「響っ、孤仁・・・」
止めどなく涙を流す未来
それでも神獣鏡のギアは容赦なく響と孤仁に矛先を向けている
今動かないのは恐らく現れた響の危険度を計るために様子見をしているのだろう
「孤仁、まだ動ける?」
「結、構、痛い」
「そっか、でも死なないでね」
一旦孤仁を休ませるためにその場に孤仁を座らせる
「無茶、言う、ね」
「孤仁は大事なことを言わなすぎ」
「響、が、言う?」
「じゃあお互い様で」
現在の孤仁は術式の大半が消し飛び、呪力が上手く練られない状態である。加えてかなり身体が痛む
それでも響は生きろと語り、聖唱を歌いギアを纏い、そして駆け出す少し前に孤仁の方を振り返り・・・
「死んでも生きて帰るよ。三人で一緒に」
いつもと変わらぬ真っ直ぐな瞳で告げた
「もち、ろん」
「うん、約束だよ・・・じゃあ、行ってくる!!」
ダンッ!
強く踏み出し、未来の元へ駆ける響
見送るだけではいけないと、孤仁ももう一度立ち上がるために身体に力を込めながら、今必要な呪力を少しでも捻り出す
「(呪力は、負の感情から捻出される)」
それは一番始めに教えてもらったこと
『そうだね、怒りや恐怖みたいな感情だよ・・・君はここに来てなにをされた?思い出してみろ』
あの時は簡単に出せた呪力・・・しかし
「(だめだ、もう空っぽだ)」
ほんの僅かも出ない、神獣鏡の光の影響なのか先ほどまでのギリギリの呪力までもが無くなった
聞こえる戦闘音に片目でも範囲内で見えてしまう響と未来
早くそこに駆けつけるために・・・首元に降ろしていた目隠しを引き上げる
「(いるんでしょ?)」
自分が本当やりたいと望むこと、それを一番に望んでくれて応援してくれた人がいる
「(お願い)」
その人は初めてつながりをくれた人
名前をくれた
力をくれた
たくさんのことを教えてくれた
時に叱り、見守り、助けてくれた
そんな人がいた
「(これで最後になったっていい!俺は!)・・・守り、たいぃ!!だから、お、願い!!」
孤仁の声に答えるように・・・目隠しが蒼く怪しく光出す
呪術に携わるものにしか見えないその光は・・・
・・・二課仮設本部
「響ちゃんと未来ちゃんの戦闘開始を確認!」
「カウントダウン開始します!」
ガングニールに侵食されている響がギリギリまで戦うためのカウントダウンが始まる
響の狙いは神獣鏡の光を利用して、未来のギアを解除すること
そしてそれを可能にできる時間は僅か二分強
「よし・・・奏君!孤仁の救出を急げ!!」
先ほどからの映像で座りこんでいる孤仁、
作戦遂行と人命救出のために海上で人命救助に当たっている奏へと指示を飛ばす・・・しかし
「旦那、その必要はない」
「!?なにを言ってるんだ!?」
返ってきた言葉は否定の言葉
「むしろ早く離れないと巻き添え食らうから船をもう少し離したほうがいい」
海上にて周囲のノイズを殲滅し、艦隊の乗組員を逃がし、次に向かう・・・しかしその瞳は遠くからでも分かる程、呪力が立ち上る方を見ていた
これは呪力に目覚めたから見ることのできるもの
「奏君・・・なにが見えているんだ?」
「言っても見えないさ・・・けど孤仁には最高の味方がいるだろ?」
奏は孤仁が切歌と調の一件移行、擬きがいないことを察していた
いつもの孤仁からは二つの呪力が見えていたのに、それが一つになっていたから察してしまった
それを告げてしまっては自分も孤仁も辛いから・・・黙って、誤魔化していた
だから・・・先生はもういないのだと、思っていた
「!!まさか!」
「・・・アンタにとったら孤仁こそが唯一の生徒なのかもしれないけどさ・・・アタシだってアンタの生徒のつもりなんだよ・・・だからそろそろ起きろよ!!」
そして・・・場所は違えど、時を同じくして孤仁と奏の叫びが重なる
「「先生ッ!!!」」
・・・
「お願い、もうやめて!!」
「嫌だ!離さない!もう二度と離さない!」
自分で攻撃の手を抑えられぬ神獣鏡
抑えられぬ熱を発するガングニール
戦況は光弾を放つ神獣鏡に対して響は距離を詰めきれない
「こんなことしたくない!響も孤仁のことも傷つけたくないのに!!」
「分かってる・・・そんなこと分かってる!」
自我があっても止められない未来
自我に関わらず止められない響
ヘリから射出されたシャトルマーカーと呼ばれる兵器が神獣鏡の光を集め、響に迫る
更にガングニールの侵食による熱と身体から結晶が延び続けていく・・・それは限界の兆候
それでも響は手を伸ばすことをやめない、諦めない
「一緒に帰るんだ!!未来も孤仁も、皆で!!!」
その声に答える声
「その、通り」
「「!!」」
突如聞こえたそれは、聞きなれた声
そしてそこには
「ごめん、遅く、なった」
「孤仁!」
手を組み、宙に浮かぶ孤仁
飛行ができない響を掴み、一つでも当たれば致命傷になる一撃を掻い潜り続ける
「なんで来たの!?もう孤仁は限界「親、友、を助け、るのに、理由、いる?」!!」
「それから、二人に、言い、忘れた、ことと、聞き、忘れた、ことが、あって」
「この状況で!?それより孤仁!離して!」
ガングニールの熱が孤仁を襲ってしまうと感じたが、以前のように孤仁を焼くことはない
「大、丈夫、今は、ね」
「?どういうこと?」
「・・・未来も、おいで」
そっと聞き誤魔化し、未来に手を向けて・・・
「術式、順展、『蒼』」
バキバキバキッッ!!ギュンッ!
「!」
一瞬でアームドギア、そして飛行ユニットが破壊されて、ギアインナーだけの姿になった未来・・・落ちると思いきや孤仁の方に引き寄せられ、その身体を掴まれる
二人を抱えることとなったが光を出す本体(神獣鏡)がなくなったことにより、薄くなった光の弾幕を余裕で避けながら・・・その残った光達が一つに集まっていくのを確認した
恐らく、あの光を使ってなにかを行うのだろう。それが武装集団フィーネの最終目標だ
だったらその光を借りよう
「あのね、未来、響・・・お願い、が、あるんだ」
「?、なに?」
神獣鏡の光が一つに集まり・・・編まれていく
響と未来を救うためにはこれしかない
言い残すことはないように、話す
「俺、を、助けて」
「「!!」」
最後の望みを
「あの、光に、入れば、俺、達の、呪いは、全部、祓える」
凶祓いの神獣鏡の力の強さはよく知っている
・・
孤仁のまた始まった五条悟の侵食も
響のガングニールの侵食も
未来のギアとそれに纏わるものも全て祓えるだろう
「けど、一人、は、寂しい、から」
ずっと先生が言っていたこと、これを聞くたびにそう思って動かなくてはと奮い立てた
今も同じだ、だけど怖いから
「だから、お願い、俺を、助けて」
助けてほしいと、素直な気持ちで言うことができた
「孤仁、私からもお願い」
「私はこんなことを起こしちゃったけど・・・お願い」
「「私達のことを助けて、孤仁」」
二人から助けを求める声が返された
・・・
いつか誰かが言った
「救えるのは他人に救われる準備がある奴だけ」と、
この三人はそれができてる、互いを助け、互いに助けられる準備ができている・・・もう怖いことはない
・・・
「!・・・もちろん。それ、じゃあ・・・またね」
光に向かって進む、落ちないように離さないように互いをきつく抱き締めながら
「うんまたね!」
「絶対にまた会おう」
カッッッ!!!!
遂に祓う光が三人に降り注ぐ
その眩さに目を閉じた孤仁の耳に・・・
『よく頑張ったね孤仁・・・後はまっかせなさい!!』
ようやく聞こえた先生の声が響いた
詳細な設定的なの
・まず神獣鏡の効果について
原作では聖遺物の分解、元の姿を映し出すといった力を持ち、バラルの呪詛すらも祓う凶祓いの力をもつ神獣鏡・・・このとことから「呪い」にカテゴリされるものは全て祓うことができる・・・という設定です
・今回の孤仁
前回神獣鏡の光を「身体」で受けた孤仁、その結果その身を侵していた目隠しの侵食がなくなっただけでなく、身体に刻まれた術式と呪力を中途半端に祓われてしまいました。
呪力は既に孤仁にとっては必要なエネルギーのためにそれを祓われてしまった孤仁は瀕死でした
しかし神獣鏡の光を受けたのはあくまでも孤仁の「身体」でした。
身体に光を受けた時点で「目隠し」と「孤仁」の間にある呪いは無くなり、「目隠し」は初期状態に戻っていました。
つまりもう一度使用者のいない特級呪物に戻ったのです。そしてそれをもう一度装着したことで孤仁は呪われて呪力を復活させました。
着けた途端に孤仁の呪力が復活したのはもちろん擬きのおかげ、擬きの呪力を分けてもらいました
しかしもう一度、侵食が始まってしまいました
・孤仁が響と未来を連れて突撃したわけ
前回より目隠しの侵食と響の状態を考え、一刻の猶予もないと判断、そして未来をこれ以上苦しめたくないから手っ取り早く回復する道を選び、突っ込みました。
それぞれの問題を一気に解決するにはこれが一番手っ取り早かったのです(安否は問わず)