切歌と調の連絡を待つマリア、ナスターシャ、弧仁だったが、ヘリ内にアラートが鳴り響く
「!、ノイズ反応、ドクターがなにやら動いているようですね」
「多分、二課の、追手、がいた、から、じゃない?」
「なら、そこに切歌達もいるはず、迎えに行きましょう」
操縦席に移動し、ヘリを発進
その最中、新たな反応が検知された
「この波形はガングニール、恐らく立花響が戦闘に加わったのでしょう」
「!」
『あっちゃー、出てきちゃったのか遭遇したのかは分からないけど不味いね』
現在の響はガングニールと一体化しかかっている状態、そんな状態で戦ってしまうとより融合が進んでしまう
翼やクリスが動いているだろうが・・・こうなっては仕方ない
ダッ
「幸詞?」
「ごめん、先に、行く、ハッチ、開けて」
「!、それは誰のため?」
「・・・どっちも、かな」
「それでも貴方はまだ病み上がり、無理は「いいでしょう」マム!?」
「止めたところで、貴方は止まらない・・・違いますか?」
「まぁね」
「ただ一つ、伝えておきます」
「?」
「貴方が貴方であるように、これを忘れてはなりませんよ」
今の弧仁には深く響く言葉
「!・・・うん、いって、くるね」
開けてもらったハッチから飛び降りて、反応のある箇所へ飛んでいく
『そういえば、無限の使い方だいぶ上手くなったね』
「・・・」
『そうだね、フィーネとの一件でできるようになったんだよね。思えばあの時から僕たちの融合は始まっていたんだ』
「分かっ、てる」
『もう、戻れないね』
マリアがフィーネを受け入れるのも、響のガングニールとの融合も戦いをやめればまだ間に合うかもしれない
だけど、自分達は違う
もう引けないレベルに達している
五条悟に魂を侵略されていると自覚してから少しずつ自分が自分でなくなっている感覚が伝わってくる
後はもう時間の問題
「終わっ、たら、便箋、買いに、行こう」
『だね、ちゃんと遺書残しとかないと』
だからせめて伝えたいことを書ききるその前に全てを終わらせると、そう誓って空を舞い、大切な君の元へと
・・・
そうして弧仁がたどり着くと、ノイズを出してギアを纏って響に対抗するドクターウェルがいた
『響の様子、おかしくない?』
「・・・」
身体がうっすらと発光しながら、周囲に舞い散る木葉が燃える
『呪力じゃないから六眼には見えないけど、肉眼には嫌でも分かる異常かエネルギーはガングニールのエネルギーだろうね。あんなのただの人間が耐えれるはずないよね』
「!!」
ダンッ!!
これ以上響を人間から引き離すわけにはいかない、二人の間に降り立つ
「!、弧仁!?」
「お前までぇえ!!?」
「ごめん、響」スッ
「うっ!?・・・」
ウェルは無視し、響に呪力を叩き込み気絶させる
やたらと熱いギアを纏ったその身体を優しく支えて、横に寝かせる
「っ・・・ごめん」
『これまでとは違ってそれなりに強い呪力をいれないと気絶すらさせられないんだから仕方ない・・・けど見て』
「?・・・!」
擬きの指摘を受け、改めて響をよく見て違和感に気づいた所で・・・
「お前まで!こちらの都合いいタイミングでぇぇぇ!!!」
キュィィン!キュィィン!
こちらを見ようともしない状況に痺れを切らし、ソロモンの杖でノイズを現出させたウェル
「蒼!!」
ギュウウンッ!!
迫ってくるノイズを一掃・・・しかしソロモンの杖により無限に現れるノイズ、そして
「ッ!?」ズキンッ
『弧仁っ!?』
突如起こった頭痛と共にあの塗りつぶされる感覚が訪れる・・・それを無理矢理押さえ込む
痛みを堪えるためにしゃがみこんでしまったその隙を
「!?、チャンス到来だぁぁ!!いけぇぇぇ!!」
好機と言わんばかりにノイズが迫る
「っ!、術、式、反転・・・赫!!」
なんとか放った赫がノイズを吹き飛ばすが、対象をまともに絞れず無差別に放たれた赫は周りの建物を破壊し、弧仁すらも後方へと飛ばされてしまった
痛みと五条悟に対抗する身体では呪術がまともに使えない
「う、ぐあぁぁ!!!」ズキンッ!
そして更に増す痛み、擬きも全力で抵抗するが一向に収まらない
『くそっ、これ以上の戦闘は無理だ、響を連れて逃げよう』
先程の赫で、ウェルも少し遠くに飛ばせたので時間ならある、今のうちに撤退を謀るが
「わかっ、た、響「なんとノコギリ」っ!?」
響を探す目前に迫った桃刃、それを紙一重で避ける
その刃の持ち主は言うまでもなく
「調・・・ぐぁっ!?」
膝まづきながら視線を上げ、調の顔を確認したが後頭部から押さえつけられ、顔面を地面に叩きつけられる
六眼も機能していない、だから気づかなかった
「体調が悪そうな所ごめんね弧仁・・・マムからは聞いてるけどドクターをやらせるわけにもいかないし、この好機を逃すわけにはいかない、だから少し眠っててね」
そう言う調の視線は少し離れたところに倒れる響に向けられており、そしてそこには当然
「マリアを助けてくれたこととお祭りでの食のお礼デス。命はとらないでやるから大人しくしてろデス」
弧仁を押さえ付けている切歌もいる
「調、今のうちデスよ」
「うん、切ちゃんはそのままでお願い」
倒れる響の元へ向かう調
「まっ、て」
「例え弧仁の友達だとしてもコイツは今私たちの敵だから「ち、がう」・・・ごめんね」
それでもなお言葉を続けようとするが切歌によって更に強い力で押さえつけられる
これ以上、弧仁を傷つけるわけにはいかない・・・それでも下を向いていればこれからやることも見なくて済むだろう
そう思いながら調は自身のギア「シュルシャガナ」の刃を響に向けるが
「!」
「うっ、うぅ・・・」
キィィィンッ、キィィィンッ・・・
意識を取り戻しかけている響の胸から身体へと光が脈を打つ
『強めに呪力当てた。それでもその呪力を胸のガングニールが圧殺したのか』
「ガングニール」が弧仁の与えた呪力を圧殺し、その装者を目覚めさせようとしている
そもそも気絶しているのにまだ響はギアを纏っている、その時点でおかしいのだ
『それこそ領域展開くらいしないと押さえ込むことも不可能なレベルか』
「やめ、て、調も、あぶ、ないっ!」
「ッ!・・・それでも今やらないと!」
「ならそんな貴女にプレゼントですよっ!!」
いつの間にかこちらに戻っていたウェルが調の首筋に、ガンタイプの注射器を打ち込んだ
プシュッ
「っ!?」
「お前っ!なにを「貴女にもです!」っ!?」プシュッ
突如調を襲ったウェルに憤慨した隙に切歌も同様の無針注射器を打たれた
「ッ!、ひび、き・・・」フラフラ
それで緩んだ切歌の腕から逃れて響に近づく
「ぐっ、うぅぅ・・・」
響は何かに耐えるように苦しんでいる
エネルギーを押さえられず苦しんでいるのか、それともガングニールの融合に苦しんでいるのか・・・とにかく一時的にでも苦しみを取り除くために呪力を込めようとしたが
「もう、一回「させるわけがないでしょうっ!!」!?」
ドガッ!!
ウェルに蹴り飛ばされ、あっけなく地面を転がる
突然の衝撃に必死に押さえていた頭痛が解き放たれ、立ち上がれない
「どういうっ!わけかっ!知りませんが!」
ドカッ!ドカッ!ドカッ!
何度も弧仁の身体を蹴り続ける
「えらく弱っているようですねぇ!!?」
グリグリグリッッ
終いには弧仁の頭を踏みつけた
「ぐぁぁぁぁっ!!!」
痛む箇所に衝撃を与えられ、更に増す激痛
「やはり貴方が英雄であるなど間違っている!!貴方を打ち倒しっ!ワタシこそが英雄になるっ!!」
「お、まえ・・・」
今までの鬱憤を晴らさんばかりに弧仁を痛め付ける
「そして見よっ!!リンカーの連続投与によりっ!無理矢理適合係数を上げたイガリマとシュルシャガナを!!」
「!、リン、カー?」
聞き覚えのある薬品の名前
それはシンフォギアを纏っていた奏がギアの適合係数を上げるために打ち込んでいた薬品
しかし無理矢理上げたら、そのバックファイアは大きくなる代物
「っ!まだ効果時間にはまだ余裕があるデス!!」
「だからこそ!ここでこの偽物の英雄とバケモノを確実に倒すためには貴女達の適合係数を引き上げてもらわなければならないんですよ」
それで起こる副作用は度外視するウェル
そうする必要が切歌と調にはある
「あのオバハンの病気の治療には生科学者であるボクの治療が必要不可欠!さぁっ!限界を超えてボクを助けてみせたらどうですかっ!?」
「「「!!」」」
二人にとって大切な存在であるマム・・・ナスターシャの命のため
「っ・・・やろう切ちゃん、マムの所にドクターを連れ帰るのが、私たちの使命だ」
「絶唱、デスか」
「そう、YOUたち歌っちゃえよ
適合係数が天辺に届くほどギアからのバックファイアを軽減できるのは実証済み!
更に!より高いフォニックゲインは呪力を圧殺することも確認済みっ!!
リンカーぶっぱした今なら絶唱も歌い放題!!」
「や、め・・・」
「んん?なにかおっしゃいましたかぁ!!」
「め、ろ・・・うた、うな」
「小さい声では聞こえませんねぇ、人と話す時は大きな声で話すと教わりませんでしたかぁ?
!そうだぁ、貴女達二人も大切な家族に聞かせてあげてはどうです?
小さな声しか出せず、言葉に障害を抱える彼に大きな声でこうやって歌を歌うのだと、教えてあげなさい」
「!」
「は?」
「一体なにを・・・?」
「まだ聞いていなかったのですねぇ、果たしてボクの口から告げていいものか・・・どう思いますか幸詞くぅん?」
「!」
音だけでは分からないことをいいことにウェルは自分の名を呼ぶ
間違いない、二人に自分の正体をバラすつもりだ
マムから聞いたのかもしれない・・・だけどこんな状況で暴露されてしまっては切歌と調の負担が大きい
現に二人は今過剰に上がった適合係数、リンカーのオーバードーズによる負荷がかかっているのか、かなり辛そうだ
「さっきから長々と・・・とっとと勿体ぶらずに話せデスっ!!」
「それに弧仁から足を放して・・・いくら貴方でもそれ以上は許さないっ」
ウェルの言動行動に苛立つ二人を見て響やクリスのことを弧仁に伝えなかった緒川や擬きの気持ちがようやく理解できた
例え知っておいた方がいいことだとしても、時期を見誤ればそれは毒となる
たださえリンカーという身体への毒を注がれた二人に今度は心への毒を注ごうと言うのか
ふざけるな
「おっと、失礼・・・それでは聞かせてあげましょう!!」
そんなこと、させてたまるか
そのためなら、自分の全てを使ってでも・・・コイツを潰す!!
「彼こそは貴女たちの生き別れた「おい」んん?」
ガシッ!
弧仁の手がウェルの足を掴む
「いつまで、誰に、足乗せてんだよ・・・死ぬか?」
メキメキ・・・骨が軋む音が鳴り始めた
「うぁぁぁぁ!?」バッ
痛む足を慌てて離すウェル、そうしてゆっくりと上体を起こし、手を握り開きしながら身体の調子を確認する
「ちゃんと目覚めたから記憶もハッキリしてるね・・・なるほど」
そしてゆらりと立ち上がる弧仁・・・「じゃない」
「調?」
「貴方は弧仁じゃない・・・貴方は誰?」
その雰囲気に違和感を覚えた調が問いかける
「へぇ分かるのか、その通り、俺は弧仁じゃない・・・ましてや擬きでもない」
蒼く輝く両眼で辺りを一瞥し、嘲笑を浮かべ・・・語る
「俺・・・いや僕?は五条悟、最強の呪術師だよ」
ついに顕現した最強・・・しかし
「おいそこの伊地知似のメガネ」
「ひっ、ひぃぃ!?」
「なにそんなに怯えて・・・ってそっか、お前、ってか君に対して何度か出てきたっけ?」
「な、なにが目的だっ!?」
「別に、なにもないよ。ただ折角目覚めれたんだから色々確認しとこうかと思って
・・・んー?ダメだな、どうにも口調が定まらねぇ・・・まぁ受肉したばかりだしな」
戦闘中にも関わらず、それを感じさせないどこか怪しさを感じさせる様子の五条悟
「五条悟って、確か五条弧仁の中にある魂のことじゃなかったデスか?」
「よく知ってるね、目隠しに籠っていたのは魂じゃない五条悟の情報だ。それがこの風鳴、違う櫻井、いや五条だな。五条弧仁を書き換えたんだよ」
「それでもそれを抑えるための存在がいたはず・・・擬きはどうしたの」
「擬き?あぁ、勝手に生まれた変な存在のことだね。つくも神みたいなもんだよ。
そして目隠しに宿ったアレこそ五条弧仁のもう一つの魂と言っていい・・・ただアレは装着者との距離が近くなって一体化してしまった、その結果これってわけだよ」
「待つデス!それならアイツ(弧仁)は!?」
「僕(五条悟)に塗り潰された、でもどうやら弧仁の記憶は引き継いだみたい。だから君たちのことも知ってるよ、思い出とか関係についてもね」
「思い出?それに私たちはただの知り合い「初めて一緒に食べたのはクソ薄いカレーだったね」は?」
「その前に初めて会った時に兄弟の契りを交わしたね。どっちが姉か兄かで喧嘩にもなったけど、それで結局皆マリアの弟と妹ってことで落ち着いた」
「!なんで、それを知ってるんデスそれはこーじとの」
「こーじ?あー、あの頃って漢字よく分かってなかったっけ?でも幸せの詞(ことば)って意味は何度も聞いたでしょ?」
「「!」」
・・・「俺の名前?、えっと・・・確か幸せの詞(ことば)って意味らしいんだ。」
あれはなんとなく名前の意味を考える機会が会った時のことだった
レセプターチルドレンとして研究所に送られた時点で記憶を失っていたり、名前も適当につけられたりするのだが、幸詞は少し違った
たまたま手持ちの荷物の中に名前を記された物をみたマムがそのままつけてくれたそうだ
「マムは「貴方の人生が幸せな詞(ことば)で溢れるように」って意味だって言ってた」
もう顔も名前も声も思い出せない両親がつけてくれた名を幸詞は大切にしていた
・・・そのことまで知っているこの存在は
「な、なら弧仁は、まさか・・・」
「私たちの知ってるこーじなんデスか?」
「そのとおり!・・・ま、成長して顔立ちも変わるし、声もあんなだったし、髪も白くなったし立花響も初めは気付けなかったくらいなんだから気にすることはないよ」
「う、嘘デスッッ!!そんなの、だったらなんでこーじはアタシ達に黙って「初めは記憶がなかったからなんだけど・・・記憶を少し取り戻してからはナスターシャとマリアに頼まれたからだよ」!!」
「マムとマリアに・・・なら二人は知ってたの?」
「うん。ナスターシャ教授はすごいね、五条弧仁のことを一目みて分かったんだってさ」
「な、なんで・・・どうしてデスか!?マム!マリアッ!!」
「?、あぁ、通信してるのね」
しかし、マムからの返事がないようで・・・
「ッ!なにか言ってくださいっ!!」
怒鳴る切歌、その様子を見てられなかったのか、五条悟が動いた
「まぁまぁ・・・そんな攻めてあげたら可哀想だよ」
ギュンッ、いつの間にか五条悟の手に合った通信機が壊されていた
「「!」」
「ナスターシャ教授とマリアも、君らのことを思って口止めしてくれたんだから」
「っ・・・でも、もうこーじはいないんでしょ?」
真実を知った時点でそれを告げたのは幸詞だった者
もうその存在はかき消されてしまったのだから
「まぁそれはそうなんだけどね?で、どうする?僕としては・・・うん、やっぱりこっちの口調の方がしっくりくるね、こっちでいこうかな♪それで「「・・・♪~♪~」」おっと」
俯いていると思っていた切歌と調がなにやら歌っている
この状況でまだ心を折らず戦意があるのかと少し感心したが・・・
「これは絶唱か、それに・・・そんな感情で歌われるのは流石に堪えるね」
「(呪力とフォニックゲインはより出力の高い方が圧殺する)」
「(それなら、今のアタシ達の絶唱なら、こーじを取り戻せるっ!)」
悲痛な決意と共に奏でる絶唱・・・それを奏でる二人の瞳からは涙が流れ続けている
「・・・多分これまずいよなぁ「そうだ!それでいいっ!やってやれー!!」うっせ」
ゴンッ!!
煽るウェルに拳骨を放ち、歌う二人をみて思案する
「絶唱、フォニックゲインを高める自爆技ね。ギアとの適合率が高ければバックファイアは薄くなるとはいえ、リンカーだよりじゃ意味ないんじゃない?、歌った君達死ぬかもしれないのにそれでも歌うの?」
「「♪~♪~♪~!!」」
「ふーん、そっか」
この二人に他者を殺める程の覚悟はなかったと記憶していたが、忠告を聞いても尚歌い続ける切歌と調の二人からは本気の覚悟を感じえなかった
それには答えなくてはならない
「守るべき若人とはいえ、助けるつもりはないよ・・・っていうか、流石にこうなってくると僕にもどうなってしまうのか分からないからね」
右手で印を組む
うまく行けば二人の絶唱を圧し殺し、バックファイアも抑えられるかもしれない
賭けかもしれないが、ただでやられるつもりもないので、本気でやり返す
「領域展か「弧、仁」!?」
ポスッ、いつの間にか立ち上がっていた響が五条悟の右肩に触れた
無限を張っていて触れられないはずの身体に触れたのだ
息を荒げ、立っているのもやっとの様子の響がだ
「(無限を圧殺し触れるほどのフォニックゲインに溢れている?)「私が、やるから」?」
真っ直ぐに切歌達を見ているので弧仁でないことに気付いていないようだが、言葉は強く・・・同じ覚悟を感じた
「私ならできる、からっ・・・♪~♪~♪~」
そういって奏でる歌は絶唱
「?、なにするつも・・・!!?」
響の行動に疑問符を浮かべたところで最後まで言いきる前に頭が痛んだ
「おいおい、まだ取り返せるのか・・・君も、面白いね。もう混ざってるのに、なお成長してるのか・・・いいね、返してあげる」
・・・
「エネルギーレベルが絶唱発動まで高まらない・・・っ!」
「減圧・・・っ!」
絶唱により展開していたアームドギアが元に戻された二人
そのエネルギーは同じく絶唱を奏でるに吸収されていた
響のアームドギアでもある「誰かと手を繋ぐ」こと、それにより絶唱すらコントロール力がある
今響が行っているのはその応用、調と切歌の高めたフォニックゲインをその身に抱え込み己の物としているのだ
しかし、それは同時にバックファイアすらも抱え込むということ
ただでさえ溢れていたエネルギーが響の身を襲い続ける
「(二人に絶唱を使わせないっ)セット!ハーモニクスッ!!うぉぉぉ!!」
フォニックゲインは虹色の竜巻となり、空に逃がされた
そうしているうちに竜巻は治まったが、響の身体は発光しており、立ったまま気を失っている
「どうなってるデスか・・・」
「とにかく今のうちにこーじを「逃げ、て」!」
響の隣に立っていた五条悟が口を開いたが、二人に向けられたのは優しい口調と片眼の六眼の眼差し
「こーじ、なの?」
「本物デス、か?」
「うん・・・だけど、今は、引いて、マリア、達、来てる、と、思う。それに、翼、ちゃんと、クリス、も、くる」
「「!」」
ババババババッ!!!!
驚く二人の頭上に、マリアとナスターシャが乗るヘリが突然現れた
ハッチが開き、ロープが降りてきた
「ッ!こーじは、来てくれないデスか?」
「ごめんね、切歌」
申し訳なさそうに謝る
「アタシはこーじにひどいことをたくさん「いい、んだよ」でもっ!!」
「それは、また、話せば、いい」
「ッ!「今は、行こう切ちゃん」調、っ!」
「今は、行こう・・・また会える」ポロポロ
また涙を流しながらも、己の為すべきことを為そうとする調
「っ!、絶対・・・絶対また会うデスよっ!!」
「うん」
そうして、二人(後ウェルも担がれて)がヘリに乗って帰っていくのを確認してから、視線を響に移す
「ごめん、ね、また、せて」
ジュウッ
響から漏れだしている異常なエネルギー、それが発する熱で差し出した手が焼ける
シュンッ
その手を反転術式で治す
今はとにかく響を救わなくては・・・それを繰り返していると
「響ぃっ!!」
「未来?」
寸前まで響と一緒にいたのだろうか、未来が駆けつけた。
しかし
「!、弧仁!!」
「!、来ちゃ、ダメっ!!」
「!?」
呪力を扱える弧仁でなんとか耐えられている熱、それを生身の未来が耐えられるわけがないのだ
「大、丈夫、響は、俺が、助ける」
「でもっ、それでもっ!「バカっ!火傷じゃすまねぇぞ!!」クリスっ」
それでも二人に近づこうとする未来をようやく駆けつけたクリスが止める
「お前もなんとかするなら早くしろっ!!」
「うん、その、まま、お願い」
ジュウゥゥゥゥ・・・シュウゥゥゥゥ・・・パシッ
そうしてようやく手が響に届いた
後は呪力を込めるだけ
「大、丈夫、だから、ね。響」
聞こえているかは分からないけど、声をかけ続ける
奏との連絡で知った響の胸から生成されている響の体組織が結晶となったものを睨み付ける
こんなものに、大切な友人を奪われてたまるものかと、呪力を込めて響の身体に巡るフォニックゲインを圧殺する
「大丈夫、大丈夫・・・」
片手じゃ足りないと両手を重ねる
自身にかける反転術式も間に合わないと最低限の呪力で自身の身を守りながらも焼けていく皮膚を無視し、呪力を込める
「っ!くそっ・・・」
自身が傷つくことを厭わず、響を止めようとする弧仁・・・それが分かっていても、止めたくても、なにもできない歯痒さに悪態をつくしかないクリス、そこに
ブゥゥゥンッ・・・ダンッ!!
「やってやれ翼!!!」
バイクに乗って駆けてきた翼と後部座席に乗り込んだ奏がやってきた
そしてそのまま響と弧仁の近くにあったタンクを切り裂き、多量の水を降り注がせた
バシャァァァッ!!!
多量の水を浴びて急激に温度が下がった響の身体、ギアも解除されたが・・・
「せめて、これ、だけ、でも」
最後の呪力を捻り出して、フォニックゲインによるバックファイアを押さえ込むと、
ポロッ、ガシャッ・・・
響の胸元から生成されていた石が落ちた
それと同時に崩れ落ちる響の体を支えた
「私は立花を「俯くのは後だ」!、あぁ」
その光景を見て翼は駆けつけるのが遅くなってしまったことを悔いたが、奏が声をかけ前を向かせた
「響!弧仁!!」
「ごめん、未来。響、お願い」
倒れた響を未来に託す
「!、弧仁お前腕が・・・」
その響を支えていた腕は火傷などというレベルではなく焼けて爛れていた
「大、丈夫・・・起き、たら、治す、から」
「なに言ってんだ!反転術式でも時間が経った怪我は治らないんだろ!?」
奏の言う通りである・・・そしてそれに答えたのは
「・・・しょーがないなぁ」
明らかにいつもと違う声、それは五条悟のもの
「?先生か?」
「違うっ!誰だお前!?」
五条悟が初見の奏と違和感を感じ警戒するクリス
「!、貴様はあの時の」
しかし以前会ったことのある翼は気付いた瞬間には弧仁の腕が五条悟が治していた
「この身体は僕のものでもあるからね。もう一人の体じゃないんだから無茶しないでよ」
「・・・翼、コイツのこと知ってんのか?」
「後で話す。とにかく教えてくれ、お前は敵なのか?味方なのか?」
「そういえばまだ名乗ってないもんね。けどまぁ・・・名乗る程の者じゃないよ。それに君達はもう知ってるはずだしね。詳しいことは弧仁に聞きなよ」
「なにを「じゃーね」!おいっ!」
バタンッ、こちらの制止を聞かず意識を弧仁に返したのか弧仁の身体もまた崩れ落ちるように倒れた
「・・・なぁアンタらはコイツらのことなんか知ってんのかよ」
「立花のことは・・・すまないが知っている」
「だけど、アタシは弧仁のことに関して知らねぇ。翼、知ってること話してもらうぞ」
「あぁ、だがとにかく今は一度戻ろう」
もう立場がなどと言ってる場合ではないと、弧仁のことも連れていく
現状は分からないことばかり
だけどこのままでは大切な人が失ってしまいそうな危機感だけは・・・翼達、そして時を同じくしてマリア達も同じように感じていたのだった
現在の弧仁の状況
擬きとの一体化+五条悟の情報の侵食という事象が重なり、五条悟に塗りつぶされるという状態になってしまった
↓
その為、呪術を使う度に五条悟に塗りつぶされる感覚とそれに伴う頭痛を抱えながら行動することとなった
↓
そうしているとウェルにキレて、擬きとの一体化が完了してしまった
↓
結果五条悟に塗りつぶされたと思われたが・・・?
五条悟の目隠しの能力
五条悟の情報を受け入れることで呪力、術式、戦闘経験などをその身に宿すというのが本来の能力
しかし目隠しの実験で多量の呪力を注がれ続けてしまい・・・バグが発生、擬きという存在を生み出したと共にその能力が変化してしまい、目隠しを装着した者を五条悟のような存在に塗り替えるという能力に変わってしまった
擬きはそれを防ぐために生まれた存在でもあったが・・・弧仁との一体化によって防ぐ存在である擬きが消えて今の状況に陥ってしまった