ハイスクール D×D 隠蔽された子   作:世界の果実

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その者、名はジーク

都内の一等地にそびえ立ち、駅と病院から近い最高級の立地条件に、一ヶ月前完成したばかりの超高級マンションを目にした蓮は、その高さと警備の厳重さに口をあんぐりと開けている。

 

この50階建てのマンションは、住人の身の安全や、プライバシーを守るため最新のセキュリティーを導入している。

 

24時間体制で常にフロントにて働くスタッフや、来客なども自由に使える無料ドリンク・温泉などが充実し、海外でも有名になっていると、この前テレビ番組に紹介されていた。

 

「えーっと、ジークさん?」

 

「私に対しては敬語は不要でございます。それとジークとお呼び下さい」

 

にこりと微笑むその姿は慈愛に満ち溢れていた。

 

やっぱり天界で育ってるだけあるなーと、呑気に思いながら、今から住むマンションについて質問をした。

 

「ここがそのマンションで合ってるの?」

 

「はい。このマンションの最上階が蓮様のお部屋となり、その下の階が私の部屋となります。」

 

「玄関はあちらとなっておりまして、網膜スキャンと指紋認証をクリアしますと開く仕組みです。」

 

「部屋への入り方は、機械が蓮様の身長と顔を認識すると、自動で開くようになっています。」

 

「ここの家賃代とかは…………」

 

「ガブリエル様が、二年分の家賃を一括でお支払になったそうで」

 

一体どのくらいの費用がかかったのか気になり、ジークの方に目を向け質問しようとする。

 

しかし、彼は蓮の思考を読み取ったのか、首を横に振った。

 

おそらく、これ以上は聞かないでくれという合図なのだろう。

 

三メートル弱の高さからなる、頑丈な造りをした玄関を通過する。

 

さらに数メートル歩くと、二十代前半に見えるスレンダーな体型をした女性がいた。

 

おそらくフロントスタッフであろう彼女は、俺とジークを見るなりお辞儀をする。

 

「蓮様、ジーク様、おかえりなさいませ。」

 

挨拶後、サングラスをした黒のスーツを纏う初老の男性が、奥の方から一瞬で目の前に来て、お辞儀をした。

 

「本日から新条蓮様のお世話をさせていただく鈴木と申す者です。早速荷物をお部屋までお運びしたいのですが、宜しいでしょうか?」

 

「あっ、じゃあお願いします。」

 

いきなり話しかけられ、流れに乗せられるように鈴木とか言う男に、反射的に答え荷物を預けた。

 

「お荷物お受け取りいたしました。では失礼して、お先にお部屋の方まで届けて参ります。」

 

鈴木が荷物を持って消えた後、蓮とジークはゆっくり歩きながらエレベーターに乗り、最上階の50階を目指していた。

 

「母さんは帰る前に僕の世話をお願いしてたけど、ジークも駒王学園に通うって事?」

 

「はい。蓮様より一つ上の三年生として、ガブリエル様が手配してくれました。そして、蓮様には深い馴染みがある姫島朱乃と同じクラスとなっております。」

 

「深いと言っても朱乃姉からしたら俺はただの幼馴染みで、今となっては駒王学園の二大お姉さまの一人。まさか僕が駒王学園にいるなんて思ってもみないだろうし」

 

「ほぉ~。姫島朱乃の事を朱乃姉と昔から呼んでいられたのですね。さぞ仲が良かったことでしょう」

 

表情は変えずに笑顔のまま答えるジークだったが、後半の言葉には刺々しさを感じ、若干低い声になっていた気がした。

 

「まぁでも、彼女は悪魔側それも名家グレモリーに仕えているから、会うことはないだろうよ。戦争の引き金なんかにはなりたくないからね」

 

仮に俺とグレモリー眷属が親しい間柄になったとして、このまま平和でいられるはずがない。

 

それは、堕天使の総督候補といわれている蓮が、名家の悪魔と手を組んだという情報が流れたとして、間違いなく戦争が起こる。

 

「そこまで自分の立場を理解できているとはさすが蓮様です。」

 

こりゃあ、朱乃姉の監視をしていたなんて言える雰囲気じゃねーな。

 

あははと口では笑ったものの、制服越しから伝わる冷や汗が、収まる感じがしなかったため、話題を反らそうと、必要のないことをあれこれ質問をした。

 

やがて、50階に着いた音が鳴り扉が開き、エレベーターから降りると、鈴木が荷物を持ったまま待機していた。

 

「ここまでお疲れさまでした。50階と49階はそれぞれ一室のみとなっております。ここから先私は進めないため、何かありましたらお電話でお呼び下さいませ。」

 

「ちょっと待って。ジークには、…その……鈴木さんみたいに、お世話をしてくれる人はいないの?」

 

「いえいえ。50階に住んでおられる蓮様限定となっておりますので」

 

それではと言って鈴木さんはフロントに戻っていった。

 

 

部屋に入り中心に置かれているソファーに座り、脚を休ませたことで早速ジークとの話し合いになった。

 

まずは、何で夕方の事態を把握していたのか、ずっと疑問に思っていたので問いかけてみた。

 

母さんが(偶然)、俺の帰宅時の様子を魔法玉から覗いていたらしく、(偶然)リアスとのやり取りの一部始終を見ていたので、全部内容は把握していたらしい。

 

魔法玉とは、真っ白い半径20センチぐらいの球体で、人間界ならいつどこであろうと、対象者の周りを覗くことが出来る。

 

この魔法玉は、天界にいる大天使以上のクラスでないと扱うことは出来ない。

 

次に、特別な理由がない限り地上に降りる事は、御法度となっている天界で、どうやって地上に降りる許可が出来たのか質問をした。

 

どうやら執務中、毎日魔法玉を使い、母さんが俺の学園生活を覗いていたことを、ジークの母親ミカエルは気付いていたらしい。

 

いつも見なかった振りをしてせっせと書類整理をするのだが、、蓮とリアスが衝突した場面でガブリエルは発狂し、魔法玉がパリンっと割れた。

 

「きゃあああああ。蓮ちゃんが悪い虫に捕まっているぅぅぅぅぅ。」

 

「ガブリエル様!落ち着いてください。部屋が揺れています」

 

誰も手に負えない状況の中、家の中ならという条件で人間界に降りることを許されたらしい。

 

ほんとミカエルさんいつもありがとう、そして迷惑かけます。

 

「そう言えば、母さんは何か言ってなかった?学園ですることとか」

 

「はい。私は蓮様に危険が迫った時に、助けることぐらいしか聞いていません。」

 

「それなら、父さんに任された任務はどうなるのかな?まぁ、暫くはやらなくてもいいということなのかな」

 

そう気楽に考えていると、ジークは失礼致しますと挨拶をし、エプロンを着けキッチンに向かいだした。

 

「蓮様、今晩はお食事をお食べになられたでしょうか?」

 

「あっ、そう言えば昼から食べてないやー。ジークは何か作れるの?」

 

ジークはお任せくださいと笑顔で言い、オムライスを作り出した。

 

夕食を終えた後、蓮はジークに学校での過ごし方について確認する。

 

一、金髪を黒色に染める

二、学校では敬語と様付け禁止

三、一緒に住んでることは秘密にすること

四、学校では緊急時以外は会わないこと

五、俺について悪口を話している奴がいたとしても何もせずに見過ごしておくこと。

 

「これをジークには守ってもらいたいんだけどいいかな?」

 

「最後だけは納得できません!!」

 

「金髪を黒色に染めるのはいいんかい」

 

思わずツッコミを入れてしまった蓮をさらっと無視して、拳に力を入れたジークは、机を叩いて立ち上がった。

 

天界の実質ナンバー1ガブリエルの第一子が、人間如きに侮辱されるのを黙って見過ごせという命令に、ジーク以外の大半の天使は同じ反応をするだろう。

 

「頼むよジーク。俺は目立つわけにはいかないんだ。」

 

「そう言われましても、が様のご子息が、低脳で野蛮なずる賢い人間如きに悪口を言われては、黙ってられません」

 

両者互いに一歩も譲ることなく、言い争い続けるはめになった。

 

しかし、蓮の方が先に折れ、制裁するなら誰にも見られず、そして自分と関係があることを決して悟られない事を条件に、ジークの学生生活は確立していく。

 

 

翌朝

 

いつもなら学園の自身の教室に着くといなや、真っ先に悪友二人の方へ行き、朝にもかかわらずエロトークを展開する一誠。

 

しかしこの日、悪友二人に目もくれず机に直行して寝る準備に入っていた。

 

「ちょちょちょちょ一誠。いつもの元気はどーした?」

 

「そうだぞ一誠。折角新しいDVDが手に入ったから、今宵も見ようぞと盛り上がっていたのに。」

 

一誠はそれどころではなかった。何せ昨夜は、初めて出来た彼女が一誠の心臓に槍を突き刺すという、妙に現実味のある夢を見たからだ。

 

「悪い。今それどころじゃないんだ。」

 

いつもと様子が違う一誠に二人は同じタイミングで首を傾け、はっと何かに気がついた元浜は、一誠の肩にポンと手を置き

 

「そうか。昨夜は自家発電し過ぎてこんなに疲れてんだな。いかんなー」

 

「そんなことなら早く言えよ。まっ、次の時間までにはいつもの調子を出しとけよ」

 

そういい終えた二人は一誠の元を去っていた。

 

何やら勘違いしているようだが、何も考えたくない一誠は、そのまま目を瞑って眠りについた。

 

 

場所は変わってホームルーム中のリアスがいる教室では・・・・・・・・・・・

 

「今日から駒王学園に通うことになりました。ジーク・イレインです。親の急な転勤により、本日からこの学園に在籍することになりました。色々とご迷惑をお掛けしますと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。」

 

ジークはリアスと朱乃が一緒のいるクラスに転入してきた。

 

恐らく、二大お姉様による魔の手からジークを盾として、蓮に近づけさせないミカエルの意図があるのだろう。

 

高身長+イケメン+礼儀正しさに加え、最後のにこりと微笑んだ姿に、女子達は何人か矢を射られたようだ。

 

黄色い歓声とは対照的に、男子達は舌打ち+陰口の嵐を巻き起こす。

 

「イレイン君は、窓側の一番後ろに座っているグレモリーさんの横で授業を受けるように」

 

「はい」

 

ジークは自分の席に向かい、左隣で読書をしていたリアスに、「よろしくお願いしますね」と心にもないことを言って、椅子に座った。

 

リアスの方はいつものニコリとした笑みで、「ええっ、こちらこそ」と台本通りかのような挨拶を済ませ、自分の左隣で一時間目の予習をしている朱乃に目配せをした。

 

 

 

 

こうしてジークの転校初日の自己紹介タイムは終了し、その容姿から情報は一気に一年生まで広がっていき、その日はジークの話題が絶えなかったという。

 

 

ホームルーム中のリアスとジークの心の中は

 

 

リアス 「何でこんな時期に転入を?そもそも昨日の今日で転入なんて怪しいわ。今日の放課後は全員集めて会議しないと」

 

ジーク 「今日の晩御飯は何を蓮様に食べさせるべきでしょうか?」

 

お互い全然違うことを頭に浮かべていた。

 

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