フロンティアを守護する切歌、その切歌を止めたい調そして二人を止めるために弧仁が参戦した
ブォンッ!ブォンッ!!!
「このっ!!」
「・・・」
鎌を振るい弧仁に斬りかかる切歌
しかし汗一つかかずそれを避け続ける
「ッ!攻撃もせずにフラフラと・・・ふざけるな!!」
グググッ・・・上からの大振りの一発は無下限バリアで届かない
「・・・さっき、から・・・いや、前、から、なにを、焦って、いる、んだ」
「!!」
「よく、見ろ!お前、が、今!刃を、向けて、いた、のは、誰、なの、かを!!」
バッ、弧仁の言葉で一度後退したが・・・依然として交戦の姿勢は解かない
先ほどの言葉のとおり、以前から切歌は何かに焦っているように感じた
「そんなもの・・・言われなくても分かってる!アタシが守りたくて・・・アタシの大好きな調デスッ!!」
「切ちゃん・・・」
「そして、それから・・・最初は嫌いだった・・・けどアタシの大切な兄弟を守ってくれた恩人デス」
「・・・」
「だけど・・・もうすぐアタシはアタシでなくなるデス!だからそれまでに調やこーじ達に忘れないでもらうため、皆を守るためにはこうするしか!!」
ザンッ!
「!?なんで、君で、なくなる!?」
弧仁もつい先ほどまで襲われていた自分が自分でなくなる恐怖
「なにが、君を、蝕む!?」
その恐ろしさはよく知っているが・・・なぜ切歌が?
「・・・ずっと、フィーネの魂はマリアの魂に刻まれていたと思ってた・・・だけど、それは違った!!」
その口振りから察せられることは・・・
「切ちゃん、まさか」
「切歌が、フィーネ、の?」
「・・・そうデス、マリアじゃなかった!フィーネの刻印が刻まれていたのは、アタシだったんデス!」
「「!?」」
「以前工事現場の資材が崩れてきた時によく分からない力で調を守ることができた・・・けど、それはフィーネの力だったんデスッ!」
「・・・そんな、ことが?」
「その時私は気を失ってたからあんまり覚えてない・・・だけど、そんなことになってたなんて・・・」
「だから、もうすぐフィーネの魂に押し潰されてアタシでなくなる前に・・・なにかを残すためにも、調を守るためにドクターの!「いらないっ!」!」
「どんなに平和でも!どんなに幸せだとしても!大好きな切ちゃんがそんな私は世界いらないっ!」
切歌と幸詞、そしてマリアやマムと共にいたいと願う調の気持ちが切歌を遮る
「!?、でももう・・・そうするしかないんデス」
「なら、俺が、させない」
そして次は弧仁が遮る
「っ!なんで、お前はそこまでして・・・幸詞でも、アタシたちの家族でもないのに!」
弧仁と幸詞は違う
それは切歌も分かっている
例え幸詞との約束があるとしても、なぜここまで命を賭けて戦うのか・・・そんなことは決まっている
「暁切歌、が、優しい、から、だよ」
「!!」
「俺が、幸詞を、塗り、潰して、生まれたって、言っても、君は、責め、なかった。守って、くれて、ありがとう、と言って、くれた・・・俺は、その言葉、に、救われ、た」
「!!」
「周り、や、他は、どうでも、いい。俺は、ただ、君たちを、守りたい
俺は、幸詞、じゃない、だけど、彼の、意思を、継ぐと、決めた
そして、他、ならぬ、弧仁、として、君を、守りたい」
「私が大好きで側にいてほしい人もフィーネじゃない、切ちゃんだから・・・だからもう止めよう切ちゃん・・・ドクターのやり方じゃ誰も救えないんだ」
「・・・それなら、力ずくで止めればいいデス」
「「!」」
そう言って懐から注射器を取り出した切歌
「ままならない思いは力付くで止めるしかないじゃないデスか・・・」
それには見覚えのある薬品・・・リンカーが充填されており、それを首筋に刺し、注入した・・・そうして上がる切歌のフォニックゲイン
この状況から導きだされる答えは・・・
「切ちゃん!それを歌っちゃだめ!!」
「♪~♪~♪~」
シンフォギア捨て身の大技・・・絶唱
「!」
それは弧仁の大嫌いな歌・・・この歌はいつだって、弧仁の守りたいものを傷付ける
『ボーッとしない!とにかく止めるよ!』
歌い始めた以上手段は選べない、切歌の上昇したフォニックゲインを呪力で押さえ込むために駆け出すが
ビキィッ!!!
「ッ!!?」
「弧仁!?」
その駆け出した全身に痛みが走り、蹲る
覚えのあるこの痛みは・・・
『!!幸詞との縛り!?』
「くっ、よく、見ろ・・・止め、ないと・・・切歌が!!」
どんな理由であれ切歌に危害を加える、といった行為が縛りを違えたと判断され、罰が振りかかる
「絶唱にて繰り出すイガリマは相手の魂をも刈り取る刃・・・これなら分からず屋の調からほんの少し負けん気を削り・・・そしてこーじを救い出す!!」
「切ちゃん!落ち着いて!!それは弧仁が!!」
「それでも構わないデスッ!アタシが調に嫌われてでもぉぉ!!」
変化し、巨大な鎌となったイガリマが弧仁に迫る
行動は間違っていない・・・だけど今切歌はかなり混乱している
守りたいと思っている存在から、それを拒絶されたのだ
理想と現実の違いの辛さもまた弧仁は知っている
「ぐっ、おぉぉ!!」
痛みの残る身体は動かない
迫る魂を刈り取る刃、この戦いが終わればいくらでもそれ受けるが、今だけはもらえない
これを食らったら切歌は戻れなくなってしまう
せめてもの足掻きと無下限バリア展開しようとするが
「(痛みで、呪力が、練れない)「ダメッ!」!、調!!?」
弧仁を庇うように調が迫る鎌の前に立つ
「こんな形でこーじで会えたって、切ちゃんがいないとダメ!!・・・だから帰ってきて!!切ちゃん!!!」
キィィィンッ!!
「「!?」」
調の前に突如現れたバリア、それを見たことのある切歌と弧仁は驚く
それが間違いなく、フィーネのバリアだったから
「っ!」ガシッ
バリアはイガリマの一撃を防いだが反動で後ろに倒れる調とそれを支える弧仁
切歌はその場に膝まずき、鎌は後方へと飛び、地面に突き刺さる
「い、今のは?」
弧仁に抱き止められながら自分の手を見る調、あのバリアは調にとって無意識に発生させたものだったようだ
「まさか、調、デスか?」
「・・・資材が、崩れて、きた時、は、中に、いる、フィーネ、が?」
つまり、フィーネの刻印が刻まれていたのはマリアでも、切歌でもなく、調だったのだ
「そんな・・・それなら、調を悲しい思いをしてほしくなかったのに・・・できたのはアタシは調を泣かせて、こーじを殺そうしたことだけデス・・・」
そう言って腕を上げた切歌に反応して・・・地面に突き刺さっていたイガリマが浮き上がり・・・
「!、待てっ!」
切歌に向かって断罪のための処刑台かのように振り降りる
「アタシ本当に嫌な子だね・・・消えてなくなりたいデス、ごめん、ごめんね調、こーじ・・・」
「切ちゃん!ダメぇぇぇ!!!」
弧仁を守ったように、今度は切歌を守るために迫る鎌の間に立った調
このままでは今度こそ調が・・・させない
「がっ、ぐぅっ・・・あぁぁぁ!!!蒼!」
反転術式も効かない身体からなんとか引き出した術式、蒼
本当なら弾き飛ばす反応を生み出す反転術式、赫が正解だっただろう
しかし、痛みで不調の身体ではこれが限界だった
更にろくに指向性を持たせることもできなかった蒼は・・・その反応通りイガリマと弧仁の間にある空間を集束し・・・容赦なく弧仁に迫る
ズシャァッ!!!
・・・少しだけ時は遡り、別の地点では
「で?どういうつもりなんだよ?クリス」
「どーもこーも、これ以上戦場の戦火が関係ねぇやつらに広がらないようにアッチについたってだけだよ」
交戦する翼とクリスの元の送り込まれた奏
クリスから本心を聞き出そうとするが返される言葉は辛辣なもの
「お前がその程度のことで、こちらから寝返るとは思えないがな」
「忘れたのか?元々アタシはこっち側だぜ?」
「あっそ・・・まぁ別にいいけどさ」
ジャキッ!
呪力を纏う槍をクリスに向ける
「敵対する以上、アタシは容赦しねーぞ。怪我する前にとっととその下手な演技剥ぎやがれこの跳ねっ返り娘が」
「ハッ!アンタにいわれたくねーな!ギアのない呪術師さんよぉ・・・こういった汚れ仕事は居場所のないやつがやるのが相場だろうが」
「・・・以前のお前からなら先ほどから語られる言葉全てを鵜呑みにしていたことだろう」
「?なんのことだよ」
「居場所のないやつ、というところだ・・・それを聞いたら怒髪天を衝く存在がいるだろう?」
「!」
「話せないのならそれでもいい・・・だがお前がやりたいことに私は手を貸してやる。それが先輩と風を吹かせる者の使命だからな」
先輩としての言葉を伝える
「!!」
「おーおー、あの翼が成長したもんだ」
「茶化さないで奏・・・とにかくお前には居場所はある、首輪ももう弧仁が爆ぜた。後はこの戦を終わらせて帰るだけだ。そうするために弧仁は今を戦い、雪音を待っているぞ」
「あーあ、やる気削がれるぜ全く・・・そういいうことだ、ここで連れ帰れなきゃ先生に落第点もらうんでね。それに可愛い後輩のためならいくらでも身体張ってやるよ」
「チッ・・・戦場で緩いことを・・・」
瞳に浮かんだ涙をごまかすために目を伏せた・・・その時
『時間がかかっているそうですがどうしたんですか?首輪が壊れたとしても貴方へのご褒美は私が握っていることをお忘れなく』
「っ!」
通信機に嫌なウェルの声が響く・・・奴の手に握られているソロモンの杖を手に入れるために、装者及び呪術師の殲滅と引き換えにこうして手を汚すと決めたのだ
「悪いな・・・奏先輩、風鳴先輩」
それでも、もう引き下がれない
「「!」」
頑なに呼ばなかった名前を呼ばれた二人は驚く
「それでもアタシがやるしかない・・・だからこれで決める昨日まで積み上げてきたアタシのコンビネーションだ」
「!、ならばこちらは真打ちをくれてやる!!」
「ほぉー・・・なら、こっちは呪力全開だ!!」
クリスの銃撃、翼の剣撃、奏の槍撃
それがぶつかり爆ぜて・・・地下に繋がる巨大な穴を空けた
そしてその余波は近くで観戦していたウェルを巻き込み、その場にいた皆は地下へと落下していく
・・・
ズシャァッ!!
「ぐっ!?」
引き寄せたかのように弧仁の腹部に刺さった絶唱状態のイガリマ
傷はそこまで深くはないが、魂を刈り取る刃は弧仁には効果抜群
「「弧仁!!!」」
弧仁に駆け寄る切歌と調
「(ま、ずい・・・これは、予想外)」
ブシュッ、刃を抜き去り、傷は治したが意識が混濁していく
『ここでリタイアは想定外だったね・・・』
「けど、大、丈夫」
「なにが大丈夫デスか!!アタシのアタシのせいで!!」
「弧仁・・・!」
ゆっくりと瞳が閉じられていく
「ダメデス!目を覚まして!!」
「(これで、幸詞に・・・)」
返すことが「なにを言ってるのよ」
「!」
弧仁の腹部に添えられた手、それは調の手
だけどかけられる声は調ではない
「調?」
切歌が覗いた調の瞳、それは金に染まっていた
「私にあれだけ啖呵をきっておいてその体たらくとは・・・呆れた」
翳している手から溢れる光が弧仁を癒していく
「?フィー「そうじゃないんでしょ?」!ハハッ・・・また、会える、とは」
「私も会うつもりはなかったわ」
「な、なにを言ってるんですか?」
混濁していた意識が少しずつ浮上していく
そうだ、紹介しなくては
「彼女は、フィーネ、そして、俺の、もう一人、の、姉だよ」
・・・
ドガァァァンッ!!!
奏、翼、クリスの三人の攻撃が衝突し、地下へと落下
瓦礫に巻き込まれ、その三人が意識を失っているのを確認したのは崩落に巻き込まれたウェル
左腕がネフィリムと一体化している点を除けば、おおよそいつも通りだ、瓦礫にも巻き込まれず運良く落下したらしい
ウェルとしては自分の創る世界にシンフォギア装者、そして呪術師は必要なく、邪魔だった
そこでソロモンの杖の恐ろしさを知るクリスをそれで釣り、こちら側に付かせて殲滅を命令した
「ここまでの大混戦となるのは予想していなかったですが・・・全員共倒れしたのは好都合、さて彼女らの亡骸でも見せればあの呪術師もなにもできないで「そうかよ」!」
「なら残念ながらそれはできねぇな、アタシ様が生きてるんだ」
ウェルの言葉を遮り、立ち上がったのはクリス
ギアのあちこちは破損していたが、立ち上がった
「約束通り二課所属の、ソロモンの杖をアタシに」
二課所属の装者は今翼以外にはいない、そして所属している呪術師も奏以外にはいない
契約は果たされた、賞品をいただこうと手を伸ばすが
「こんなままごとみたいな取引にどこまで応じる必要があるんですかねぇ」
ウェルが取り付けた爆弾の首輪は弧仁によって壊された
だが倒れるツヴァイウィングと満身創痍のクリスに遅れをとるつもりはない
更なる策もあり、余裕の表情でソロモンの杖を向けたが・・・
杖を向けた先にいたのはクリスではなく・・・
「なっ!?」
「
!!!
ドンッ!ガッ!ゴシャッ!!
黒い火花を散らしながら振りかぶって放たれた奏渾身の拳が突き刺さる
憐れ地面を転がるウェル、その手から遂にソロモンの杖が離れた
「ぐわぁぁぁ!!?」
突き刺さった右ほほは大きく腫れ、口内から歯が数本溢れ落ちた
「お、おぉ?なんだこれ?呪力が溢れる」
「確か黒閃というものではなかったか?」
「へぇー、これが・・・ってなんで翼が知ってるんだ?」
「弧仁のを一度喰らったからな」
「お前らになにがあったんだよ」
気づけば奏だけでなく翼も立ち上がっている
「これはもらっとくぜ、ほらよクリス」
「!」
落ちていたソロモンの杖を拾い、クリスに投げ渡す
「な、なぜお前らが!?崩落に巻き込まれたはずじゃあ!?」
「雪音の真意に気づけず先輩などと名乗れるか、崩落程度落ちると分かっていればいくらでも防げる」
「呪術師馬鹿にすんな。なんか呪力を身体に纏ったらガードできたわ」
後に成長し、簡易領域となりオート反撃が可能となります
「一緒に積み上げてきたコンビネーション、出会ってからの期間は少なくても同じ姉同士、だからこそ目をつむっていても分かる。だからかわせる、かわしてくれる、ただの一言で通じ会えるから、アタシの馬鹿にも付き合ってくれる!」
絆があるからこそ行えた行動
それが実を結んだのだ
「ッ!付き合えるか!」
そういって逃亡するウェル、クリスは当然追おうとするが・・・
「ここまで来て逃がすわけ「ほっとけ」なんでだよ!?」
それを制止する奏と翼
「今さらやつになにができるとも思えない、それにやつの方がここの構造をよく知っている。追ったとて無駄骨になるだけだろう」
「それならとっととフロンティアの中枢に向かってなんとかする方法探した方がいい・・・とにかく響と弧仁と合流しようぜ」
「!、弧仁はともかくあのバカもきてんのかよ!?」
「あぁ、また手を繋いだらしい。月読調と共にな」
「はぁ・・・全く」
「響らしいな、それじゃあいくか」
そういって踵を返す奏と翼、その背中に
「あ、あの!一人で飛び出して・・・ごめんなさい」
「?なんのことだよ」
「は?いや、アタシが勝手にやってフリとは言え裏切ったからさ」
「気に止むな、お前が本当に一人になろうとする気がないことくらいはお見通し、それに殊勝な雪音を知ることができたのは僥倖だ」
「それにお前は裏切ったフリすらしてないだろ?先陣きって突撃したんだ。そのお陰で相手のアドバンテージ一つ潰せた。これ以上の結果をお望みか?」
「ッ!!ったく、なんでアタシのことを信じられるんだよ」
「雪音が先輩と呼んでくれたからだ」
「弧仁が信じてるから、それからアタシの後輩だからだよ」
たったそれだけの理由なのだ
「ほら早く行くぞ!」
だからこそこの眩しくて暖かい場所が自分の居場所だと思えるのだ
・・・また場面が変わり・・・調の内にいたフィーネにより、魂の消失を免れた弧仁は
「え!?だ、だったら調の魂は!?「安心なさい、塗り潰すつもりはないわ」!、ならなんで?」
フィーネに塗り潰されたのではないかという心配は杞憂に終わったが今こうして表に出てきたのかと、新たに疑問が湧く
「弟を助けるのに理由が必要?」
「えぇ!?」
「助、かったよ、姉さん」
「えぇ!?」
先史文明期の巫女を姉と呼び、最強の呪術師を弟と呼ぶ両者に驚く切歌にを余所に話し続ける
「魂を両断する一撃は流石の呪力でも不可能と判断しただけ。しかしこれはあくまでも応急処置・・・貴方が消えるのをほんの少し伸ばしただけよ」
「!、ならやっぱりアタシの「それは、違うよ」!」
「どのみち消えるところだったわけだしね」
「!!?」
「言った、でしょ、この、戦いがら終わったら、帰って、くるって」
上体を起こして、フィーネを見つめる
「けど、最後に、会えて、よかった、なぁ」
「・・・そうね、悪い気分ではない」
「もしかしてこれから手伝ってくれるんデスか!?」
「断るわ、今日を生きる貴方達でなさい」
「えぇ!?」
「らしい、ね」
『全くだ』
「だから、あの子に伝えてくれるかしら。数千年も悪者してきたからいつかの時代、どこかの場所で今さら正義の味方をすることはできないって、ね」
「響に?・・・それ、俺に、言う?」
「ふん、死に際に厄介な呪いをかけてきた仕返しよ」
「そっか・・・それ、じゃあ」
「えぇ、お別れよ」
フィーネは立ち上がり、また地面に突き刺さっていたイガリマの刃に指を当てる
チッ、小さくその指に傷が入った
「流石イガリマ・・・この傷でも脆弱な魂など切って捨てるか」
「・・・会える、といいね」
「!・・・えぇ、会えるといいわね。あのお方にも・・・そして、貴方にも」
「!」
「覚えていたら待っててあげるわ。貴方も擬きのことも」
「・・・ありがとう」
『ははっ、それは悪くないね』
「ではな呪術師・・・いや、弧仁ちゃんまた会いましょ」
「うん、またね」
そうしてガクッ、と調が項垂れ・・・そして
「・・・!戻った」
「!、調!!」
瞳の色が戻った、調に戻ったのだろう
「調、体調は?」
「大丈夫だよ切ちゃん。皆の声は聞こえていた。だから弧仁のことも分かるよ」
「・・・そっか」
「だから、最後のお願い」
「なに?」
「マムやマリアを助けて・・・それから貴方自身も生きて」
「・・・幸詞の、ことは、いいの?」
「!いじわる」
「・・・ごめん、けど、任せて」
立ち上がり、呪力による探知を行う
遠くの方でマリアの呪力が見える
近くにウェル?のような呪力も見えるのだが・・・何かが混ざっているのかはっきりと見えない
『とにかく、そこに行くしかないね』
「よし、行って、くる・・・二人は、少し「あ、あの!」ん?」
「ごめんなさいデス。貴方のことを恩人なんて言っておきながら・・・アタシは貴方に・・・」
俯く切歌、それに対して弧仁は・・・ポンッポンッ
「!」
優しく切歌の頭を撫でる
「大、丈夫」
「な、なにがデスか?」
「どんな、ことが、あったっ、て・・・切歌や皆を理由に俺が消えることはない」
「「!」」
詰まりのない声、そしてそれを話す弧仁の髪色が黒く染まっていた
「いつだって俺がそうしたいからやるんだよ。それは今も、これからもだ」
この言葉は弧仁なのかそれとも幸詞によるものかは分からない・・・だが、どちらにしても本心であることに変わりはない
「だから、俺がやる・・・それだけのことだよ」
そういって遠くに見据えた瞳、その場所へと弧仁は飛ぶ
・・・
浮上してしまったフロンティア
そしてそのフロンティアを動かすネフィリムの一部をその身に宿すことでその機能を掌握したウェル
そしてフロンティアの浮上のために放たれた重力アンカーは月を手繰り寄せた
その結果幾ばくか余裕のあった月の軌道は変わり・・・落下を早めた
ウェルの狙いはここにあった
英雄となるためには自身を残し、多すぎる人類を消す、それこそが狙いだった
そのウェルがクリスの様子を見るためにコントロールルームから席を外した隙にナスターシャは最後の賭けに出た
それはマリアの歌で世界中のフォニックゲインを集束し、ルナアタックで一部不全となった月遺跡を起動して月の軌道を元に戻すこと
ウェルにより希望を折り砕かれたマリアだったが世界を、そして自分の家族を守るために立ち上がり歌った・・・しかし必要なフォニックゲインは集まらない
息を荒げ、髪を振り乱して歌っても届かない絶望に涙を流すマリア・・・その姿は年相応の少女の姿に見えた
そこに帰ってきてしまったウェル・・・マリアとナスターシャの狙いに気づき、フロンティアを操作・・・
「そんなに月に行きたいのなら!アンタが月に行けばいいだろ!!」
ゴゴゴゴゴッ・・・
「マムっ!?」
ナスターシャのいた区画が震動・・・そして空へと飛んで行く
邪魔物をどかせるための強行策であり最悪の愚策
「よくもマムを・・・殺すッ!!」
当然激昂するマリア、ガングニールの槍をウェルに向け、居殺すために突きつける
その間に・・・
「そこをどけ!融合症例第一号!「違う!」ッ!」
「私は立花響16歳!融合症例なんかじゃない!ただの立花響がマリアさんとお話ししたくてここに来てる!」
マリアの手を汚さないために、守るために前に立ちはだかったのはもうシンフォギアを持たない響
それでもここに駆けつけたのだ
「マムがこの男に殺されたのだ!ならば私もこの男を殺す!世界を守れないのなら私も生きる意味はない!」
そうしてもう一度ウェルに向かって槍を突く・・・響が素手でそれを掴もうとするその前に
グググッ・・・槍の動きが止まる、否、目標へと届かなくなった
「これは!「響、無茶、しすぎ」!五条弧仁!!」
ウェルの前に響の前に立ちはだかったのは言うまでもなく弧仁
「やっぱり来てくれた・・・けどちょっと寄り道してたの?弧仁」
「うん、ちょっと、切歌と、調と、ナスターシャ、教授の、ところに」
「!!?マムのところだと!」
「はい、伝言、を預かった、ので・・・それから」
くるっと翻って・・・パッシーン!!
「ブヘッ」
「聞いて、ない?未来に、何か、したら、マジビンタ、するって」
「き、聞いてない」
「言ってないわ」
「あ、そ・・・それ、より、やること、あるん、でしょ?」
「うん・・・Balwisyall Nescell gungnir tronー!!!」
槍に手を当て、ガングニールの聖詠を奏で叫ぶ
「!、聖詠!?一体なんのつもりで!?」
「剥ぎ、取っちゃえ、響」
マリアのギアが外れ、フロンティア全域を響の優しい光が包む
「なにが起きているの、こんなことってありえない!融合者は適合者ではないはずこれは貴女の歌?胸の歌がしてみせたこと!?貴女の歌って何!?なんなの!?」
優しい光はその大元、響の元へ集束し・・・ギアを形成し・・そしてマリアの問いに高らかに答える!!
「撃槍!!ガングニールだぁぁぁ!!!!」
立花響のガングニールが復活した
『さぁ、僕らもやってやろう弧仁』
「・・・うん」
もう出し惜しみはなしだ、呪力も覚悟も全てのせて・・・全部と終わらせるために無限を身に纏い反転術式を巡らせていく
「安心して、マリアさん」
「!」
「僕・・・ううん、俺達最強だから」
『後の事はまっかせなさい!!』
役者が揃い、遂に最終決戦の幕が上がる!!
活動報告でちょっとしたお知らせがあります!!是非ご覧ください!