歌を奏でる装者と無限を操りし少年   作:アユムーン

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選びとった「無茶」

オートスコアラーの本拠地、チフォージュシャトー

 

以前ガリィが立っていた台座からは青い光が立ち上っていた

 

他のオートスコアラーはそれぞれの台座に立っていたが、カースだけはその近くに座り込んでその光を眺めていた

 

「カース、派手に気持ちは分かるが眺めていたとしても現状は変わらないぞ」

 

「・・・うん」

 

「貴女ガリィに懐いていたものね」

 

「・・・意地悪やひどいことも言われたが、いつも私のワガママを聞いてくれた。体だっていつもガリィが直してくれていた」

 

「ワタシも思い出を分けてもらっていたゾ・・・」

 

特にガリィが面倒をかけていたカースとミカは悲しんでいた

 

「しかし計画において必要なことだということは分かっているはずだ」

 

「分かっている・・・それでも悲しむのは当然だろう?」

 

「・・・そうだな」

 

「そうね、悲しい」

 

カースの姿を見てレイアとファラもそれぞれ悲しんでいた

 

「このまま計画が達成されたら…そしたら私はひとりぼっちになる…

 

これからも来る別れも計画を達成した未来もどちらも怖いんだ・・・私はどうすればいいんだ?教えてくれ・・・ガリィ」

 

なんの感情ももっていなかった人形が成長したことにより恐怖を知った

 

しかし、その恐怖を拭う方法は知らなくて…問いかけるようにガリィがいた光を見上げるカース

 

その片目はその光とは別の光を放ち蒼く輝いていた

 

…所代わり、SONGトレーニングルーム

 

イグナイトのデメリット克服のために呪力を放出し発散し続けるといった方法を編み出した幸詞、その精度向上のために日々訓練を重ねており、今日はマリアと戦っていた

 

ジャララララッ…ギュンッ!!

 

イグナイトモジュールを起動したマリアのアームドギアが蛇腹剣となり幸詞に迫る

 

紙一重で避け続けるがその切っ先が逸れることはなく幸詞を狙い続け、遂にその身に当たる寸前で

 

「こんのっ!」

 

ガキンッ、呪力の拳で弾いた…だが

 

「甘いっ!」

 

それでもその操作が失われることはなく再度狙ってくる

 

先ほどからこの戦法により距離が詰めることができず、接近に持ち込めない状況が続いている

 

その光景をルームの脇で眺める翼と奏

 

「苦戦しているな」

 

「だな。幸詞自身接近してぶん殴るっていうのが基本だからマリアみたいな中距離タイプ、クリスみたいな遠距離タイプは苦手なんだろ」

 

「そうだな…それに加えて例のイグナイトモジュールへの対抗を同時に行っているのか」

 

「今アイツ自身も結構危ない状態だ…一瞬でも集中が切れると即暴走だからな」

 

「ハァッ…クソッ」

「悪態ついてる暇ないわよっ!!」

 

苛つく暇もなく、蛇腹状から短剣に戻し、左手の篭手に戻す

 

「!、好機ッ」

 

その隙に距離を詰めようと前に向かったが…

 

ジャキンッ!!

 

再びそのアームドギアを引き抜くと共にマリアの周囲に多数の小太刀の剣が展開され、それらが一斉に幸詞に迫る

 

「ッ!?」

 

ズガガガガガガッッ!!

 

それに対して咄嗟に呪力で体を包み両腕をクロスしガード…無傷ですんだのだが…

 

「流石「ガァァァァ!!!」ッ!?」

 

クロスした腕を振り払うと同時にいきなり暴走形態(命名エルフナイン)に変化した

 

「これが…ッ!?」

 

ガキンッ!!!

 

地面を蹴り、一瞬でマリアの目前に迫り鋭利な爪のような形状となった腕を振り下ろした幸詞

 

間一髪その一撃を短剣で防いだが、勢いが収まることなく更に猛攻撃が続く

 

その攻撃は普段の幸詞の攻撃よりも強く激しく…

 

「グルァァァァ!!」

 

ガキンッ!ガキンッ!!…バキンッ!!!

 

「!?」

 

その攻撃がアームドギアを砕き、まだ続く攻撃を防ぐ手立てを失ったマリアに対して振り下ろされる

 

「ッ!「そこまでにしとけっ!」奏っ!?」

 

横から幸詞の頭を掴み、地面に押さえつける奏

 

「ガァァァ!!!!!」

 

「っ!このっ!おとなしくしやがれっ!」

 

「マリアッ!早くモジュールを解除しろっ!」

 

「えぇ!」

 

奏に押さえつけれながらも暴れる幸詞を止めるために翼の声に答えモジュールと共にギアを解除

 

それと同時に幸詞に流れていた呪力が止まり暴走形態から元に戻る

 

「ハァッ…戻ったかよ」

 

「はい、ご迷惑おかけしてます」

 

「ったく」

 

拘束から解除され立ち上がる幸詞、消耗が激しいのか少しふらついている

 

「エルフナイン、タイムは?」

 

先ほどからモニターでこの戦闘を見ているエルフナインに声をかける

 

『はい、暴走までの時間は約10分ほどですが…マリアさんがアウトレンジに徹し始めた頃から徐々に暴走の傾向は見られていました』

 

「やっぱりか、そんな気はしてた」

 

「確かに暴走を避けることはできてたけどその分制御に気を取られるから攻撃が単調になってたぞ」

 

「加えて勝利に焦るあまりに接近を急いだな、いつものお前ならあの状態からでも一時止まって様子を見ることができていた筈だ」

 

「はい…」

 

加えて奏と翼からの言葉に俯く幸詞

 

「奏、イグナイトで発生する多くの呪力の制御は不可能なの?」

 

「んー…正直難しいな、発散するって発想は悪くない。だけどそのせいで攻撃、防御に使うための呪力が疎かになってる」

 

やっと見つけた制御方法だったが…

 

「制御ではなく誤魔化しにしかならないということね」

 

「その場しのぎってヤツだな」

 

「分かってるからハッキリ言わないでくださいよ」

 

「しかしこれは問題だな、まだ暴走形態が今後の戦闘に尾をひくということだろう?」

 

『そうですね…以前のような短期決戦ならなんとかなるかもしれませんがこれが長期的決戦や連戦となってくると幸詞さん自身だけでなく周りにも危険があります』

 

「また振り出しか…」

 

「そうしょげるな、こればっかりはお前の強さが足りないわけじゃねぇよ」

 

「むしろ私たちの負担を肩代わりしてもらっている形になるな」

 

「そうね。やはり幸詞のサポートがあるイグナイトに負担はない、むしろ軽すぎる」

 

「それでもなにかできるはずなんだ…俺がやらないと…」

 

「幸詞?」

 

「!、ごめん。ちょっと考えてくる」

 

そのままトレーニングルームを飛び出し、研究室に籠り、更なる対抗策を思案したがなにも思い浮かばずその日は帰ったが…

 

「ほら、こーじ!ご飯デスよー!!」

 

「んー…」

 

リビングで考え事をしている幸詞を引っ張る切歌

 

「調のおさんどんが食べられないって言うんデスか!?」

 

「それは食いたい」

 

「なら早く立つデス!!」

 

「まぁまぁ、幸詞も今日は疲れてるのよ」

 

先にテーブルについているマリアが声をかける

 

「マリア~そうは言っても早く食べないと冷めちゃうデス」

 

「私もできれば暖かいうちに食べて洗い物も一纏めにしてほしい、それに」

 

できあがった料理をテーブルに並べる調

 

「スンスン…!」スクッ

 

「うわっ!?急に立ち上がったデス!?」

 

「今日はご馳走だもん」

 

今日のメニューは山盛りの唐揚げ、その匂いを嗅ぎ付けた幸詞はすぐに立ち上がりテーブルについた

 

唐揚げの他には個々にサラダと味噌汁、いつもに比べるとシンプルだ

 

「あら、今日はお肉多めなのね」

 

「こーじ毎日頑張ってるみたいだから…たまには」

 

お盆で少し赤くなった顔を隠し、そう呟く調

 

「へぇ~」ニヤニヤ

 

「な、なにマリア?」

 

「別に何でもないわ、ほらいただきましょう?」

 

まだ許す気はないと言いつつも可愛い妹分のアプローチを微笑ましく見守るマリア

 

幸詞に続いて切歌が席に着いてから、四人揃って

 

「「「「いただきます!」」」」

 

本日の調めし『唐揚げ』を美味しくいただいた

 

…そして深夜

 

「なんか眠れない」

 

おやすみーとマリア達と別れてからリビングで横になっていたが全く眠れない

 

「…なんか飲むか」

 

立ち上がり『勝手に食べない、漁らない byマリア』という張り紙が貼ってある冷蔵庫からよく冷えたむぎ茶を取り出し飲む

 

「んっ…ふぅ…」

 

コップを片手に窓際に立つ、空には一部分が欠けた月が浮かんでいる

 

「(あの欠けた部分が落ちてきたのをぶっ壊したのが孤仁か、すげぇな)」

 

無論孤仁一人でやった訳ではないが今の自分では到底できない所業に感嘆する

 

翼達から孤仁のことを教えてもらってから孤仁についてのことを調べたがデータは全て消去されていたため、弦十郎や緒川といった面々からも話を聞いた

 

聞くたびに孤仁と擬きと呼ばれる人物が成し遂げてきたことがいかに凄まじいことなのかがよく分かった

 

「(アイツが帰ってくるまで俺が最強だなんて啖呵切ったけど、そんな簡単にはいかないよな)」

 

コップを持つ反対の手を眺める

 

特訓の成果もあり、呪力は増しているし、間違いなく強くはなっている

 

だけどそれでも足りない

 

孤仁がいた領域には遠く及ばない

 

「(ったく、またアイツの気持ちが分かっちまった)」

 

カースの言っていた言葉を思い出す

 

一度孤仁に会ったからこそカースはあの領域には追い付くことはできず、弱い自分達に全てを守りきれるわけがないと言い捨てた

 

それに対して幸詞は俺だって孤仁(幸詞)だからできると啖呵をきったが…今の状況を省みるとその道は果てしなく遠い

 

「くそっ「こーじ?」!、調?」

 

などと考えていると後ろから声をかけられ、振り向くとそこには調がいた

 

「眠れないの?」

 

「…調こそ」

 

「私はちょっと喉が乾いて」

 

「そっか」

 

そのまま調もコップにむぎ茶を注いで幸詞の隣に立つ

 

なんとなく二人で月を眺めていた

 

「ねぇこーじ」

 

そしてその沈黙を破ったのは調だった

 

「ん?」

 

「私は足手まといかな」

 

「…どうしてそう思った」

 

「ここまでの戦いでも私はリンカーがなければ弱くて、リンカーがあったって勝てなかった」

 

フロンティア事変からの調の戦績は芳しくない

 

クリスの助太刀に入った時はギアの適合率の低さから撤退を強いられ、ギアの修復のために時間稼ぎに出た時も結局響たちに助けられた

 

「…」

 

「…私は弱いね。このままじゃ皆の足手まといになるだけ」

 

「…そんなの、俺も同じだよ」

 

「え?」

 

「俺も弱い。まだまだアイツに届かない」

 

「アイツって孤仁のこと?」

 

「うん…結局まだ暴走の克服できたと思ってできたのは結局問題の先送り、周りの人を傷つけるかもしれないんだから俺の方が厄介だし弱い」

 

「でもそれはシンフォギア装者の心の闇による呪力によるもの、こーじが気にすることないよ」

 

「いや、アイツならこんなことになったって乗り越えられるはずなんだ」

 

聞いただけの話だが五条孤仁の呪術、呪力の操作をする力は今の幸詞を軽く越えるだろう

 

「アイツなら皆の呪力すらも力に変えるんだろうな」

 

「…うん、それくらいできそう」

 

「だよな…アイツなら、きっと…」グッ

 

知ったからこそ、その壁が高いことを知った

 

少し強くなったからこそ、まだまだ自分の力が足りないことが分かった

 

それが堪らなく悔しい

 

固く握られた拳はその表れだ

 

「こーじ」

「!」

 

「一人で背負わないで」

 

「!」

 

「こーじの力がないと私たちは戦えなかった。それはきっと孤仁にはできなかったことだよ」

 

「…でも「自分の力が無くたって私たちなら乗り越えてたって思う?」!?、何で分かったの?」

 

「分かるよ。こーじのことだもん」

 

再会してからの時間は短い、だけどそれまでに培ってきた絆があるから…分かる

 

「確かに私はともかく…響さん達なら本来その身を襲う心の闇にすらも塗りつぶされることはなかったのかもしれない」

 

「…」

 

「だけど、こーじがいたから響さん達のギアは予定より早く直って、万全の状態で皆戦線に復帰できたんだよ?」

 

「…」

 

…本来の歴史なら幸詞がいなくともなんとかなったのかもしれない

 

それでも幸詞が起こしてきたことは決して無駄ではない、無駄なものなど一つもない

 

調を含め、皆そう思っている

 

「…」

 

「だから、自分の力が足りないなんて言わないで。こーじは弱くない強いよ!それからこーじは…カッコいい…よ?」

 

「調…」

 

「なんて、セレナに言われないと嬉しくないよね」

 

「…んなことない」

 

「!」

 

「ありがとう調、お陰でちょっと楽になった」

 

同じ悩みを持つ調の言葉だからこそ楽になれた…少し焦りすぎていた

 

「調も弱くない。例え弱かったとしてもそれを何とかしようって頑張ってるじゃん」

 

「それはこーじも同じでしょ?」

 

「うん、だから俺も調も弱くない」

 

「!、そうだね」

 

そう言うと気持ちがグッと楽になった

 

悩みも少し薄れた気がした

 

「それによくよく考えたら俺達だけで悩んでたら切歌が怒る」

 

「フフッ、なんて怒るかな?」

 

「私を除け者にして背負わないでほしいデス!って言うんじゃね?切歌こそ一人で背負い込みがちになるくせ…に?」

 

一人で背負う、その荷物を背負えないならどうする?

 

それを捨てられるなら捨てればいいが…捨てられないなら…

 

「…!そうか」

「こーじ?」

 

「ありがと調、なんとかなりそうだ」

 

「え?」

 

「そうと決まれば早速寝るわ。おやすみ!」

 

そういって布団に戻る幸詞は寝転んで瞳を閉じてすぐに寝た

 

「…」トテトテ…コロンッ

 

そんな幸詞をしばらく眺めてから布団に近づきその隣に寝転ぶ

 

「…昔に戻ったみたい」

 

隣から聞こえる幸詞の寝息を久しぶりにこんなに間近で聞いた

 

昔はこうして引っ付いて寝ていたから懐かしい

 

「たまにはいいよね」

 

マリアとマムが見たら怒るかもしれないが、今は誰もいないのだから気にすることはない

 

「おやすみ、こーじ」

 

そのまま調も眠りにつき…翌朝

 

「・・・」ムク、ボリボリ

 

寝癖のついた髪を掻きながら幸詞が起床

 

「おはよーデース!」

「おはようこーじ」

 

振り替えるとリビングには既に身支度も整えた切歌と調は幸詞より早く起きたのだろう、キッチンで朝御飯の準備をしていた

 

「・・・はよ」ムス

 

「あらら、相変わらずの低血圧のご機嫌ななめさんデス」

 

切歌が幸詞を引っ張り布団から引き剥がし、その間に調が布団を畳む

 

「ん・・・姉さんは?」

 

「朝早くから本部に行ってるよ。はいコーヒー」

 

「ん・・・ありがと」ズズズ

 

「♪~♪~」クシクシ

 

調に淹れてもらったコーヒーを飲みながら切歌に寝癖を直してもらう

 

「ん、俺も早く行かねぇと」

 

「それなら早く朝ごはん食べて、しっかりと元気だしていかないと」

 

「そうデスね。しかし楽しかった旅行がもうずいぶん昔のように感じるデスよ」ズーン

「学校っていうのは楽しいけどまた同時に辛いところでもある・・・」ズーン

「あぁ・・・今日も仕事と訓練か・・・」ズーン

 

旅行後の憂鬱に苛まれる三人、例えやりたいことがあったとしても憂鬱になるには十分だったが・・・

 

「って!?そんなことしてたらもう時間が!!?」

 

「「!!?」」

 

大急ぎで身支度と朝食を終えて

 

「「「いってきます!!」」」

 

三人揃って家を出て、それぞれのお務めへと急いだのだった

 

そうして出勤したSONG本部、早速エルフナインと共にお仕事に励む幸詞

 

「うぃっす、様子見にきたぞ」

 

「!天羽さん、こちらにどうぞ」

 

モニターから離れて、丸テーブルに座る

 

「今はなにやってんだ?」

 

「最近の訓練から暴走形態について色々考えまして…それで昨日具体案が浮かんだのでそれの作成中です」

 

「!、そうなのか!?それで何が浮かんだんだよ?」

 

「それはできあがってからのお楽しみで」

 

「んだよそれ~!もったいぶらずに教えろよ!」

 

という具合で話し合う二人の間に・・・コトっ

 

「どうぞ」

 

エルフナインがコーヒーを淹れてくれた

 

「お、サンキュー」

「ありがとうエルフナインちゃん」

 

「いえ、ボクも入ってもいいですか?」

 

「もちろん」

 

「ありがとうございます。それでは失礼します」

 

そう言って幸詞の隣に座ったエルフナイン

 

一緒に置かれた砂糖を数杯入れた奏に対してそのままブラックで飲む二人

 

「うん、うまい」

「今日のは友里さんに教えてもらったんですよ」

「そうなのか、あったかいものどうも」

「いえいえ、あっかいものどうぞ」

 

和気あいあいと話す二人

 

「なんかお前らがブラック飲めるの意外だよなぁ」

 

「?また孤仁ですか?」

 

「いんや、あいつ甘いもの好き・・・つうか甘いもの狂いだったけど別にコーヒーは普通に飲んでたよ」

 

「へぇ、それじゃあなんでですか?」

 

「まずエルフナインは普通に見た目がロリっ娘だから。それから幸詞は子ども舌ってマリアから聞いててな」

 

「あー、確かにそうかも」

 

「それじゃあ幸詞さんの好物ってなんなんですか?」

 

「肉」

 

「し、シンプル・・・」

 

「で?嫌いな食べ物は?」

 

「野菜」

 

「それでなんでそんなに身長がつくんですか・・・」

 

「それはきちんと栄養とってくれた孤仁に感謝かな」

 

「まぁ全部アイツが作って食べてつけてたもんだけどな。で、そんな子ども舌なお前がブラックで飲めるんだから意外だと思ったんだよ」

 

「んーまぁそれは・・・ねぇ?」

「あはは、そうですね」

「ん?なんだよ?」

 

目を見合わせて笑う二人が気になり問いかけた

 

「正直こんな風に落ち着いて飲める環境でない限り味なんざ分からないんッスよ」

「いつもはとにかく飲む、の一択ですから」

「・・・つまり?」

 

「「連勤続きでカフェインダイレクトで接種するならブラック一択」」

 

「あっはっはっ!なるほどな!!・・・ってなるか!?そこまでヤバイのかこの職場!」

 

「ピーク時は結構・・・エナドリとか栄養ドリンクとかもまぁ飲むんですけど量と一々買い付けに行くのがめんどくて・・・」

 

ちなみに以前大量に買い置きしていたエナジードリンクは無くなりました

 

「コーヒーならいつも友里さんが淹れてくれますし、いない時も粉とお湯だけですぐに飲めますから・・・」  

 

コーヒーがほしい時、飲み終わった時、特に知らせてもないのに突如現れ「あったかいもの」をどうぞしてくれる人・・・その名は友里あおい

 

「ホントにエルフナインちゃんが来てくれてよかった。この戦い始まって色々手が足りないところにエルフナインちゃんが手を貸してくれるから」

 

「それをいうなら幸詞さんがいないとここはまともに回っていませんよ。それでも最近は研究に加えて戦闘に訓練と幸詞さんのやることは毎日増えていってますし・・・」

 

「分かった、とりあえず落ち着いたらお前らは絶対に休みをとれ」

 

バカンスのつもりの任務も結局戦闘になっていたこともあり、実は割りと休んでいない二人

 

「それいいね、どっか旅行行こうか」

 

「いいですね、どこに行きますか?」

 

「やっぱ温泉かな」

 

「行きたいです!あ、コーヒーのおかわりを淹れてきますね」

 

「ありがとう」

 

三人のカップを手に給湯室に向かったエルフナインの背を見届け、会話を続ける

 

「・・・で、あのカースとかいうのが見せた力のことなんだが」

 

「はい。殴ろうとした時なんか阻まれてるっていうか・・・近づけない感じがしたんです」

 

ガリィの死に悲しむカースへ向けた追撃の際に感じたあの時のことを思い出す

 

「そうか・・・近くで見てたマリアも間違いないっていってたし、確定か・・・」

 

「あの、あれがなにか知ってるんですか?」

 

「アタシの推測が正しければそれは『無下限術式』だ」

 

「『無下限術式』?」

 

「術式については話したことあるだろ?」

 

「生まれた時に刻まれる呪術ですよね?」

 

「あぁ、そしてそれを使っていたのはアタシの先生、そして五条孤仁・・・孤仁の場合は後天的に刻まれたものだけどカースが現れるまではこの世界で唯一にして最強の術式だった力だよ」

 

「!!」

 

「原理についてはアタシもよく知らない、確かアキレスと亀?とかなんとか・・・とにかくカースが使ったのはその無下限術式の無限のバリアだ」

 

「アキレスと亀・・・そうか、近づけないってのはあってるのか」

 

「!、分かるのか!?」

 

「そこまで専門的にではないですがなんとなくは・・・とにかくそれがある限り俺の攻撃はアイツにたどり着かないってことですよね」

 

「そういうことだ、とはいっても会話から察するにまだ発現したばっかってところだから使いこなすのにも時間がかかるだろ・・・とはいえ益々面倒で脅威になったってことは変わらねぇな」

 

「そういえば」

 

去り際にカースがいっていたことを思い出す

 

・・・

「私は望みを叶えるための力を得る、そのためなら私という存在を擲っても構わない次会う時にはもう私は私ではないかもしれない」

 

「その時は私はお前を潰す、お前が自身を幸詞孤仁と呼ぶのなら・・・私は潰す。その名を名乗るのは・・・私だ」

・・・

 

望みのために自分を捨てる・・・自分の魂に刻んでいる力を捨てて、無下限を得ると決めた・・・あの言葉はその決意を込めた言葉

 

「あれはそういう意味だったのか、一体どうやって」

 

「今は何故を考えるよりかはこれからを考える方がいい。もしもアイツが無下限を自在に扱えるようになったとしたら・・・終わりだと思ったほうがいい」

 

「!」

 

「正直そうなった時に現存の戦力をフル投入したとしても傷一つつけられない、間違いなく全滅だ」

 

「そんなにヤバイんですか」

 

「ヤバイなんてもんじゃねぇよ・・・まさに『最強』だ」

 

少し前ならいくら強い力をつけようがどうせ人形、大したことはないと言えた

 

だけど今は違う、カースの覚悟や想いを知っている

 

「アイツには強い力を手にしてやりたいことがある、そのためなら手を選ばず無茶苦茶するイカれっぷり・・・あの呪術を扱う器としては完璧だ」

 

「・・・」  

 

この間まではカースに対してなにも感じていなかった、ただよく分からないやつ、としか思っていなかった

 

それでも戦いながら話して、もう人形だとは思えない、敵だとしてもカースの魂は本物であり、尊敬に値するものだ

 

「とにかく次接敵したら確実に仕留めろ、これ以上アイツに時間を渡すわけにはいかない」

 

「・・・はい」グッ

 

拳を握り締めて答えた。それと同時に幸詞にとってカースは「計り知れない恐怖」としてその心に影を落とした

 

「どうぞ、あ、幸詞さん。そろそろお時間では?」

 

そこにエルフナインが新たにコーヒーを持ってきてくれたが、時計を見て気づく

 

「ん?あ、本当だ」

 

「時間?」

 

「この後切歌と調と待ち合わせなんです。なんかパンケーキのうまい店があるとかで」

 

「ふーん、まぁ最近訓練通しだったし羽伸ばしてこいよ」

 

「でもこれの作成が…「それならボクが続きをやっておきますよ」あ、本当?ならお言葉に甘えて」

 

実は密かに楽しみにしていたので浮き足だって研究室を後にした

 

 

「あ!こっちデスよこーじ!!」

 

「おまたせ」

 

自販機で買ったのだろう、それぞれ飲み物を手にしている切歌と調

 

「そんなに待ってないよ」

 

「ならよかった…ん?調それブラック飲んでんの?」

 

「うん、飲む?」

 

「ん」

 

そのままそれを受け取って一気に飲む

 

「仕事疲れでまだ頭をボーッとしてたから助かった」

 

「ならよかった、それじゃ行こう『ビー!ビー!ビー!』!」

 

パンケーキのうまい店に向かおうとしたその時、任務用の携帯端末が鳴る

 

それは指令の合図だ

 

三人は視線を合わせて頷く

 

 

弦十郎からの連絡により、アルカノイズの反応は地下68m、共同構内からキャッチされた

 

様々なエネルギーの経路となるそこでアルカノイズの反応が現れたらしい

 

「オートスコアラーは?」

 

『まだ分からないが確実にいるだろう』

 

「なら俺も向かいます」

 

奏との話から現在のカースが極めて危険な存在だと判断し、幸詞が同行を進言した

 

『…本部もそちらに向かっているが多少時間がかかる任せたぞ』

 

「…随分あっさりなんですね」

 

『お前にそう言ったところで聞くわけがないということはよく分かったからな』

 

「ありがとうございます」

 

そうして指示された共同構内に続くエントランスへと駆ける三人

 

『幸詞、切歌、調、先ほど指令も仰ったけど本部も現在現場に航行中よ』

『ここにいる私とマリアと雪音と奏を含めてな…そこで先んじて立花も向かわせている』

『幸詞がいるならある程度は大丈夫だと思うが、あのバカと合流してから飛び込めよ!』

 

上からマリア、翼、クリスからの助言…そして

 

『幸詞、ついさっき話したこと覚えてるな?』

 

「はい」

 

『いけそうなら確実に倒せ、無理そうなら絶対に死んでも逃げろ…いいな?』

 

「分かりました」

 

奏からの言葉にそう答えたが

 

『どうだがな、お前わりと無茶するし』

 

「そうしないための開発も進めてるんです…エルフナインちゃんは?」

 

『まだかかりそうなので無茶はしないでくださいだと、愛されてるね~』

 

「俺にはもったいないくらいですよ」

 

『かもな、とにかくカースだけじゃなくお前にもまだ未知数な部分が多い…だからできる範囲で無茶しろよ』

 

「それなら心から了解しました」

 

『よし、なら頼んだぞ!』

 

そうして通信を切り、エントランス前で待っているとすぐに響が来たが…

 

「?立花さん?」

 

駆けながら涙を雑に拭ったかと思えばなにかを堪えるように震えている様子の響…そこにいつもの笑顔はない

 

当然それを見逃す三人ではない

 

「なにかあったの?」

 

「…なんでもない」

 

調に対する響の言葉はそっけなく、やはりいつもと違う…

 

「とてもそうには見えないデ「嘘つくのやめてもらっていいですか」こーじ!?」

 

なんとか響を傷つけない言葉を選び話そうとするのを遮って幸詞が話す

 

「!、別に嘘なんて「なにがあったか知りませんけど」!」

 

響の言葉すらも遮って

 

「今から戦うんで私情持ち込むのならやめてください」

 

「ッ!!」

 

切歌と調では言えない言葉は幸詞なら言える

 

「特にシンフォギアは装者の精神状態に左右されやすいんです。しかも今回は場所が場所なんで丁寧に暴れないとえらいことになるんですよ」

 

「そんなこと、分かってる」

 

「だったら俺達の目を見ていってもらってもいいですか?」

 

「ッ!!」

 

厳しい言葉と声色を他所に顔を上げた響の目に映ったのは心配そうな顔の幸詞達

 

「私たちには関係ないし、頼りないかもしれない」

 

「けど、それでも今の響さんを放って戦うなんてできないデス」

 

「俺らに話せないのは別にいいです…でもこのままだと心配で集中できないんです。だからお願いします。無理しないでください」

  

「っ!、ごめんね」

 

「いえ、それより何かあったんですか?」

 

「それは今言うことじゃないから大丈夫」

 

「…そうですか」

 

まぁ無理して話せとは言えないので仕方がないのだが…

 

「まずは未来に話してそれで落ち着いたら三人にも聞いてもらってもいい…かな?」

 

「「「!」」」

 

「本当にごめん、雰囲気悪くしてたね」

 

「いえそれは全然」

「むしろ話してくれるんデスか?」

 

「そんなに心配してくれてるのになにも話さないなんてできないよ。それに三人の気持ち分かったから、今はとりあえず大丈夫!」

 

「…ならよかったです」

 

「うん!それじゃあいこっか!」

 

なんとか持ち直せたようだ、まだ少し無理は見えるが笑顔の戻った響を交えて四人は共同構内へ…そこにいたのはアルカノイズと

 

「…来たか」

「そうダナ、けど今日はお前達の相手をしてる暇はないんダゾ!」

 

なにやら機械のコンパネを操作していたミカとその側に立っているカース

 

「…立花さん」

「分かってる!カースちゃんは幸詞君に任せた!!」

「アルカノイズとあのオートスコアラーは私たちに任せて!」

「決着つけてくるデスよ!!」

 

「ありがとうございます…よしっ」

 

気を引き締めると共にアルカノイズを飛び越えてカースに飛びかかる

 

それを察したカースはミカから離れ、幸詞も後を追う

 

「初めてだな。お前が私を指名してくれるのは」

 

「言ってろ、これが最初で最後だ!」

 

ガッ!ガガッ!ガキンッ!!

 

交わされていく徒手空拳の数々

 

以前は幸詞が勝っていた体術もカースが勝っていた呪力操作も完全な互角、どちらにも当たらない

 

「また一段と強くなったようだな」

「ハッ、お前が言うかよ」

 

一度距離を取り、互いに睨みあう

 

後方では響達が戦闘を始めたようだノイズがあちこちに飛び回り、火花が散っている

 

「…だが」

「あ?」

 

そんな状況で均衡を破り口を開いたのはカース、それに幸詞が答えたその瞬間

 

ギュンッ!!

 

「!?」

「今は私の方が強い」

 

一瞬にしてカースが幸詞の目前に現れた

 

「(!?なんだ、速いとかじゃない)「お前の前ではこれが初だな」ッ!!」

 

理解しきれない現象に困惑しつつも拳を突き出した

 

ファラの顔面や、ガリィの胴をも貫いたその拳は…

 

グググッ

 

「なんだよ、これっ!?」

 

前回と同じくカースの寸前で止まる…否届かなくなる

 

「天羽奏から聞いていないのか?これが『無下限術式』だ。防御に意識しないと発動できないがな」

 

「天羽さんの言ってたのはこれか」

 

このまま拳が届くことはないと判断し、無限にはまっていた拳を引く

 

「術式とは生まれもって魂に刻まれているもの…だが私は魂を持たないオートスコアラーだ

 

以前の接触吸収はマスターにより他のオートスコアラーを模した力をこの身に刻み、与えられていただけに過ぎない。」

 

そのまま一歩下がって態勢を立て直す幸詞、それに対してカースは一切追撃を与えることはなく余裕の笑みを浮かべる

 

「!、まさか」

 

「聡いな…私は術式とその原理を理解することでそれを模倣することが可能だ」

 

人間でないからこそできる芸当、それによりカースは無下限術式を身に付けたのだ

 

人の身では耐えきれないことも科学を超越した錬金術なら可能としてしまった

 

「だとしてもいつの間に…そうか、あの時」

 

響、翼、クリスがイグナイトを初めて使用したあの戦闘でアルカノイズと他のオートスコアラーによる強襲とカースが参戦したタイミングにはラグがある

 

そのラグこそが答え

 

「そう、ファラに手伝ってもらって姿を隠してSONG艦艇に侵入、そのシステム内部にあった櫻井了子による「風鳴孤仁と五条悟擬きについての報告書」を含むその他諸々を見させてもらった…言っておくがお前達が施したロックなど分解と創造が基本の錬金術の前には壁にもならなかったぞ」

 

それは幸詞も一度閲覧しようとしたデータだったが、何重にも掛けられたセキュリティから断念したもの

 

「ったく俺も見たかったけど…なんでそんなデータ残しとくかな」

 

「櫻井了子ことフィーネの残した櫻井理論は全て秘匿とされているが現存されており、現在も解析が進んでいるのだろう?

 

それに加え五条孤仁の持っていた力はノイズは愚か世界すらモノにできる力だ

 

…軍事力、支配力その他諸々を求める腐ったミカンどもからすれ絶好の情報なのだろう、消すわけがない」

 

「説明どう…も!」

 

グググッ

 

「何度やろうと同じだ…私が防御に徹してる間、お前の攻撃は私には届かない」

 

再び繰り出した拳、カースはその拳を受け止めるようの掌を構える

 

一見受け止めているかのように見える掌だが拳との間には距離がある

 

そして幸詞の拳がその掌にたどり着くことは永遠にない

 

「そう急くな…私もまだこの力の全てを扱える訳じゃない。今まさに少しずつ慣らしている…いや機械的にいえばインストールしている状態だ。現在約25%といったところだ」

 

「四分の一でこの強さなのかよ…」

 

「そうだな、私も驚いているさ」

 

そう言ってからニコッと穏やかに笑ったかと思ったその時

 

パシッ…拳が掌が届いた

 

「!」

「この程度でお前に勝てるのだからな」

 

ガシッ!そのまま拳が握られ、引き寄せられ…

 

ドスッ!!

 

「ッ!!」

「まだまだいくぞ?」

 

ドッ!ゴッ!!メキィッ!!

 

幸詞の胴体にカースの連撃が突き刺さ

 

身体中の酸素が抜けるかのような感覚に襲われる

 

「ゴホッ、ガッ(ただ殴られてるだけじゃねぇ、無下限の力で加速してんのか!?)」

 

孤仁もよく使っていた術式順転蒼による引き寄せる力を用いた打撃

 

それが容赦なく突き刺さり続ける

 

「おっと、あまりやり過ぎては…いけないこともないのか。マスターの遺言でお前は好きにしていいとのことだからな」

 

カースの攻撃が一時止む、幸詞は立つこともできず繋がれた腕に吊るされるように跪く

 

「ガリィの恨みもあるのでな…やり過ぎさせてもらうぞ」

 

グイッ、腕を持ち上げられ視線を合わせ告げられた

 

最後の一撃に無下限は必要なく、振り上げたカースの拳には純粋な呪力のみが宿っていた

 

「これで終わりにしよう」

 

そして幸か不幸か…その拳に黒い火花が迸る

 

「黒閃」

 

!!!!

 

「ッ!!!!」

 

ズドッ!!ガッ!!ドゴォォォンッッ!!!

 

「ぐっ、が、ぁ…ッ!!」

 

決められた黒閃により吹っ飛ばされ、地面を割りながら転がり、壁に激突してようやく止まった

 

「「こーじ!?」」

 

そして止まった場所はなんと切歌と調がいた場所の近く、響はアルカノイズと戦闘中のようだ切歌と調の二人が幸詞に駆け寄った

 

「おお?カースの決着はついたみたいだナ」

「いやまだついてないよ」

 

ミカの疑問に答えるように瞬間移動で現れたカース

 

「でももうアイツボロボロダゾ?」

「いや…息がある」

 

「…ッ!ゲホッ!!ゴホッ!!…ッ!オエッ!!」

 

ビタビタビタ…なんとか立ち上がった幸詞の口からおびただしい量の血がこぼれ落ちる

 

「っ!こーじ!!」

 

「土壇場で体勢をずらして急所を避け、更に呪力によるガードをしたんだ。そう簡単に死ぬものか」

 

「へぇーそれはスゴいナ!!けどこれ以上は無理そうダ」

 

「だからこそここで始末させてもらう…アイツは今後脅威になるからな」

 

「!、やらせない!」

「ここは通さないデスッ!!」

 

ボロボロの幸詞を守るための調と切歌が立ちはだかる

 

「やめ、逃げ、ろ」

 

「絶対に嫌!!もう…もう二度と幸詞を置いていきたくない!!」

「私も同じデス。あの日幸詞が私たちを守ってくれたように今度は私たちが!」

 

「素晴らしい愛だな…私も今ならそれがどれだけ大切なものなのかが分かるよ」

 

その二人の姿を讃えながらゆっくりと歩を進めていく

 

「ミカ、先に帰るんだ。あまり無駄遣いできないのだろう?」

 

「んー…残念だけどそうダナ。アタシは一足お先に~それからこれはおまけダゾ!!」

 

ミカは去り際に大量のアルカノイズをばら撒き、テレポートした

 

ミカが減ったがカースはまだ残っている、このままではまずい

 

「切歌ちゃん!調ちゃん!幸詞君!」

 

響がこちらに来てくれているが先ほどばら蒔かれたアルカノイズの殲滅をしながらでは間に合わない

 

まずい状況でかえって思考が研ぎ澄まされいく中で奏の残した助言が甦る

 

いけそうなら確実に倒せ…それは無理だ

 

無理そうなら死んでも逃げろ…それができるならもうとっくにしている

 

だったら…

 

「切歌、調」フラフラ

 

「!、こーじ?」

 

「力を、貸して、くれ」

 

この状況を覆すために幸詞はできる範囲での無茶を選ぶ

 

スッ!ガシッ!!

 

素早く上げた両手が切歌と調のギアの胸元にあるギアのペンダントを掴む

 

「こーじ…まさか」

「それはダメ!!」

 

「…ごめん」

 

一言謝ってからギアペンダントのトリガーを押し込み…幸詞は引き抜く

 

「イグナイトモジュール…抜剣!!」

 

『ダインスレイフ』

 

機械的な音声が流れると共に切歌と調のギアが変化し黒いギアとなった

 

だけど本来二人にかかる負担は軽く、そのほとんどが幸詞に降りかかる

 

ドンッ!!!

 

「「!!」」

 

正気を保っていられる内に切歌と調を突き飛ばす、その先には

 

「立花さんっ!!」

「!」

 

アルカノイズと戦っている響がいる

 

そしてこの場にいて確実に自分を止められる存在に頼み託す

 

「切歌と調を連れて離れてくださいっ!!!それからっ!…最悪の時は頼みます」

 

「ッ!!…分かった」

 

衝動に耐えながら懇願する幸詞の決意に答えないわけにはいかない

 

ガシッ、ガシッ…ダンッ!!!

 

「響さん!!?」

「ダメッ離して!!こーじぃぃ!!!」

「絶対に私がなんとかするから!!だから今はお願いッ!!ジッとしててっ!!」

 

二人を掴み、即座にその場に離れる響を確認してから幸詞は意識を手放した

 

「グオォォォォォァァァァァ!!!!!」

 

雄叫びと共に幸詞の身体を影が覆う…それは全てを殺戮するための合図であった




じゅじゅしないさんぽ!

名前を呼んで!

響、未来から呼ぶ時は幸詞君 
幸詞から呼ぶ時は立花さん、小日向さん

響「んー、まだ壁を感じるね」
未来「だね。もっと仲良くなりたいね」

翼から呼ぶ時は鳴届で、幸詞からは翼さん
クリス、奏は幸詞で、幸詞は雪音先輩、天羽さん

翼「ふむ、少し他人行儀か」
奏「アタシ対してはなんで名字なんだよ」
クリス「まぁなんだかんだ礼儀はいいからいいんじゃないんですか?先輩」←唯一先輩と呼ばれてるので機嫌がいいクリス

その他の人物は大体さん付けである

響「けど結局幸詞君が名前を呼ばれた時と呼ぶ時で一番嬉しそうなのって」

マリア、切歌、調「幸詞/こーじ!」
幸詞「!、姉さん!切歌!調!」

翼「これには敵わないな」
奏「ま、しゃーねーか」
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