歌を奏でる装者と無限を操りし少年   作:アユムーン

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連鎖する「憎しみ」断ち切る「想い」

クリスと話して、数日が経った。その間はノイズも現れず、時たま訪れる平和な時間だった。

 

弧仁は甘いもの食べたり、トレーニングしたり、映画を観たり、甘いもの食べたりと青春を謳歌していた・・・一人で

 

響や翼は?・・・そう思う方もいらっしゃるだろうが、ちょっと諸事情で会えていないのだ

 

その諸事情というのが

 

『まさか未来が民間の協力者になるとはねー』

 

このことなのである。

 

弧仁はおにぎりを握りながら、ここ最近のことを思い返す。

 

クリスと弧仁が共闘決闘お話していた頃、要救助者を探していた響、途中で未来とふらわーのおばちゃんが逃げた先でノイズによって閉じ込められていたのを発見

 

その後、響がそのノイズを倒す・・・までに色々あって和解したらしい

 

そこに関して、なにがあったのか等と聞くつもりはない

 

響と未来が幸せそうならそれでよかった

現に遠くから見守っている時の二人は笑い合っている

 

だから、それだけでいいと、少し多すぎるくらいのおにぎりをラップに包んだ。

 

次はおかずに取りかかるためにフライパンを取り出す。

 

『いやいやいや、いいわけないでしょ』

 

「?」

 

『今こそ仲直りのチャンス!!響と和解した未来さんと話すなら今でしょ!』

 

「・・・」

 

それはできない、フライパンで溶いた卵を焼く。

 

『はぁ!?』

 

自分は彼女に憎まれているから

 

例え未来が、響が戦うことを認め、それを支えると決めたとしても・・・自分は違う

 

結局のところ、響を戦場に巻き込んだのは自分だから

 

それについてもう後悔するつもりはない、自分なりに覚悟をもって響を守り、共に戦うと決めた

 

だから未来が自分を許す理由なんてない

むしろ憎まれ続けてても、しかたがない

 

「会った、って、傷つく、だけ、だよ」

 

『・・・それは自己の保身?それともどう話せばいいのか分からないから?後者なら分からない時は聞くって前に学んだでしょ?』

 

「・・・保身、かも、しれない。けど、少なく、とも、こう、してたら、未来は、傷つか、ない。それに、これは俺が、決めた、こと」

 

コンロとフライパンがいいのか、すぐに出来上がった卵焼きを切り分け、お弁当箱に詰める。

 

『間に挟まれる響はどうなるのさ』

 

「定期、的に、連絡、してる。それに、会える、時は、会ってる。」

 

『・・・それは響に甘えてるだけだって自覚、ある?』

 

「・・・」

 

『迷ってるから問題を先送りしてるわけでも、道が分からないから逃げてるわけでもないのは分かった。だけど、本当にそれでいいの?』

 

「これ、で、いい」

 

お弁当の蓋を閉めて、風呂敷で包む。重箱なので大分大きいが、まぁ食べきれるだろう。包みを持って出かける

 

・・・

「・・・来たか」

 

とある廃団地、雨が降っているので傘をさして先にいた弦十朗と合流する。

 

「彼女の状態を考えると、お前が適任と思ってな。頼んでいたものは?」

 

「ばっ、ちり」

 

濡れないように気をつけて持ってきた風呂敷を見せる。

 

「よし、ならいくぞ」

 

二人で建物の中に進んでいく。

 

そうして訪れた建物の一室、そこには

 

「お前は!?それに・・・弧仁!?」

 

「よう」

「遊びに、きたよ」

 

散らかった部屋で久しぶりに会うクリスがいた。

 

・・・

 

「な、なにしにきたんだよ」

 

向かい合って座るクリスと弦十朗

その間には弧仁が作った弁当が広げられている。

 

弧仁は散らかった部屋の片付けをしている(ごみ袋は持参した)

 

「なぁに、息子が世話になったそうだから親子共々で礼に来ただけだ、後二人姉もいるんだがな」

 

「ふ、二人もいるのか!?」

 

「おや?もう弧仁の姉ではないと聞いたが?」

 

「ッ!、その通りだよッ!」

 

「そうか、弧仁、おにぎりの具はなんだ?」

 

「しゃけ、おかか、明、太子」

 

「王道だな、それと?」

 

「たかなァ」

 

『具で返事したら完全に棘だね』

 

「だ、そうだ。苦手なものがあるのなら今のうちにな」

 

「こんなもん食えるわけ「弧仁の手作りだが?」!?」

 

そう言っておにぎりを一つ取り、食べる

 

「アイツの料理に関しての情熱は凄まじい、味は保証する。それになにか盛ろうなんて考えるヤツじゃないさ」モグモグ

 

「・・・」グゥー

 

強がっていても鳴るお腹、恐る恐る一つ取り、食べる

 

「!、うめぇ・・・」

 

「だろう?」

 

「腕に、より、かけた、から」

 

「おにぎりに腕もなにもねぇだろ・・・」

 

「クリスが、元気に、なるように、呪いを、込めた」

 

「呪いって・・・お前が言うと洒落にならねぇよ」

 

「呪い(のろい)、じゃな、くて、呪い(まじない)」

 

『まぁ似て非なるものだけどねー』

 

「それでも、うまいよ。お前こんなことできるようになったんだな」

 

「たくさん、練習、した」

 

「そうか、偉いじゃねーか。ほら屈めよ」

 

「?」

 

言われた通り屈んだ弧仁の頭を撫でるクリス、その様子を弦十朗は微笑ましく見ていた

 

「ふっ」

 

「なにがおかしい!」

 

「いや、本当に君達は姉弟なのだなと思ってな」

 

「!、そんなことねぇよ!」

 

慌てて撫でる手を止める。

 

「違、うの?」

 

手が離れたのと、クリスの言葉に悲しげな表情を浮かべる

 

「!、ち、違わない・・・って違う!本当になにしにきたんだよお前ら!!」

 

「だから、遊びに、来た」

 

「俺は礼と・・・もう一つ用事でな」

 

「!、なんの用事だ」

 

「・・・今さら語ることではないとも思うがな」

 

そうして、クリスの過去を振り替える三人

 

大方弧仁の記憶通りな部分と翼から聞いた話と一致したその話

 

「よく調べてんじゃねーか、それで?なにがしたいんだよ?弧仁まで連れてきたんだ・・・交渉だろ?」

 

「それは、違う」

 

「?、弧仁?」

 

「さっき、も、言った。俺は、遊びに、来た、だけだよ」

 

「はぁ!?」

 

「どこで知ったのか、俺がここに来ると知って、着いていくといって聞かなかったからな・・・だから条件この弁当を作らせた」

 

「言われ、なくて、も、作って、きた」

 

「俺はさっき君が言った通り交渉だ。俺は君を救い出しにきた」

 

「!!」

 

「引き受けた仕事をこなすのは、大人の仕事だからな」

 

クリスの保護、それが弦十朗の使命・・・そして願いだ

 

「ッ!大人の務めと来たか・・・いつも余計なこと以外はなにもしてくれないくせに偉そうに!!」

 

弧仁は薄々ではあったが、クリスが大人を恨んでいることは分かっていた。

 

捕らえられていた時、大人によってどんなひどい目に合わされたのかは想像に難しくない

 

・・・だから

 

「父さん」

 

「・・・はぁ、分かった」

 

おにぎりを何個か手にとって、立ち上がる

 

「しばらく時間を潰してくる、ゆっくり話せ」

 

「!?」

 

「俺はまだ、信頼を得るに達していないからな。弧仁に任せた」

 

「おい!大人の務めはいいのかよ!!」

 

「大人だから、引き際は弁えるさ。とにかく今日はこちらの・・・いや、俺の意向を知ってもらえただけでも万々歳だ。それに、子どもが遊びにきている中に大人が入ったら盛り下がるだろう」

 

「っ!?アンタ本気か?」

 

「本気さ、俺は本気で君を救おうと思ってる。そしてそれは弧仁も同じだ、だから託せる。こう見えても俺と弧仁はそれなりに長い付き合いなんでね。では、また会おう」

 

親子として、そして上司と部下として、二人の関係は強い。信じているから託せるのだ

 

そして本当に弦十朗は去っていった。

 

「・・・なんだよあのオッサン」

 

「俺の、父親」

 

「そうかい、で?お前はなんか話でもあるわけか?」

 

「うん、俺の、これまで、の話、聞いて?」

 

「!」

 

「クリスの、ことは、一方的に、知っちゃ、った。だから、今度は、俺、の番」

 

真っ直ぐに見つめてくる瞳を反らすことができず・・・

 

「・・・全部話し終える頃には日が暮れてそうだな」

 

弧仁の隣に座った。悪態はついたが、全部聞くつもりだ

 

それに、自分が知らない間の弧仁がどんな風に育ったのかを知りたくもあった

 

「そう、言うと、思って」

『こんなものを用意しましたー!』

 

どこからか取り出された数枚のフリップ、一番上に置かれているものには『弧仁爆誕!ドキドキ違法研究施設からの脱出!~GLG擬きティーチャーとの出会い編~』とポップなフォントで書かれている。

 

「いや、明るいな!?・・・って内容重っ!?お前アタシと会う前そんなことしてたのかよ!?」

 

・・・数時間後

 

「いや、人生濃厚過ぎるだろ。アタシも負けてないと思うけど」

 

「勝ち、負け、じゃな、いよ」

 

「それもそうだな。それにしてもあのガングニールのやつとあの子と友だちだったのか」

 

「うん、響、とは、今も、友だち・・・未来の、こと、知ってる、の?」

 

「ちょ、ちょっと色々あってな?・・・ってあの子とは話してないのか?」

 

「俺、未来に、憎まれ、てるから」

 

「お前が?そんなタイプじゃねぇだろ・・・!あのバカが戦場に関わったことか?」

 

「・・・うん」

 

「そうか・・・ならアタシはお前にも酷いことしたんだな」

 

「?」

 

「あのバカの時も、あの子の時も、結局ノイズをけしかけたのはアタシだ。お前らが仲違いする原因を作ったのものな」

 

「・・・」

 

「憎いだろ、アタシのこと」

 

「・・・憎く、ないよ」

 

「!」

 

「誰か、を、憎む、のも、憎ま、れるのも・・・疲れた」

 

「・・・」

 

「どっち、も、辛い」

 

「・・・そうだな」

 

・・・そこから何気ない会話を交わして、それから

 

「それ、じゃあ、帰るね」

 

「おう」

 

「お弁当、の、残り、食べてね」

 

「・・・ありがとな」

 

「うん、またね」

 

再会の約束を交わして、部屋を出る。

 

団地を出て、傘をさして歩く、そこに

 

「話せたか」

 

同じく傘をさして、弧仁を待っていた弦十朗

 

「!、うん」

 

「なら、帰るか」

 

「・・・ありが、とう、父さん」

 

クリスの様子を見て、すぐに身を引いてくれたことと、

自分の話す時間をくれたことを感謝している

 

「俺はなにもしてないさ」

 

「・・・それ、でも」

 

「そうか・・・道は長いが、いつか彼女を救い出すぞ」

 

「うん!」

 

・・・その夜

 

「デー、ト?」

 

「そう!翼さんとデートだよっ!」

 

最近の日課でもある響との電話をしていると、響が翼とデートにいくらしい

 

「なん、で?」

 

「翼さんもうすぐ活動再開のライブがあるから、もうすぐお休みは終わりになるんだって。だからその前に遊んでもらいたくて!」

 

「なる、ほど」

 

「そう!だから弧仁も来てね!」

 

「でも、明日は、仕事「師匠から許可はもらってるよ!」仕事が、早い!?」

 

「公園で待ち合わせだからね!遅れちゃダメだよ!じゃあおやすみ!!」

 

ガチャっ

 

「・・・」ボーゼン

 

『相変わらず押しが強い、けどいいんじゃない?最近忙しかったし、休んだら?』

 

身体的にも精神的にも疲れが見られていたので、ちょうどいいのかもしれない

 

それに、翼と話したいこともあるのだ

 

「いこう、かな」

 

しかしこの疲れのせいで弧仁は大切なことに気づいていなかった

 

響と翼が来るということは、もちろん・・・




シンフォギアさんぽ

Q、貴方は黒髪派?白髪派?

響「今のキラキラしてる髪も素敵、だけど昔の可愛い顔に似合ってた黒髪も・・・待って!年齢は!?今!?昔!?どっち!?」

翼「黒髪だな、あちらの時の方が長く一緒にいたこともあるし、撫でる時も手触りがよかった」

※実は白髪になってから髪の毛がちょっとフワフワになった。黒髪の時は艶々髪だった。

クリス「白髪かな・・・その、アタシの色と似てるし・・・でもやっぱりまだ見慣れてないから黒髪の方がいいかもな・・・」

未来「私も黒髪かな、昔お揃いだねって話して、リボンつけたりしたっけ・・・」

弦十朗「どっちでも変わらん、俺の息子だ」

・・・結論、黒髪派が多かった

「先、生、黒染め、って、できる?」

『やめて!五条悟のアイデンティティが!?』
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