ハイスクール D×D 隠蔽された子   作:世界の果実

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姫島朱乃

リアス・グレモリーにとって、友人の中でも一番古く親しい関係であり、学園ではオカルト研究部の副部長を務め、戦闘においては彼女を守り、何事にも支えとなっている姫島朱乃は、学校から帰宅し夕食作りに励んでいた。

 

彼女は幼い頃に母親を亡くし、父親を遠ざけ神社の巫女を引き継いで、一人暮らしを始めてからもう何年になるだろうか? 

 

学費や食費その他もろもろは、毎月グレモリー家の現当主が決まった額を、口座に振り込んでいてくれているおかげで、生活が成り立っている。

 

朱乃とリアスは、中学一年の春に初めて出会う事になるが、朱乃の母が亡くなってから一ヶ月も経っていなかった。

 

二人は姉妹のように仲良くなり、朱乃の境遇を知ったリアスはお金の援助を提案した。

 

朱乃はそれを断るが、リアスは納得がいかず初めて大喧嘩になった。

 

しかし、リアス家当主から娘の世話役代として受け取って貰えないだろうかと、頭まで下げられる先手を打たれてしまい、結局グレモリー家からの資金援助を受ける代わりに、リアスを命がけで守ることを条件に承諾した。

 

スーパーから買ってきた夕食の食材を台所に置いた朱乃は、制服の上からエプロンを着用した。

 

世の男子校生にとって、一度は彼女にしてもらいたいランキング上位に入るであろう姿で、カレーに入れるための野菜を丁寧に水で洗っていた。

 

野菜を水で洗い流すと、馴れた手つきで人参・たまねぎ・豚肉・じゃがいもを一口大サイズに包丁で切っているその姿は、大人びていることから女子高生というよりは、新妻の雰囲気が漂っている。

 

さてこれらの切った具を炒めようと、大きめの鍋を探していた時、カバンの中に入れっぱなしにしていたスマートフォンから、電話の着信音が鳴り響いた。

 

作業を一旦止め、鞄からスマートフォンを取り出す。

 

ディスプレイ画面の発信者を見ると、リアスと表示されている。

 

あらっ?リアスから電話だなんて何かあったのかしら?

 

部員同士のスマホでの通話は、緊急時以外を除いて禁止されている。

 

誤った情報で、戦闘において噛み合わなくなるのを防ぐためらしい。そのため普段は、メールでのやり取りが多い。

 

「朱乃!直ぐに部室に来てちょうだい」

 

「何かありましたのリアス?」

 

「詳細は着いてから話すわ」

 

「了解しました。三分後にそちらに向かいますわ」

 

よほど緊急事態なのか、いつもよりも少し上ずった声を聞き、すぐに電話を切る。

 

キッチンに移動し、先ほど準備していた野菜を、大きめな皿に移しラップをかけて冷蔵庫の野菜室にしまい、火の元栓を切る。

 

近くにあるイスにエプロンを脱ぎ捨て、急いで自室のある二階へと向かった。

 

自室のドアを開けると、真正面には彼女の等身大を映し出す鏡がありその前に立ち、髪型や制服にシワや汚れなど無いかチェックした後、ベッドに座り転移魔法の準備に取り掛かる。

 

転移魔法とはその文字通り、術者叉は対象者が離れている地に、一瞬で移動できる中級魔法のことである。

 

発動条件はそれぞれの魔法学校で異なるが、一般的な発動条件は二つあり、その二つの条件をクリアしないことには転移はほぼ不可能に近い。

 

一つ目の条件は、古より伝えられている転移魔法の術式を覚え、頭の中で組み立てられること

 

二つ目の条件は、術者がその移動したい目的地に一回は行った事があること

 

転移魔法のやり方としては、まず転移の術式を頭で想像する。

 

この時、頭の中に雑念や術式以外の思考が入っていると、中々術式は完成しないので無の状態にする必要がある。

 

次に術式が完成した後、行きたい目的地の正確な場所を、自分がいる所から把握する必要があり、多くの人はここでつまづいてしまうが故に、難易度は中級となっている。 

 

尚、転移魔法は攻撃するタイプではないため属性は無となっている。

 

自室に入った朱乃は早速、転移術式を想像した後オカルト研究部室にあるソファーを思い浮かべた。

 

しばらくじっとし、頭の中で術式が完成した後、オカルト研究部の場所を思い浮かべる。

 

やがて彼女の足元から、眩い光が体全体を包み込み、パッと弾けるように光は消え、同時にベッドの上に座っていた彼女も消えた。

 

 

 

 

 

 

オカルト研究部室の入り口付近に転移した朱乃は、光が収まるのを待ってから目を開き、周りを確認してからドアをあけた。

 

目の前にはソファーに座っているリアスが、下のほうを見て何か思い詰めたような神妙な表情をしていた。

 

「あらあら、部長がそのような顔をなさっているのは珍しいですわね」

 

思ったことを口に出した朱乃は、リアスの方に近寄る。

 

リアスはこちらを見ず下ばかりを見つめ、肩を震わしていた。

 

やがて人の頭らしき物が垣間見え、リアスはその人物の乱れていた前髪を分け、朱乃に分かるように見せた。

 

「ほら、前話していた兵藤一誠君よ」

 

 

こちらが質問する前に、リアスは表情を変えずに言った。

 

リアスに膝枕されている状態で、息絶えている兵藤一誠の胸付近には、乾いた血の跡があり、顔はうっすらと笑みが含んでいた。

 

「この子を私の眷属に入れるわ」

 

 

 




明乃とリアスが出会う場面とそこからどのように仲良くなっていくかは番外編という形で出す予定です。
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