デュランダル移送作戦が開始された。
護送車と響、了子が乗る車が出発したのを確認し、弦十朗と共にヘリに乗り込む。
「本当は響君の隣がよかったんじゃないか?」
「?」
「今回の作戦、ほぼ確実にノイズや裏で手を引く者による妨害があるだろう。響君も恐らく危険が迫る。近くにいたかったんじゃないか?」
「・・・」
それは確かに近くにいれたらいいだろう・・・だけど
「響も、覚悟を、決めてます」
「!」
「それの、邪魔は、したくない」
ヘリが飛び立つ、下では明朝で他の車のいない道路を爆走する了子の車が見える。そこには響がいる。
確かに響のことを守りたいと思っている、無論守ってみせる。
だけど、響が未熟な己に嘆き、苦しんでいたことを知ってる。
そんな己に抗うために鍛え上げていることを知っている。
だからこそ、信じたい
「響は、弱く、ない。俺が、守るだけ、じゃない」
弧仁がいるから大丈夫と、言ってくれた彼女を信じたかった。
「そうか、愚問だったな」
「本当、に」
「ふっ、それではそろそろ・・・!?」
話を一旦終えて、視線を高速道路を走る了子の車に戻すと、道路がひび割れ、崩落。後ろを走っていた護送車が海に落ちる・・・その前に
「っ!弧仁!」
「『蒼』」
即座に目隠しを下げて蒼を発動機、車を上へ収束し、安全なところに移した
「よし・・・しかし早速妨害か、了子君!そちらは!」
『モーマンタイよ!このまま進む!』
「頼む!藤尭!ノイズの反応は!?」
『崩落の寸前までありませんでした!』
「そうか、しかし恐らくノイズだろう!」
ヘリで確認、高速道路を抜けて、市街地に入る
『この展開、想定していたより早いかも!』
ドパァァンッ!!!
マンホールの上を通過しようとした護送車が吹き上がる水に巻き込まれて大きく跳ばされる
「!、司令!」
「くっ!下水道からノイズが襲ってきている!!弧仁っ!頼む!!」
「了解っ」
ダンッ!!
そういうや否やヘリから飛び出す
『ふぅー!アクション映画だね!・・・なーんてふざけてる場合じゃないね、まずはあの宙返りしてる車からだ!』
「でも、間に、合わない!」
無下限術式は、至るところにある無限を現実に出す呪術である。
それを使って、相手が自分に近づくまでの距離を無限に割り続けるバリアを作る・・・といったことができる。
それを強化した蒼は、無限により割り続けた末に虚数を作る、空間はその虚数を埋めるために収束する。
そしてその収束を行う点を作り出す、その方向や収束するものを選択するなどの指向性を持たせる場合はより集中力が求められる。
落下し、常に距離が変わり続ける状態では難しいのだ
『だったらまずは弧仁が止まればいい』
「えっ、」
『ヒントはこれだけ、後はなんとかしてごらん!』
自分が止まる・・・固定・・・違う、そうじゃない!
ピタッ!
弧仁の落下が止まり、空中で停止する・・・のではなく、動きが限りなく緩やかになる、それはまるで空に浮かんでいるかのように
『!、気づいたね』
「蒼!!」
落下寸前の車の上で蒼を発動、地面ギリギリで一時停止させて落とす、
ガシャンッ!
『あらら、最後は粗っぽいけど・・・合格点かな』
そのままゆっくりと地面に着地した
『止まってる暇ないよ!』
「っ!?」
マンホールからノイズが溢れ出してくる。
しかも、一つではなく・・・あっちこっちのマンホールから吹き出す水と共に出てくる。
『明らかに僕らの足止めが狙いだな・・・』
「っ!『弧仁!聞こえるか!』司令!」
『了子君と響君はこの先の薬品工場に逃げ込んでいる!
こちらの逃げ道をピンポイントで追い詰めていることからデュランダルの奪取が目的だが、その危険性は十分理解しているのだろう、敢えて危険な工場内に逃げることで追手を一度割く!』
「・・・」
デュランダルが起動した場合、無尽蔵のエネルギーを放出する。それが暴発した場合の被害は計り知れない
なので、敢えて工場内なら追手も少なくなるだろうという狙いらしい
『弧仁はノイズの殲滅を頼む!!殲滅次第そちらに向かえ!』
「了解」
ノイズに目を向け、腕を構える
今度はさっきよりも簡単
ノイズのみを収束する指向性を持たせて・・・放つ
「蒼っ!!」
上に収束点を作り出し、ノイズは虚数に巻き込まれ、塵となる。
『範囲が広い・・・弧仁、気張りなよ』
多量のノイズ、中には収束の範囲内を自力で抜け出す個体もいるようだ
「く、くぅぅっ!!あぁぁぁ!!」
範囲から抜けるのなら、こちらから!!
ゴリゴリゴリゴリッ!!
収束点を動かして、即座に抉るっ!
ズァァァッッッ!!!
地面を巻き込み、逃げるノイズを蒼の収束が追跡する。
そうして遂に全てのノイズを塵に還した。
「ハァッ、ハァッ」
『よし、辺りにもういないね・・・それにしても流石に疲れた?』
間髪入れずの術式の連続使用に加えて、新しい能力の発現
『よくあのヒントから導き出せたね、そこは上出来』
空中で停止したかのように緩やかに落ちていくのは・・・
「地面と、自分の、間に、無限、出したら、こうなる、じゃないかって、思った」
自分と近づく地面、その間に無限を作り出す。
そうすると、その距離が無限に割り続けられ、視認できないほどゆっくりな速度で落下することができた。
『そうやって術式の解釈を広げることはこれからの力になるよ。
それから今回の蒼の使い方は良かったね。今までは一点に集中させて動かさなかった蒼の反応を操作することで、より広い範囲までノイズを殲滅できた。それに出力も大分上がったね。』
「あり、がとう、そろそろ、行かなきゃ・・・」
ふらふらとした足取りで響たちの元へ向かおうとする弧仁
全力で出した分、疲労が激しいようだ
『しょうがないね、頑張ったし・・・ちょっとサービス』
「?」
『弧仁、久しぶりに借りるよ』
「??・・・!!」
弧仁の意識が暗転する。
・・・薬品工場、そこで響は大量のノイズと対峙していた。
ノイズから遠ざかるように了子は響の戦う姿を見守っている。
響の動きは以前とは違い、格闘技のように立ち回りでノイズを倒している。
「こいつ戦えるようになっているのか!?」
その様子を遠くから見ているネフシュタンの少女は驚いていた・・・しかし
「今日こそモノにしてやる!」
即座に自らの役割を果たすために響に襲いかかる
少女の狙いは響、及びデュランダルの奪取
響に一撃を加え、一時怯ませた・・・その時
「起動!?まさかっ!」
デュランダルをいれていたアタッシュケースからデュランダルが飛び出し、了子が驚く
キィィィンッ!!
「!、こいつがデュランダル・・・!」
響の歌により起動したデュランダルが宙に浮かぶ
デュランダルに向かって手を伸ばすネフシュタンの少女、今にも掴まんとしたその時
「渡すものかぁっー!!」
響が決死の体当たりをおみまいし、逆に響がその手にデュランダルを掴んだ
キィィィィィィンッ!!
「ウゥゥゥ・・・ッ!!」
響が掴んだと同時に更に輝き、金の剣となったデュランダル、しかし響の様子がおかしい
目が紅く光、上半身が黒く影が差したような姿に変わっている
「こいつっ一体何をしやがったっ!?」
その光景に驚くネフシュタンの少女・・・そこに
「んー・・・やっぱりフォニックゲインってやつは見えないんだよね~」
「!?お前はっ!?」
先程まで市街地にいた弧仁が現れる・・・だが、その両目は蒼く、口調もいつもとは違う
「?、君はネフシュタンの子じゃん。早めに逃げた方がいいんじゃない?」
「ふざけんなっ!それより街の方には予定より多めのノイズを撒いといたはずだ!なのにっ」
「あぁあれ?弧仁がぜーんぶ倒したよ。今度からはもうちょい多めに用意しときなね」
「んなっ!!?」
「・・・その口調、擬きね?」
二人の会話に了子が口を挟んだ。
「そう、いつものGLGこと五条悟擬きさ!・・・それよりこれどういう状況?響どうなってんの?」
「恐らくデュランダルのエネルギーによる暴走ね、このままあのエネルギーぶっぱされちゃうとまずいかも」
「だよね、それにしても見事なもんだ。フォニックゲインのことはさっぱり分からないけど、これは特級レベルだ。」
「ちっ!そんな力を見せびらかすなぁ!」
ネフシュタンの少女が杖から響に向けてノイズを出現させた・・・しかし
「ウァァァァッッ!!!」
グォォッ!!キィィンッ!キィィンッ!
デュランダルを力のままに振り下ろす、巨大なエネルギーの剣は辺りの施設を破壊し続ける。
「っ!「動くな」なっ!?」
撤退しようとした少女の肩を掴み、止める
「なにしやがるっ!このままじゃっ!」
エネルギーの刃が迫る・・・それを
「よっと」
片腕で止めた擬き
「んなっ!?これを片腕で!?」
「おっ、流石に重たいね、それに無限が中和されそうになってる。呪力とフォニックゲインの相性って本当に悪いんだな・・・けどモーマンタイってねっ!」
グンッ、パァン!!
「ウァァァァッ!?」
軽く腕を振るい・・・エネルギーの刃を霧散させた。
「ウソだろ・・・「ウォォォッ!!」なっ!」
デュランダルを手に持ったまま迫ってくる響、思わず身構えたが・・・
「さて、それじゃあ寝ててね響」
即座に移動し、指を二本立てて響の額に押し当てた擬き、その瞬間
「っ!・・・」ガクッ
「ほい、一件落着、お疲れサマンサ~」
響が意識を失い、倒れる。それを支えながらもその手に持っていたデュランダルを回収する。
「っ!そいつらをよこせっ!」
ネフシュタンの鞭で擬きを攻撃するが・・・
「なっ!」
「はい無限バーリア!」
擬きによる無限バリアにより鞭は当たらない
「さっき行ったでしょ、早めに逃げた方がいいんじゃないって・・・今すぐ引け、こちらもあまり深追いしたくない」
少女を見つける六眼、現状明らかに不利なのは少女の方だった
「っ!くそっ!!」
逃走しようとする少女だったが・・・
「あ、そーだ」
「なんだよっ!」
「弧仁って覚えてる?」
なにやら含みをもった擬きの問いに対して
「っ!なんでその名を!!」
なにやら慌てた様子で答えた少女、それを見て
「ククッ、その感じ覚えてるっぽいね、そっかそっか・・・教えてくれたお礼に逃がしてあげるよ」
不敵な笑みと共に、少女に近づき・・・
「ここから数キロ離れたところに飛ばすから、そこからは自力で逃げてね」
「ハァッ!?」
地面に手を当てると、黒い円の陣が地面に広がり・・・
「悪いが逃走で、いってらっしゃーい」
「なっ!?」
シュンッ!!
一瞬にして、ネフシュタンの少女は何処かに消えた
「謎のネフシュタンの少女の逃走補助・・・これ結構な問題になるんじゃないかしら?」
一部始終を黙ってみていた了子が話しかける。
「了子しか見てないんだし、バレなきゃ大丈夫でしょ」
「全く、私が話したりするとか思わないの?」
「了子なら黙ってるでしょ~、そっちもあんま言われたくないだろ?」
「あら?なんのことかしら?」
「君がさっきのデュランダルの一撃で無傷なのっておかしくない?」
「!」
「余波でも大怪我確実でしょ、それがなんで無傷なのかな~?本当に研究員?もしかして弦十朗と同類だったりする?」
「・・・どこまでみてのかしら?」
擬きは先程の響によるデュランダルの一撃において、一番危険性が高かったネフシュタンの少女の保護を優先させた。
普通の研究者を差し置いて、聖遺物を纏う少女を優先したのだ
実際に少女を守りながら、六眼に写っていた了子は・・・
「了子が変なバリア出して余波防いでたなんて知らなーい」
「・・・全部見てるじゃない、いいわ黙っててあげる」
「話が分かるね~、それじゃあそろそろ弧仁に体返すから色々よろしくね?」
「はいはい」
そう言って瞳を閉じる擬き、そのまま後ろに倒れた
「ふぅ、この私にこれほど死を覚悟させるとは・・・侮れないわね、呪術師ってやつは・・・」
・・・
「(何、今の力・・・私、全部吹き飛べって、体が勝手に・・・)」
徐々に浮かんできた意識の中で、響は思い出す
「(そしたら、急に弧仁が来て・・・けどあれは弧仁じゃなかったような・・・)!!」
そうして体を起こし、完全に目覚めた響、手にはデュランダルが握られていた
「これがデュランダル、貴女の歌で起動した完全聖遺物よ」
目覚めた響に了子が髪を纏めながら話しかける。
「あ、あの!?私っ!」
目の前に広がる惨劇、暴走したとはいえ自分が引き起こした甚大な被害を目の当たりにし、慌てたが・・・
「いいじゃないの、そんなこと・・・皆助かったんだし、それからもうちょっと、弧仁ちゃんのこと寝かせてあげてね?」
「へ?・・・あ、弧仁」
慌てていたので気づかなかったが、弧仁が響の膝に頭をのせて眠っている
「起きた時にドキってなるかなー、と思ってそんな風に寝かせてみたわ♪」
「了子さん・・・」
「とにかく、今は安静にしてなさい。じゃ!」
そのまま携帯で何処かに電話をかけながら、去っていく了子
その後ろ姿を見送った。
「う、うぅん・・・」
「弧仁・・・だったのかな、あれ。もしかして噂の擬きさん?」
どちらにせよ、彼が近くにいなかったらあの少女を傷つけていたかもしれない・・・
「私、まだまだだ・・・」
どんな要因があったにせよ、大きな危険な力を躊躇なく人に・・・大切な人たちに向けて振りかざしてしまった
「もっともっと頑張るから、待っててね弧仁」
眠る弧仁の頭を撫でながら、そう誓う響だった
シンフォギアさんぽ(暫くこれで)
響、弧仁を膝枕中
響「それにしてもよく寝てる・・・目隠しとっちゃえ」
響「うわっ、睫毛長っ!?肌も白いけど、それが髪とかの白さを引き立ててるみたい・・・昔と反対みたい」
黒髪の頃もかわいかったが・・・
響「今は今でかわいいなぁ~、性別弧仁は未だに現存してるね~」
『暫く経った頃、二課の女性陣や新たな装者たちからなにもにしてないのにこの美貌・・・五条悟の情報すごい・・・と崇めたてられる弧仁だった。』