翼の様子を窺いつつ、ノイズを倒していくが何度も何度も現れるので切がない
面倒くさい・・・が、マリアと翼の勝負は翼が優勢、炎を纏った翼の技、風輪火斬が決まった
ライブで途中までしか聞けなかったので、ここで存分に翼の歌を聞かせてもらおう・・・と、考えていると
「!」
弧仁の目にあるものが写る
「話はベットで聞かせてもらう!」
とどめの一撃がマリアに迫る・・・しかし弧仁が見たのはそれではない
「♪~」
どこか懐かしいと感じる歌声を奏でる桃色の少女と
「いくデスッ!」
魂を刈り取る緑の刃を構えた少女だ
「ッ!」シュンッ!
ノイズを一掃して、翼のもとへ瞬間移動
そのまま翼の肩を掴み、後方へと飛ぶ
「間に、合った・・・」
「危機一髪・・・」
「まさに間一髪だったデスよ」
翼の危機に駆けつけた弧仁
そしてマリアの危機に駆けつけたのは・・・
「調、と、切、ちゃん?」
つい先ほど別れたはずの、調と切ちゃんだった
「あーっ!!さっきの!!」
切ちゃんが弧仁を指差し、驚きの声を上げるが・・・
「切ちゃん、気づいてなかったの?」
調は弧仁の正体を知っていた模様
「調は気づいていたデスか!?」
「うん、マムから要注意人物だって聞いてた・・・その時切ちゃんもいたよ?」
「うっ・・・聞いてなかったデス・・・」
そんな二人のやり取りを見るマリアは呆れ顔、そして反対に弧仁の表情は驚きの顔
「なんで、二人、が?」
「弧仁の知り合い、なのか?それに装者が三人だと?」
「さっき、出会った・・・調と、切ちゃん」
「お前にそうやって呼ばれる筋合いはないデスッ!」
「だって、名前、知らな、いし」
「!、お前に名乗る名前はないっ!」
切ちゃんが大鎌を振りかざし迫る、だが大振りの一撃は読みやすく、翼を抱えたまま容易く避ける・・・そこに
ギャリリリリッ!!
「!」
丸鋸が無数に迫る、その出所は調
「貴方に恨みはなにもない・・・けど、邪魔」
「?、だったら、なんで?」
無限バリアで丸鋸は弧仁に届かない
「・・・マリアと切ちゃんが闘うから、それが理由」
パァン!
目の前で無限バリアに嵌まっていた丸鋸を全て砕く、破片があちらこちらに振っていく中で翼を降ろして、調の眼を真っ直ぐに見つめる
「それは、調が、やり、たい、こと?」
「うん」
自分がやりたいこと、それは弧仁にとっては特別な意味を持つものだ
調から感じられる静かに見えるその覚悟は本物
大切な人のための気持ちは痛いほど分かる
「だったら、仕方、ない、のかな」
「弧仁!?」
今の自分の立場を正しく理解しているからこそ、相手の意思をより感じられる弧仁は攻撃の手を止めた
「話し、合いは、できない?」
なぜだかは分からないが、調とは・・・調たちとは争いたくない
「無理・・・だけどなんでだろう、初めて会った気がしないね・・・こーじ」
「俺、も、だよ。調」
見つめ合う二人・・・その沈黙を破ったのは
「調に色目使うんじゃねぇデスッ!!」
ガキィィィンッ!!!
「!、切ちゃん」
「!、片腕で!?」
調の鎌による攻撃を片腕で防ぎ、そのまま問いかける
「俺は、五条、弧仁」
ギギギ・・・無限バリアではなく、腕を呪力で強化して防いだ
それを力ずくで突破しようと切ちゃんの手から力は抜かれない
「はぁ?」
「君の、名前、は?」
争うにしても、話すにしても、名前を知らなくては始まらない
「なにを言ってるんだ弧仁!?」
突然名乗った弧仁に驚く翼
「っ!名乗る名前はないって言ったはずデス!!」
ギャンッ!
拉致が空かないと判断し、一度下がる切ちゃん
そこに並び立つマリアと調、そしてマリアが口を開く
「調、切歌・・・名乗って上げればいいじゃないか、こちらだけ知っているというのも不相応というもの」
こちらを見つめるマリアの瞳は凛々しく・・・そして、どこか寂しげだった
「?」
マリアの表情に首を傾げる弧仁
「このステージに来ていたのなら私のことは知っているだろうが・・・私はマリア・カデンツヴァナ・イヴ」
「マリアなにをっ「私は月読調」調!?」
「ほら、切ちゃんも」
「~~!!、暁切歌!」
調に急かされ、名乗った切歌
「そっか、なんて、呼ぼうか?」
何故か笑みを浮かべる弧仁、まるで親しい人と話すかのような雰囲気を出している
「弧仁?(なんだ?こんな弧仁初めてで・・・別人みたいだ)」
そんな表情を初めて見た翼が驚く
「好きにすればいい・・・それにこの場に貴方が出てきた時点で私たちに勝ち目はない」
「なら「だけど、それはあくまでも戦力の話」?」
「貴方には弱点がある」
「弧仁の弱点だと?」
誰かを守りたいと思った時には体が動いてしまうことが頭に浮かんだが
「確かに、ここに、俺の、守り、たい、存在は、いるよ。だけど、守られる、だけの、存在じゃ、ない」
隣にいる翼と、外で心配しているであろう未来、そしてこちらに向かっているであろう響とクリス
いざとなればどうしてもその身を犠牲にしてでも守ってしまおうとしてしまうが、反面皆が守られるだけの存在ではないことも知っている
「俺の、守りたい、人たちは、弱点、なんかじゃ、ない。俺の、原動力、だ」
「原動力か・・・あの頃と変わらないのね」
「?なにか、言った?」
「!、なんでもない、そして貴方の弱点はそれではない」
「?・・・一体「貴方の弱点は、貴方の過去にある」!!」
「!、弧仁の過去だと!?・・・だが、それはもう知っている、弧仁は自身の過去をもう乗り越えて「違法研究に巻き込まれたという曖昧な情報ではない」なに!?」
「貴方の生まれ、育ち、そして今に至るきっかけとなったその身に在るもうひとつの魂を得るまで・・・知りたくないか?自分の過去を」
「・・・」グッ
聞きたい、知りたい
家族ができたって、友ができたって、いつだって抱えている心の虚無を少しでも晴らせるかもしれないのなら
その様子を見たマリアが手を差し伸べる
「知りたいのなら、こちらに来るといい、貴方にはその権利がある」
「!?マリア!アイツは敵デスッ!」
「・・・私も賛成、こーじは偽善者じゃない、気がする」
「調まで!なんだっていうんデス一体!?お前は一体何者なんデスか!」
一体何者、そんなの何度自分に聞いたのか分からない
嘘かもしれない、だけど少しでも可能性があるのなら・・・
『行ってみるのもありじゃない?』
「!」
『弧仁、分かってるとは思うけど、今の弧仁と僕は第三勢力、今回は緒川のバックアップがあったから二課側についたけど・・・君はあっちの事情も知らなきゃいけない』
一歩足が前に進む
『どちらに属すかは弧仁が決めろ、君自身の想いで、どちらの正義につくのか・・・考えてみなよ』
また一歩、また一歩と進む足
「弧仁っ!!?」
翼の声が聞こえる・・・だけど
「ごめんね、なんで、だろう、翼、ちゃんや、奏さん、ぐらい、マリアの、ことが、信じ、られる」
初めて会ったはずなのに、信じてしまうマリアの言葉
彼女が嘘をつくはずがないと、心が叫ぶ・・・その時
「!、貴方は・・・「土砂降りな!」!!」
ズダダダダダッッ!!!
マリアがなにかを言う前に、弾丸の雨が降り注ぐ
乱れ撃ちのように見えて、弧仁には掠りもしない正確なその弾丸を撃ったのは
「おいおい、正直来なくてもいいかと思ってたのに、ナイスタイミングだったみたいじゃねーか」
「弧仁ーっ!翼さーんっ!」
ヘリから飛び降りるクリスと、後ろから続いてやって来た響
「お前がいてなんでまだ終わってねぇんだ?暫く動いてなかったから身体鈍ったのか?・・・って弧仁?」
「クリス・・・」
「おい、本当にどうした?なにがあったんだよ?」
「っ!話は後だ!弧仁!お前は下がっていろ!お前はこの戦いから離れるんだっ!」
「!、翼さんっ!?一体なにを!!」
「っ!前見ろ!来てるぞっ!!」
そうして、翼とマリア、クリスと切歌、調と響の三つの戦いが始まる
弧仁はなにもせず、ただその光景を見つめる
「やめようよ!今日出会った私たちが争う理由なんてないよっ!」
争うことより、手を取り合うことを優先する響の言葉
「そんな綺麗事を・・・!」
こんな状況でそんなことを言う響に弧仁もそう思う節はある
「綺麗事で戦うやつの言うことなんて信じられものるかデスッ」
自分もそう思う、綺麗事なんて理想なだけなんだ
「偽善者・・・この世界には貴女のような偽善者が多すぎるッ!」
双方のから発せられる言葉と振るわれる武器の応酬・・・だけど
「それこそが偽善ッ!」
響に迫る調の言葉だけは
「痛みを知らない貴方に誰かのためになんて言ってほしくないっ!」
聞き逃せなかった
「!」
ガキィンッガキィンッ!!
響に迫る丸鋸、それを防がんと動いた翼とクリス・・・その前に弧仁が立ち、拳で丸鋸を砕いた
「訂正して」
「!」
「響が痛みを知らないわけがない」
「弧仁・・・」
真っ直ぐな言葉が出る、中立であろうとしても・・・これだけは譲れない
・
「僕のことを知っているようだけど、なにも知らない人にそんな言葉を発せられる調は間違ってる」
響がたくさん傷ついたことを知っているから、その言葉だけは許せなかった
しかしそれを咎める弧仁の言葉がいつもとは違う
「この場にいる君たちを含めて、綺麗事と偽善で戦っている者はいないはずだよね」
響が綺麗事を語るのは、痛みを知っているから
だって、綺麗事が一番いいから
「ッ!」
「弧仁・・・じゃない」
・・
二つの蒼い眼が、調を睨み、その身体は禍々しいオーラを放っている
「まさか擬きか?・・・弧仁!」
翼が弧仁の肩を掴み、揺さぶる
「!!・・・翼、ちゃん?」
片眼の六眼、いつもの呼び方と話し方
「戻ってきたのか、全く乗っ取られてんじゃねぇよ・・・擬きもタイミング読めよな」
『・・・悪かったね』
聞こえもしない声で擬きが謝罪する
・・・その時
ボゴボゴボゴボゴ・・・
嫌な光とともに黄緑色したノイズが湧いて出てきた
「分裂増殖型・・・」
「こんなの使うなんて聞いてないデスよ!」
二人の言葉からこの異形のノイズが予想外のものということが分かる
呆気にとられる一同の中でマリアは増えて大きくなっていくノイズに一撃を与え、バラバラにした
あちこちに散らばるノイズは更に増えていく
それを尻目にマリアたちは退避していく
自分達が出したはずのノイズなのに・・・何故
『このノイズ増殖していくタイプか・・・けど、それどころじゃないね』
「皆」
「?、どうしたの?弧仁?」
「任せ、てい、いかな」
声は響たちに向けていたが、視線は去っていった方を見ている
「アイツら追うのなら、お前が適任だな」
未知数の相手に対してなら、大体の状況に対応できる弧仁が適任である
「そうだな、しかし・・・」
「あん?どうしたんだよ?」
先ほどマリア達と向き合っていた時の弧仁の姿を知っている翼・・・弧仁が着いていきそう見えたから送り出せない
・・・そこに
「弧仁」
ギュッ・・・弧仁の手を取る響
「?、響?「よかった、こっち向いてくれた」!」
「ヘリの中で師匠から今の弧仁の立場のこと聞いた。私たちの味方になれないことは分かってる・・・だけどね」
ギア越しでも感じる響の暖かい手
少し乱れていた心が落ち着いていく
「弧仁がどんな道を選んだって私たちは皆、弧仁のこと待ってるから・・・帰ってきてね」
そうして響の手が小さく震えていることに気づいた
その手は未来と同じだった
「!・・・うん、約束」
見失いかけたものを再確認し、走り出す
・・・
ステージを抜けて、会場を出る
そうしていると、背後の会場から全てを飲み込む光が立ち上る
響達の発するそれを背後で感じながら、視線は前を向く
視線の先には・・・
「なんですかあのトンデモは!?」
「綺麗・・・」
その光に驚くマリア達がいた
「来たのね、答えはこちら側、ということかしら?」
「・・・聞かせて、ほしい」
「なにをかしら?」
「貴方、達は、なにが、したいの?」
「言ったはずよ、手始めに国土をいただき私たちの住む場所でもいただこうと「そう、じゃ、ない、でしょ」!」
「世界を、敵に、回して、なにを、する、つもり?」
「・・・貴方がこちら側に来ると言うのなら、教えるわ」
「そっか」
瞳を閉じ、首にかけていた目隠しをつける
「それは?」
「貴女、達、見ると、そっちに、行き、そう、になる、から」
「・・・そう」
ほぼ意味のないことだけど、直接見るよりかマシだった・・・そして
「なんだか、貴女、達とは、戦い、たく、ないな」
「そうね・・・私もよ」
「私も」
「二人ともどうしたんデス?なんでそんなにアイツのことを・・・」
「ごめんね切ちゃん、本当になんでなのかは分からないの」
「・・・今は、見逃す」
「!」
「けど、次は、腹を、くくるよ」
「そうね、私たちにも譲れない覚悟がある」
悲しい、皆と対立している今の状況が悲しい
「本当に意味が分からないデスよ、とにかく!次会うときは覚悟するデス!!」
「またね、こーじ」
「またね、マリア、切歌、調」
悲しい、大切なものを見失いかけたことが
『マリア達はもう行った、誰も見てない、泣いたっていいんだよ』
「・・・う゛ん」
そしてなによりマリア達の姿を見ていると、たまらなく哀しくて、たまらなく愛しく感じてしまう
相反する二つの感情の中、誰に見られることなく・・・弧仁は涙を流すのだった
シンフォギアさんぽ
弧仁と別れてからのマリア達
切「二人とも!なんであんなやつに気を許すデスか!」
マ「ごめんなさい切歌」
調「ごめんね切ちゃん」
切「どういうことか分からないですが、今回は戦闘にならなかったデスけど・・・今度は相手にしなきゃいけないデスよ!?あんなトンデモに!」
調「そんな存在を忘れてた切ちゃんが言えたことじゃないと思う」
切「うっ・・・けど、本当に珍しいデスね調。調があんなに気を許すなんて」
調「睨まれた時は怖かったけど・・・最後はすごく優しい目をしてた、それになんだが、懐かしい」
切「!、調もデスか・・・実は私も」
マ「(二人とも・・・忘れられるはずないものね)」
なにかを懐かしむマリア、しかしすぐに切り替えて
マ「とにかく行きましょう。目的のために私たちは強くならないと」
調「うん!」
切「はいデスッ!」