2021年4月7日。
「馬場サクラ」
彼女はついに念願の競走馬の調教師とトレーナーの資格を取得し、トレセン学園に足を運ぶ。
「トレセン学園は桜の木が沢山あるのね。綺麗だわ…。」
トレセン学園のメインストリートには桜の木が沢山あり満開であった。まるで彼女を歓迎するかのように華やかな出迎えである。
彼女はトレセン学園の理事長に挨拶するため理事長室に入る。
そこには何処かなお嬢様みたいな容姿をした理事長が待っていた。
「歓迎!!キミが馬場サクラかな?」
「はい!馬場サクラと申します!よろしくお願いします!」
「あの伝説の調教師である『馬場ハジメ』の娘だな!」
「はい!そうです!」
「ふむ!これは良い新人が入ってきたな!今後期待しているぞ!」
「はい!トレセン学園で一流のウマ娘を育成出来るよう精進して参ります!」
「期待!応援してるからな!」
「はい!」
馬場サクラ。彼女の父『馬場ハジメ』の娘。父『馬場ハジメ』は元騎手であり数々のサラブレッド達をG1レースを勝たせた名騎手であった。騎手を引退し調教師になり数々のウマ娘達の育成に携わり競馬界では知らない人はいない。その娘である『馬場サクラ』に理事長は彼女に期待をしてた。
馬場は理事長と挨拶を終えると外には秘書みたいな人が待っていた。
「私は理事長秘書である駿川たづなです!馬場サクラさん!よろしくお願いします!」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
「それでは…早速トレセン学園の内部を紹介しますね。」
馬場はたづなさんと一緒にトレセン学園を周ることになり各場所を案内してくれた。環境や設備が充実している校内でウマ娘達が日々鍛錬を積んでいると思うと馬場は感激を受けた。
(凄いな…。トレセン学園は…。ここからスターウマ娘が誕生してると思うとワクワクするわね!)
たづなさんと校内を周り終わると次はウマ娘が普段特訓してるトレーニング場に行く。そこには10人ぐらいスーツを着た男性が他のウマ娘達が走っている姿を凝視してた。
「やっぱり…ウォッカが良いかな。」
「あのダイワスカーレットも気になるな…。」
「スペシャルウィーク…。あの子気になる。」
男性達はウマ娘を見ながら呟いていた。
この様子に疑問を持った馬場はたづなさんに質問する。
「あの人達はなんですか?」
「あの人達は育成するウマ娘をスカウトしているのです。この時期はトレセン学園に入学してくる子がいるので…トレーナーはどの子を育てるかを偵察によく来るのですよ。」
「そうですか…。あの…。私も少しだけ彼女達を見ていいですか?」
「良いですよ♪」
馬場は男性達の隣でウマ娘達の走りを見るが…ウォッカとダイワスカーレット、スペシャルウィークの走りに魅了されるトレーナーが沢山いるのは彼女の経験上わかる気がした。しかし…そんな中1人だけ脚は絆創膏が沢山貼ってあり一生懸命走ってるピンク色をした髪の小さいウマ娘が馬場の目についた。
(この子…。遅いわね…。)
すると男性トレーナー達は彼女を見ると愚痴を漏らした。
「たしか…あれは…ハルウララだっけ?小さいし…遅いし…本当にトレセン学園に合格したウマ娘なのかね?」
「ハルウララか…。ウチにはいらないかな…。」
ハルウララが男性達の目の前を通り過ぎると見向きをせず他のウマ娘を見つめたが…馬場は彼女を見続けた。
(確かに…身体は小さいし細いし速いわけではない。脚に絆創膏が貼ってあるぐらい一生懸命走ってる。それに…他のウマ娘と比べて笑いながら走ってる…。)
「気になるウマ娘はいましたか?」
たづなさんが話しかけると馬場は…。
「あの…ハルウララというウマ娘が気になるんです。」
「ウララちゃんですか。ふふっ♪ハジメさんのお嬢様は目がいくところが違うのですね♪」
「それは…どういう意味でしょうか?」
「それは秘密です♪」
馬場はたづなさんが言ってることが疑問に思ったがそれは後々知ることになる。
馬場はトレーニング場を去ろうとしたら黒髪の少女にぶつかる。
「いった…。」
「すみません…。」
「ごめんね…。私…前を見てなかったわ…。」
「私こそすみません…。」
「キミはトレセン学園のウマ娘だよね?」
「はい…。私…ライスシャワーといいます…。」
「私は馬場サクラと申します。今日からこの学園のトレーナーに就任したので今後よろしくお願いしますね!」
「……。はい……。よろしくお願いします…。」
「で…ハルウララというウマ娘のことを知りたいだけど…ライスシャワーさん。何か彼女のことわかるかな?」
するとライスシャワーは明るい口調でハルウララについて話し出した。
「ウララちゃんはとても優しい子なの…。ライスがこの間クッキーを作った時に砂糖と塩を間違えて作っちゃったけど…ウララちゃんは「しょっぱいクッキーも美味しいね!」って美味しく食べてくれたの…。それに…ウララちゃんはいつも笑顔で走って周囲の人達を笑顔にする。私と違ってとても明るい子なの…。ウララちゃんを見てると私も元気になるの…。」
「そうですか…。」
(ハルウララ。彼女は持ち前の明るさで周りを魅了する。そんなウマ娘ですか…。)
「ライスシャワーさん。ありがとうございます。また何かハルウララについて情報をくれると有り難いです。では…私は失礼しますね。」
「はい…。」
ライスシャワーは馬場の後ろ姿を見ながら感じた。
(ウララちゃんのトレーナーさんになるのかな…?)
馬場は自宅に帰るとハルウララについて調べることにした。
すると…そこには衝撃的な内容が目に入る。
ハルウララ。113戦0勝。
負け組の星。ハルウララ。
「えっ…。」
思わず絶句した。
どのレースで勝利したことがない馬。
競馬界ではいくら血統が良いサラブレッドが生まれてもレースに勝利しなければ引退を余儀され最悪殺処分されることが多い。しかし…彼女は113戦0勝の戦歴を持ち勝利がなくて殺処分されなかった。これには訳があるのだろうと更に調べていくと馬場は彼女の印象が変わる。
高知競馬場は当時赤字で破綻寸前であった。しかし…ハルウララがどのレースにも負け続けたことがキッカケになり競馬場はもちもんだがメディアまで注目されるになり一時期「ハルウララブーム」があった。そのおかげで高知競馬場に足を運ぶ人が多くなり高知競馬場を赤字から救った馬として現代まで語り継がれている。
ウマ娘は過去にいた競走馬の魂が人の形として継がれていることは彼女は知ってた。彼女はどんなに負け続けても諦めずに走る姿に笑顔で走っている姿を見たからこそ…ハルウララを勝たせたい気持ちが強くなった。
「彼女は周りを魅了するポテンシャルはある。それに…私は…彼女みたいに下向きに頑張っているウマ娘を育てたい…。」
「彼女の笑顔はサクラのように素敵ですから。」
翌日。
馬場は理事長室に入り理事長に報告する。
「私…。ハルウララの専属トレーナーになります!」
「何故!ハルウララなのだ!?キミなら…ハルウララではなく…ウォッカやダイワスカーレット、スペシャルウィークといったウマ娘を育成出来る力を持っているではないか!?」
「私はハルウララに一目惚れしましたから…。それに…彼女の笑顔を咲き誇りたいと思いましたから。」
「……。目は真剣だから本気なのだな?」
「はい!必ず…彼女を勝たせてみせます!」
「……。了解!!馬場サクラよ!!精進したまえ!!」
「はい!では…私は失礼します!」
馬場は理事長室を去ると隣にいたたづなさんに理事長は話しかける。
「ふむ。たづなの言う通りだったな!」
「はい♪だって…彼女は昨日ずっとウララちゃんしか見てなかったのですから♪それに…ライスちゃんから「あの人がウララちゃんのトレーナーになるの」と聞かれましたから。」
「あのライスシャワーにか!なるほどな!!たづな!!お前も…秘書として立派な仕事をしてるな!!」
「理事長に褒められることはしてませんよ♪それに…私に…馬場家にお世話になってる身なので…。」
「それもそうだな!!」
こうして馬場サクラはハルウララ専属トレーナーに就いたが…馬場サクラはハルウララに挨拶するために彼女がいる教室に向かうのであった。
次回話に続く…。