係数は奏ちゃんより高いから、あの時よりか軽症のはずよ」
「弧仁、今はお前に託す・・・翼を頼む」
「・・・」コクッ
なけなしの呪力を捻り出す
・・・そして
「・・・これで、終わり」
「バイタル安定、峠は越えたみたいね」
「よくやった、立派に・・・なったな」
「うん、でも、疲れた・・・」
バタンっ
『ここまで呪力使ったの初めてだもんね、お疲れ様』
穏やかな顔で眠る弧仁
目が覚めた時にはきっと全てが変わると信じて
詳細な設定的なの
何故翼を救えた?→擬き曰く「呪力とフォニックゲインは相性が悪い」とのこと
奏の時はバックファイアによる消滅=フォニックゲインによる消滅と言えるので
フォニックゲインに満ちている状態の奏に反転術式を施しても意味はなかった
その状態からひたすら呪力を込めてしまったので無意識に呪ってしまった。
対して翼はその融合係数の高さからバックファイアを耐えきり、重症で済み、一命を取り留めた
弧仁が反転術式を施したのは一命を取り留めた後、重症を負った身体を直すことに注力した
正確に言えば弧仁が行ったことは怪我を治療しただけなのである
だけど、弧仁は初めて守りたいものを守ることができた