歌を奏でる装者と無限を操りし少年   作:アユムーン

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繋がる「涙」

「せいっ!えいっ!」

 

「そうじゃない、雷を喰らい、雷を握り潰すように撃つべし」

 

「言ってること全然分かりません!」

 

今日も弦十朗宅の庭では響と弦十朗の元気な声が響く

 

「・・・」シャカシャカ

 

そんな声をシャットダウンするかのように、いつぞやの音楽プレイヤーを耳につけ、朝食の用意をする弧仁

 

『今日はトーストにベーコンエッグ、ハ◯ルの動くアレオマージュ・・・だけどプラスでプロテイン、朝から重たいメニュー、甘いもの食べたいね』

 

「」コクリ

 

ここのところ響は学校と修行と大忙し、かくいう弧仁も振り回されていたが、久しぶりに響と色々できて結構喜んでいたりする。

 

そんなこんなで今日は学校を休んで修行らしい

 

「・・・」フンスッ

 

『お、完成だね』

 

とりあえず響たちを呼んで朝御飯にすることにした。

 

・・・

 

「お、今日もうまそうだな」

 

「おぉー!疲れた体にジ◯リ飯!これは朝からテンション上がるよー!」

 

『昨日某動画サイトのお料理ちゃんねる見ちゃったから作りたかっただよね』

 

「おかわり、もあるよ」

 

「ほんとにっ!?それじゃあいただきまーす!・・・んー!おいしいー!さっすが弧仁!」

 

「・・・」

 

『久し振りだね、こんな賑やかな御飯』

 

かつては奏や翼とこの食卓を囲んでいた。

そこに今は響がいる

 

「・・・」コクリ

 

『楽しいね』

 

「・・・」コクリ

 

いつか、この場所にもう一度・・・

 

・・・

 

朝食後、響と弦十朗はランニングついでに二課へ向かった、弧仁も途中までついていき、二課のメディカルルームへ翼のお見舞いに向かう。

 

「・・・」

 

翼の意識はまだ戻らない

 

目立った外傷はなく、身体的には健康そのもの

 

「・・・」

 

なのに、起きない

 

『なんの夢見てるんだろうね』

 

「?」

 

『これだけ寝てるんだもん。相当いい夢だと思うな』

 

「・・・」ウーン

 

『よく晴れた日に真っ白の洗濯物干す夢って・・・少なくとも翼は見ないでしょ、緒川に色々丸投げなんだし』

 

「・・・」

 

『だったら奏の夢・・・か、そうなんだろうね』

 

「・・・」

 

『そうだね、忙しくしてみたいだし・・・しばらく休めばいいよね』

 

これ以上の長居に意味はない、病室を後にしようとしたが

 

「!、弧仁さん」

 

「!、おがわさん」

 

「お見舞いですか?ありがとうございます」

 

「いえ、当然、なので」

 

「なら、少しお話をしてくれませんか?」

 

「おがわさん、と?」

 

「そうです。まぁ座ってください」

 

立ち上がった椅子に再度座らされる。

 

「響さんにも話しましたが、今回の件で貴方が気に病むことはありません。あの絶唱は翼さん自身が自分の意思に歌ったのですから」

 

「分かって、ます。けど」

 

「・・・すみません、かえって重くしてしまいましたね。」

 

「・・・」

 

「・・・弧仁さん、翼さんの手を握ってあげてくれませんか?」

 

「?」

 

「お医者さんが、こういった触れ合いがきっかけで目覚めることもある、とのことでしたが、私は眠っている女性に触れるなんてことはしませんので」

 

「おれ、は?」

 

自分も男なのだが?

 

「貴方たちはそんな関係ではないでしょう、昔はお風呂まで一緒の仲だったじゃないですか」

 

『まぁ確かに』

 

「・・・」エェー

 

『ほらほら早く、握っちゃえよー。そもそも治療の時にもっとすごいもの触って「!!!」分かったよ』

 

「・・・」ハァ

 

言われるがまま、翼の手を握る。

 

少し冷たい、だけど弧仁の手の温度が移り、少しずつ暖かくなっていく

 

「・・・」

 

その温度が翼の生きている熱に変わっていくのを感じていると・・・

 

「今から話すことはオフレコでお願いします」

 

「?」

 

緒川が口を開く、手を離そうとしたが

 

「あ、手はそのままでお願いしますね」

 

「??」

 

『はいっ!いいから握っとく!』

 

「???」ギュッ

 

もう一度手を繋ぐ

 

「奏さんが絶唱により昏睡状態になり、それからは、翼さんは年頃の女の子が知るような遊びも恋愛も知らずに戦ってきました・・・と言ってもこれは弧仁さんも同じですね。」

 

「」コクッ

 

「ただ弧仁さんが翼さんから奏さんを奪ったと後悔しているように、翼さんも弧仁さんから奏さんを奪ってしまったと後悔していました。」

 

「!!」

 

「それから奏さんを救おうとした弧仁さんのことを拒絶してしまったことを後悔しているようでした。」

 

「・・・」

 

そんなの、仕方ないじゃないか

 

自分は翼を傷つけたのに変わりはないのに

 

「それから、奏さんだけでなく司令、そしてなにより翼自身も弧仁さんを戦場に出てほしくなかった。なのに今こうなってしまった」

 

・・・「こちらでの任務は終了している。おじ様はお前を向かわせたようだが、私一人で問題なかった」・・・

 

・・・「櫻井孤仁の力なくとも私だけで十分です。」・・・

 

あの時の言葉は、弧仁を戦場から遠ざけたかったから

 

奏の居場所を守りたかったんじゃない、弧仁が心配で、守りたかったから

 

「この点については司令も迷った結果決めた決断なので攻めないであげてくださいね。」

 

「・・・」コクッ

 

弦十朗にも翼の想いを尊重したい気持ちだってあっただろう、だけど翼の命と、翼と弧仁の二人のために近づけてくれたことは分かる、分かってる

 

「ッ!」

 

分かってるけどっ・・・

 

「お願いです弧仁さん。貴方が翼さんに対してなんの憎しみももってないことは分かっています。

 

それを翼さんに伝えろなんてことはいいません。それは貴方たちで決めてください。

 

ただ翼さんの手を握ってあげてください。響さんと一緒に手を繋いであげて、一人ぼっちにさせないであげてください。

 

私からは、それだけです。」

 

そういうと緒川は部屋を出ていった。

 

「・・・」

 

『翼は弧仁と同じこと、思ってたんだね。・・・まぁ僕は知ってたけどね、分かりやすすぎるもん』

 

「・・・」ポタッポタッ

 

涙がこぼれていく、最近どうにも涙腺が緩くなってしまった。

 

緒川から聞いただけだが、翼の本心に触れ、申し訳なさと嬉しさが同時に込み上げてくる。

 

『もうお互いの罪悪感のために関わるのやめようね』

 

「・・・」コクッ

 

両手で翼の手を握った。少しでも伝われと思いながら

 

『翼が起きたらさ、久しぶりに部屋の片付けしてあげなよ。それでいつかみたいに二人で歌でも歌いなよ』

 

「おれ、歌えない、よ?」

 

『声にしなくたって、あの頃いつだって君達二人は一緒に歌ってたさ。』

 

「・・・」

 

心を通わせ、共に音を楽しんだかの日・・・その日に戻れるなら・・・

 

「はやく、起きてよ、翼ちゃん」

 

なんだってしてみせるのに、そう願いながら重ねた手を額に寄せた、その時

 

ピクッ

 

「!」

 

一瞬、翼が手を握り返したような気がした

 

『落ち着きな、ただの反射運動・・・って』

 

弧仁を落ち着かせようとした擬きが、弧仁の六眼を介して見たものは・・・

 

「っ!」

 

翼の瞳から流れる涙、絶唱を歌った時のような血の涙ではなく、透明な綺麗な涙

 

それを拭い、慌てて医者を呼ぶために駆け出す弧仁

 

その際、ポケットから音楽プレイヤーが落ちたことに気づくのは・・・これから後の事

 

・・・

 

慌てて医者を呼んで、緒川に連絡して、弦十朗に連絡して・・・とやっていたらなにやら作戦が始まるらしく、ミーティングに呼ばれた。

 

隣には響が座っている。

 

「ねぇ弧仁、なに言ってるか分かる?」コソコソ

 

「そう、言うと、思って」

 

『こんなもの用意しました~♪』

 

どこからか取り出したフリップを見せる

 

「えぇ!?いつの間に!?」

 

「先程、大急ぎで」

 

まずはここから!今回の作戦について!→ここの地下8000キロ地点アビスと呼ばれる場所に保管してる完全聖遺物「デュランダル」の移送!

 

「ここまでで、質問」

 

「それは聞いたことあるよ!」

 

「了解、なら次」

 

そもそもなんで動かすの?→日本政府の命令からです。最近頻発してるノイズ災害、その裏で手を引いているやつの狙いって・・・ここでクイズです

 

「はい、立花さん、早かった」

 

「えぇ!?ここで私!?てゆーか、その呼ばれ方は学校の先生に呼ばれてるみたいだよー・・・狙いって、もしかしてデュランダル!?」

 

「正解、では、次」

 

ワクワク!移送のよてい!→明日明朝0500に永田町、特別電算室、「記憶の遺跡」に移送するよ!

 

「な、なるほど・・・すっごい早起きしなきゃね!」

 

「その、通り」

 

ここが気になる!今回のお仕事内容!→響はデュランダルの護送、弧仁はヘリで後追いするよ!

 

「!、私一人なんだね」

 

「・・・うん、もしも、ノイズが、来たりしたら、響は、とにかく、先に、俺は、後片付け」

 

「そうだよね、逃げる途中でもノイズそのままにするわけにいかないもんね」

 

「・・・大丈夫?」

 

「うん、任せて」

 

それから響は荷物の用意のために一時帰宅

弧仁は頑張る職員のため夜食作り

 

・・・で

 

「・・・」フゥ

 

額の汗を拭いながら、休憩場所に座る

 

「あ、弧仁」

 

そこに再び響が現れる、手にはバックがある、泊まりの用意だろう

 

「?もしかしてお疲れ?」

 

「数十、人分の、夜食は、きつかった」

 

「お、お疲れ様・・・はぁ」

 

弧仁の隣に着くや否や、ため息をこぼす響

 

「なにか、あった?」

 

「あ、分かった?」

 

「分かり、やすすぎ」

 

「あはは、実は出る時に未来怒らせちゃってさ」

 

「未来?」

 

「うん、装者のお仕事って秘密でしょ?だから未来になにも話せてなくてさ~、怒らせちゃった」

 

「仕方、ない」

 

「分かってるんだけどね・・・はぁこんな気持ちじゃ寝れられないよ・・・ひぅ!?」

 

暇潰しに机に置いてあった新聞を広げるとすぐに赤面した響

 

「?」

 

「男の人ってこういうのとかスケベ本とか好きだよね」

 

「?」

『あー、スポーツ雑誌のあるあるだね』

 

昔それを学校の工作で持ってって偉い目に合いそうだった弧仁を助けたことのある擬き

 

「こ、弧仁もこういうの興味あったり?」

 

「??」

 

なんのことか分からず、首をかしげる弧仁

 

「そっかぁー・・・弧仁はそのままでいいよ!」

 

『まぁないのは無いでどうかと思うんだけどね?』

 

それから机に新聞を戻す・・・その時見えた新聞の一面には

 

【風鳴翼、過労で入院】

 

「あ」

 

『二課の情報操作か、まぁあながち嘘ではないね』

 

「情報操作も僕の役目でして」

 

「!、緒川さん」

 

足音もなく現れた緒川(弧仁は気づいていた)

 

「翼、ちゃんは?」

 

「安心してください、徐々に意識を取り戻しているそうです。効果覿面でしたね」

 

そう言って、弧仁にウインクを送る緒川

 

「!」ニコッ

 

「?なにかあったんですか?」

 

「いえ、でも暫くは安静だそうです。」

 

「月末のライブも中止ですね」

 

「!?」ガーン

 

「ファンの皆さんにどう謝るかって・・・弧仁さん?」

 

「ッ!」

『あー・・・休みとれそうで行けそうだったやつか』

 

手には携帯端末、写る画面にはライブチケットの予約番号

 

「あ、すみません。一番のファンがここにいましたね」

 

「一番のファン?」

 

「弧仁さんはツヴァイウィング結成時代の頃からの古参ファンなんですよ」

 

「へぇー・・・そういえば昔CDいっぱい持ってたよね」

 

「今も、保管、してる」

 

「ありがとうございます、翼さんのソロ活動もずっと影から応援してくださってますよね」

 

「・・・!、もしかして私に翼さんの新曲のCDくれたのって!」

 

「響さん、それは言わぬが花ってやつですよ。」

 

「へっ?」

 

「んんっ、とに、かく、翼ちゃん、のこと、頼みます」

 

「はい、もちろんです。僕からは何事もたくさんの人間がいろんな所でバックアップしてるということです。だから響さんももう少し肩の力を抜いてください」

 

「はいっ!ありがとうございます!、よーしっそれじゃあ張り切って休んできます!行こう弧仁!」

 

「」コクッ

 

そのまま響に手を引かれて、移動を始める二人

 

「翼さんも、響さんくらいに素直だったらいいのに・・・ってあれ?なんで弧仁さんと一緒に?」

 

・・・そして明朝

 

「記憶の遺跡まで一気に駆け抜ける!」

 

「名付けて天下の往来独り占め作戦!」

 

黒塗りの車の中に一台目立つピンクの車

 

それこそが本命のデュランダルを運ぶ了子と響が乗る車

 

「響「大丈夫!」!」

 

心配して話しかける前に、響がそれを遮って続ける

 

「昨日緒川さんが言ってくれたみたいに、私は一人で戦ってるんじゃない、色んな人が助けてくれてる・・・それに後ろに弧仁がいるって思えば、大丈夫!」

 

「!」

 

「だから、頑張ろうね!」

 

「うん」

 

軽くハグを交わして、別れる。

 

そしていよいよ・・・デュランダル移送作戦が始まる

 

 

 

 

 




じゅじゅしないさんぽ!(タイトル迷走中、絶賛募集)

休憩室から緒川と別れた後

響に当てられていた部屋のベッドにて

「んんーやっぱり弧仁もあったかいね」

「響、もね」

「・・・弧仁大きくなったね」

「?」

「昔は簡単に抱き締めれたのに、今じゃ両手じゃ足りないや」

「そう、かな?」

「うん、なんだか嬉しいような・・・寂しいような」

「?」

「なんでもない、それより・・・ねぇもっと近づいてもいい?」

「・・・もちろん」

このあと滅茶苦茶セッ『させない!多少の青春は見逃すけど流石に!これ以上は!させません!!』

しょうがないR18版に『ないから!!』

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