更新に時間がかかって申し訳ありませんでした。
近日中にもう一話をあげますのでよろしくお願いします!!
幸詞が実は五体満足で起きており、とある作業に集中していることなど知らない調と切歌、帰路を進む足は無意識に遅くなっていた
本当なら今頃美味しいと噂のパンケーキを食べて三人で楽しく帰っていた頃だったのに
「調」
切歌だって幸詞が自分達を守るために無茶をしたことが辛かった
だけど少し後ろを歩く調が落ち込んでいるのを見て見ぬふりはできなかった
「こーじのことが心配なのは分かってるデスけど、今はいつ来るか分からない敵襲に備えるべきだと思うデス」
「うん」
「それにこーじには孤仁がついてる!きっと怪我を治してくれてるデスよ!」
「うん、ありがとう切ちゃん」
明らかに無理した笑顔でそう返す調を見て、
「ごめん、返って気を遣わせたデスね」
無理させてしまったと切歌も気を落としてしまう
「私こそごめんね、ただ昔の事思い出してたの」
「昔?」
「うん、あの白い孤児院のこと」
「!、私たちが初めてあった時っ!」
その時二人の脳裏に甦った存在する記憶
それは数年前に遡る
米国連邦聖遺物研究機関、F.I.S.がフィーネの器となりえるかもしれない少女が集められた施設、正式名称は知らないがそこに自信の誕生日の記憶すら失くし捕らえられたその場所のことを『白い孤児院』と、調達は呼んでいた
「今思えば少女だけだというのになぜこーじはいたんでしょうか?」
「見た目で勘違いした職員が連れてきて、仕方ないから入れたってマムが言ってた」
「あー、昔のこーじは完全に女の子だったデス」
フィーネの器の選定の過程でシンフォギアへの適合試験があった
マリアはガングニール、セレナがアガートラームに適合したように切歌と調はそれぞれイガリマとシュルシャガナに適合した
とはいえそれはリンカー頼りの適合であり、その身にかかる負荷は今よりも重いものだった
そして適合した調達以外の少女達はF.I.S.の構成員や他の聖遺物の実験などに移されており、幸詞はかつてここにいた
その頃はまだ出会ったばかりではあったが記憶もなにもなかった切歌と調は自然に互いを守ろうとして想い合っていた
そんなある日のことだった
「早く来い!!」
「嫌デス!!」
「怖いのも痛いのももう嫌!」
施設の職員が二人を適合率上昇のための訓練に連れていこうとしていたが、二人はこれを拒否していた
「チッ、生意気なガキが!!」
ガシッ!
「!」
「!、調を離すデス!!」
調の腕を乱暴にとった職員に切歌は体当たりをかますが、
「いくら適合者とはいえ貴様らは我々の道具ということを忘れるな!!」
「ッ!」
ドカッ!!
「ッ!?調ッ!!」
「切ちゃん!!」
切歌が殴られ、調がそのまま連れていかれそうになったその時だった
「オラァ!!!」
ゲシィ!!!
聞き覚えのない自分達よりほんの少しだけ低い声、その声の主は駆けつけ一番その職員に向かってドロップキックをお見舞いしていた
「女の子に乱暴しちゃいけないって知らねーのか!!!」ゲシッゲシッ
倒れた職員に説教たれながら踏みつける少…女?男?どっちかよく分からないが、とにかく初対面であることは確かだ
「だ、誰?」
「ん?、俺?俺は幸せの
そう名乗ったのはもちろん幸詞、この時が初めての出会いだった
「え、えっと「早く逃げな?ここは俺に任せて!」!、行くデスよ調!」
「でも切ちゃん!「今はとにかく自分の身デス!!」あっ!…」
幸詞と名乗った子の言葉のまま切歌は調の手を取り、走って逃げる
もちろん罪悪感はあった、だけどそれでも自分となにより調の身を守るために走った
結局その後見つかってしまったがいずれ『マム』と呼ぶこととなる聖遺物の研究者と出会い、それから数日が経ってようやく訪れた束の間の訓練も実験もない時間
同じ少女達が集まる場で切歌と調は幸詞を探していた
「あの時の子大丈夫かな」
「置いて逃げちゃったこと謝らないとデス…」
などと心配していたのだが
「もうまた怪我して」
「あはは、ごめんセレナ姉さん」
幸詞は姉と慕う少女に手当てをしてもらっていた
「で?しばらく見てなかったけど今度はなにしたの?脱走?イタズラ?」
「えっと、ちょーばつぼう?ってことに連れてかれた」
「えぇ!?」
そして手当てをしている少女の姉と思われる年上の少女の質問に答え、驚かれていた
「あら、そんな所に連れていかれるなんてどんなイタズラしたの?」
「待ってセレナ!?論点はそこじゃないでしょ!?」
「なんか悪そうな奴が女の子を連れて行こうとしてたんだよ!」
「それを助けたの?」
「うん!」
「ならいいのかな?」
「ダメでしょ!?」
「?なんでマリア姉さんはそんな慌ててんの?」
「さぁ?なんでだろうね?」
「この弟と妹怖い!?」
とても仲睦まじい会話を交わしているが手当てをされている幸詞の身体中に痣や傷ができていて、どんなことをされたのなど想像に難しくなかった
「あの人達はシンフォギアの起動実験の時に一緒だった人達だよね?」
「確かマリアなんとかさんとセレナなんとかとさんデス」
「あの人達
「会話的にはそうかもしれませ「あ!あの時の!!」!!」
話しかけるタイミングを探りながら三人の様子を見ていたその時、幸詞が切歌と調に気づき近づき声をかけた
「よかった元気そう!怪我ない!?殴られたとこ平気!?あの後ちゃんと逃げれた!?」
「そ、そんないっぺんに言われても「元気だよ。怪我もないし、切ちゃんもこの間殴られたところはもう平気、あの後結局見つかっちゃったけどもう大丈夫」調!?」
慌てる切歌を他所にいっぺんにきた質問に丁寧に答えた調
「私は月読調」
「あっ、アタシは切歌デ「うん知ってる♪」えぇ!?」
「二人のことはマリア姉さんから聞いてたよ!だからあの時もしかしてって思ってた」
「そ、そうだったんデスね」
「貴方達は歳が近いんじゃないかって話していたのよ」
「いつか会うことができたらきっと友だちになれるんじゃないかと思ってたけど、その通りだったね幸詞」
「!、マリア姉さん、セレナ姉さん」
「!」サッ
話しかけてきたマリアとセレナ、それに気づいた調は切歌の背後に隠れた
マリアの言った通り歳が近く、かつ助けてくれた幸詞なら平気ではあったが
「調!ごめんなさい、調は人見知りなんデス」
警戒心故の行動だったようで、切歌が誤解を生まないようにフォローする
「そうだったのね。訓練で何度か顔を合わせていたけどこうして話すのは初めてだものね」
「そうね、いつも調ちゃんのことを切歌ちゃんがすぐに連れていくから話せなかったの」
「あ、あれは早く調を休ませてあげたかったんデス」
「ふーんそうだったんだ」トトトッ
切歌の背後に隠れた調に近づき、その顔をジッと見る幸詞
「改めて俺は幸詞っていうんだ、なんかここ女の子ばっかりで俺だけ男だけどよろしくね」
「え?男の子なんデスか?」
「?うん」
「やっぱりそうなるわよね」
「?、私は最初から分かってたけど?」
「セレナが特殊なのよ」
「それからあっちはマリア姉さんとセレナ姉さん!怖い人じゃないよ!」
「本当に姉弟なの?」
「えぇ、とは言っても血の繋がりはないわよ。幸詞が勝手に呼んでいるだけ」
「なんて言ってるけどマリア姉さんいつも幸詞は大丈夫か、とか怪我してないかっていつも心配してるのよ?」
「セレナ!?」
「へぇーそうなんだ、セレナ姉さんも?」
「もちろん!私も幸詞のことが大好きだもの」
そのまま幸詞の頭を撫でるセレナ
「へへっ、俺も大好きだよっ!」
心地良さそうに目を細め、心底嬉しそうな表情を浮かべている幸詞
血の繋がりはないと言っていたがそんなことは関係なく互いに信頼しあっているその姿に思わず
「いいなぁ…」
切歌が、そう溢した
「?なにが?」
「!、あ、いえ!その、アタシはここに来るまでの記憶がなくて誕生日も分からないんデス、だからその、皆さんが羨ましくて」
ここにいる少女達はどこからか連れ去られてきた
そのショックでそれまでの記憶を失ってしまうのがほとんどだ
「…俺も」
「え?」
「俺も一緒、俺もここに来るまでのことはほとんど覚えてない…ちょっとだけ覚えてるお父さんとお母さんもノイズのせいで死んだってことしか覚えてない」
「…」
「けどさけどさ!俺の名前はお父さんかお母さんがつけてくれたものなんだって!マムが教えてくれた!!」
「そうなの?」
「うん、日本の言葉で幸せの
それでさ俺の人生が幸せの詞でいっぱいになるために俺の周りの人達も幸せでいてほしいんだ!」
「どうして周りの人達も幸せでいてほしいの?」
調の問いに笑顔で答える
「
俺の詞が誰かに届くように、誰かの詞が俺にも届く、俺はその詞が幸せなものであってほしい」
真っ直ぐ、キラキラした瞳でそう語る幸詞
今にして思えばあの環境であんなキラキラした瞳をなぜできたのだろうか?
それは一重に家族の絆を大切にしてきたから
『僅かな記憶に残る家族との絆』、そして
「だから切歌と調にも幸せの詞を届けたいんだ」
そう言ってから二人に両手を差し伸ばして…
「『記憶はないけど、俺には姉ちゃんと妹がいた気がするから俺達これから家族!』って言ってくれたんだよね」
「そうデス。セレナは私達の時と同じだって言って」
「マリアはまったくって呆れてた」
「それから…これからは俺が皆を守ってやるっ!って言ってよね」
「そうそう!それでアタシ達は家族になったんデスね」
『これから築いていく家族の絆』を大切にしてきたからだ
「それからはアタシ達いつも一緒だった」
「うん、ずっと一緒だった」
美味しくないご飯も皆一緒なら美味しく感じた
寝る時はこっそりお互いの寝床に行って寝起きの悪い幸詞を二人で起こした
少し恥ずかしかったけどシャワーも一緒でいつもより暖かかった
二人だけの時は遊ぶなんて思いつかなかったけど初めは幸詞が手を引いてくれて鬼ごっこやかくれんぼというのを教えてもらった
それで疲れたらマリアとセレナのところでお昼寝して、マムには勉強を教えてもらっていつだって三人一緒だった
けど
「突然幸詞はいなくなった」
「私達を守るために幸詞は自分を犠牲にした」
後に『五条悟の目隠し』と呼ばれる聖遺物の実験のために幸詞は連れ去られた
いつものように訪れた幸詞の寝床は空っぽになっていて、どこにもいなかった
「事情は全部マムから聞いたね」
「なにか言ってほしかったデスね」
「…うん」
幸詞がいなくなった日、二人は立ち上がることもできないほどに泣いた
そんな自分達をマリアとセレナは必死に慰めてくれていたけど二人も同じくらいに涙を流していた
幸詞にそんな決断をさせてしまった無力な自分を悔やんだ
「きっと幸詞は私達が弱いからそんな決断したんじゃないってことは分かってた、けどだからこそ悔しかった」
「アタシ達も幸詞のことを守りたかったんデス」
それから数年が経ち、月の落下から人々を守るためのフロンティア事変があった
そしてその時に五条孤仁と出会った
「最初は分からなかったけど、こーじにそっくりだったね」
「元が同じなんデスから当たり前デスよ。けどこーじとは違った」
「うん、それで孤仁がこーじから生まれたって聞いた時に置いていかれたって思ったんだ」
「置いていかれた?」
「うん…こーじから生まれた孤仁は私とは比べようがないくらい強かった。それで本当に全部守ってくれた。他でもないこーじごと全部」
「そうでしたね、私たちもマムも全部全部約束通り守ってくれたデス」
一度殺しかけたというのにそれでも孤仁は守ってみせた
自分より遥か前で戦う孤仁の姿に置いていかれたと感じたのだが…
「けど違った、私達の前で戦い続ける孤仁を見ることしかできなかったみたいに、こーじも私達のことを見守ることしかできなかった」
「!」
シンフォギアを纏うことができた切歌、調、マリア、セレナ、その四人のことを見守ることしかできなかった幸詞はどんな気持ちだったんだろう
「昔はそんなこと考えもしなかった。ただいてくれるだけでよかった、楽しかった」
「だからこーじに呪力に目覚めた時は戦ってほしくなかったデス。こーじからアタシはたくさんたくさん幸せをもらったから」
「うん、私も一緒だよ。だけどそれでもこーじは戦うことを選んだ。マリアも黙らせるくらいの覚悟をみせた、もう置いていかれないために」
「!」
「孤仁の意志を継ぐ、代わりになる、それもきっと本心だよ。だけど私達に置いていかれたくないってきっと思ってた」
ギアの実験や訓練の度に幸詞が心配そうにしていたのをよく覚えている
その度に幸詞が自分の実験や訓練の時には普段は見せない真剣な表情で打ち込んでいたことも覚えている
あれはきっと自分達に追い付くために、置いていかれないために頑張っていたんだ
今、自分達が感じている悔しさをあの時の幸詞も感じていたんだ
「だから私はこーじに置いていかれたって思った。だけどこーじのことを置いていってしまっていたって分かった」
「…そうデスね」
「もう置いていきたくないし、置いていかれたくない、そのために強くなりたい」ギュッ
ギアペンダントを強く握る
「こーじは私は、私達は弱くないって言ってくれた。だから私はその
「今度はアタシ達がその詞を届けられるようにデスね」
「うん。もうこーじが無茶しなくてもいいくらいに」
幸詞がいなかったら今頃自分の力不足で足手まといだと焦っていたに決まっている
そんな未来だってきっとあった、だけど今の自分は違う
こうしてこれまでを振り返って幸詞がいてくれたから今があるのだと実感する
強くなることに焦ることに代わりはないけど、一人で焦ることはない
「でもそうなったらこーじが怒るデスよ。俺の存在価値は!?って」
「!、フフッ」
幸詞と同じことを話す切歌に笑みが溢れた、それは先ほどのような無理した笑顔ではなく自然な笑顔
隣に切歌がいてくれるから自分だけで背負わずにいられる
そう思うと自分は一人ではないと実感できる
「おりょ?なんで笑うんデスか調~!!」
「ごめんね切ちゃん、実は前にこーじも『ドガァァァンッ!』!?」
同じことを言っていたんだ、と続けようとした言葉が爆音に遮られる
続く爆発と響く周囲の人達の悲鳴…二人が周囲を見渡し、目を向けた先には
「あの呪術師はいないのカ?なら好都合だゾ!!」
退いたはずのオートスコアラーミカがいた
「ッ!アタシ達を焚き付けてるつもりデスか!?」
「ヒヒッ、こうすれば前みたいな力を見せてくれるダロ?」
「今度は負けない」
「ん?」
「こーじが無茶して繋いでくれた今を、今度は私たちが!!」
「繋いでいくデスッ!!」
二人は自身のギアペンダントを握り…歌う
「arious shul shagana tron」
「Zeios igalima raizen tron」
ギアを纏った二人、ミカとの決戦が始まった
近接で切歌が斬り込み、調が後方支援に務めつつ積極的に攻撃を狙う
「中々の動き!だけどまだまだあの時には敵ってないゾ!!」
ミカの言うあの時、それは響達のギアの強化の時間を稼ぐために戦ったあの時のことだ
あの時と今の違いはなんだ?
空から迫るミカのカーボンロッドの数々をかわしながら二人は答える
「それはリンカーを倍ぶっぱしたからじゃないデス!!」
「今以上に追い詰められていたわけだからじゃない!!」
そうだ、あの時は心の底から願っていた
「もう置いていかない!置いていかれない!!」
「アタシ達は皆で強くなる!!デスッ!!!」
切歌の強く握った鎌と調の振るった丸鋸が同時に
ガキィィッンッッ!!
ミカのカーボンロッドを斬り砕いた
「!!、これはあの時以上!!」
「!、好機ッ!!」
「これで終わりにするデス!!」
隙を見せずに更に追撃!!
ミカに迫るその時…両者の間に影が差す
「確かに、想像以上だな」
パシッ!!ギャギャギャ!!!…ピタッ
「「!?」」
「!?カース!?」
「すまないミカ、邪魔するつもりはなかったんだ…だけどこのままミカがなにも成さずに消えていくことは我慢できない」
なんとその影はカース!
間に割り入ったカースはイガリマとシュルシャガナの攻撃をそれぞれ片手で止めた
「このっ!邪魔するなデスッ!!」
「邪魔するつもりはなかったと言ったはずだ!!」
ブンッ…ゴシャッ!!
「「!」」
そのままアームドギアを掴んでいた手を振り払うように二人を投げ飛ばし
「さぁこれでタッグマッチだ…イグナイトを使え、全力を使わねば勝てない相手でないことぐらい記憶しているだろう」
「ッ、それは…」
ペンダントに手を伸ばそうとしたが躊躇う
「(今こーじは気を失ってる状態)」
「(万が一今のこーじが暴走したらSONG艦隊がマズイデスッ!!)」
まだ暴走形態については分かってないことが多い、距離をとっている状態で使用し、万が一逃げ場のない海底にいる艦内で暴走したとしたら全員無事ではすまないのだ
皆を危険に合わせないためにもここでイグナイトを使うわけには「どちらにしろ同じだと思うがな」
「「!?」」
思考に割り込む形でカースが言って放つ
「なぜ風鳴弦十郎から今お前達に連絡が来ないと思う?」
「!まさか!」
「SONGの本部には今レイアとレイアの妹が強襲されている。今頃水中に幽閉されているところだ援軍は来ないと考えろ」
「いくらあっちにマリア達がいると言っても戦闘となると歌えない水中じゃ分が悪い」
「さぁどうする?お前達が私達を退けない限り、本部への強襲も今この瞬間も広がる戦火も収まることはないぞ」
「やるしかないデスか「それとも」調!?」
シュンッ、パシッ
距離があったはずのカースの元に調が引き寄せられ、その手が調の首を掴む
「!?、今、のは!」
見覚えのある技を使用したカースに驚く
「そのあたりの情報共有もされていないのか?まぁこの戦闘においてはお前達のどちらかが残っていればいいわけだから…シュルシャガナの装者、お前が堕ちろ」
グググッ
「ッ!、調を離せェ!!!」
「いつまでも蚊帳の外はごめんだゾ!!」
キィィンッ!!
「ッ!、退くデス!早くしないと調が!!!」
「妹が出刃ってくれたんダ!ここで退くわけにはいかないゾ!!」
調を助けるべく切歌が動くがミカによって阻まれる
「アタシにももう時間がない!だからとっととギアを変形させて来るんだゾ!!さもないとぉ~」
「もう少し、だな」グググッ
「ッ!、ケホッ、うぅ」
「調!!!」
「(コイツ、わざと切ちゃんの見せつけるために!!)」
カースが本気になれば調の首など一瞬で砕ける、あえて力を押さえて苦しむ様子をみせて煽るのだろう
「(けど、それでも、もう、意識、が)」
暗転していく視界
「しっかりするデス調!調ぇ!!!」
切歌の叫びも遠く聞こえてくる
「(ごめんね、切ちゃん)」
瞼が落ちる、それと同時に涙が零れた
「(置いていってごめんね こーじ)」
遂に真っ暗になった意識が完全に堕ちきるその前に…ドゴォッ!!!
「(!?)」
首を掴んでいた手が離れ、酸素が一気に体に巡り、堕ちかけた意識が浮上していく
それと同時に今自分を優しく抱き上げる腕の感覚と周囲の声も聞こえる
「遅くなってごめん、でもやっぱり調は強いな」
自分を労る優しい
「!、こーじ!!」
「こー、じ?」
切歌と調の声が重なり、同じ名を呼ぶ
「うん、お待たせ」
鳴届幸詞が戦場に大切な家族を守るためにやって来た
「なぜ、お前が?」
「俺の怪我が治ってることがご不満か?」
幸詞の不意打ちで地に伏せていたカースが起き上がる
「それはどうせ五条孤仁が治したのだろう。そうではない今お前達の本部はレイアが抑えているはずだ」
「分かんねぇだろ?俺も分かんない」ニッ
「なっ!?」
いつかのやり取りをもう一度交わし、不敵に笑う
「俺は気がついたらここにいた、お前と一緒で家族を守りにきた、それだけだ」
「!!」
「調、まだいけるか?」
「!、うん!」
「なら切歌とミカの相手を頼む、アイツは俺がやる」
「任せたよ、絶対に生きてねこーじ」
「うん、約束」
もう互いを置いていかないために一緒に背中を守り合うと決めて…もう一度戦いが始まる!!
久々の詳細な設定的なの
幸詞は家族がノイズに被災してから調達と同じく白い孤児院に所属
フィーネの刻印を持つ者というよりもノイズ被災から生き残った面から連れ去られたが容姿のために少女と勘違いされて連れてこられてしまった
そこでマリアとセレナと出会う(出会った感じは大体切歌たちと同じ)
いくら装者といえど切歌と調もマリアもセレナも最初は壁があったんじゃあないかな?という作者の妄想からその間に入る形で幸詞が緩衝剤となった
しかし幸詞にはギアの適正はないためいつも四人を見送る立場にいた
そんな時に『五条悟の目隠し』の実験体として幸詞が選ばれた。
選ばれた理由としては、
1、聖遺物に対しての実験なので他のレセプターチルドレンも選ばれていたこと
2、白い孤児院自体が幸詞のことを出来損ないと判断していたこと(マムによる保護と装者達の精神面でのケアとして辛うじて生き残っていた状態だった)
3、出来損ないとはいえあくまでも聖遺物に対する適合性がないこと以外の身体的な面をみれば幸詞は優れており目隠しの実験体にはうってつけだったから
幸詞は調達を人質にとられてこれを承諾してこの物語が始まった