「・・・」ポリポリ
『あ、もうすぐヒロインが派手に死ぬよ』
「!?」ガーン
テレビの前でポテチを食べながら、弦十郎秘蔵の映画を見ていた孤仁、五条擬きにネタバレされてしまった
「・・・」シューン、ポリポリ
『ほらほら、呪力が乱れてるよ。集中集中!』
何をしているかというと呪力コントロールの練習である。
『呪骸がないから面倒くさいけど、全身に呪力を巡らせる練習をしよう、ジャッジは僕ができるし、映画で情操教育もできるから一石二鳥!』
・・・とのことで、お家映画なのでポテチとコーラ・・・ではなく某乳酸菌ドリンク(孤仁は炭酸が苦手)で映画を見ていた。
『けど、僕が横槍いれる以外では落ち着いてるね。いい調子だよ・・・ってそういえばもうすぐお客さんが来るんじゃなかったっけ?』
「!」
『まぁいつも部屋の掃除はしてるいつ来ても大丈夫かな?』
今朝、弦十郎から今日は客が来る、と伝えられていた。
客、というのだから多分弦十郎の仕事関係の人だろうと思いながら、そういえばお茶菓子まだあったっけ?と戸棚の中を思い出していた。
戸棚の確認をしてから映画を見ていたのでもうかなり時間が経っているな、と思っていると・・・ガラガラ
「帰ったぞ~」
「!」
『帰ってきたね、挨拶くらいしたほうがいいんじゃない?』
「!」コクッ
玄関の空いた音と弦十郎の声・・・響と未来に作ってもらった挨拶カード(初めましてや、こんにちは、といった挨拶が書かれたカード)を手に玄関へ
【おかえりなさい】
「あぁただいま孤仁」
そこにいたのは弦十郎と・・・
「おじさま、この子は一体?」
青い髪の女の子がいた。見たところ孤仁よりも年上のようだ・・・
「二人とも初対面だったな。翼、彼は俺の息子の孤仁だ。そして孤仁、彼女は俺の姪の翼だ。二人は従兄弟になるな」
「息子!?」
【従兄弟!?】
驚きのファーストコンタクト、驚く二人をよそに弦十郎は二人を連れて居間へと進む。
・・・
コトッ
「あ、ありがとう」
孤仁が翼にお茶を淹れてあげた。
【どういたしまして】
カキカキ【お茶菓子もどうぞ】
お盆に乗せたお饅頭も置いておく。
「それでおじさま、彼が息子とは一体?」
「?言っていなかったか?孤仁は身寄りがなくてな、色々あって俺が引き取ることになったんだ。」
「聞いていません!」
「まぁいいだろう、今話したんだ。」
「全く・・・それで、君はさっきからなぜカードやメモを?」
「あぁ孤仁は「!!」なんだ自分で伝えるのか?」
「!」ビシッ
『自己紹介くらい自分でやらないとね』
カキカキ
【初めまして、私は孤仁と申します。私は声がでません。申し訳ありませんがこのような形でしか話せません。】
「っ!ごめんなさい、そんなつもりでは」
「!・・・・・・」
謝る翼と謝らせてしまったことが申し訳ない孤仁
少し気まずい空気になってしまった、その空気を
パンッ!
「それで、今日二人を会わせたワケは、二人に少し息抜きをしてほしくてな。とにかく一日二人で遊ぶんだ。」
弦十郎が手拍子を鳴らし、霧散させた。
「息抜き!?私にはそんな時間は、そんなことより今はさきも「翼、孤仁はこちら側のことをなにも知らないぞ」!・・・不詳不詳ながら了承しましょう。」
「?」
「ん?なにをすればいいのか分からない?分からないならまずは互いの好きなことをしてみるといいだろう。とりあえず俺は外に出ていよう。二人仲良くな」
そう言って弦十郎は本当に出ていってしまった。
「「・・・」」
会話のない空間、再び気まずい・・・
「その、私は俗世に疎いから、君の好きなことを教えてくれないか?」
「・・・!」ウーン?・・・!
少し考えて閃いた様子で翼の手を引いて、先ほどまで映画を見ていた部屋に向かった。
弦十郎こだわりのシアタールーム、大画面のテレビで映画を見たり、ゲームをしたりできるこの部屋は最近の孤仁のお気に入りだったりする。
「この部屋で遊ぶの?」
「!」ジャジャーン!
孤仁の手にあるのはDVD、一年かけて、仮面を着けた戦士が行うタイプの特殊撮影番組、色々な戦士がいるが特に孤仁が好きなのはゲーマーの医者が変身して闘うテーマのもので、今手にあるのはその円盤である。
「これを観るの?私と貴方で?」
【好きなことしてみるといいって言われたので、それにこれ面白いですよ?】
再びお菓子を用意して、DVDをセット
・・・数時間後
「おぉ、中々どうして胸にくるものがある・・・」
「♪」ホウジョウエムゥ!
『風鳴孤仁ィ、何故君に呪力が見えるのか、何故呪力を操れるのか、何故僕の声が聞こえるのかァ!・・・その答えはただひとつ君が五条悟に「!」あ、うるさい?ごめんね?』
少し夢中になりつつある翼と、ご機嫌の孤仁と意気揚々と物真似していたが孤仁に怒られた五条擬き
今三人が観ているシーンは物語前半を締めくくる盛り上がりのシーン・・・
『俺の運命は俺が変える!』・・・テレビの主人公の決め台詞、それを見た翼はなにやら神妙な顔つきに・・・
「・・・「?」!、ごめんなさい。今のシーンすごくいいなと思って」
心配した孤仁が顔を覗かせた。
「?」
「貴方はまだ知らないかもしれないけど、風鳴家というのは護国の・・・この国を影ながら守る一族。私は・・・そのために生まれた。その運命は変えられない」
「・・・」
「だから、作り物だと分かっていてもさっきの主人公みたいに自分の運命を変えようとすることができることは素晴らしいと思った。私にはできないことだ」
「・・・」
テレビ画面では既に敵は倒され、次の話へと進んでいた。
『家柄のことなのかな?どこの世界でも厄介なものなんだね。』
「?」
『あぁ、僕の生徒の中にも家柄に縛られる子がいてさ、でもその子はさっきの主人公みたいに運命なんてひっくり返してやる!って頑張る子だったよ。』
「・・・」
『まぁ今は関係ない話だ。自分の運命に立ち向かうのも、逃げ出すのも、従うのも、その人の自由だ。この子は諦めてるみたいだけど、間違ってもそれを否定しちゃダメだよ。それだって答えだ』
「・・・」
そういうものなのだろうか?でもだからって・・・
「・・・!」カキカキ
【翼さんの好きなことってなんですか?】
「私の好きなこと?急になぜ?」
「」カキカキ
【俺の好きなこと付き合ってもらったので、次は翼さんの番です。】
「私、私は・・・歌が好き」
「!」パチパチパチ!
翼の好きなことを聞けて感激の孤仁、拍手でリクエストをした。
「え!?ここで歌えと?」
「!!」
【ここ防音です】
「そういう問題じゃなくて「!!」・・・はぁ、分かった」
キラキラした瞳で見つめられて、流石に断れなくなったのか若干納得いっていない様子だが・・・
「曲はこの作品の歌でいい?」
そう言う翼の手にあるのは先ほどまで見ていた仮面の戦士のDVD、先ほどから何度も聞いたので覚えてしまった。
「!」ウンウン!
「それじゃあ・・・♪♪♪」
・・・
「~!・・・どう?」
テレビサイズなので短めではあるが、見事に歌いきった
「!、!、!」パチパチパチッ!
「満足してもらえたようね」
感動極まって立って拍手、スタンティングオベーションである。
「♪」カキカキ
【翼さんの歌!すごくかっこいい!】
本気の感想、今まで音楽に触れてこなかった孤仁でも翼の歌が素晴らしいと思った。
「ほ、本当?」
「!」コクコクッ!
【もっと聞きたい!】
「!、なら次は私の好きな歌でもいいかしら?」
「!!!」バンザーイ!
それからは翼が歌い、孤仁が聴く。そんな時間を過ごした。
・・・そうしてお別れの時間になった。
「今戻った、目ぼしい映画が多くてな・・・それにしても随分仲良くなったみたいだな。」
「おじさま!?、!もうこんな時間・・・今日は楽しかったわ、ありがとう孤仁」
「!」
【俺も楽しかったです。翼さん】
「孤仁、従兄弟なんだから敬語はおかしいだろう?」
「おじさま?」
【でも、呼び捨ては失礼だと思う】
『その辺孤仁結構固いよね。響と未来の時は一瞬だったくせに』
「ふっ、なら翼ちゃんなんてどうだ?」
「おじさま!?」
「!・・・」カキカキ
【また遊ぼうね、翼ちゃん】
「!、全く・・・でもいいわ、また会いましょうね孤仁」
「翼を家まで送ってくる。孤仁留守番を頼む」
「!」ラジャー!
「それじゃあ翼、先に車に乗っていてくれ」
「はい」
車の方に向かった翼を見送ってから、孤仁の方を向いて・・・
「仲良くなれたようでよかった。翼は少し前から親元を離れていてな、それから俺の仕事の手伝いのようなことをしているんだ。そのせいか少し気負い過ぎたり、悩んでいるようだったが今日は孤仁と一緒に遊んで楽しかったみたいだ。」
「?」ハテ?
「自分はなにもしてないと?だが翼があんなに楽しそうに歌っているのは久しぶりだった。お前という観客がいたからかもしれないな。」
「?・・・?」
『まぁまだ難しいよね』
「ますます分からない・・・か、ならそれでいい。とにかくこれからも翼と仲良くしてやってくれ。俺より年の近い孤仁の方が翼も安心できるだろう。」
「!・・・!」フンスッ
「あぁ、孤仁に任せる。翼を一人ぼっちにさせないでやってくれ。」
「!!」ブンブンッ!
腕を振って、張り切る孤仁だった。
『一人は寂しいもんね。それを知ってる孤仁なら大丈夫、きっとできるよ。』
それからも定期的に弦十郎は翼を連れて来ては孤仁と会わせていた。その時だけは翼も年相応の子どものようで、弦十郎はその様子を写真に撮っては翼の父親に送っていた。
そして流石に一緒に風呂に入ろうとした時は止めた。
・・・それから暫くして
「そうだ、孤仁」
「?」
最近なにやら忙しそうだった弦十郎が「やっと一段落した」と言って帰ってきた翌日の朝のこと
「実は今日からここに住む子がいてな」
「!?」エェ!?
「色々あってな、暫くは療養のためにウチで預かることになった。年は離れてるが・・・まぁ仲良くなれるだろう。」
「!・・・!」アタフタ
「?なにを慌てているんだ?」
「!!!」カキカキ
【予備の布団干さないと!それから今日の晩御飯どうしよう!?その人なにが好き!?】
「来ることに抵抗はないんだな」
『っていうか、悩むところがおかしくない?主婦かよ』
そして夕方
「♪」ワクワク
『孤仁楽しみにしてるところ悪いけど、なんか訳ありそうじゃない?弦十郎も若干孤仁に投げっぱな感じがするんだけど?』
料理の下ごしらえもオッケー、掃除をして響と未来と選んだ花も飾って部屋の準備もオッケー、ワクワクした様子で待っている孤仁
「?・・・!」
『家族が増えるのは嬉しいって・・・世の中そんな考え方できるやつばっかりだったら少子化止まるのにね』
「?」
『けど、本当に訳ありっぽいから気を付けなよ?』
「♪~」
『わぁ、聞いてないよこの子。まぁ孤仁なら大丈夫かな。いざとなったら変わったらいいし』
そして
「ただいま孤仁、連れて来たぞ」
「!」
ドタドタ・・・
【おかえりなさい】
そこには弦十郎と・・・
「?旦那、なんだこのガキ?」
橙色の髪の女の子がいた
『数日前にも見た光景だね』
「こいつは孤仁、俺の息子だ。孤仁、彼女は奏君、今朝言った今日から暫くここで暮らす子だ」
「!?アンタ結婚してたのか!?」
「義理のな」
「なんだそうなのかビックリした・・・で、なんでコイツしゃべらないんだ?」
『言いづらいこと結構はっきり聞いてくるね、この子』
【初めまして、私は孤仁と申します。私は声がでません。申し訳ありませんがこのような形でしか話せません。】
『あ、この間のメモ残してたんだ。』
「ふーん、まぁアタシには関係ないからどうでもいい。旦那私の部屋は?」
「あ、あぁ、案内しよう。」
「・・・」ポカーン
『聞いといてあの態度はないよね、どうする?マジビンタいっとく?』
「・・・」ブンブン・・・首を振って断る
『あ、そ・・・ん?でもあの子寂しそうな目をしてた?よく見てるねホントに』
・・・それから暫くは特に会話もなく過ごした。
孤仁が学校に行ってる間、なにをしているかは知らないが、弦十郎と一緒に出掛けるのを毎日見送っている。
だが、いってらっしゃいに応えてくれることはなかった
「・・・」トボトボ
「どうしたの孤仁?なんだか元気ないよ?」
「朝もため息ついてたし、なにか悩みごと?」
そんなある日の帰り道、いつもの三人で帰っていたが、流石に気が滅入ってきた孤仁を気遣う響と未来
「!、!!」ハッ、ブンブン!
「大丈夫だから気にしないでって言われても心配だよ」
「それともお話聞くことだけでも私たちじゃ役不足?」
そう聞いてくる二人は孤仁のことを心配しているようで、それがなんだが嫌だった。
『それは罪悪感だよ。孤仁、ここは頼ってみたら?』
「・・・」
カキカキ【ごめんね、聞いてくれる?】
「「もちろん!」」
・・・
「最近一緒に住み始めたお姉さんと仲良くなれないってこと?」
「・・・」コクッ
「そもそもなんで一緒に住み始めたの?」
【確か療養のためだって】
「そのお姉さん怪我してるの?」
【分からない、けど帰ってきたらご飯食べてすぐ寝ちゃうから疲れてるのかな】
「ご飯は美味しそうに食べてる?」
【それも分からない、美味しいも美味しくないも言ってくれない】
『弦十郎も全く動こうともしないからね~、一応様子は見てるみたいだけど』
「思いきって聞いてみたらどうかな!ご飯美味しいですか?って!」
「もう響ったら、それができたら孤仁も苦労しないでしょ?」
「でもどんな人とも話をしないと始まらないよ。とにかく一度孤仁から聞いてみたらどう?」
「!」コクンッ!
二人に話を聞いてもらい元気になった孤仁・・・その夜
「・・・」ポケー
『腕によりをかけて僕も教えて作ったけど、帰ってこないね』
早速今日しよう!と決めて、晩御飯を作ったが弦十郎も奏も帰ってこない
『もう先に食べちゃえば?』
「!!」ブンブン!
『けど、このままだったら美味しくなくなっちゃうんじゃない?』
「・・・『ガチャ!』!」
どうしよう、と考えていると玄関の鍵が開く音が聞こえた。急いで出迎える。
【おかえりなさい】
「・・・?」
「あぁ、お前か。旦那なら今日帰ってこないってさ」
玄関にいたのは奏のみ・・・だけど
「?」
「?、なんだよ」
なんだか、奏が辛そうに見える。
「」カキカキ
【どこか痛むんですか?体調悪くないですか?】
「!、別になんでもない。今日はもう寝る。飯いらないから」
そう言うと奏は部屋に向かっていった。
「・・・」カチャップルルル・・・
『おぉ、初めて携帯電話の電話機能使ったね。』
「もしもし、孤仁か。電話してきたということは奏君が帰ってきたんだな。もう聞いたかもしれないが、俺は今日こちらに泊まり込みになった。・・・奏君は今日疲れている。そっとしておいてやってくれ」
ガチャン・・・
「・・・」
奏の部屋
「ハァッ・・・くそ、あのくらいで」
布団の上で苦しむ奏
奏・・・天羽 奏は数ヵ月前に家族がノイズに被災、その時の唯一の生き残りである。
両親、妹を失い、一人生き残った奏はノイズへの復讐心から現状ノイズへのもっとも有効な対抗策となるシンフォギアの適合者となるべく、弦十郎が指令を務める特異災害対策機動部、第二課に身を置いていた。
そして現在は適合者になるための訓練を行っている。
もちろん弦十郎指導の元、無理のない範囲で過酷な訓練ではあるが、今日はよりハードだったのか、この通り動けないほどに疲れている・・・そこに
コンコン♪
「!、誰だ?」
ガチャ、コソッ
ドアを少しだけ開けて、奏の様子を伺う孤仁
「お前か・・・何しにきた」
「・・・」スッ
そっと部屋にお盆におにぎりとお茶を差し入れた。
「飯いらないって言っただろ」
「!」カキカ「いちいちめんどくさいな!」
メモを書いている最中に怒鳴られ、驚く。
こちらを見る奏の目は怒っている。
「旦那から聞いたよ。お前ノイズに親殺されたけど記憶ないんだろ?よかったな、なにも覚えていなくて」
「!」
「なにも覚えてないなら、失くしてないのと同じだろ。運良く旦那に拾われて、幸せで。なんだよ私を哀れんでるのか?」
「!」ブンブン!
「違わない!とにかく私に関わるな!私は施しなんていらないんだよ!」
「・・・」ダッ!・・・耐えきれず部屋から逃げ出した孤仁、その瞳からはいつぶりかの涙が流れていた。
『ちょっとこれは黙認できないかな』
・・・そこから更に深夜
過度の疲れからか、深く眠りについている奏・・・そこに
「おい、起きろよ」
ゴスッ!
その一言と共に奏を蹴り飛ばして起こしたのは・・・
「痛っ!なにすんっ、!?お前声でないんじゃ「あれ?弦十郎から聞いてないの?」はぁ?」
「まぁそうだよね、聞いてたらあんなこと言えないよね」
見た目は孤仁、だが目隠しを着けて流暢に話すのは・・・
「じゃあ自己紹介、僕は五条悟擬き。この子の中にいるもう一人の人格だよ。孤仁の先生をやってるものだ。」
そう言ってから目隠しをとる、電気が消えた暗闇の中でも光る水色の二つの眼
「別人・・・なのか?」
「そ、昔親亡くして研究所送りにされて血反吐吐きながら生き抜いた末に手に入れたもの(人格)だよ。」
「!、それでなんのようだよ。自分の生徒虐められたから文句でも言いに来たのか?」
「もちろんその気はあったけど、この子自身は別に君のこと恨んでないからね、むしろ後悔してたよ余計なことしたって」
「・・・そうかい」
「だから、先生として君にアドバイスだ。」
「は?「相手の立場になってから物を言えクソガキ」はぁ!?「静かに聞きなよ」っ!?」
突然の罵倒に声を荒げたが、指を額に当てられて押し黙る。
「記憶がないなら失くしてないのと同じ?ふざけるなこの子がそのことでどれだけ悩んでいると思っている。
分かるか、大切なものがあったのかも分からない、自分の名前も、存在すらも全部覚えてなくて、なにもない虚無に支配される気持ちが」
虚無に支配されていたから、孤仁は感情を失った
だけど、虚無への恐怖は覚えているから、マイナスな感情から捻出される呪力を十分に扱えているのだ。
いくら今新しい家族、友達に囲まれていたってその恐怖は一生付きまとうだろう
「それから孤仁はなにも失ってないことはない、一度親しくしてくれていた人たちを失ってる。失う悲しさも知ってる
君はそれを知っていて、あの言葉を言ったのか?」
「っ!」
「言っておくが孤仁も君のことなんて知らない。なんで君がここに来たのか、なにに苦しんでいるのかなんて知らない。当たり前だよね、君、話そうともしなかったもん。それでも孤仁は一歩近づこうとした、だけどそれをはね除けたのだーれだ?」
「!、なんであいつは私に?」
「孤仁は家族が増えるって喜んでたんだよ。ただそれだけで、毎日ご飯作って、掃除して、朝早いのに見送りまでして・・・この子がどれだけ努力してくれてるのか知ってる?違うな、知ろうとしたかい?」
「・・・」
「今回の件に関してから僕が言えることは以上、君の今後に期待するよ。じゃあお疲れサマンサ~」
バタンっ・・・ガチャっ
「そのおにぎり食べてね。それから今日の晩御飯は明日の朝になるから、ちゃんと起きなよ?」
バタンっ・・・そう言いきって今度こそ部屋から出ていった。
残されたのは奏は言われた通り、おにぎりを手にとり一口
「・・・美味しい」
ここに来た時から言ったことはなかったけど、毎日出てくる料理は美味しかった
・・・今日の晩御飯は一体なんだったんだろうか
・・・翌朝
『さぁさぁ朝だよ孤仁!おはよう!!グッドモーニング!』
「~~」グシグシ
『今日は昨日の残りを朝御飯にするから余裕はあるけど早起きは三文の徳!さぁ起きて起きて!』
「・・・」フワァー
寝ぼけ眼で居間へ向かう途中なにかいい匂いがした・・・
「?」ガラッ
「お、おう。おはよう」
そこにはちゃぶ台の上に昨日のハンバーグを並べる奏がいた。
「そ、その・・・昨日はごめんっ!」
「!?」
『・・・』ニィッ
「互いになにも知らないからって自分のこと棚に上げて好き勝手に言って悪かった。」
「!」カキカキ
【でも私も奏さんのいうこと無視して余計なことしました。ごめんなさい】
「いやそれも私が悪かった。だからさ・・・ちゃんとお互いのとこ話さないか?昨日お前のことを突っぱねた私から言うのはおかしいと思うけど、これから仲良くなれないか?」
「・・・」カキカキ
【いいんですか?】
「そのお前・・・孤仁がよければなんだけど」
ちゃんと心から反省しているのか、こちらを伺うような奏、それを見て孤仁は・・・
『どうする孤仁?一発マジビンタしても文句言われないと思うけど?・・・なんてね』
「・・・」スッ
「え?」
メモを置いて、奏に右手を差し出した。
「♪」ニコッ
「!、仲直りの握手ってことか?・・・ありがとな」
ギュッと優しく、奏はその手を掴んだ。
『ほら、孤仁なら大丈夫って言ったでしょ?』
その後、朝帰りになってしまった弦十郎が目には映ったのは、朝からハンバーグは重いな、と話しながら楽しそうに食事をする二人だった。
詳細な設定
翼、奏はどの辺なの?→父親の元を離れた頃で孤仁(具体的な年齢は分からないが現在高学年の響、未来と同い年)の2つ上なので10~12歳くらい?後話し方が若干防人になったりならなかったりしてるのはすみません、加減が分からない・・・
奏はノイズ被災して少ししたくらい、弦十郎に保護されたそうなので実家に連れてこられたんじゃないのかな~と考えて、翼の2歳上なので12~14歳くらいかな?と想像、あの血反吐吐くパーティー再開までに流石に体作りで鍛えたりしてた期間があるだろうと考えて、療養の意味も込めて弦十郎宅にやってきました。
あくまでも作者の脳内補完なのでミスってるところあったら教えていただきたいです。にわか晒してたらごめんなさい
奏、孤仁に強く当たりすぎでは?→家族を失った最初の方は荒れてたんじゃないのかな、とこれまた勝手に想像。世話になった弦十郎の手前邪険に扱うこともできなかったためあのような対応になりました。
奏推しの方ごめんなさい、でもこれからはあの姉御肌な奏になりますので・・・一応孤仁と妹をダブらせてた、なんて妄想も添えときます・・・
結局しゃしゃりでてきた五条擬き→基本孤仁の行動にはノータッチのつもりの擬きだが、流石に今回はカチンと来たので突貫、説教しました。
孤仁お気に入りの仮面の戦士→ニチアサ系であり、将来響と未来の高校の友達とこのシリーズで語り合ったりする予定。選んだ作品は私が好きなのを選びました。エグゼイド最高!