歌を奏でる装者と無限を操りし少年   作:アユムーン

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見境なくした「命」

ぶっ飛ばしたカースと対峙する幸詞

 

少し遠方では響たちも戦闘を始めたらしい、破壊音が聞こえる

 

慌てて来たがなんとか持ってきた通信装置からは強化したシンフォギアはアルカノイズに対抗できており、切歌と調も逃げることができたらしい

 

これで目の前に集中できる

 

「また会えたな友よ」

 

「あ?」

 

そう考えていると、カースから発せられたのはキテレツな言葉、それに首をかしげる

 

「あ、すまない。まだ聞いていなかったな」

 

「?、なにを聞くんだよ」

 

正直あんまり聞きたくないが・・・

 

「いやお前と友達になれるかと聞いていなかった「ハァ?」その反応はひどいぞ」

 

「いやいやいや、なにがあってそうなるんだよ。この間ガチで殺そうとしてたくせに」

 

「あれはあれ!あの時はあの時だ!」

 

出会った当初と比べるとだいぶアホ・・・能天気・・・ではなく、表情も豊かになり声も明るい。自分で自分の行動を考えられず、決められなかったカースの姿はもうなかった

 

「お前の情緒が分からん」

 

「とはいえ、友になれたとしても今の私の役割は変わらないから戦わなくてはならないのだがな」

 

「なら話が早いな、こいよ」

 

だがそんなことをはどうでもいいと思考を切り替えて拳を構えた幸詞だったが・・・

 

「しかしその急激な成長・・・お前に一体なにがあったんだ」

 

「あん?」

 

「隠すこともできないレベルで立ち上るその呪力・・・以前とはまるで違う」

 

カースの言葉通り、以前の弧仁に纏わせてもらっていた時と現在の幸詞ではその呪力量は雲泥の差だ

 

それに対してニッと笑って答えた

 

「分かんねぇだろ?俺も分かんない」

 

「なにっ!?修行をしたのではないのか!?」

 

「聞こえてたのか。まぁ修行は・・・したんだと思う」

 

「どこでだ?」

 

「んー・・・夢?」

 

「なっ!?」

 

「多分お前にしこたまやられて寝てる間に精神世界で修行したんじゃねぇかな?ただその記憶は全くないけど」

 

ただ切歌と調の歌が聞こえたと思って目覚めたら、なんか強くなっていた・・・それだけのこと

 

たとえ強くなっていなくたって、幸詞はここに駆けつけていただろう

 

「そ、そうか・・・」

 

「だけど、これだけは言える」

 

「なにをだ?」

 

「今、この世にいる呪術師の名をお前みたいな人形には名乗らせない」

 

「!」

 

アイツ(五条弧仁)が戻ってくるその日までは・・・俺が最強だ!!」

 

負の感情から捻出するはずの呪力を纏いながら勇気を感じさせる言葉を吠える幸詞

 

「!それは楽しみだ!さぁ!共に呪い合おうじゃないか!!」

 

飛びかかるカース、だが・・・

 

ドガガガガッ!!!

 

「!!?」

 

目にも止まらぬ連撃、なにをされたのかすら分からない

 

「(!見えなかった、ヒトの目でないこの目でも!)しかしこの程度で怯まん!」

 

「そもそも怯まないだろ」

 

「たしかにそうだが・・・!、マスターが来たか」

 

「マスター・・・!、エルフナインちゃん!」

 

カースの言うマスター、それはオートスコアラーを作り出した錬金術師であり敵の大将だ

 

その情報を確認するために通信機に手を当て、本部と連絡を取る

 

『!響さん達がアルカノイズを殲滅!しかしキャロルか強襲してきました!現在交戦中ですっ!』

 

「ちっ・・・エルフナインちゃん、新しいギアってことはアレ搭載してるの?」

 

アレ、とはプロジェクトイグナイトの本命である決戦機能のこと

 

強力である反面、強烈な反動もあるその機能の搭載について幸詞はかなり難色を示していた

 

しかしそれを使わねばこの戦況は覆らないだろう

 

『はいっ・・・!今はそれは使用せずにキャロルと交戦中です!』

 

「そうか、とっとと終わらせて俺もサポート行かねぇとな・・・よし槍のねーちゃんには一旦引いてもらって、こっちは俺だけで余裕だけど、集中したいから通信は一旦切る

 

エルフナインちゃんは立花さん達のサポートを頼む!」

 

『了解しました!!』

 

「敵の大将さんが来てるのなら丁度いい・・・ここで終わらせてやる」

 

「話は終わったか!?」

 

ガキィンッ!!

 

カースと幸詞の拳がぶつかる、しかし以前のように幸詞の骨が砕けることはなく、拮抗する

 

「互角「なわけないだろ」ッ!?」

 

・・・と思いきや、途端に幸詞の拳の力が増して押し返された

 

「な、なんだ今のは・・・?」

 

「さぁ?なんだろうな?」

 

「またお得意の分からないか?」

 

「んー・・・名前はあるんだろうけど、それが分からん、けど原理は分かるぜ?」

 

指を手繰り上げ下げて、挑発する

 

「小癪な!!!」

 

流石にイラついたのか、カースが蹴りを放つ

 

「シッ!!」

 

それに返すように幸詞も蹴りを放ち、そうして二人の蹴りが交差する・・・だが

 

パァァンッ!!

 

「ッ!?」

 

今度は力が拮抗することなく、幸詞の蹴りが競り勝ちカースの脚が弾かれる

 

「今のにさっきの手品は使ってない・・・で今度は使うぞ」

 

ゴキンッ・・・ズズンッ!!

 

「グァッ!!?」

 

腹部に拳が接した段階で一度目の衝撃、そしてそこから更に遅れてやってきた呪力が二度目の衝撃となる二段階攻撃

 

これは身体能力が異常な幸詞だからこそ成立した技で、誰に教えられることなく自力でたどり着いた技

 

「もう分かったか?」

 

この技はかつて、五条悟が生徒である虎杖特有の体術に対して名をつけた技であり、一度の打撃に二度の衝撃を乗せる技

 

ある人物からは悪癖と評された技ではあるが、この技がその生徒の因縁の相手との決戦の際に勝利に繋げた・・・その技の名は

 

「くっ!?(分かったところで・・・この攻撃は!!)」

 

『逕庭拳』

 

「オォォォォォ!!!!」

 

ドガッ!ドガガッ!!ドガッ!ドガガガガガッ!!!

 

「ッ!!!??」

 

逕庭拳と通常の呪力を乗せた打撃の乱打、何度の衝撃が襲ったの分からない程に放れるその一つ一つが必殺の拳

 

止まらぬ連続攻撃は、カースの全身を殴り続け・・・ある一点を捉えた

 

「見つけた・・・そこだ!!!」

 

バキンッ!!

 

最後の拳でなにかが割れた

 

「ッ!!?コアがっ!?」

 

それはカースのコアであるダインスレイフの破片、それにひびをいれられたことでカースの機能が止まり始めた

 

「な・・・なぜコアが」

 

「・・・殴りながらお前の核みたいなものがあちこち移動してるのが見えた」

 

「だから、私のコアを捉えることは出来ないず、なのに・・・」

 

「あちこち移動するから移動する度にそこを殴った、もぐらたたきの要領でな。そしてお前の全身を全て叩き、移動する箇所をすべて潰した」

 

「呪力が・・・消えていく、ここまでか・・・」

 

「前とは逆転した結果になったな」

 

カースに近づき見下ろす

 

「後悔はない・・・一思いにやれ」

 

「なにか言い残すことは?」

 

「ないっ!」

 

「・・・分かった」

 

慈悲はないが、最後の言葉くらい聞いてやってから・・・その拳を振り下ろした

 

ガキィィンッ!!!

 

カースを殴ったにしては、金属的な音が辺りに響いた

 

「あまり私の末っ子をいじめないでもらえるかしら?」

 

「!、ファラ!!」

 

大剣で幸詞の拳を防いだのは幸詞が一番初めに戦ったオートスコアラーであるファラ

 

「なにしにきた、流石に無粋だろ」

 

グググッ

 

「かもしれませんわね・・・けど、この子はわたしたちの秘蔵っ子、こんなところでリタイアなんてさせませんわ」

 

ギシッ・・・幸詞の拳に押され気味になりながらも、後方に向かって転移用の小瓶を投げ捨て、カースが転送されていく

 

「!、ファラ!!」

「帰りなさいカース、大丈夫・・・ここに来たのは私だけじゃないもの」

 

「待ちやが、っ!?」

 

カカカカカンッ!!!

 

「!?」

 

狙撃音ともに幸詞のいた場所になにかが飛んできた、間一髪で避けることができた

 

その方向に視線を送る、そこには・・・

 

「っ!お前は、雪音さんを襲った」

 

「お初にお目にかかる・・・私はレイア」

 

黄色を基調とした衣装のオートスコアラー・・・以前クリスと交戦きたレイアが武器であるコインを狙撃してきたのだ

 

「私達の仕事もある程度片付いたから遊びにきましたわ」

「ファラとガリィが絶賛するその力、是非見せてもらいたい、派手に一戦交えようではないか」

 

ファラとレイアが並び立つ、そこに・・・

 

「二人がか「だーれが絶賛してるってぇ!?」!、お前はガリィ、だったっけか?」

 

転移されてガリィも現れた

 

「よく覚えてましたねー、まぁお前に覚えててもらっても嬉しくないけど」 

 

「三人がかりってか、あと一人はどうしたよ?」

 

「ミカは消費が派手、連戦にはむかない」

 

「とはいえカースをあれだけ痛め付けた貴方相手に私達だけでなんとかなると思い上がってもいない」

 

「だから今からガリィちゃん達がするのはただの足止め♪」

 

「はっ、足止めですめばいいけどな」

 

「そうね、今の貴方ならこの三人が揃おうとも退けられたでしょう」

 

「?」

 

あれ(カース)に集中するためにあっちのことが疎かになってたんじゃない?」

 

「ッ!?」

 

ガリィのいうあっち、それは響達のこと

 

「・・・エルフナインちゃん?」

 

通信機で本部と連絡をとる

 

『幸詞さん!やっと繋がった!そちらの状況は!「そんなことよりあっちはどうなってる!?」』

 

ガリィ達を睨みながら状況を確認する

 

『依然キャロルと交戦中ですが・・・響さん達が劣勢ですっ』

 

「っ!」

 

『!、イグナイトモジュールの起動を試みるようです!!』

 

「!本気か!?」

 

『それでも・・・今はそれにかけるしかありませんっ!!』

 

イグナイトモジュール・・・強化修繕されたシンフォギアに搭載されたブースター、今まて融合症例である立花響にのみ見られていたシンフォギアの暴走を解析し、それを戦闘に応用する機能

 

攻撃や防御面で様々な強化を望めるがその反面、暴走状態を引き起こすために機構に組み込まれたダインスレイフにより人の心の闇を増大させ精神負荷をかけることにより暴走させるというデメリットがある

 

そのデメリットを強い精神力でねじ伏せることができなければイグナイトモジュールは起動しない

 

もちろんそれを押さえるためのセーフティは設けられているが、その負荷は未知数

 

だから幸詞はこれの搭載を躊躇っていたのだ

 

「これがお前らの狙いか」

 

「その通り~♪、ほらはやくあっちにいってあげないといけないんじゃないんですか~?」

 

ガリィ達が現れたのはカースを逃がすための足止めとして、「キャロルによって劣勢となった装者の元へと幸詞が向かう」という局面を作るための一手だったのだ

 

「だったら・・・行かないね」

 

「「「!?」」」

 

「こうやって俺に対して揺さぶりかけたつもりか?」

 

手にかいた汗を見せないために拳を握る

 

「お前らには分からないかもしれないけど人には信頼っていうものがあってな」

 

それはもちろんしている、過ごした時間は短くても今戦っている響、翼、クリスがそんなに弱い人間ではないことは知っている

 

「だから俺はあの人達を信じて、ここに残る、そしてお前らを壊す」

 

だけど、本当は今すぐ駆けつけたい・・・だけどそれだと相手の思う壺だから、ここに残ると決めた

 

「強がり・・・にしか聞こえないわね」

 

「さぁ?試してみるか」

 

ポーカーフェイスには自信がある、だから大丈夫、自分はこの場に残り、目前の敵を倒してみせると挑発してみせた

 

『装者達!イグナイトモジュールを起動しました!!』

 

「分かった、そっちは任せ・・・ッ!!?」

 

エルフナインの報告にそう返そうとしたとき・・・ドクンッ!!

 

突如として弧仁が出てきた時と同じように心臓が高鳴った

 

だけどこれは違う・・・なにかよくないことが起ころうとしている・・・そして

 

「グッ!?アァァァァァ!!!!!」

 

ガリガリと、頭を掻き毟りながら悶え苦しむ

 

「何が起こっている?」

「分かりませんわ・・・ガリィ?」

「分かるわけねぇだろ!?」

 

突如苦しみだした幸詞に困惑するガリィ達・・・その視線の先にいる幸詞の脳裏にたくさんの人物が浮かんでいく

 

・・・ノイズに被災した両親、研究所にいた自分と同じ子どもたち・・・

 

「(俺は今まで、失ってばっかりだ)」

 

そんな人物が浮かんでは消える

 

次にマリア、切歌、調、ナスターシャ・・・今の自分の大切な家族たちが浮かぶ

 

「(家族だって、俺は守れていなかった)」

 

大切な家族が本当に辛い時に助けたのは自分ではない、もう一人の自分だ

 

そのもう一人の自分(弧仁)自分(幸詞)のせいで消えた

 

「(そんな俺に守れるのか?)」

 

マリア達の後ろに響達が現れた

 

彼が残したもの、自分が守りたいもの・・・全部守るために戦うと誓った

 

彼が帰ってくるまで最強の名を守ると誓った

 

その決意が揺らぐ、どんな決意の裏にもあるほんの少しの不安という名の闇の部分が大きくなり・・・その衝動が幸詞を塗りつぶしていく

 

それでももがいて皆に手を伸ばしたが・・・手が届く寸前で皆が消えた、それと同時に

 

「グァァァ!!ガァァァァァ!!!」

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 

頭と身体と精神が痛む、蝕まれる、潰れる

 

「(失うことがこんなに辛いのなら、いっそ・・・)」

 

地面を転がりながら悶え苦しみ・・・そして

 

「(スベテコワセバイインダ)」

 

その一文が脳裏に浮かんだと同時に

 

「グァォォォォォォッッッ!!!!」

 

大きく高く吠え・・・立ち上がった

 

その時、カシャンッと音を立てて通信機が地面に落ちた

 

イヤホンからはエルフナインの声が聞こえている

 

『幸詞さん!なぜか想定より衝動が軽度になっていましたが・・・装者達が衝動を乗り越えてイグナイトモジュールの起動に成功しました!!・・・幸詞さん?・・・幸詞さん!!?』

 

その声に答えずバキンッ、通信機を踏み潰した

 

その姿は黒い影に包まれていた

その瞳は赤く怪しく煌めいていた

その心は貪欲に命を求めていた

 

「こ、これは・・・シンフォギアの暴走?」

「こいつは装者じゃない・・・だったらなんで!?」

「っ!来るっ!!」

 

守るべき命も奪うべき命も見失い、ただ命を喰らう化け物となり・・・幸詞はオートスコアラーへとその力を振り下ろす




戦姫絶唱しないさんぽ!

逕庭拳の有効な使い方

トントントントン♪

マリアに肩たたきをする幸詞

マリア「んー・・・気持ちいいけど少し物足りないかしら、もう少し強めにお願い」
幸詞「了解、やっぱり大きいと肩凝るのね」
マリア「セクハラよ」

ドスドスドスドス♪

マリア「いった!?強すぎ!」
幸詞「注文が多いな・・・あ、そうだ」

トンッ、ドン、トンッ、ドン

マリア「一度の衝撃で二度の衝撃が!?けど痛くない、むしろ心地いい!」
幸詞「単純に手数増やすのに便利だわこれ」

後に切歌、クリス、響等々にも人気になる逕庭拳肩たたき誕生の瞬間である

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