「秋月さん・・・、なにかおかしくないですか・・・?」
「普通じゃないよねぇ・・・。あれは・・・」
あの盛り上がらなかった親睦会から一週間がたったある日のお昼、秋雲と朧は食堂でお互い向き合い疲労を抱えているような顔をしつつ、昼食をとっていた。この頃になってくると皆、軍隊にいることの辛さが身にしみ始めていた。真面目な子、やる気に満ちていた子、使命を掲げていた子、そんな子達も含めて皆辛そうな顔をしているのである。それは軍隊のぐの字も知らない人がほどんどであった以上、仕方のないことでもあった。
そんな中、ただ一人もくもくと訓練に勤しんでいる人がいたのである。あの時、終始うつむいていた秋月であった。どんな状況でも愚痴や文句の一つも口から出ることがなかったのである。そして彼女の周りには誰もおらずいつも一人で行動していた。現にいまも食堂の隅で一人さびしく食事をとっていた。
年頃の女子というものは、何かと集団を作って行動することが多い。そのはずなのだが秋月は他の人とは一切余計なことを話そうとはせず、いつも俯き、時には無意識ではあるのだろうが鋭い視線を向けてすらいたのである。それはまるで他人を拒絶しているかのようであった。
「人と付き合うのが嫌いなのかなぁ・・・」
「それでも訓練の時には、拒絶している感じはしないんだよねぇ・・・本気で他人を拒絶しようとしている、というわけじゃなさそうなんだよねぇ・・・」
「そうなんですねぇ・・・」
ただ訓練、座学時には拒絶することはせず、聞かれたことを短い言葉ではあるがきちんと回答していた。しかもその中の言葉も、短いながら丁寧であった。そこからは人付き合いが苦手という感じはせず、人を嫌っている様子も見られないのである。
「なんかさぁ~、友達を作りたくない感じなんだよねぇ。でも人には嫌われたくもない、って感じもするけどねぇ・・・」
「不思議ですねぇ・・・」
「そういえば宮城県出身らしんだよねぇ、噂では」
「・・・、震災でつらい経験でもしたんでしょうか・・・」
「・・・そういう子ばっかりだからねぇ・・。、ここは・・・」
津波に流されたが、艦娘としての能力が発現したおかげで助かった子も多い。そんなこともあってか触れたくないであろう所を触れないように、皆慎重に接していたのである。秋雲と朧はどちらも被災地の出身ではなかったが、その話題には触れないようにしていたのである。
いくら慰めの言葉をかけても、ある意味”部外者”の人たちが言ってもしょうがないと思っていたからに他ならなかった。
「でも・・・、やっぱり秋月さんには他の子とも仲良くなってほしいと思ってる!」
「まぁねぇ・・・、同じ部屋で生活しているとどうしても気になるしねぇ・・・。でもどうすんの?」
「うぅ・・・」
勢いは良かったが策が思いつかない朧は思わず情けない声を上げてしまっていた。しかしそれは秋雲も同様の気持ちであったのでお互い何も言えず、ため息をつく以外でできることはなかった。