幸詞はカース、切歌と調はミカと再び戦闘に入る
以前のマリアと戦ったときとは違い、タッグで戦うことはなく、目前の敵だけに集中して戦う
幸詞の登場により安定した切歌と調は先ほど通りにミカに対して若干優勢に立つがあと一手、あと一息が足りない状態だった
それに対して幸詞とカースの徒手空拳による戦闘は完全に拮抗していた
「いつまでたっても決着がつかないな」
「互いに強くなったってことだろ」
「そうだな、だが結果は前回と同じだ」
幸詞の拳がカースの無限によって阻まれた
「無下限術式がある限りお前に負けることはない」
「チッ」バッ
届かない距離を埋めることができないのは知っているからすぐに腕を引く
「まずはそれを何とかしないとな」
「なんとかできるものか、この力は絶対だ!!術式順転蒼!!」
以前のように無下限術式の引き寄せる力を使用する…が
「オラァッ!!!」
「!?」
カースの目前に引き寄せられた同時に拳を叩き込む
「そう何度も同じ手に引っ掛かるか、引き寄せられるって分かってるならいくらでも対処できる」
通常の人間なら引き寄せられたことを知覚できない速度で行われた蒼
だが人並外れた身体能力と五感を持つ幸詞には効かない
逆にカースが対応できない速度での反撃を与える
「ッ!「それから術式を使う瞬間は無限のバリア張れないんだろ」!」
拳が当たったことからこのことを結論付け、指摘した
「守りの一手だけで俺に勝てると思ってんのか?」
幸詞の攻撃がカースに届かないように、カースが守る限り幸詞に攻撃は与えられない
以前拮抗した戦況、幸詞はそのまま攻撃を重ねようとするが
「だが、こうすればお前に殺られることがないことは確かだろ?」
ピタッ…グググッ
また無限によって阻まれる
このままでは埒が明かない
背後で行われている調と切歌の戦闘が気になる、できればカースなんぞ即ブッ飛ばして加勢に向かいたい…だがそのカースを倒す方法がない
「クソッ「幸詞ッ!!」!?」
その状況に悪態をついた幸詞にかかった声
その声の主は…
「天羽さん!?なんで!?」
「んなことはどうでもいい!エルフナインからの預かりもんだ!!受け取れッ!!」ブンッ
「!」
驚く幸詞を他所に奏の手から投げられたソレは放物線を描きながら幸詞の元へと飛んでいく
「?、なんだか分からないが渡す気にはなれないな」
術式反転、赫を使用しようしたが
ギュオンッ!!!
「!?」
ズンッ!!
「なっ!?」
カースの六眼に奏の投げた槍が突き刺さった
「孤仁ならそれくらい避けてたぞ」
「くっ」
まだ無下限術式を使いこなせていないが故の隙
それは無下限術式に頼りきっているからこそできてしまった『五条孤仁』ならできるはずのない隙だ
「そんなお前にその目があるのはなんか腹立つ…ってことであとは頼んだぞ」
槍を引き抜いたカースは右目を押さえ反転術式で即座に目を治したがその目前には
「了解」
奏から受け取ったモノ、それは刀
鞘から刀を抜く
鍔のない持ち手から伸びるその刀身は黒
「ははっすっげぇ手に馴染む」
その刃を包むように呪力が青黒く揺れる
「なにかと思えば刀?そんなもので私の「その六眼は飾りか?」なにっ!?」
「お前は六眼を無下限術式を制御するためだけのモノみたいに思ってるのかもしんねーけど、そうじゃない…よく見てみろよ」
「!?これはまさか!?」
六眼は本来呪力を詳細に見るもの、奏の指摘通りにその眼で改めて刀をよく見て、その瞳に映ったものに驚愕する
「見えたみたいだな…よし、切歌!調!」
「えぇ!?私達デスか!?」
「今、取り込み中!」
「そんな大袈裟なことは頼まねぇよイグナイトモジュールを使え!」
「「!?」」
「お前達の力が幸詞の力になるんだ!!」
「ッ、でも」
奏の言葉にイグナイトモジュールに手を伸ばしかけたが二人の脳裏に暴走した幸詞の姿が甦る
あれになってしまったら幸詞が「切歌!調!!」
「「!!」」
悩む二人に幸詞が激を飛ばす、その
「俺を信じろ!!」
その一言だけで伝わる
「「!」」コクッ
互いに頷き合い、ギアのトリガーに手をかけ…引き抜く
「「イグナイトモジュール…抜剣!!」デス!」
ペンダントから伸びる刃が二人を貫くが痛みはなくギアが変化していく
本来の
いつもならこの呪力に流されるか、放出しようと躍起になるが今は必要ない
「…」スッ
ただ黙って刀を構えたその時
ズンッ!!!!
「!!?」ビリビリッ
「今まで溢れてどうしようもなかった呪力が、抗おうとして必死だった呪力が…力になってる
今までは感じられなかったけど、これが調と切歌の呪力か…負の感情の力だって言うのになんだよこれ」
「私も感じてるよこーじ、大きくて少し怖いけど」
「とってもとっても暖かい優しい想いが届いてるデス」
幸詞の表情からは暴走は見られず、暴走を堪えている様子も見られないことが六眼により分かった
「装者からの呪力を完全に制御している、その刀の力か」
「あぁ、大したもんだろ。コレがあったから俺は暴走を孕むことになったし」
「私が生まれることができた、か」
「だな、驚いたか?」
「驚いたよ、まさか
幸詞が製作していたもの、それは装者のギアにイグナイトモジュールを搭載するさいに使用したダインスレイフの欠片の余りを基にこの刀を作ったのだ
「一人では抱えられない呪力を刀に注ぎ込んでいるのか」
本来聖遺物やフォニックゲインといったものを六眼で視覚することはできない、だが今のカースの六眼には幸詞の持つ刀からはその性質が見える
「ダインスレイフの力と呪力は同じようなもの、膨大な呪力の器になるってことは
そして俺とダインスレイフの相性がいいことは
発案と設計は俺、製作はほとんどエルフナインちゃんだ」
「あの廃棄筐体か」
カースと幸詞の後方では調と切歌がミカと戦っている
周辺が暑くなるほどの熱力とつんざく斬撃の音が響くのも構わず会話を続ける
「そ、でも次その呼び方したらブッ殺すぞ」
「どちらにしろだろう?」
「まぁそうだ…なッ!」
フォンッ!!
「!?」バッ
「なんだ?避けたのか?」
言葉を言いきる前に斬りかかった幸詞の刀による一撃
「(六眼でもとらえきれなかった)」
動き自体は速さで追えず、呪力の流れは全身から発せられ続ける呪力のせいで読めなかった
そして今自分は無下限術式による無限のバリアを張っていた、刀はあくまでもイグナイト時に発生する膨大な呪力を受け止めるためだけのもの
無下限を破る力はない
ない、はずなのに
「(なんだ、なぜ)「なぜ今自分が避けたのか分からないか?」!」
「姿を追うことができなかったのは確かだけど自分が避ける必要はなかったのに…ってとこか?」
「お前、なぜ…」
カースの心の中を言い当てていく幸詞
「最初に比べたら人間味でてきたじゃねぇか、今のお前は嫌いじゃない」
「お前には分かるというのか、なぜ私が避けたのかを」
「簡単だよ」ヒュン
そう言いながら刀を振り上げる、あまりにも自然な動きに警戒を感じなかった、そして
「こうすりゃお前にも分かる」
スッ
まっすぐ頭上に振り下ろされる刃
「!!」
…ピタッ
「お、よく止めたな」
咄嗟に腕で刀を防いだ
無限は今も張ったままなので、刀が届くことはなく、埋まらない距離が空いている
無下限は問題なく張られているのだ
「身体が…勝手に動いた」
それでも身を守ろうと身体が動いた
「そう、お前の本能がコレを受けたらヤバイと、叫んだんだ」ググッ
以前なら感じなかった恐怖、それが引き起こした本能がカース自身を守った
「なるほどな、ならなぜお前にはすぐに分かったんだ」
「簡単だよ」
「?」
「お前と戦ってる時いつもビンビンにそれを感じてるからな」
ドゴォッ!!
隙だらけのカースを脚で蹴りあげた
「!?」
腹部に強い衝撃を受け、後ろに飛ぶ
「!?無限が、!」バッ
フォンッ!!
体勢を整えた所に空かさず追撃の刃が迫る
カースはそれを紙一重で避け続けながら、一つの結論に達する
「(そうだった)」
先の戦いで暴走した幸詞の一撃は無限のバリアを突破した
「(今の暴走の力を制御した鳴届幸詞の攻撃は無限を中和して私に迫ることができる
そして先程の腕で防いだ斬撃は敢えて手を抜いていたのか…!!)」
カースに一撃を喰らわせてペースを引き込むための一手を短時間で導き出したのだ
そして今迫り続けている斬撃は一手一手を重ねるごとに早く鋭くなっていく
翼の扱う剣の様な美麗さのない無骨な太刀筋と響とは違う変則的な打撃
その一つ一つは確実に命を奪う一撃
「以前のように放出に集中を持ってかれないから攻撃の手が粗くなることはなく、思考も冷静
寧ろ戦闘における思考こそが幸詞の強み」
そしてその幸詞を鍛えてきた奏が告げる
「そしていくら装者頼りとはいえ無限を中和することのできる程の呪力とそれを存分に振るうことのできる武器と身体能力、間違いない…今の幸詞は」
ズバッ!!!
遂に届いた刃がカースの右足を切断した
「孤仁を越えているッ!!!!」
そう、奏は確信した…だがカースも負けていない
「!!、赫ッ!」
術式反転『赫』を幸詞に向けて放つ
ズズンッ!!…グッ!!!
「!」
赫は無限を発散させて弾き飛ばす力、それを受けた幸詞は当然遥か彼方に弾き飛ばす力だが…
ズザザザザッ!!!
地面に幸詞の足と刀の跡が残る
「堪えただとッ!?」
赫が放たれる寸前で刀を地面に突き刺して身体を支え吹き飛ぶ距離を大幅に抑えた
常人以上の身体能力を持ち、呪力強化が得意な幸詞だからできた所業、それに驚く隙を突く
地面から刀を引き抜いてカースに接近し、
カァンッ!
「しまっ」
残ったカースの足を蹴りあげて地面に転がし、肩を踏みつける
「捕まえた」
刀を持つ手に力と呪力を込め、首筋に向かって振り下ろす
だが錬金術によって作り出された鋼鉄すら凌ぐ強固な身体と
「こ、の!!」
呪力による強化と無限のバリア、それを纏うカースの首に届かない
「(この土壇場でッ!)」
「負けられない!!お前だけには!!」
先ほどまで易々と中和できていた無限に刃が届かない
「とはいえここで引くわけにはいかねぇなッ!!」
ググッ…ズンッ
気力と共に増した呪力で少し近づくがまだ届かない
それでもここで決めなくては次はない
「(後少し、後一歩が足りない)「こーじ!」!」
調が幸詞の状態に気付いた
「負けないで!私はこーじが強いって知ってる!!」
「!」
迫り来るミカのカーボンロッドを避けて、弾いて
「アタシも知ってるデスよ!!いつだって優しくて強いこーじを!」
倒れてもすぐに立ち上がって何度でも挑む
今これまで以上に戦えるのは自分達を大切に思ってくれている人がいるから、それに答えるために
「それでも足りないなら今もっと強くなろうっ!!」
「アタシ達ならできるデスっ!!」
「!」
足りないのなら互いの力を掛け合わせて!
「…ありがとな」
腕から力は抜けないが幸詞の表情に笑みが浮かんだ
呪力を通して二人の気持ちが伝わってくる今ならやれる
「面白いもん、見せてやるよ」
「!?」
炎のようにゆらめいていた呪力が変わる
「これは一体!?」
呪力が形を作り、そうしてできた小さな刃が連なり並ぶ、それは鋸の形をしていた
「あれは私のアームドギア?「調!力借りるぞ!!」!、うんっ!!」
意味は分からないが、自分の力が彼の力となるのなら喜んで貸し出す
調が答えたと共に刃達が回り始め、刀から聞き覚えがある声が響く
『Resonance!Syurusyagana!!』
「!?なんだありゃ!?」
「マリアの声デス!!」
「この刀はただの呪力の受け皿じゃあない。皆から受け取った呪力を形にすることこそが刀の本質だ…さぁザックリいこうか!!」
ギャリギャリギャリリリィィッ!!!
シュルシャガナのアームドギアを模した刃達が無限を少しずつ切り刻んでいく
「切ちゃん!私達も!」
「合点デス!!」
イガリマのワイヤーアンカーがミカを縛り、更にミカを挟み込むようにシュルシャガナと繋ぐ
足りない力は掛け合わせて
「「「切り刻む!!!!」」」
『Tuning Complete!ResonanceCutting!!』
「ウォラァァァァ!!!!」
ザンッ!!!
「っ!!!」
咆哮と共に遂にカースの首を撥ね飛ばした
その光景を見たザババの二刃が迫るミカ
「ッ!!!最後の足掻きィィ!!」
苦し紛れにアルカノイズを発生させるジェムを幸詞の周辺にバラ撒いた
「!ミカ!?」
首だけでも当然意識のあるカース、その瞳が写した最後のミカは
「カース、さよならダゾ!」
とても満足そうな笑みを浮かべ切歌と調の必殺技、禁殺邪輪 Zあ破刃エクLィプssSSにより爆発した
「ミカァァァァ!!!!」
カースの絶叫が響くがそんなことは意に介さず切歌と調の視線は幸詞の周りのアルカノイズに移る
「次はアルカノイズを「こっちは大丈夫だ!」へっ?」
刀を構え、カースの残された身体に足を乗せたまま答える
「さっきのでコツは分かったからな。切歌!力借りるぞ!」
「!、了解デェス!!」
『Resonance!Igarima!』
小さな刃を連ねていた呪力がまた形を変える
刃先から垂直に伸び、その形状は
「アタシのジュリエットデス!!」
「さぁ!伐採しようか!伏せてろよ
!!」
「「え?」」
『Tuning Complete!Resonance Deforestation!』
「ヨイッショォォォ!!」
刀を両手で持って思い切り振り回す
ズババババッ!!!
「ひぃっ!?」
「危なっ!?」
「おっと」
振りかざされた鎌から発せられた衝撃波が切歌と調と奏の頭上を通り、周辺にいたアルカノイズを全てを刈り取る
「伐採完了「危ないデスよ!!」あーごめんごめん」
「全く感情が籠ってない…っ!こーじ!!」
「ん?…!」
ガシッ!!
「いつまで乗せているつもりだ」
「それで動けるってありかよ」
足を掴まれた、その手は当然カース
しかも遠く撥ね飛ばしたはずの首が引っ付いていた
「まぁ人形だしな、で?まだやんの?」
「…やらない」
シュンッ
「!」
足裏の感覚がなくなり、地に着いた
それと共に足元にいたカースが消えた
「今ここで挑んでも私は負ける」
「だろうな、いい判断じゃん」
戦闘の余波で大破した神社の上にカースは移動していた
「ここで死んだらミカの意思を無視することになる」
「…俺とお前ってこれまで何回戦ったと思う?」
「最初の邂逅も戦闘として含めると六度目と記憶しているが?」
「だな。それで今日改めて思ったよ」
「?、なにをだ」
「お前との決着は最後までとっておきだ」
「!」
「最初はお前なんざどうでもよかった、だけど最近はお前に対して運命ってやつを感じる」
孤仁がいなければ今の幸詞はいなかった
孤仁がいなければカースは生まれなかった
カースがいなければ幸詞は孤仁の代わりになろうとは思わなかった
幸詞がいければカースは孤仁になろうとは考えなかった
「意外と共通点が多いだろ?」
「あぁ、そうだな…きっと出会う形が違えば」
「人形ごっこは趣味じゃねぇけどダチになってただろうな」
友、それは出会った当初カースが言っていたこと
「…そうだな」
「だからそんなお前との決着はこんなところではつかない、そしてつけるとしたらどっちかを完全にブッ壊さないと終わらない」
「!」
「互いに家族の命懸けてるんだ…その時は全力でやってやる。どんな手を使ってでもな」
「その時私は一人だろう…だが私の全てを懸けてお前を倒す」
「なら行けよ」
「あぁ、またな」
パリン、テレポートジェムを割りカースはチフォージュシャトーへと転送された
それを止めるものは誰もいなかった
「ふぅ…さて、帰ろうか」
「待ってこーじ、さっきの本気?」
「!、本気だよ」
「どっちかが壊れないと決着はつかないデスか?」
「アイツは敵「もう友だと思っててもか?」!、はい、やるしかないんです」
調、切歌、奏の問いに答え、刀を持つ手をギュッと握り
「アイツを倒すのは俺しかいない」
気持ちに残る嫌な感じを噛み締める
「…分かった。絶対に勝って生きろ、これ以上はなにも言わない」
そうして奏は切歌と調に目を向ける
「もう私たちを置いていかないで」
「アタシ達もこーじを置いていかないデスから」
もしかしたら死ぬかもしれない、そんな可能性が少しでもある未来を考えると辛い
だけど幸詞が辛いのを堪えているから耐える
そんな二人を見て幸詞は
「約束する、俺はもう離れないって」
まだ爆煙が漂う夕暮れにそう誓うのだった
…
その後事後処理やらの連絡をして現地に来てくれたのは弦十郎とクリスとマリアだった
派手にドンパチした切歌と調にお説教する弦十郎とクリスを横目にマリアと奏と幸詞が話し合っていた
「その様子だと上手くいったみたいね」
「うん、流石エルフナインちゃんだ」
マリアが幸詞の持つ刀を指差す
「そういえばそんなのいつの間に作ってたんデスか?」
そこにお説教が終わったのか切歌と調もやってきた
「発想は昨日の夜、製作開始は今朝」
「そこからエルフナインが引き継ぎ、音声提供は私、そして材料の提供は奏よ」
「やっぱりあの声はマリアデスか」
「って材料提供がアタシ?ダインスレイフの欠片なんじゃねぇの?」
「それだけじゃ足りなかったみたいで貴女が今までに修練や戦闘で使ってた槍の予備を拝借したのよ…許可はとってないみたいだけど」
奏の反応で無断だったことを察したマリアは幸詞をジト目で睨む
「おいコラ」ギリギリギリィ
「ちょっ、まじ、スンマセンっした」
呪力込みアイアンクローにもがきながら即座に謝る
「ったく、呪力にある程度慣れたもんじゃないと壊れちまうのは分かるけど」
「徐々に慣らしていく時間なんてなかったんっすよ」
「せめて一言言え!」
「ま、まぁまぁ落ち着いてデス!結果上手いこといったんデスし」
「…そういえばこーじはなんで起きてるの?」
「あっ」
「そうだ!それにここにどうやって来たんデスか?SONGの潜水艦も強襲されてて身動きがとれないと聞いていましたが?」
「えっと、それは「それは数時間前までに遡るわね」あっ」
誤魔化そうとした幸詞の言葉を遮ってマリアが話す
「共同構内での戦闘を終えた貴女達を迎えに行った時のことよ」
…
共同構内で暴走形態に陥り、カースを退けた幸詞
「グッ、ぐっ!ガッ…ウッ!、ぐぁぁぁ!!!」
頭を抑えて踠き苦しんでいた
「も、どれっ!グッ、っどれぇぇ!!」
最近の訓練の成果だろうか自我が戻りつつあるが、今にでも破壊衝動に飲まれそうだった
ガンッ!ガンッ!!
一刻も早く暴走状態を振り払おうと地面を割る勢いで頭を何度も打ち付け、自我を取り戻そうとする
早く自我を取り戻さなくては戦闘音が止んだことに気付いた響達がこちらにきてしまう
その時にまだ暴走していたら襲ってしまう可能性がある、そんなことはさせない
「ガァァァァァァ!!!!「やめなさい!!」!?」
滴る血など気にも止めず、更に強く打ち付けようとしたところで肩を抑えられる
「?、ねぇ、さん?」
その肩を抑えたのはマリア
どうやらSONG艦艇がこちらに来てくれたのだと、冷静さを取り戻しつつある頭でそう結論つけた所で…
「歯を食い縛れッ!!このバカ弟!!」
バッチーン!!!
「ぶっ!?」
マリアの強烈なビンタが炸裂した
「いってぇ!!!「すかさずもう一発!!」なぜ!?」
バッチーン!!!
痛みで転がっているのも構わずもう一発叩き込んだ、もう暴走形態は解除されているというのに…
「な、なんで二回…」
「切歌と調の分よ」
「ったく、とにかく来てくれたのね。ありがと」
両頬を抑えて礼を告げる
「とにかく一度戻って治療を「あ、それは大丈夫っぽい」え?…!?」
先程までボロボロだった身体がうっすらと光り、傷が癒えていく
「これは五条孤仁の反転術式…」
以前反転術式を受けたことのあるマリアにはその正体が分かった
「へぇ、今までなんとなく怪我は孤仁が治してくれてるって思ってたけどこんな感じだったのか」
光が収まると共に傷は完全に癒えたようだった
「もう大丈夫なの?」
「ん、五体満足」
そのまま立ち上がる。身体に痛みはない
「今回は短時間で俺に対するダメージがなかったからこんくらいですんだのかな」
「とにかく怪我がないのならよかったわ。別のところで翼達もいるから合流して本部に連絡を「待った」え?」
端末を手に連絡を取ろうとしたマリアに待ったをかけた幸詞
「これ逆にチャンスかも」
…
「それでマリア姉さんに頼んで俺は気絶してるってことにしてもらったんだ」
「そうだったんデスか。でも何故皆さんに嘘を?」
「それはこれを完成させるため」
そう言って刀を見せる、これを完成させるために幸詞は嘘をついたのだ
「?無事だったと伝えてもこれは完成したんじゃ?」
「それは「あれだけ暴走に気を付けろって言われたのに無茶したことを皆に怒られるのが嫌だったのよ」姉さん…それを言わないでよ」
「なるほど、お説教されたらこれの完成に時間がかかるもんね」
「本当なら私が説教してあげたいところよ」
「ごめん、それは後でちゃんと聞く…ってそういえば俺がどうやってここに来たのか知ってる?」
「そういえばアタシも知らないな、巨大な人影に艦が掴まれて艦に穴が空いたってあおいさんが焦ったと思ったら人影が消失したって聞いた。
それから緊急浮上してエルフナインから出来上がった刀を預かってここまで来たんだよ…残穢を追ってな」
「残穢?」
「簡単に言えば呪力の足跡だ。わざと残す感じで飛び飛びに残ってたんだよ。」
「一体誰の呪力デス?」
「そりゃ幸詞のだ「違うわ」?」
「それは幸詞であって、幸詞ではない」
奏の言葉を遮ってマリアが答えた
そしてその言葉が指す意味は
「!、それって」
「えぇ、私も何が起こってるのか分からなかった」
強襲されて艦から一瞬で脱出し、切歌と調の元まで残穢を残しながら高速で移動した人物は…
「だけど間違いない、あれは五条孤仁だった」
そうしてマリアが真相を語り始める
じゅじゅしないさんぽ
~刀について一問一答~
調「なんでマリアの声がするの?」
幸「必殺技音声が入る仮面ライダーとかウルトラマンのおもちゃが好きだから(作者が)」
切「れぞなんす?ってなんデス?」
幸「共鳴って意味、装者の歌と俺の呪力を共鳴させるって意味合いを込めて」
マ「何故刀?」
幸「ダインスレイフの欠片を基にしている以上その依り代の形は剣の形をしていないと力が安定しないから」
奏「刀の名前は?」
幸「えーと…
切「すごく物騒!?」