「早く、何とかしないと」
まだ自分の街にたどり着いていないことに焦りを感じながら、ブースターを最大でふかす。
そして、空中投影されたバッテリー代わりのPBMP残量が尽きかけようとしていた。自分の人格を保つためのPBMP結晶体もこの中に入っているのだが、それはいわばCPU(コンピュータ)のようなもので、基本使えないようになっている。
「こっちの方も何とかしないとな」
そう言い、内蔵されたLANで近くの店を検索しようとしたが、止める。
「多分、使ったらこっちの場所が逆探知されるんだろうな」
仕方なく、装備品のライフルのスコープを使い、あたりを見回す。
数百メートルぐらい行ったところで、うっすらと記憶に残っている店を見つけた。
「そういえば、オレがこうなる前まで、品ぞろえとかの関係で意外と通う頻度が高かった店だ」
その店にバッテリー用PBMPを無料で供給していたスタンド(クレイドル型かボックス型)があるのを知っていたから、その店で休むことにする。
「いらっしゃいませー」
この店の店員が全員であいさつをする。来たのが久しぶりだから商品や供給スタンドの配置場所などの内装が一部変わっていた。
自分で聞くのもなんだかな~。と思っていたが。今のオレのことを知ってる人はいなさそうなので、聞いてみることにした。
「「あのー」」
ちょうど入ってきた青いビッグバイパー型の神姫と、言葉を発するタイミングが被ってしまった。お互いに顔を合わせ目を丸くする。
「お先にどうぞ」
そうオレが言うと、彼女は遠慮なしに店員に聞く。
「ここのクレイドル、二基使わせてもらうわよ」
その口調は生意気な感じがしたけど、店員が普通に流していたので、ここの常連だということが分かった。
「でも、いくら自律支援機がいるからって、二基分使うのは……」
そう言うと、彼女はじとっとした目でこちらを見る。
「何言ってんのよ、あなたの分もよ」
ああ、そういうこと。親切な神姫がいたものだ。と思いながら彼女の誘導で供給場所にたどり着くと、同じく供給を始めた彼女が質問を投げた。
「あなた、何者? 見た感じ、私を買ってくれた人が熱心に作っていた娘に似ているんだけど……」
その言葉を聞き、電流のようなものが体の中を走った。
「知っているのか、この体の事!」
「何? 妙に興奮しちゃって」
怪訝そうな彼女に、こちらの立場を理解してもらうため、自分の身に起きたことを一から説明した。
「ということは、あなたはもとは人間で、なぜか神姫の体に意識が入ってしまったと…………。じゃあ、こっちに一つの結論ができたから聞いてくれるわよね」
こちらは無言の了承。
「まず私の立場からね。簡潔に言うと私はあなたの神姫よ。途中で家出しちゃったんだけど……。で、あなたの友人の博士っていう人、彼はあなたの協力者よ、PBMPを利用した神姫ライドシステムの」
その言葉を聞いた瞬間、きっかけが会ったのだろう。自分の記憶が全て戻った。決してギャグ的なヤツではなく。
「そういえば、そうだ、そうだよ!」
さっきまで謎の神姫だと思っていた彼女も、オレがこの体の制作とテンペスタの武装強化(こっちの方が改造がしやすかったから)に時間を費やしたせいで、最後に悪口の三つか四つを残してどこかへ行ってしまったヴェルヴィエッタだと気づいた。
そしてこの体は……、
「オレの心血を注いで作った機体……、アーンヴァルMK,3」
はいきました、衝撃の真実。
いくら待っても新型が出ない憤りを原動力に一から作り上げた機体、アーンヴァルMK,3
その性能は、次の話で明らかになります。ちょっとだけ言うと、かなりのチート武装を
持った機体です。
では次回、第一章最終話で。(途中のどこかに訂正が入る可能性があります)