弦十郎の家に預けられてから、孤仁は家事に勉強にとそれなりに忙しくしておりました。
そんなある日
「孤仁、少し座ってくれ」
「?」
食後に食器を片付けようとした孤仁を引き止める。
「大切な話があるんだ」
「・・・」カキカキ
【汚れ取れなくなるから水だけはつけさせて?】
『そーだそーだ、洗い物もあるんだぞー』
「あ、すまん」
ここでの暮らしになれて、話し方も大分砕けてきていた。
お皿を水に浸けて、お茶を淹れて座る。
「それでなんだか、孤仁学校に行かないか?」
「!」
『お?ルート分岐きたかな?』
「学習面も問題ない。コミュニケーションもメモ帳を使えば問題ないだろう。それにトラブルがあったところで孤仁なら・・・というか擬きいるなら問題ないだろう」
「・・・」
『はっはっはっ、違いない』
「それでどうだろうか?」
『行くしかないでしょ?』
二人からの問いかけに・・・
「!!」ビシッ!
手を上げて答えた。
・・・
ピカピカのランドセルに真新しい教科書を積めて手にはホワイトボードを持っていざ学校に向かう。
「すまないが、一緒に行くことはできない・・・だが学校の方に既に話は通してある。孤仁の事情も考慮してくれるから安心しろ」
今朝仕事に向かう前に弦十郎が伝えてくれたこと、周りには自分と同じように小学校に向かう子どもがたくさん
胸がドキドキする
『それが緊張だよ』
けど足が弾むようだ
『それはワクワクだよ』
そうして門を通り、職員室へ
そこから担任の先生に連れられる。
今は朝のホームルーム中、そこで紹介してくれるそうなので廊下で待っている。
自己紹介の文はあらかじめ考えていたのでホワイトボードに書いておいた。
「それじゃあ入ってきて!」
「!」
『さぁ孤仁!第一印象は笑顔が大事だからね!しっかり笑顔でいこう!』
ドアを開けて、教卓の横へ
「それじゃあ自己紹介・・・できるかしら?」
教室に入ってから突き刺さるクラスメイトからの視線、思わず怯んだ孤仁は、
「!!」
おずおずと顔を隠すようにホワイトボードを出した、そこには
【初めまして、風鳴孤仁といいます。見ての通り私は声がでません。だけどみんなと仲良くしたいです。よろしくお願いします。】
昨日五条擬きと一緒に考えた自己紹介文が書いている。
とにかくこちらの気持ちを伝える、それがいいんじゃないかなと教えてもらい、それを書いた。
反応がない、きっと皆こんな自己紹介だから混乱しているんだと判断して、おずおずとホワイトボードを下げて、顔を見せて・・・
「・・・?」ニコッ
五条擬きのアドバイス通り、とにかく笑顔で乗りきろうとした。その結果
クラスメイト一同「!!!」キューン!!
一気に皆の心を奪ったのだった。
『流石孤仁!一気に皆のハート鷲掴み!将来のGLG!!』
・・・
それから授業を受けて、休み時間
孤仁は緊張していたのでとりあえず席に座っていた。
『うーん、おかしいね、僕の予想では今頃質問の嵐が来ていたはずなんだけど・・・』
「?」
『なんでだろうねぇ』
顔のいいやつには分からないかもしれないが、圧倒的美形に話しかけるのは結構緊張するものなのだ
『でもこのままじゃ最悪のスタートになるかもねー』
「!?・・・「あ、あの!」!」
五条擬きの声に慌てていると、後ろから声をかけられた。
「?」
「こ、これでいいのかな?」
振り向くと二人の女の子がいて。赤い髪どめを両サイドに着けた女の子はなにやら紙を差し出していた。そこには・・・
【初めまして!私は立花響です!】
と、書かれているが・・・
「響、多分風鳴君耳は聞こえてると思うんだけど」
紙を差し出してくれた子の隣のいる子が伝えたことは本当である。あくまでも声がでないだけ
「えっ!?そうなの!?」
「・・・」コクッ
「そ、そうなんだ。こ、これはお恥ずかしいものをお見せしまし「!」え?」
響、と呼ばれた少女は差し出した紙を取り返そうとしたが孤仁は離さず、その紙に・・・
【こんにちは立花さん。話しかけてくれてありがとう】
そう返事を書いた。
「!!ほら見て未来!!」
響は返事を書いてもらった紙を嬉しそうに持ちながら、隣にいた白いリボンの女の子に見せている。
「はいはい、良かったね響。それからありがとう風鳴君。私は小日向未来です。よろしくね」
白いリボンの女の子、未来も自己紹介をしてくれた。
「!」
【小日向さん、よろしくお願いします!】
「よかったー、なんだか孤仁君に話しかけるのはスッゴク緊張してたんだぁー。」
「響ったら転校生が来るって聞いた時からどんな子だろう!って楽しみにしてたもんね」
【そうなんですか?】
「あー未来ぅ!それは言わないでよー!」
「あはは、ごめんごめん」
いつものやりとりなのだろうか、周りのクラスメイトも二人のやりとりを微笑ましく見ている。
それを見ていたらなんだかおかしくて、思わず笑みがこぼれた。
「・・・」ニコッ
「!、やっぱりカッコいい・・・っていうより可愛いよね」
笑った孤仁の頭をヨスヨスと撫でる響
「こら、響!」
「けど見てよ未来、こんなに可愛いんだよー?」
「うっ」
未来という少女、普段は幼なじみの響を叱ったりする保護者的存在、だがその響が見せる孤仁は確かに可愛い
いくらしっかりしていても女の子なのだから、可愛いものには弱いのだ
「ほらほら未来ー」
「ご、ごめん風鳴君!」
そうして未来も撫で始める。
『おいおい孤仁ー羨ましいことになってるじゃんかー』
撫でられても呆然としている孤仁をからかう五条擬きだが・・・
「?」
『あー、そういえば南米の方でも良く撫でられてたね。あの一つ上の女の子に・・・ってこれ割りと激しめのスキンシップだからね?これ普通にしちゃだめだからね?もしも孤仁がやったらセクハラの可能性もあるからね?』
「??」
『弦十郎が撫でるのは父性からだからね!?』
・・・そんなこんなでまた数ヵ月
「孤仁おはよー!」
「!・・・」ニコッ
通学路で孤仁を見つけた響が声をかける。
すごく仲良くなっていた。
もちろん響だけでなく、未来をはじめクラスメイトとも仲良くなっている。
「うんうん、今日もいい笑顔!それより今日は遂にお泊まりの日だね!未来も来るし!楽しみだね!」
「・・・」コクッ
「お母さん張り切ってたし、今日の晩御飯は豪華だよ!」
「!!」フンスッ!
「え?晩御飯作り手伝う?そんなのいいよー!、それより今日は未来と三人で寝ようね!」
もはや孤仁がメモを書く必要はなく、リアクションでなにが言いたいのか分かる響
「!」オー!
『ん?』
「あ、お風呂も一緒ね!」
「!」オー!
『孤仁ー?君たちもう高学年だからね?お泊まりはよくてもそれはよくないと思うよー?』
「?」
『だから!弦十郎は父親だから!!あぁもう!最近の若い子達怖い!』
・・・そんなこんなで
「♪」ホクホク
「いやーいいお風呂だったね」ホクホク
「響本当に一緒に入っちゃうんだから・・・孤仁君も断っていいんだよ?」
「?」
「なにを断るの?っていう純真な目は一体・・・」
『そー!そー!未来さん分かってる!』
孤仁にしか聞こえない五条擬きの叫びをよそに、未来が続ける。
「でも響、可愛いからってだけで「それだけじゃないよ未来」え?」
「・・・この間ね、道に迷った人がいたんだ」
・・・孤仁が転校してから少しした時のことだった。
人助けが趣味の響、道に迷った人を見つけて、声をかけようとしたが・・・
「あれ?孤仁君?」
自分が話しかける前に孤仁がやってきた。メモを書いて、見せてを繰り返している。
「なるほど、そっちに行けばいいのかい?」
ビリビリビリ・・・カキカキ
【これに地図書きました。よかったらどうぞ】
「ありがとうね。いやぁ優しい子だこと・・・」
地図を受けとると、そのまま去っていった。
「孤仁君!」
「?・・・!」ブンブン!
響を見つけて手を振る
「道教えてたの?」
「・・・」コクッ
「そっか、偉いね」
「?」
カキカキカキ
【立花さんもでしょ?】
「え?」
カキカキカキ
【クラスの皆から聞いたよ、立花さんはいつも誰かを助けててすごいって、今来たのもさっきのおばあちゃんのためでしょ?】
「えぇ!?わ、私は人助けが趣味みたいなところがあるからさ」
【そうなの?】
「うん」
【でも、立花さんのおかけで助かった人は沢山いると思う。それに俺も転校した時立花さんが話しかけてくれたから、友だちになれた。それをずっと感謝してるんだ】
自分にとってはほんの些細なことだったけど、孤仁にとって響が起こしてくれたそれはとても大切なことだった。
「!、孤仁君・・・」
【だから、これからもよろしくね】
「・・・うん、こちらこそ!よろしくね孤仁!」
ちゃんと、響自身をよく見た上で仲良くなりたいと願ってくれる孤仁。
その気持ちが嬉しかった響もその気持ちに応える、
「!・・・」カキカキカキ
【よろしくね響】
・・・
「へぇ、そんなことがあったんだ」
「うん、あの時からもっと仲良くなったんだ。ね?孤仁 」
それから孤仁の人となりを知り、心の優しさに触れていくうちに二人はとても仲良しになっていた。
「!」コクッ、ニコッ
二人して笑い合う、そんな二人をみて未来は
「なんだかずるいな・・・」
「え?」
「?」ポカン
「二人だけ仲良くなってずるい」
「えぇ!?」
「!?」ビックリ!
「どうせ、私は仲間外れですよー」
「そ、そんなことないよ!?」
「!!!?」アタフタ
「ふふっ、冗談。けど私も孤仁君・・・ううん、孤仁と仲良くなりたいな。」
大切な親友が認めた孤仁、興味をもった未来もまた孤仁と仲良くなりたいと思ってくれた。
それが孤仁に届いて、すごく胸が暖かくなる。
「?」ポカポカ
『それが嬉しいだよ。後少し照れもあるのかな?とにかくちゃんと答えてあげないと』
「!!」カキカキ
【喜んで!】
そう答えたら、もっともっと胸が暖かくなって、とても気持ちがよかった。
「もう未来ったら・・・けどこれで私たち三人は親友だね!」
「そうだね、ずっと一緒」
「!!」バンザーイ!
『どうなることかと思ったけど、これもまた青春!いい調子だね!』
かけがえのない友との出会い、この存在は孤仁にとって大きな意味を持つことになるが・・・それはまだ先の話
詳しい設定てきなもの
クラスメイトを虜にした孤仁の笑顔→五条擬きの言う通り将来的には間違いなくグッドルッキングガイに成長するのだが現在は性別孤仁と言えるレベル(つまりかっこかわいい、ぶっちゃけるとリムル様)なので、キュートだけど少年のような無邪気さをもった笑顔に皆骨抜きでした。
響と未来はなんで話しかけた?→話しかけられなくて、最低のスタートになりそうだった孤仁が慌てていて、響が話してあげないと!と、慌ててメモを書いて特攻、一歩遅れて未来もやってきました。
393降臨しないの?→響の孤仁への感情は弟に向けるようなものだと分かっていたので大丈夫でしたし、一緒に過ごした時間や、お泊まりで響から話を聞いて、未来自身も孤仁を友だちとして見ていたので問題ありません。むしろ愛でる対象です。
響との絡み多くない?→私の推しですから!小学生の響はきっとこんな感じだったのではないかと推測してます。