ハイスクール D×D 隠蔽された子   作:世界の果実

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アーシアとグレモリー眷属

アーシアが去った後

 

蓮とジークは屋上の隅に座り、オカルト研究部がある東側を見つめていた。

 

「蓮様、そんなにオカルト研究部の方を見ずとも」

 

「念には念を...ね。あの中にジークのークリアーを見破れる奴がいないと思うけどさ・・・」

 

彼らがそこまでして心配してること、それはアーシア・アルジェントがグレモリー眷属に入れるか否かだ。

 

「それにしても、よくガブリエル様から許可をいただけましたね」

 

ジークが言っている許可とは、先ほどアーシアに見せていた手紙の事だろう。

 

「父さんが先に説明していたみたいでさ、俺の作戦を話したら簡単にオーケーしてくれたよ」

 

ズボンのポケットから、グシャグシャになった手紙を取り出し、手に取ってヒラヒラさせてみせた。

 

その雑な扱いに、世をも動かせるのですよその手紙1枚で、とジークは心の底で思った。

 

「それならば、ガブリエル様も任務については、公認してくれたのですか?」

 

「あぁ。しかも、魔王サーゼクス・ルシファーからも公認されたし」

 

「魔王からも許可降りたのですか。流石は、蓮様です。」

 

「ただし、妹を傷つけたら命の保証はないとアドバイスされたけどな」

 

任務について黙っていたアザゼルはもちろん、堕天使一同はガブリエル率いる四大熾天使に大説教された。

 

理由は、今まで維持してきた三界の均衡が崩れ、大戦争に発展しかねない状況を作っていたからだ。

 

先の大戦、様々な手違いで大戦争にまで発展し、結果聖書の神が死亡したことで終結することができた。

 

だが、その代償はあまりにも大きく、聖書の神が死んだことで、天使を増やすことが、出来なくなってしまったのだ。

 

それによって天界に限らず、堕天側も必然的に増やすことは難しくなった。

 

では、悪魔側が有利になったのだろうか?

 

確かに、天使と堕天使の数は後々減っていき数では圧倒できるだろう。

 

しかし、悪魔側も数々のドラゴン達が滅ぼされ、生き残りのドラゴンは永い眠りについてしまう。

 

また、一部の悪魔は義理人情に厚いドラゴンを裏切り、敵対するドラゴンまで出る事態となった。

 

結果、天界と堕天、悪魔側は会議を開き、和平の道に進むように、協定を結び今に至る。

 

「でもさ、レイナーレを殺せと言われてもねぇ」

 

蓮の顔が少し曇る。

 

「どうかされたのですか?」

 

ジークの質問に、蓮は遠い目をした。

 

それは過去に蓮とレイナーレが、アザゼルを師として毎日辛い特訓に耐え、励み合った仲である。

 

蓮にとっては妹弟子であり、護ってあげたいたいせつな家族みたいなもの。

 

だが彼女は破ってしまったのだ。人間を殺してはいけないという掟を。

 

一番重い掟破りは、どのような理由があろうとも、処刑しなければならない決まりである。

 

それがたとえ、アザゼルと蓮であっても例外ではない。

 

「いや、何でもない」

 

どうにかして助けたい想いを必死に押し殺し、再びアーシアとグレモリー眷属の動向に目を向けた。

 

 

 

場所は変わってオカルト研究部室

 

「事情は分かったわ、アーシアさん。」

 

リアスは、手に持っていた紅茶が入ったカップをテーブルに置き、一息つく。

 

「でもね、にわかに信じられないよ」

 

「そんなぁ〜」

 

アーシアはガックリと肩を落とした。

 

「教会が貴方の神器を狙っているのは、まぁホントの事だとして、その後が問題なのよ。」

 

その後とは、ガブリエルがアーシアのため個人的な手紙を送ったことだろう。

 

天界の長が、いち天使の為に手紙を送るなど、よっぽど影響力があるか特別な相手にしかありえない。

 

ましてや彼女は、ガブリエルと会ったことも、話したことがないらしい。

 

「そもそも、貴方をここに来させた男は、なにを考えていたのかしら?」

 

「兵藤一誠さんという方らしく、ここまで親切にしてくれましたよ?」

 

「・・・・・今、兵藤一誠って言ったわね?」

 

「ええ、とても紳士的な方で、私を守って下さるって言ってくれました。」

 

リアスは、朱乃に目配せをする。

 

朱乃は意味が分からないと頭を振る。

 

それもそうだろう。

 

なんせ、兵藤一誠はグレモリー眷属にましてや、悪魔の身体になったのも知らないはずだからだ。

 

アーシアの話を深く追及していくたびに、謎が深まる。しかし、ここにきて木場が口を開いた。

 

「アーシアさん。兵藤一誠君は紳士的な振る舞いといいましたか?」

 

「はい!」

 

「部長、兵藤一誠は紳士とは遠く離れた性格で有名です。違う人物の可能性が高いと思われます。」

 

「そうね...。」

 

その時、彼女の脳裏にふと、昨日の夕方に会った謎の天使が浮かんだ。

 

彼も最初は、紳士的で作法も礼儀正しいかったはず...。

 

「アーシアさん、その男は残念ながら、兵藤一誠ではない可能性が高いわ。」

 

「そんな....。」

 

アーシアは信じられないといった表情をする。

 

「でもね、みすみす貴方の神器を、協会側に手放すつもりはないわ」

 

「それに、貴方と行動を共にすることで、その人と会える可能性もでてくるわけだし」

 

それまで落ち込み気味だったアーシアは、目をパッと輝かせる。

 

「完全には信用したわけではないけど、オカルト研究部は貴方を歓迎します」

 

 

 

 

 

 

 

 

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