黒いガングニールを纏ったマリアは、各国に国土の割譲求めた
ライブ会場にいる人間全てが人質というこの状況
何故ガングニールを纏っているのか、あのガングニールに響は関わっていないのか、今どの機関がどう動いているのか・・・二課でない弧仁には全く分からない
携帯を睨み付ける・・・弦十朗からの連絡はない
それが通信の妨害によるものなのか、それとも弧仁を戦闘に参加させないためのものなのか
「・・・」ギリッ
歯を食い縛る、動けないこの状況が恨めしい
ステージ上ではマイクを音を拾っていないのか、声は聞こえないが、翼とマリアがなにやら話している
「弧仁・・・」
「大、丈夫、だよ。未来」
こちらには未来とその友だちがいる、迂闊には動けない
『動けないなら、動ける状況を作っちゃえば?』
「!」
擬きからの謎かけのような言葉
『それなら、弧仁も翼も動けるんじゃない?けど、それができるのは弧仁なのかな?』
しかし、生徒だからこそ、その意味を正しく理解できる
「・・・分かった」
視線を未来達に戻す
動けるチャンスは必ず来る、今の自分は近くにいる人をなんとしても守らなくてはいけない
・・・
「会場のオーディエンス諸君を解放する!ノイズに手出しはさせない!速やかにお引き取り願おう!」
暫くすると、何故かマリアが観客の解放を宣言・・・すると本当に避難誘導が始まった
『あれ多分裏に誰かいるね』
「・・・うん」
『とはいってもここからでは分からない、一旦僕らも出よう。外でなら連絡とれるんじゃない?』
「弧仁?大丈夫?」
「!、ごめん」
擬きと話し込んでいたために、避難を促す未来の声が聞こえていなかった
「ちょっとしっかりしてよね!アンタはこの中の最高戦力なんだから!」
暗い顔をしていた弧仁を気にかけてか、弓美が話題を変えます
「あ!そうだ!こーならなんとかできるんじゃない?」
「?」
創世から出た聞き覚えのない呼び名に首を傾げる弧仁
「五条さん、「こー」というのは安藤さんの命名です。」
詩織の解説で納得
「あ、だ名?」
「そうそう、ヒナみたいな感じの・・・それでどうなの?あの時みたいにドッカーンって、出来たりしない?」
「・・・ごめん」
弧仁のことは守秘しなければならないことなので詳しいことは言えないのだ
実際、弧仁ならなんとかすることができる。だがその力を振るえないことが悔しい・・・そんな気持ちを押し殺し、今は『信じる時間』だと、自分を言い聞かせながら拳を固く握りしめる
その手を・・・ギュッ
「!、未来」
未来が優しく握る
「大丈夫、きっと響達が来てくれるよ」
「・・・うん」
信じている人が不安を感じている自分を支えてくれた
今度こそ大丈夫だ、自分はまだ信じることができる
未来の手をとり、会場の外へ向かった
・・・その途中・・・
「?・・・??」
緒川や二課のメンバーはいないかと、六眼をフルに使って会場内の呪力、及び人物を索敵していた
物凄く疲れる方法ではあったが、それが確実な方法であり、その際にバックヤードの方で二人隠れているのを発見
未来達と避難を始めた時には既に殆どの観客が避難していた。それはスタッフも同じのはず。
なのでバックヤードには誰もいないはずだ、怯えて隠れている・・・わけがない、せっかく逃げられるこの状況を逃すわけがない
それも子どもなら考えられるが呪力からみて弧仁とそこまで年も離れていないほどの人間のはず
どちらにしろ無視はできず、万が一戦闘になった場合のことを考えて
「ごめん、ちょっと、トイレ」
「えぇ!?この状況で!?」
外への道のりを確認して別行動を選択、弓美が驚きの声をあげますが、話し続けます
「大、丈夫、避難、経路、に、怪しい、人は、いない」
「な、なんで分かるんですか?」
「・・・それは、言えない」
「そうなんだ・・・ビッキーとおんなじ感じなのかな?」
「ビッキー?」
「響のことだよ。」
「そうなんだ」
「それよりトイレ行ってもいいけど・・・弧仁」
「?」
「ちゃんと帰ってきてね、なにも知らずにお別れなんてもう嫌だから」
もうそんなこと、二度としない
「・・・うん、約束する」
心配そうな未来に笑顔で答えて約束を交わし、隠れている人のもとへ向かう
・・・
もう遠慮することはないので呪力全開、人目もないので瞬間移動で移動した。
そこにいたのは金髪のバッテンの髪留めを着けた女の子と、黒髪をリボンでツインテールにした女の子がいた
「!?貴方誰デスか!?」
「じーっ・・・」
突然現れた弧仁を警戒する金髪の女の子と、弧仁を凝視する女の子
「・・・迷子?」
とにかく当たり障りのない会話から始めてみようとしたが・・・
「迷子?貴方迷子なんデスか?」
「いや、そっちが」
「私たちは違いますよ!?」
「なら、何?」
「こっちのセリフデス!」
今日はライブのため、いつも持ち歩いているメモを持ってきていないので会話のテンポが遅い・・・
「切ちゃん「わぁぁ!待ってください調!」違う、この人私たちのこと探しに来たみたい」
「へ?」
「私たちは大丈夫だけど、貴方は逃げた方がいいと思う。」
「し、調?珍しいデスね。そんなに話すなんて・・・」
「この人は、大丈夫な気がする」
「・・・俺も、そう、思う」
調と呼ばれる少女と弧仁は気があうようだ
「どういうことデスか!?」
取り残された切ちゃんと呼ばれる少女が叫んだ時
「どうかなされましたか?、!弧仁さん!」
「!、緒川、さん」
ちょっと疲れていたので六眼を切っていたため気づかなかったが周辺の避難誘導を行っていた緒川と遭遇
『これは幸い「!、見つかっちゃったデス!」じゃ、なさそうだね』
緒川の姿を見てなにやら大慌てしている切ちゃん、そんなことは気にせず緒川に避難を頼む
「丁度、良かった、この子、達の、避難を」
「なるほど、分かりました。お二人はこちらに「まっ、待ってほしいデス!」?」
「こ、この子が急にトイレ~っとか言い出しちゃったもんでデスね!いやー参ったデスよ~!」
切ちゃんは後ろでじーっと緒川のことを凝視する調を隠しながら早口で話す
「奇遇、俺も」
「そうなんだ」
「そんな共通点知らないデス!それよりこの人のことを先に避難させてあげて、その辺で済ましちゃうので!お気にならさずデスっ!」
「えぇ、それは、女の、子として、どう、なの?」
「こんなところうろついてる女の子に言われたくないデスっ!」
「切ちゃん、この人男の子だよ」
「えぇ!?」
「よく、言われる」
声だけでは意外と判別しにくいものなのです
「いえ、三人とも避難していただきたいとこ「緒川、さん?」今の貴方は一般人ですから」
「・・・」
「・・・」
なにも言わず睨み合う二人
「ど、どうしたんデス?」
「・・・そろそろ、男の人にはあっちに行ってほしい。」
その状況に業を煮やしたのか、調が口を挟む
「!、すみません。それでは弧仁さん、こちらに避難してください。お二人はすみ次第避難してくださいね」
「・・・分かり、ました。・・・二人、とも、気を、つけてね」
なんだかこの二人と別れるのが少し寂しかった
「もちろん気を付けますよ~それでは~」
「じゃあね」
「うん」
調と切ちゃんと分かれて緒川と共に去ってから・・・
「って、調!アイツに挨拶なんていらないデスッ!」
「あの人は大丈夫・・・それより早くいかないと」
「もうっ!アイツといい調といい!こっちの身が持たないデスッ!」
そうして二人も目的の場へ走り出すのだった
・・・
避難の途中で、緒川が切り出した
「・・・先程、司令から伝達が」
「!」
それは弧仁にとって待ちに待った伝達、その内容は
「やりたいようにやれ、とのことです」
「・・・復帰って、こと?」
「いえ、それはまだ受理していません」
「なら、何故?」
「以前のフィーネでの反省を踏まえ、司令は司令室を動けません。しかし現場には二課のメンバーは翼さんそして今こちらに向かっている響さんにクリスさん、そしてそれに加え私たちがいます。
そして今回はマリア・カデンツヴァナ・イヴの後ろに敵対する組織があると睨んでいます」
「・・・」
「貴方と擬きさんには、第三の勢力でいていただきたい」
「・・・」
『なるほど』
「決してこちらの味方ではなく、貴方の目で正しき方を理解し、そちらの味方に付いてください」
「・・・二課、に、俺の、守り、たい、人が、いても?」
「正直そこに打算的な思いはありますが、貴方の力を振りかざすのではなく、その力を正しく使ってほしい」
フィーネの一件で弧仁の力はノイズに対する新たな戦力・・・そしてまたもうひとつ人類に仇なす脅威として捉えられてもいるのだ
もしもその力を全て二課のために使ってしまったら、戦力はともかく立場的に二課が危うくなる
「・・・」
それらのことを踏まえると、弧仁が全面的に味方をしてしまうわけにはいかなくなってしまうのだ
「・・・などと言ってますが、要は貴方が信じるもののために戦えばいいです。やりたいようにやれ、ということですね」
「・・・分かった」
「もちろんそのためのバックアップはさせていただきますよ。手始めに・・・」
「!」ニヤッ
緒川の提案を聞き、笑顔を浮かべ・・・二人は別々の道を進み始める
・・・
そのころステージの上ではマリアと翼が話していた。
ステージにはもはや誰もおらず、いるのは動かないノイズのみ
「帰る場所があるというのは羨ましいものだな」
「マリア・・・貴様は一体」
「観客は皆退去した、もう被害者が出ることはない、それでも私と戦えないというのであれば、それは貴女の保身のため・・・貴女はその程度の覚悟しかできていないのかしら?」
観客は退去したが、まだステージの様子は全国に配信されている
ここでギアを纏ってしまってはアーティスト風鳴翼の正体が明らかとなってしまう
有無を言わさず翼に襲いかかるマリア
翼は剣に見立てたマイクを手に、なんとか捌く
今の翼の状況を打破するための方法は二つ
一つは配信の停止、配信が止まってしまえば誰もいないこの会場でもギアが纏える
そして二つ目は外部からの救援
同じ装者の響、クリスからの救援、そして二課の弦十朗、緒川、奏・・・そして
「(期待してはいけないのだがな・・・弧仁)」
最近姉のように思われていると知った・・・自分の最愛の幼馴染み
「(とはいえ、私と弧仁も同じ状況・・・弧仁は聡い子だ、無策で飛び出してこないだろう)」
助けられないことに悔しい思いをしているだろう・・・彼にそんな思いをこれ以上させないために
「!(カメラの外に出てしまえば!)」
舞台袖に目を付け、走り出す・・・その翼を追うマリアが、マイクを投擲
なんなくジャンプで避けるが、着地の際にステージ衣装のヒールが折れてしまい、体制を崩してしまう
「貴女はまだステージを降りることは許されない」
倒れる翼、その翼に蹴りを入れようとするマリア
その時・・・声が聞こえた
「なに、やって、るの?」
ガッッ!!ガシッ!!
「なっ!?」
舞台袖の入口付近まで近づけていたことが功を奏した・・・倒れる翼を抱き止める手と、マリアの脚を防ぐ手
「この、人は、俺の、大切な、人だよ?・・・もう、一度、聞く・・・なにを、やって、るの?」
たどたどしく聞こえるも意思を感じるその声の主は
「来たか呪術師・・・オーディエンスにいたにしては遅すぎる登場ね」
この世界唯一の呪術師、五条弧仁だ
「うる、さい」
不貞腐れた声で答えながら脚を弾き、
バッ!シュバッ!!
そのまま翼を抱き上げて、ステージ側の上空に浮かぶ
翼のことを赤子を抱き上げるかのように優しく触れる手
「来てしまったのか・・・しかもわざわざこんなに目立ってしまってはいけないだろう」
「大、丈夫、緒川、さんが、何とか、してくれ、るって」
先程緒川から告げられたバックアップ、それは配信されている機器を全て遮断するということ
マリアと話している間に、通話が繋がっていた携帯に緒川からのGOサインが出たのだ
「そうか・・・なら安心だな、私も防人の剣を振るおう、共に戦ってくれるか?」
「あー・・・それ、ダメ、みたい」
「なっ!?」
「でも、守る、から・・・思い切り、歌っ、ちゃって、翼ちゃん」
「分かった・・・ならノイズは任せた。しかし忘れるんじゃないぞ」
「?」
「お前も私に守られていることを忘れてくれるな」
「!うん」
「では、参る!」
弧仁の胸から翼が跳び降り、歌を奏でる
それと同時に翼のギア、アメノハバキリが纏われ・・・その剣でマリアと激突する。
『久々だけど、訓練は怠ってなかったもんね』
「思い、切り、やっちゃ、おう!」
弧仁の下に群がる雑魚ノイズ・・・今さら徒手空拳で戦うのも億劫だ
「術式順展・・・『蒼』」
ズァァァァァァァッッッ!!!
放たれた蒼の反応、それがノイズを一瞬で収束し、圧殺する。
シュタッ
地面に着地、しかしどこから転送されたのか分からないが、ノイズはまだ現れている
だがもう押さえる必要はない、信じるもののために・・・力を振るう
『・・・早く決めないと、頼むよ、弧仁』
シンフォギアさんぽ
開戦、翼&弧仁VSマリア・・・一方その頃
別地での任務からヘリでライブ会場に向かう響たち
響「なんで中継が消えるんだよーっ!翼さーんっ!」
ク「待てよ、写らなくなったってことはギアを使えるじゃねぇか!」
響「!、それなら弧仁も!」
ク「そうだな、それについでに擬きも・・・これアタシらいるか?」
響「!、い!いるよ!・・・多分」
二課で待機中の奏
奏「ちっ、旦那のケチめ・・・アタシめ面が割れるわけにはいかないから留守番だと・・・ったく、これじゃ、なんのためのリハビリだったのかね・・・」
そう言って眠る以前までは槍を持っていた手を見る
見る人が見れば分かるその手には・・・
奏「これを振るうのは一体いつになるのやら」
明らかに異質なオーラが立ち上っていた