蓮side
その声を聞いた瞬間、俺は危うく携帯を落としそうになった。
レイナーレは去り、誰もいない公園の中で死亡した兵藤一誠と上から見つめている俺の姿。
誰がどう見ても、被害者と加害者にしか見えないじゃないか!
下手に否定しても疑いは晴れることはないだろうし、疑念を強くしてしまうだけだろう。
だが、まだ焦る必要はない。
なぜなら、【顔】を見られていないからだ。
髪の長さ、体格はまだ魔法でどうにかるが、顔となると最悪転校となる。
事実上、任務失敗だわな。
なにより母さんに、怪しまれるのが怖い。
「顔を変えたの?」
「うん、イメチェンしたんだ」
ダメだ.....。イメチェンのために顔を変えるとかおかし過ぎるだろ!!
とりあえず、時間稼ぎをしながら脱出の機会でも探るか。どうせ、リアスの目的は不審人物である俺ではなく、兵藤一誠の方だろう。
何せ、こいつにはとんでもない力があることを、リアスは分かっているはずだからな。
そう考えた俺は、携帯をポケットにしまい、リアスに背を向けたまま大人しく両手を挙げた。
まずは、敵意が無いことを相手に示し、なるべく平和的な話し合いをするように一一これは父であるアザゼルの基本的な教えだ。
「その声は!これはこれは魔王の妹様。お初にお目にかかりま…」
「前置きはいいわ。それよりもあなたのその制服、駒王学園の者ね。単刀直入に聞くけど貴方は何者なの?」
眉間にしわを寄せたリアスは、先程よりも声のトーン落とし、不快感を表した。
うーん、俺的に結構丁寧なあいさつをしたつもりなんだが.........。
どうやらリアス・グレモリーという女、兵藤一誠の安否よりも、俺の方がよっぽど気になるらしい。
「何者と言われましても……。」
さて、どんな言い訳をすれば納得してもらえるか。とりあえずここは、自己紹介でもしとくか。
「私は堕天使レイナーレを滅するべく、この地区に本日付けで配属になった下級天使でございます。」
出だしはバッチシだなうん。あとは適当に嘘でもついて、さっさとバックレるか。
「レイナーレの微かな魔力に反応して真っ直ぐにここに来た時、既にこの男性は槍で心臓を刺された後でございました。」
「男性は見ての通り、出血多量により、絶命しています。」
一通り状況を説明して一呼吸置く。精神的にしんどく、思わずふぅーとため息が出る。
「フゥーーン。貴方下級天使だったの…。なんで今日一日中、そのレイナーレという堕天使を見張っていなかったのかしら?」
まぁその疑問はごもっともで。だけどな、転入生ならではの言い訳があるんだぜ。
「慣れない人間界。ましてや初めての学校ということで、周りからの質問攻めや遊びのおさそいなどに、あたふたしていましたら・・・・・」
「あーなるほどね。貴方、こっちは初めてなんだ」
そろそろ話題を切り替えて、逆に質問するか。このまま続けていたら、墓穴を掘っちまうかもしれんしな。
「ところで、なぜ魔王の妹君がここに……?」
「私はそこの倒れている兵藤一誠君に呼ばれてきたのよ。私に一回でも会いたいって言ったから」
「彼とは既に面識があったのですか?しかし、一回でもということは」
「いいえ、彼とは一度も面識はないわ。でも、オカルト研究部の一環として彼だけに
特別な《保険》を渡していたの。」