背中に突きつけられたガングニールの槍
しかしそれが以前の戦闘のように弧仁を貫くことはない
「(槍が当たらない・・・いや違う、近づけない)無限のバリアってやつね」
目隠しの侵食により高度になった呪術
それにより戦闘に併用できなかった無限のバリアも常時貼られているのだ
マリアが現れたことで緊張の糸が切れたのかウェルが気絶している・・・がそんなのはどうでもいいのでマリアの方を向き直す
「・・・引いてくださいマリアさん」
「その口振り、どうやら切歌と調の話しは本当のようね」
「二人からはどこまで聞いたんですか?」
「貴方が幸詞とは別人格であるということ、そして・・・そして聞いてはいないがここにいる理由は、彼女(未来)を探しに来たということではない?」
「・・・」
「突然二人が慌てた様子で貴方のことを話すものだから、明らかに違和感を感じた・・・察するに私の足止めが目的、そして貴方が来るとすればここしかない」
「二人は?」
「少し外に出ると言って来た・・・今頃一安心してるでしょう」
「それで?その槍でどうするつもりですか?」
「もちろん、貴方を止めるためよ・・・私たちの活動には神獣鏡、そしてそれを扱うことのできる彼女が必要、なんとしてもここは死守させてもらう」
「そうですか、でも本当にできると思います?」ズズズッ
「ッ!?」ゾクッ
弧仁から発せられる呪力の圧力
「っでも、今の貴方は弱体化している」
「でも、貴女一人倒せないほど弱っているわけではない。現に今の貴女では俺に触れることもできませんよ」
「それはその通り・・・だけど、ここで引かない!!」
キンッ!!
「たとえ貴方に敵わなくても私は戦う!世界を救う力を得る!そうしなくては・・・セレナへの誓いも果たせないっ!!」
キンッ!キンッ!
何度も突きつけられる槍、無限に阻まれようと、何度も迫る
当たらないと分かっていたとしても何度も突き立てる
「・・・決めたんですね、覚悟」
「えぇ、ようやくね。遅すぎるかしら?」
「覚悟に遅い早いはないですよ」
「なら弧仁!!貴方も自身の力を示せ!!世界を変えることも容易いその手でなにを為す!?」
ガシッ
無意識に貼っていた無限のバリアを解いた
このくらいのことならなんとかできる
血が滴る手、そんなものには目もくれずマリアに向き直る
「俺はただ守るだけ」
自分が見つけた大切な人を、
自分が大切にしてた人を、
ただ守りたい
「だから、貴女のことも守りますよ」
「っ!戦わないというのか」
「だって今の貴女は無理してるようにしか見えないから」
「ふざけるな!!!」
ズッ!!
槍の刃先を握っていた弧仁の手から槍を引き抜く
パタタッ・・・血の点が地面に広がった
「私はもう引き返せない!!ドクターの計画の元、私たちの力を世界に見せつけその子の力を使ってフロンティアを起動させる!
それこそが世界を救う唯一だ!」
「それを、一人でやるつもりですか?」
「っ!!」
「ナスターシャ博士は?切歌さん、調さんは?・・・貴女一人が世界を背負おうとすることを貴女を大切に想っている人達がそれを望みますか?」
「っ!、それでも・・・私は!!」
ブンッ!!振り上げられた槍、それに身構える弧仁だったが
ジャキッ・・・槍が向けられたのは弧仁ではなくマリア自身
「ッ!?」
「ここを引け、でなければ私は死ぬ」
首筋に槍の刃を添える、切っ先が少し当たり血が流れる
「貴方が幸詞との約束のために守ると言うのなら私の命は見捨てられないはず!!引きなさい」
マリアの瞳に見える覚悟は本物、弧仁が行動すれば間違いなく自死するだろう
「(仕方ない・・・か)」
右手の指を動かす
呪術を使うと頭痛と共に目隠しに乗っ取られる感覚に襲われるが・・・今のマリアを止めるにはこれしかない
「(マリアさんを対象として領域を展開する。バックファイアは考えたくないけど・・・やるしかない)」
追加された五条悟の領域展開の使い方
0.2秒の領域展開でマリアを気絶させる
そしてウェルを連れ去り、別の場所で尋問を仕切り直す
今の自分ならそれができる
「(自身を犠牲にする覚悟なんて、誰も救えないんだよ、だから今は俺が止める)領域展・・・っ!!?」
ビキビキビキィッ!!!
「ぐっ!?がっっ!?」
「幸詞っ!?」
頭痛ではなく、体中を走る激痛
「(なんだっ、なんだこれっ!?)」
領域展開はまだ行っていない、だからこの痛みに目隠しは関係ない
だとしたらなにが原因だ?
なにが引き金になった?
痛みが走ったきっかけは・・・
「ぐっ・・・あがっ」
痛みに思考が途切れ、耐えきれず膝をつく、そんな弧仁に
ガシャンッ!!
「しっかりして!!まさか目隠しによる侵食!?それなら起きなさいドクター!!神獣鏡なら幸詞を!!」
マリアが自身に向けていた槍を投げ捨て弧仁に寄り添う
「ははっ、そっか、そういう、ことか」
つい先ほどまで敵対していた自分を心配するマリア、
フィーネの器として偽っていた時とは違う
追い詰められ、力を望み、示そうとした先ほどとは違う
この優しさこそが本当の彼女
それに触れて、痛みの正体が分かった
「これは君からの罰か、幸詞」
「?、なにを?」
「いや、約束を違えようとしたのは俺か・・・マリアさん、貴女の言う通り今は引きます。どうやら俺は貴女達に勝てないみたいだ。」
「勝てない?それは一体「大丈夫です。二課にこの場所のことは言いません」貴方本当になにを言って」
少し引いた痛み、なんとか立ち上がれた
視線をカプセルにいる未来に向ける
「(ごめん未来、少しだけ待っててね)」
未来のことを放っておくことになってしまうが
今の状況では自分に未来は救えない
「約束は大切ってこと・・・あぁウェルが起きたら言っていてください。未来に何かしたらマジビンタって」
フラフラとした足取りで部屋を抜け、ヘリを出る
マリアにその背中を追うことは何故かできなかった
・・・
切歌、調、ナスターシャに会うことはなく、痛みでフラフラする頭を抱えたまま歩く
もう空は暗い、かなり時間が経っていたようだ
ガチャ、フラフラ・・・バタンっ
たどり着いた部屋は響と未来の家
なんとなくここに来てしまったが、響はいないようだ、まだ二課にいるのだろう
二人の匂いがする部屋はとても落ち着く
もちろん慣れ親しんだ弦十朗の家や一緒に色々揃えて作ったクリスの家も落ち着くが・・・
疲れた瞳を閉じると頭に浮かぶのはカプセルの中で眠る未来とガングニールに侵食される響
響の状態を知っている以上、未来の気持ちも分かる・・・もちろん助けたいが自分にはできないことが分かってしまった
「情けないけど、頼んだよ響」
自分と響のひだまり、未来
そのひだまりの帰りをただ待つことしかできないことがひどく歯痒いが・・・響を信じ、そしてその時が来たときは隣で戦うと決め・・・意識を手放した
ギリギリセーフのメリークリスマス
幸詞編
「今日はごちそうデース!!」
クリスマスだからかなんなのか研究所でのご飯が少し豪華になった
具体的には小さなチキンとケーキがでてきた
「落ち着いて、口についてるよ切ちゃん」
「えへへ、ありがとうデス調」
正直いつものご飯とあんまり変わらないけど、なんだが嬉しかった幸詞は
「俺甘いの嫌いだから切歌と調にケーキあげるよ」
幸せのおすそわけがしたくてケーキをあげたのだった
その後マリアとセレナからケーキを半分ずつ押し付けられました
弧仁編(小学生)
『おっはよー!弧仁!!ほら起きて起きて!』
「?・・・!!」
クリスマスの朝、枕元にはプレゼントが置かれていた
「!、!?、!!」
『おおー喜んでるねー・・・え?誰からって?もちろんサンタさんさ!!』
「?」
『いっぱい悪いことしたのにいいのかって?いやいや弧仁がアウトなら全国の小学生全員アウトだよ。とにかく開けてごらんよ!ほらほら!』
「!」コクッ
・・・その後
「なぁ、弦十朗のダンナあれはツッコミ待ちなのか?」
「いや、喜んでもらえたのが嬉しくてツッコめなくてな」
「♪」←プレゼントの変身ベルトを装着しながら朝御飯を作っている
この後響と未来にも見せにいきました、カッコいいと褒められて更にご機嫌になりました