歌を奏でる装者と無限を操りし少年   作:アユムーン

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基本一回書いたものは何度も編集を行ったりするので、もう一度読んでいただけると嬉しいです。


「大人」との出会い、導く者と守る者

時は少し遡り、孤仁が病室に移される少し前

 

ノイズという特異災害に立ち向かう政府機関、特異災害対策機動部、その第二課のメディカルルーム

 

「・・・」

 

その第二課の司令官、風鳴弦十郎は検査ベッドで眠っている孤仁を見つめていた・・・そこに、コンコン♪

 

「おまたせ、これ検査結果」

 

ノイズに対抗するためのとあるものを開発している研究員、櫻井了子が複数枚の書類を手に部屋に入ってきた。

 

「ありがとう了子君、それでどうだった?」

 

「まずこっちは緒川君から、弦十郎君の言う通り彼の身元は既に亡くなっていて、この子は本来なら故人のはずとのことよ。」

 

「そうだろうな」

 

「それから健康状態については異常無し、気になるところがあるなら年齢にしては身体の発達が遅れているかもって感じ。」

 

「それはなぜなんだ?」

 

「そればっかりはどうにも・・・って言いたいところだけど。明らかに違法な人体実験でしょうね、その傷痕があったわ。それが原因で発達に遅れがみられてるのかも。」

 

「傷痕があった?」

 

痕が「ある」、ではなく痕が「あった」という了子、その言葉に引っ掛かりを感じた。

 

「そう、本当ならもっと大きな傷や後遺症が残っているはずなのにそれがない、治療されたのかなんなのかも分からないけど、残っている痕もほんの小さな痕だったわ。」

 

「・・・なるほどな」

 

「それで?フォニックゲインとは違う、謎のエネルギー反応を検知した途端に指揮を放り出して現場に急行した弦十郎君?この子を発見した時のこと教えてくれる?」

 

「うっ、その時はすまなかった」

 

「突然無線切ったと思ったら、帰ってきて子ども保護したって言って驚かせたものね。初めてよ緒川君のあんな顔みたの、それで?なにがあったの?」

 

「・・・にわかには信じられないかもしれないが、あの少年、いや、あの風格は少年などではなく、いくつもの死線を越えてきた男の風格だった。」

 

そうして時は更に遡る。

 

・・・ある公園で未知のエネルギー反応を検知した第二課

 

明らかな異常な反応、並の調査員では危険と判断した弦十郎は単騎で調査に向かった。

 

現場に急行しつつもカメラや衛星写真といった周辺状況の報告を聞くが、人への被害はなし、エネルギーの観測値周辺の建築物への被害も一切ないらしい

 

ただとんでもないエネルギー反応が今もまだでているらしい

 

「フォニックゲイン関連ではないのだな?」

 

『えぇ、この反応を過去にみられたことはないわ。けどこの明らかに異常な反応・・・間違いなく聖遺物、それも完全なもの。それが東京のなんの変哲もない公園で起きてるのかは謎だけどね。』

 

「分かった、もう到着する。状況は逐一報告する。」

 

そういって降り立った公園にいたのは・・・

 

「やぁ話の分かりそうな人が来てくれてよかったよ!」

 

見た目は目隠しをつけた少年、孤仁がいた。

目隠しが大きいのか、目だけではなく額まで覆っており、前髪は上に押さえられている。

 

だが、それ以上に明らかに異質なオーラを纏っていた。

 

「この子もう限界っぽくてさー、とりあえず呪力ドバドバだせば、どっかの誰か気づくかな?って思ってやってみたら意外といけるもんだねー、それで、君誰?」

 

「名前を聞く前に自分が名乗ってはどうだ?」

 

「それもそうだね、ごめんごめん。久々の体にちょっとハッスルしちゃった。目隠しもとるねー。んじゃそっちも無線とか切ってね。礼儀だろ?」

 

そう言うと目隠しを取った。

目隠しによって押さえられていた前髪が倒れ、その前髪の間から見える両目は綺麗な空色をしていた。

 

「うーん、僕と意識が入ると色々変わるみたいだね。さっき茈も出せたし・・・ほらほら早く切れよ。僕がやっちゃうぞ?」

 

「・・・分かった」

 

言われたとおり無線を切る。

 

「ありがとう。それじゃあ自己紹介!まずこの体の子の名前は孤仁、僕が名付けたチョベリグな名前で将来は間違いなくGlGになる予定だよ。」

 

的はずれな自己紹介だが、違和感があった。

 

「この体?」

 

「そ、この体本来の持ち主の名前だよ。」

 

「つまり、今俺と話している君とは違う人格ということか?」

 

「おぉ、本当に話が早い!その通り!僕は五条悟擬きだよ。呼び方はお好きに!この目隠しに潜んでいた僕が孤仁と一体化したんだよ。今はこの子の意識がないから僕が表にでてるんだけどね!

 

それよりさ、これ、見覚えあるんじゃない?」

 

「!!それは!」

 

右手で弄ぶ目隠し、よく見た弦十郎は気づく。

 

「僕たちで言うところの呪物で、君たちで言うところの聖遺物、数年前に見つかったけど君たちの研究分野とは違うエネルギー反応から諦めて、海外に送ってくれやがったものだよ。」

 

「・・・」

 

五条擬きの言うとおり、数年前突如として現れ、発見された聖遺物・・・しかし第二課が研究している聖遺物とは違う反応、アプローチ方法が分からず研究は一向に進まず、あの櫻井了子もお手上げという状態に。

 

その結果海外の研究施設へと送られたものだった。

 

「やっぱり、こっちでもあっちでも色々研究されて気分最低だったけど。けどそのお陰で孤仁とも出会えてモーマンタイかな。五条擬きである僕が生まれたのも研究のお陰だし。」

 

本来なら存在しなかった存在である五条擬き、それは目隠しを調べようとした研究や実験、それにより生まれてしまったものらしい。

 

「さて、話戻そうか。君なら話分かってくれそうだし、僕の望みは一つ、この子の保護だ。安定した衣住食を要求する。」

 

「それはなぜだ?」

 

「この子の体結構限界なんだよ。とりあえず体の傷は反転術式で治したんだけどね「そうではなく、聖遺物の君がなぜその少年を守ろうとする」あ、そっち?それは簡単」

 

ニイッと見た目通りの少年の笑みを浮かべて言い放った

 

「この子が僕のことを先生と呼んでくれるからだよ。先生は生徒守ります~♪ってね」

 

しかしその言葉は大人の責任を感じさせた。

 

「・・・保護するのは構わん。大人として当然だ。」

 

「ほらやっぱり話が分かる♪「しかしタダでとはいかん」えぇー・・・まぁ当たり前か、何?僕のことを隅々まで調べる?今ならどんな力なのか説明してくれる僕もいるもんねー」

 

「その通りだ、場合によってはその子にも協力を「は?」!!」

 

ズン・・・!!

 

たった一言、怒気を孕んだその一言、それにより空気が重くなる。

 

物理的にではない、五条擬きが発する威圧感だ

 

「この子をまた実験材料にする?つまらない冗談だな。」

 

「っ!」

 

「なんのためにお前達に気づかせるために周囲への手加減して呪力を出したと思う?この子の手を汚さないためだ。

 

言っておくけど、お前らもこの子の人体実験してた連中も別に驚異じゃない。その気になれば簡単に殺せるさ。試しにこの辺を更地にしてみせようか?」

 

「・・・なら、そちらはなんの見返りを?」

 

「この子を巻き込まない範囲でならなんだって飲んでやるよ。それからこの子は将来間違いなく大きな力を手にする。その時大手を振って力を振るえる環境が必要だ、その環境を用意させてやるよ。」

 

「こちらに用意させる・・・だと?」

 

「その通り!君たちも知らない未知の力を男の子一人の保護をするだけで使い放題!これほどいい条件はないでしょ?先行投資にしても十分すぎる。」

 

「しかし、その子が力を望まない可能性もあるのではないか?それにいくら先生だから、といってもお前が裏切る可能性だってまだ捨てられん。」

 

「そうだね、この子が平々凡々に生きたいというのなら僕はそれを叶えようとは思う、けどそれは無理なんだよ。この子の中に僕が入った時点で・・・いや、違う、この世界に僕が来た時点でこの世界は変わった。何があったってこの子は将来力を得なくちゃいけない。」

 

「なぜそこまで「言い切れるかって?」!」

 

「この子が得るものは救いの力でも破滅の力でもない、ただの僕(呪い)なんだ。自分で言うのもあれだけどこの僕(呪い)は厄介だよ。もう祓うことは無理だ」

 

「守る対象なのに呪うのか?」

 

「違うよ、確かに僕は孤仁のことを守るよ。だけど僕はいつまでも守るだけの存在になるつもりはない。僕は孤仁の生きたい場所、やりたいことに導くのが仕事だよ。いつか巣立つその時まで守り続ける、それが先生ってものでしょ?」

 

・・・時は戻り、メディカルルーム

 

「それで?要求飲んだの?」

 

「見捨てることもできないからな」

 

「どんな要求になったのかしら?」

 

「まずはこちらから五条擬き・・・『五条悟の目隠し』の能力についての開示、あの後本人の口から語られたことだが、こちりの理論とは根本から違うもののようだ」

 

「そこはちゃんと私に共有してほしいお話なのだけど?」

 

「また話すタイミングがあれば話してくれるらしい」

 

「なるほど、で?あっちの要求は?」

 

「この子の身の安全だけだ。」

 

「あら?この子を戦力には「できると思うか?」無理ね」

 

「あくまでもこの子が力を得て、それを本人が使いたいと願ったタイミングなら、戦力になってやらんこともないとのことだ。」

 

「不遜な対応、いつ手のひら返されるのか分からないわね」

 

「それについては大丈夫だ、確実に裏切られることのない契約を交わした。」

 

「契約?」

 

「五条擬き自身が縛り、というものを掛けたらしい。孤仁少年の保護をする限りこちらには危害を加えない事という契約をな。それをあちらが破った瞬間にそれ相応の代償がくるらしい。」

 

「その契約が本当だとして、あっちもかなり不利な契約よね。本当のことなのそれ?」

 

「分からん・・・だが、これはこちらへの信頼の証としてとってほしいと言っていたあの言葉を信じてみようと思う」

 

「それって勘?」

 

「あぁ、男の勘だ」

 

「はぁ、意外と当たるからバカにできないのよねぇ」

 

了子のため息が響く・・・そうして更に時は巻き戻り、孤仁の病室

 

「君は一体何者なんだ?」

 

「・・・」

 

弦十郎からの問いかけに孤仁は答えられない。

なぜなら、覚えていないからだ。

 

「答えられないのか?」

 

「・・・」カキカキ・・・スッ

【ごめんなさい】

 

「すまない、責めているつもりはないんだ。答えられない理由を聞いても?」

 

【わたしにはきおくがありません。でもりょうしんがしんだことはおぼえてます。げんじゅうろうさんがいってたのいずというものにころされました。なんでおれがいきてるのかはわかりません。】

 

ノイズという特異災害、それに被災した場合人も建物もなにもかも炭化する。

 

遺体が残らなかったのはそれで、孤仁が死んだとされていたのもそれ、被災地に生きている孤仁が存在していなかったから死んだことにされていたのだろう。

 

だがなぜ今よりも幼かった孤仁は生きのびていたのか、それが分からない・・・きっとそれはこれからもだ

 

「・・・」カキカキカキカキカキカキ・・・

 

【でも、おれのなかのせんせいにすきなじごくをえらべっていわれたときはそとにでていきたいっておもった

 

それからたびをしていろいろみてきた、いろんなひととはなしたり、いろんなものをみたりした、かなしいおわかれもあったけど、みんなみんなひっしでいきていた、おれもそんなふうにいきてみたい】

 

真っ直ぐに弦十郎を見つめる孤仁、その瞳は五条擬きの時とは違い、片目だけの空色と黒い瞳は夢を語る少年のものだった。

 

なにかを望むわけではなく、ただ一つのこと

 

「生きてみたい・・・か、それだけでいいのか?」

 

五条擬きがこの子を導きたい気持ちが少し分かった気がする。

 

この子はなにも知らない純真無垢そのもの

 

「・・・」コクッ

 

「・・・ならうちにくるか?」

 

「!」

 

「男一人のやもめ暮らし、俺も仕事があるから毎日は帰れないが、それでもいいなら来ないか?」

 

この子の進みたい道を導くのは五条擬きが、それとは別にこの子が決して誰かに虐げられたりしないように、健やかに生きられるように守る存在がいる。

 

五条擬きは少し話しただけの自分にそれを任せてくれたのだろうか?

 

「大人として君を放っておくことはできないからな」

 

真相はともかく自分が思う『大人』としての責任がこの子を守らなくてはと訴える。

 

「選ぶのは君だ、どう生きたいのか。自分で決めてみろ。」

 

そうして、孤仁に手を伸ばす。

 

「!!」ギュッ!

 

孤仁はその手を迷うことなく握り返した。

 

・・・数ヵ月後

 

特異災害対策機動部、第二課、ブリーフィングルーム

 

そこに、会議を終えた弦十郎と了子がいた

 

「それで?例のお坊っちゃんはどうなったの?」

 

「今は俺の家で面倒を見てる。」

 

「それは知ってるわよ。それでどんな感じなのかしら?」

 

「天使だ」

 

「は?」

 

「警察官からここの司令官になってからも一人暮らしだったあの屋敷、今まではハウスキーパーしかいなかったあの家に孤仁が来てからというもの家に天使が舞い降りたんだ。」

 

見てみろ、と胸ポケットにいれていた携帯端末を開く。

 

そこにはメモの写真が撮られている。

 

「これは初日の朝だな。まだ布団がなかったから一緒に寝たんだ。それから朝起きたらこのメモをみせてくれた。」

 

【おはようございます。だれかとねたのはじめてでどきどきしたけどすごくあったかかったです。】

 

「それからこれははじめて孤仁が飯つくったときだな」

 

【せんせいにおしえてもらいながら作りました】

 

「この時から漢字も勉強し始めたみたいでな、俺がいない間は家事をしたり、勉強したりしているらしい・・・それから」

 

次の写真はメモではなく、縁側で寝ている孤仁

 

「仕事から戻ってきたら縁側で倒れていてな、驚いたんだが日向ぼっこしていたら寝てしまったらしい」

 

「へぇ、意外とうまくいってるのね」

 

「あぁ、それから仕事が終わって帰った時に暖かい飯と出迎えてくれる存在・・・それがこんなにいいものだとは」

 

「結婚もしてないのに息子できちゃったものね」

 

その通り、孤仁は弦十郎に引き取られた。

立場上は息子であり、名前は風鳴 孤仁となった。

 

「親父が五月蝿そうだが、知ったことか。八絋の兄貴にも手伝ってもらって今はもう正式に俺の息子だ。」

 

「その行動力凄まじいわね」

 

「だろう『♪~♪ー』おっ、噂をすればメールが」

 

「なにかしら?」

 

「・・・今日はからあげだそうだ。悪いが今日は定時で上がらせてもらう!」

 

そう言ってから、机の上の資料を集めて残りの仕事を片付けに向かった弦十郎

 

その後ろ姿はもう立派な親バカだったと、了子は語った。




詳しい設定的なの

五条擬きと孤仁は入れ替われるのか?→擬きはいつでも支配権を孤仁から得ることができる(この辺が虎杖と宿灘との違い)

しかし五条擬きがなんでもしてしまっては孤仁のためにならないので、非常時以外は入れ替わるつもりはないらしい。

ちなみに入れ替われることを孤仁は知らない

なぜ五条擬きが生まれた?→本来なら存在しなかった五条擬きは日本、海外での調査やら実験やらで人格を宿してしまった。この件に関して五条擬きは・・・

『人体実験の被験者達の呪いだね。目隠しに色んな人の呪力が蓄積、結果僕が生まれましたー!』

・・・と、述べている。

五条擬きの方針→とりあえず孤仁が自分の道をきちんと決めるまでは守って導いてあげようかな、でも僕はあくまでも先生だし。ちゃんと守ってくれる家庭がいるね・・・お?いいやついるじゃん♪

つまり、孤仁のことは守るべき対象ではあるがそれだけではなく、導いてあげる存在らしい

どちらかに傾くつもりはないよ。どっちも全力でやるからね?

縛り→孤仁を保護してもらえるかわりにそちらには手をだしませーんという縛り、破ったら五条擬きは孤仁諸とも消える。もちろん孤仁はこのことを知らない

なぜ孤仁は生きてる?→ノイズ災害にあった時の状況を記憶している人物がいないため不明、ノイズから何故か生き残り行き場のなかった当時の孤仁を政府が拾ったとか・・・?

いきてみたい→漢字で書くと生きてみたい、なにもなかった状態から色んなものを知って、少しずつ自分の感情を得た孤仁が見つけた自分の夢

天使→多分一人暮らし長い人なら共感してくれると思うが飯つくってくれたり、掃除してくれる存在ってありがたいと思うし、帰ったら出迎えてくれる存在ができたりしたら独身男性は天使だと思わざるを得ないと思う。



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