馬場サクラはハルウララがいる教室に向かい窓から覗くとハルウララは爆睡してた。教師がハルウララの机を軽く叩くとハルウララは驚いた表情で動揺するがすぐ眠りについた。周りのクラスメイトはそんなハルウララの姿を見て笑った。教師は呆れた表情で授業を続ける。馬場も思わず笑ってしまった。
(ハルウララ…。彼女…マイペースなのね!)
すると…馬場が教室内を覗いていることに気づいた教師は廊下に立ってる馬場に話しかける。
「もしかして…貴女は昨日…トレセン学園のトレーナーに就いた方ですよね?」
「はい!私は…馬場サクラと申します!授業の邪魔をしてしまい申し訳ないです!私は…トレセン学園の子達がどのようなスクールライフを過ごしているのか気になったので…。」
「そうですか…。折角来たのですから…授業を見学しますか?」
「邪魔で無ければ…是非見学したいです!」
「わかりました。」
馬場は教室内に入り軽く自己紹介を済ませるとクラス中のウマ娘達が馬場に興味を持ったのか質問攻めする。
「あの!私は!トウカイテイオーさんみたいに速く走れますか!」
「私はマックイーンさんが憧れです!私もマックイーンさんのスタミナを身につく事が出来ますか!?」
「スピードとパワーを効率良く出来るトレーニングはありますか!?」
「こら!貴女達!授業中でしょ!馬場さんに質問するなら授業が終わってからにしなさい!」
「は〜い。」
教師が生徒達に怒鳴ると…周りのウマ娘達は黙った。あれだけ騒いでいるにも関わらずハルウララは寝てた。
(これだけ騒いでも起きないのですね…。)
馬場はハルウララのマイペースさに驚きを隠せなかった。
その後…授業を見学してるうちにチャイムが鳴る。起立と礼が終わるとクラスメイトのウマ娘達は馬場にアドバイスを求めてきた。馬場は彼女達の求道心に感銘し一人づつ丁寧にアドバイスをする。
「馬場さん!参考になりました!ありがとうございます!またアドバイスしてくださいね!」
「いつでも相談においで!」
馬場は感心した。トレセン学園の娘達はレースに出走し勝ちたい気持ちが強い娘が沢山いる。だからこそ…トレセン学園から長距離界の王者である「メジロマックイーン」や怪我からの奇跡の復活を遂げた天才の「トイカイテイオー」といったスターウマ娘を輩出したのだと感じた。
馬場は授業中たまにハルウララに目線を送っていたが終始爆睡で今も寝てる。流石に彼女を起こそうと思いハルウララの肩を叩く。
「ハルウララさん。授業が終わって皆んなカフェテリアに食事に行きましたよ…。」
「えっ!もうそんな時間〜!早く行かないと〜。」
すると我に振り返ったかのように凄い勢いで起きて教室から出て行った。馬場は唖然とした。一瞬の出来事で状況が理解出来なかった。
「……。マイペース過ぎるわね……。」
放課後。
馬場はハルウララがいる寮に向かうとそこに強面なウマ娘がこちらをガンつけてきた。馬場は目線を逸らしたがそのウマ娘は馬場から目を離さなかった。寮のドアを開けようとした瞬間…。
「コラー!!ウマ娘以外は立ち入り禁止だぞ!」
「す…すみません!」
「アンタ…。見かけない顔だな?新人トレーナーか?」
「はい!昨日からトレセン学園のトレーナーに就任した馬場サクラといいます!」
「私はこの寮の寮長のヒシアマゾンだ!で…アンタはここになんのようだ!」
「ハルウララというウマ娘と話したくてここに来ました…。」
「ウララか〜。アイツは最近〜放課後自主練してるみたいだな。アイツにしちゃ〜珍しいな〜。普段は練習サボってるけどよ〜。」
「えっ…そうなんですか?」
「ああ。アイツ…。ああ見えて飽きっぽいところがあるからよ。集中力ねーし。練習中どっか行っちゃうし。呆れたもんだぜ。」
「それは…難ありますね…。」
「でもよ。アイツのメンタルが強いところと頑張り屋なところは一流だぜ。負けても負けても笑ってるからな〜。変わってるヤツだぜ。」
「そうですか。」
(ハルウララ…。やはり…彼女は…。)
「アイツなら多分トレーニング場で走ってるかもな。アンタもそこに行けばウララと会えるんじゃね〜か?」
「わかりました!ありがとうございます!ヒシアマゾンさん!」
「居るかどうか保証は出来ないけどな〜!」
馬場はトレーニング場に行くとそこにハルウララが走ってた。
そして…昨日と同様に偵察に来たトレーナー達が数名いる。
他に昨日走ってたスペシャルウィークとウォッカ、ダイワスカーレット。昨日はいなかったがグラスワンダーやオグリキャップも走ってた。
「今日も偵察に来てるのですね…。」
周りのトレーナー達の反応はやはりスペシャルウィークやウォッカ、ダイワスカーレットといったウマ娘に感心を持っておりハルウララは眼中になかった。
「ハルウララって…トレセン学園を面接だけで受かったみたいだな…。面接だけで受かるとか…大丈夫かよ…この学園。」
「高知から来たみたいだぜ。よくあんなウマ娘をトレセン学園は受け入れたよな。」
「誰が…あんな田舎臭いウマ娘をとるのかよ。ははは!」
ハルウララが通り過ぎる度に悪口を言うトレーナー達。
どんな悪口を言われようが気にせず練習を続けるハルウララ。
馬場は怒りを抑える事が出来なかった。
(ハルウララはきっと…トレーナー達に自分の走りを見てほしいと思って頑張って走っているのに…見向きもせず挙げ句の果てに悪口しか言わない!トレーナーなら…どんなウマ娘でも…愛情を持って育てるべきであり周りのウマ娘達も称賛する立場であるのに……彼らは……ハルウララを知ろうとしない!トレーナーとして失格だわ!!)
馬場は悪口しか言わないトレーナー達に説教しようとするが…後ろからたづなさんが馬場の肩を抑えた。
「たづなさん!」
「馬場さん。貴女の気持ちはわかります。しかし…彼らも必死なんです。トレーナー達は重賞レースを勝たせるため試行錯誤しながらウマ娘を育て…そのウマ娘が勝てば彼らの名声と信頼を得ることが出来るのです。だからこそ…彼らは慎重にどのウマ娘をとるのか必死なんです…。貴女の気持ちは重々にわかりますが…これは勝負の世界なんです…。報われるウマ娘もいればそうではないウマ娘もいる。だから…厳しい世界なんですよ…。競馬界は…。」
「……。」
(確かにたづなさんの言うとおりかもしれない。競馬は血統や馬の素質、調教師やトレーナーの指導、騎手の技量によって勝利を得ることが出来る。しかし…それで良いのか?彼女のように…血統や素質が無くても頑張っているウマ娘は沢山いる。今日の授業を見学して感じた。私の仕事は…全てのウマ娘を活躍できるよう導く。それが…父の教えだから…。)
「それでも…貴女は本当にハルウララを指導するのですか?」
たづなは真剣な眼差しで馬場を見つめた。
「私の父の教えは『どんな馬にも可能性がある』と言ってました。だから…私はどんなに血統や素質がないウマ娘でも可能性はあると信じてます。だから…私はハルウララを勝たせたい。そして…私はハルウララを愛情を持って育てます!」
力強い馬場の決意にたづなさんは安心した表情で笑みが溢れた。
「貴女のように我トレセン学園のモットーに基づいた方を見つけて良かったです♪私達もウマ娘が活躍出来る場を設けるために日々努力してます。貴女とトレセン学園のモットーが合ってるので精一杯愛情を持ってウララちゃんを育ててください♪では…私はこれにて失礼します。」
たづなさんが去っていくと馬場はハルウララの走りを観察する。
しばらく経つと…日が暮れ始めウマ娘達は練習を終える。すると…偵察に来てたトレーナー達はスペシャルウィーク達に話しかけにいくが…馬場はこの時初めてハルウララと面と向かって話すことになる。
「ハルウララさん。私は馬場サクラといいます。少しだけ…時間あるかな?」
「うーん。いいけど〜。わたし…お腹空いちゃったからまた後で良いかな〜。」
「いや。すぐ終わるので少し我慢してくれませんか?」
「うーん。いいよ〜!!」
「ありがとうございます。では…あそこのベンチに座りましょう。」
ベンチに座ると馬場は近くにあった自販機でドリンクを買ってハルウララに渡した。
「練習お疲れ様です。良ければ…ポカリでも飲みますか?」
「喉乾いてたからありがとう〜!で…私になんのようかな〜?」
「今日から貴女の専属トレーナーになります。よろしくお願いします。」
すると…ハルウララは立って喜んだ。
「やった〜〜!ライスちゃんの言うとおりだったよ〜!ウララにね!トレーナーさんが来るって言ってたからね!」
「ライスさんって?ライスシャワーさんのことですか?」
「うん!ライスちゃんは私の友達なんだ〜!」
「そうですか…。」
(ライスシャワーさんは友達なんだ…。)
「じゃあねー!!明日からよろしくねー!トレーナーさん!」
そう言うとハルウララは走って寮に戻って行った。
「また明日。」
「さて…明日から彼女のトレーニング内容を考えないとな。その前に…彼女の脚質や適性を知らないとな…。」
馬場はこの日からハルウララ専属のトレーナーとして仕事を始めるのであった。
次回話に続く…。